ネイサン・イオバルディ

イタリア系アメリカ人の野球選手 (1990 - )

ネイサン・エドワード・イオバルディNathan Edward Eovaldi, \ee-VAHL-dee\[2], 英語発音: /ˈneɪθən iˈvɑldi/; 1990年2月13日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ヒューストン出身のプロ野球選手投手)。右投右打。MLBテキサス・レンジャーズ所属。

ネイサン・イオバルディ
Nathan Eovaldi
テキサス・レンジャーズ #17
ボストン・レッドソックス時代
(2018年8月10日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 テキサス州ヒューストン
生年月日 (1990-02-13) 1990年2月13日(34歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
215 lb =約97.5 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2008年 MLBドラフト11巡目
初出場 2011年8月6日
年俸 $17,000,000(2023年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りとドジャース時代 編集

 
ロサンゼルス・ドジャース時代
(2012年6月30日)

2008年MLBドラフト11巡目(全体337位)でロサンゼルス・ドジャースから指名される。高校3年時にトミー・ジョン手術を受け、テキサスA&M大学に進学予定だったため指名順位が落ちたが、8月6日に契約金25万ドルで契約した[3]。契約後は傘下のルーキー級ガルフ・コーストリーグ・ドジャースでプロデビュー。6試合にリリーフとして登板して0勝1敗1セーブ・防御率1.12・9奪三振の成績を残した。9月からはパイオニアリーグのルーキー級オグデン・ラプターズ英語版でプレーし、1試合に登板した。

2009年はA級グレートレイクス・ルーンズで、この年のシーズン途中から先発に転向。26試合(先発16試合)に登板して3勝5敗1セーブ・防御率3.27・71奪三振の成績を残した。

2010年はA+級インランド・エンパイア・シックスティシクサーズ英語版で開幕を迎えると、同球団では16試合(先発14試合)に登板して3勝5敗・防御率4.45・58奪三振の成績を残した。7月に戦線離脱すると、8月下旬からはルーキー級アリゾナリーグ・ドジャースでプレー。9月にルーキー級オグデンで1試合に登板した。

2011年、マイナーではAA級チャタヌーガ・ルックアウツでプレーし、20試合(先発19試合)に登板して6勝5敗・防御率2.62・99奪三振の成績を残した。8月6日にドジャースとメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[4]。同日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦で先発起用され、メジャーデビュー。5回を4安打2失点7奪三振に抑え、メジャー初勝利を挙げた。その後は先発ローテーションに定着したが、なかなか勝ち星に恵まれず、9月からはリリーフに配置転換された。この年メジャーでは10試合(先発6試合)に登板して1勝2敗・防御率3.63・23奪三振の成績を残した。

2012年4月4日にAA級チャタヌーガへ配属され、開幕を迎えた。4月27日にメジャーへ昇格した[5]が、登板のないまま4月29日にAA級チャタヌーガへ降格した[6]。その後、5月29日に再昇格した[7]。昇格後は先発ローテーションに加わったが、シーズン初勝利は8試合目の7月5日のダイヤモンドバックス戦となった。ドジャースでは10試合に先発登板して1勝6敗・防御率4.15・34奪三振の成績を残した。

マーリンズ時代 編集

2012年7月25日にハンリー・ラミレスランディ・チョートとのトレードで、スコット・マクガフと共にマイアミ・マーリンズへ移籍した[8]。移籍後は12試合に先発登板して3勝7敗・防御率4.43・44奪三振の成績を残した。

2013年2月20日にマーリンズと1年契約に合意。3月31日に右肩の故障で15日間の故障者リスト入りした[9]。4月18日に60日間の故障者リストへ異動し[10]6月18日に復帰[11]。復帰後は18試合に先発登板して4勝6敗・防御率3.39・78奪三振の成績を残した。

2014年はシーズンを通してローテーションを守り、リーグ4位の33試合に先発。6勝を挙げたが、チーム最多の14敗、リーグ最多の被安打223本を記録。防御率は4.37だった。

ヤンキース時代 編集

 
ニューヨーク・ヤンキース時代
(2015年5月25日)

2014年12月19日にデビッド・フェルプスマーティン・プラドとのトレードで、ドミンゴ・ヘルマンギャレット・ジョーンズと共にニューヨーク・ヤンキースへ移籍した[12]

