トランスフォビア

トランスフォビア英語: Transphobia)とは、トランスジェンダーの人や性別二元制に当てはまらない人に対する不寛容、否定的な態度、言動、嫌悪を意味する言葉である。

概要編集

多くの場合、彼らの内面的な性同一性の外的な表現(服装など)への拒否という形で現れる。またトランスジェンダーと、同性愛を混同する異性愛者からのホモフォビアHomophobia)の対象となることがある。またシスジェンダー(トランスジェンダーでない)同性愛者から嫌悪の対象になることもある。男性性を受容し、男性として男性らしく男性を愛すゲイや、女性性を受容し、女性として女性らしく女性を愛したいレズビアンには、異性装が好ましくないことに映ったり、異性装者と同一視されたくないという気持ちが働くことなどが背景にある。トランスジェンダーと同性愛が違うものだという認識が、社会的にまだ充分ではないことも遠因とされる。

ホモフォビアのような他の差別と同様に、差別的かつ不寛容な態度は暴力殺人といったヘイトクライムとなる場合もあれば、雇用上の差別を含め他の人と同様に公平に扱う事をしないといった暴力的ではない形で示される時もある。

語源と用法編集

transphobia(トランスフォビア)という単語は、homophobia(ホモフォビア)と同じパターンの結合辞である。1番目の要素は、neo-classical prefix英語版であるtransgenderに由来するtrans- (もともとの意味は"across, on the far side, beyond")であり、2番目の要素は「恐怖」を意味するギリシア語: φόβοςに由来する-phobiaである。 lesbophobia英語版(レズボフォビア)、biphobia(バイフォビア)homophobia(ホモフォビア)、transphobia(トランスフォビア)と同様に、LGBTの人々に対して偏見や差別が向けられるときに使われる用語である。

Transphobiaは、臨床心理学で定義される意味でのphobia(恐怖症)とは異なり(例:不安障害)、意味や用法は、xenophobia(外国人嫌悪)と似ている[1]。名詞形のtransphobeは、心の中でトランスフォビアの気持ちを抱えている人を意味する。形容詞形のtransphobicは、transphobeやその人による行為を意味することがある。transphobiaおよびtransphobicという単語は、2013年にOxford English Dictionaryに加えられた[2]

差別事例編集

市民的及び政治的権利に関する国際規約の第16条の『法の前で認められる権利』に根拠を持つジョグジャカルタ原則第3原則は、無条件でトランスジェンダーの法的性別変更の承認を求めている。それにも拘らずMtF(性同一性が女性)のトランスジェンダーが刑務所や病院、入国管理局で男性施設に収容所され、性的暴力や非人道的扱いを受ける例が世界各地で報告されている。2012年にもデンマークに亡命したグァテマラ出身のトランスジェンダー(性同一性は女性)が身分証明書の性別記載を理由に男性用の難民収容所に収監され、強姦されるという事件が起こった。デンマーク当局が性同一性を理由とした難民認定を認めていないため、彼女は現在ヘイトクライムによる殺人が頻発する本国に強制送還される恐れがある[3]

脚注編集

  1. ^ Shelley, Christopher A. (2008). Transpeople: Repudiation, Trauma, Healing. Toronto: University of Toronto Press. pp. 32–35. ISBN 978-0802097842 
  2. ^ New words list”. public.oed.com (2013年6月). 2020年11月8日閲覧。
  3. ^ “What I’m most afraid of when I go back, isn’t being killed. What really petrifies me is being attacked and tortured.”” (英語). 2020年11月8日閲覧。

関連項目編集