2015年はヤンキースの先発ローテーションに入り、9月上旬までに14勝を挙げてチームの勝ち頭となっていたが、右肘に炎症を起こして9月7日に戦線離脱[13]、そのままシャットダウンした。この年は防御率が前年よりわずかに改善したが、被打率、被安打率は悪化し、投球内容は前年を下回った。それでもリーグ1位の勝率.824を記録し、チームのプレーオフ進出に貢献した。

2016年も先発ローテーションの一角として、8月上旬までに24試合に登板し、9勝8敗を記録していた。ただし、前年比で約 - 30.0イニングながら、同比 + 13本のホームランを浴びており、投球内容自体は芳しくなかった。しかし、結果的に同年最終登板となる8月10日の対ボストン・レッドソックス戦で肘に違和感を発症し、検査の結果、自身2度目となるトミー・ジョン手術を受けて2017年シーズン全休となる見込みと判明した[14]。8月19日、手術は成功した[15]。11月18日にDFAとなり[16]、23日にフリーエージェント(FA)となった[17]

レイズ時代 編集

2017年2月14日、タンパベイ・レイズと1年200万ドルで契約を結んだ[18]。3月10日、3月8日付で60日間の故障者リストに入った[17]。この年は当初の予定通り、前述の手術のリハビリで全休した。

2018年は開幕から故障者リストに入っていたが、5月30日にアクティブ・ロースターへ登録されることが前日に発表された[19]。その復帰戦となったオークランド・アスレチックス戦では6回を無安打無失点に抑えて勝利投手となった[20]。そこから移籍するまでの間に10試合に先発登板し、防御率4.26・3勝4敗・WHIP0.98という成績を記録した。

レッドソックス時代 編集

2018年7月25日にジャレン・ビークスとのトレードで、レッドソックスへ移籍した[21]。移籍後は12試合に登板 (うち11試合が先発登板) し、防御率3.33・3勝3敗・WHIP1.28を記録。レギュラーシーズントータルでは、22試合の登板で防御率3.81・6勝7敗・WHIP1.13という成績だった。ポストシーズンでは、先発で2試合・リリーフで4試合に登板し、防御率1.61と活躍した[22]。オフの10月29日にFAとなったが、4年総額6800万ドルで再契約した[23]

2018年は自身初めてワールドシリーズ優勝を経験した。

2020年は自身初めて開幕投手を務めた。

2021年は2年連続2度目となる開幕投手を務めた。7月4日に自身初となるオールスターゲームに選出された[24]。7月13日に開催されたオールスターゲームでは4回裏に4番手としてオールスターゲーム初登板を果たした[25]

2022年オフの11月6日にFAとなった[26]。レッドソックスからはクオリファイング・オファーを提示されたが、契約には至らなかった[27]

レンジャーズ時代 編集

2022年12月28日にテキサス・レンジャーズと2年総額3400万ドルで契約を結んだ[28]

2023年7月2日に選手間投票で通算2度目となるオールスターゲームに選出された[29]

投球スタイル 編集

投球データ(2021年レギュラーシーズン)[30]
球種 割合 平均球速 最高球速
% mph km/h mph km/h
フォーシーム 42.3 96.8 155.8 100.7 162.1
カーブ 18.8 78.5 126.3 81.7 131.5
スライダー 13.7 85.8 138.1 90.4 145.5
スプリッター 12.7 87.9 141.5 92 148.1
カッター 12.5 92.5 148.9 95.4 153.5

スリークォーターから最速162.1km/h[31]、平均球速156km/hのフォーシームスライダースプリッターの3球種で全体の80%以上を占める。ほかにツーシームカッターカーブチェンジアップなど、多彩な球種を持つ。スプリッターは、2015年から投げるようになり、そのおかげで5~6点台だった奪三振率が7点台を記録するようになった。メジャー昇格当初から持ち球としていたカッターは、2012年を最後に投げるのをやめていたが、2016年から再び投げるようになった。またメジャーデビュー当初は平均球速が150km/h程度だったが、年々球速がアップしている[32]

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2011 LAD 10 6 0 0 0 1 2 0 1 .333 146 34.2 28 2 20 0 2 23 0 0 14 14 3.63 1.38
2012 10 10 0 0 0 1 6 0 0 .143 241 56.1 63 5 20 2 0 34 1 0 27 26 4.15 1.47
MIA 12 12 0 0 0 3 7 0 0 .300 285 63.0 70 5 27 1 3 44 0 0 32 31 4.43 1.54
'12計 22 22 0 0 0 4 13 0 0 .235 526 119.1 133 10 47 3 3 78 1 0 59 57 4.30 1.51
2013 18 18 0 0 0 4 6 0 0 .400 451 106.1 100 7 40 3 1 78 3 0 44 40 3.39 1.32
2014 33 33 0 0 0 6 14 0 0 .300 854 199.2 223 14 43 5 7 142 6 0 107 97 4.37 1.33
2015 NYY 27 27 0 0 0 14 3 0 0 .824 673 154.1 175 10 49 0 3 121 8 0 72 72 4.20 1.45
2016 24 21 0 0 0 9 8 0 0 .529 525 124.2 123 23 40 2 1 97 5 0 66 66 4.76 1.31
2018 TB 10 10 0 0 0 3 4 0 0 .429 224 57.0 48 11 8 1 1 53 1 0 27 27 4.26 0.98
BOS 12 11 0 0 0 3 3 0 0 .500 231 54.0 57 3 12 0 2 48 3 0 28 20 3.33 1.28
'18計 22 21 0 0 0 6 7 0 0 .462 455 111.0 105 14 20 1 3 101 4 0 55 47 3.81 1.13
2019 23 12 0 0 0 2 1 0 4 .667 302 67.2 72 16 35 0 3 70 6 0 46 45 5.99 1.58
2020 9 9 0 0 0 4 2 0 0 .667 199 48.1 51 8 7 0 4 52 2 0 20 20 3.72 1.20
2021 32 32 0 0 0 11 9 0 0 .550 764 182.1 182 15 35 2 7 195 6 0 81 76 3.75 1.19
2022 20 20 2 1 0 6 3 0 0 .667 460 109.1 115 21 20 0 1 103 2 0 55 47 3.87 1.23
2023 TEX 25 25 2 1 1 12 5 0 0 .706 577 144.0 117 15 47 0 6 132 2 0 59 58 3.63 1.14
MLB:12年 265 246 4 2 1 79 73 0 5 .520 5932 1401.2 1424 155 403 16 41 1192 45 0 678 639 4.10 1.30
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績 編集



投手(P)












2011 LAD 10 1 7 0 0 1.000
2012 10 3 6 0 1 1.000
MIA 12 4 10 0 0 1.000
'12計 22 7 16 0 1 1.000
2013 18 8 20 2 1 .933
2014 33 21 31 1 2 .981
2015 NYY 27 10 20 0 2 1.000
2016 24 6 14 1 0 .952
2018 TB 10 2 10 0 1 1.000
BOS 12 5 7 0 0 1.000
'18計 22 7 17 0 1 1.000
2019 23 8 8 0 2 1.000
2020 9 2 7 0 1 1.000
2021 32 13 23 0 2 1.000
2022 20 12 7 1 2 .950
2023 TEX 25 22 12 0 1 1.000
MLB 265 117 182 5 15 .984
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高

表彰 編集

記録 編集

背番号 編集

  • 50(2011年 - 2012年途中)
  • 24(2012年途中 - 2014年、2018年 - 同年7月23日)
  • 30(2015年 - 2016年)
  • 17(2018年7月29日 - )

脚注 編集

  1. ^ Nathan Eovaldi Contract Details, Salaries, & Earnings” (英語). Spotrac. 2023年1月7日閲覧。
  2. ^ “[https://pressbox.athletics.com/Publications/MLB%20Media%20Guides/MLB%20Publications/2021%20Player%20Name%20Presentations%20&%20Pronunciation%20Guide.pdf 2021 MLB PLAYER NAME PRESENTATION PREFERENCES AND PRONUNCIATIONS]” (英語). MLB.com. p. 5. 2021年10月5日閲覧。
  3. ^ Dodgers to promote Eovaldi for Saturday start” (英語). MLB.com (2011年8月5日). 2016年11月28日閲覧。
  4. ^ Dodgers to promote Eovaldi for Saturday start” (英語). MLB.com (2011年8月6日). 2014年12月27日閲覧。
  5. ^ Dodgers add righty Eovaldi to bullpen” (英語). MLB.com (2012年4月28日). 2014年12月27日閲覧。
  6. ^ Coffey will return to bullpen Monday” (英語). MLB.com (2012年4月29日). 2014年12月27日閲覧。
  7. ^ Ken Gurnick (2012年5月30日). “Dodgers activate Kemp from disabled list” (英語). MLB.com. 2014年12月27日閲覧。
  8. ^ "Marlins acquire Eovaldi, McGough from Dodgers" (Press release) (英語). MLB.com (Miami Marlins). 25 July 2012. 2014年12月27日閲覧
  9. ^ "Marlins announce 2013 Opening Day roster" (Press release) (英語). MLB.com (Miami Marlins). 31 March 2013. 2014年12月27日閲覧
  10. ^ Tony Meal (2013年4月18日). “BP mishap lands Hechavarria on DL” (英語e). MLB.com. 2014年12月27日閲覧。
  11. ^ Tyler Emerick (2013年6月18日). “Slowey moving to long relief with Eovaldi's return” (英語). MLB.com. 2014年12月27日閲覧。
  12. ^ "Yankees acquire RHP Nathan Eovaldi, RHP Domingo German and INF Garrett Jones in five-player trade with Miami Marlins" (Press release) (英語). MLB.com (New York Yankees). 19 December 2014. 2014年12月20日閲覧
  13. ^ ヤンキース・イオバルディが右肘炎症で戦列離脱へ”. 日刊スポーツ (2015年9月8日). 2015年10月6日閲覧。
  14. ^ “【MLB】ヤンキース、N.イオバルディが右ひじ故障 2017年シーズン全休へ”. ISM. (2016年8月17日). オリジナルの2016年8月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20160826095031/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160817-00000212-ism-base 2016年10月6日閲覧。 
  15. ^ Cash Kruth (2016年8月18日). “Eovaldi has successful surgery” (英語). MLB.com. 2016年11月28日閲覧。
  16. ^ Bryan Hoch (2016年11月18日). “Yankees make a series of roster moves”. MLB.com. 2016年11月28日閲覧。
  17. ^ a b MLB公式プロフィール参照。2017年3月13日閲覧。
  18. ^ Bill Chastain (2017年2月14日). “Eovaldi joins Rays at spring camp” (英語). MLB.com. 2017年2月15日閲覧。
  19. ^ Bill Chastain (2018年5月29日). “Rays praise Eovaldi's work ethic in comeback” (英語). MLB.com. 2018年6月4日閲覧。
  20. ^ In return to majors, Rays' Nathan Eovaldi pulled early from no-hit bid
  21. ^ Zachary Silver (2018年7月25日). “Red Sox acquire Eovaldi from Rays” (英語). MLB.com. 2018年7月26日閲覧。
  22. ^ 村上雅則友成那智『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2019』廣済堂出版、2019年、31頁。ISBN 978-4-331-52217-2 
  23. ^ Nathan Eovaldi Stats” (英語). Baseball Reference.com. 2018年12月11日閲覧。
  24. ^ Sarah Langs, Thomas Harrigan (2021年7月11日). “Your 2021 MLB All-Stars by position” (英語). MLB.com. July 13, 2021閲覧。
  25. ^ Ian Browne (2021年7月14日). “Barnes, Bogaerts lead Sox quintet at ASG” (英語). MLB.com. 2021年7月31日閲覧。
  26. ^ 131 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2022年11月6日). 2022年11月14日閲覧。
  27. ^ Two Players Accept Qualifying Offer; 12 Players Decline” (英語). mlbplayers.com (2022年11月6日). 2022年11月14日閲覧。
  28. ^ “右腕イオバルディ、レンジャーズと2年総額45・9億円で合意か 米記者報じる”. 日刊スポーツ. (2022年12月28日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/amp/202212280000170.html 2023年5月7日閲覧。 
  29. ^ Thomas Harrigan (2023年7月2日). “Breaking down the full 2023 All-Star Game rosters” (英語). MLB.com. 2023年7月3日閲覧。
  30. ^ player” (英語). baseballsavant.com. 2021年11月23日閲覧。
  31. ^ Nathan Eovaldi - Pitch Type Splits | FanGraphs Baseball”. www.fangraphs.com. 2021年11月23日閲覧。
  32. ^ Nathan Eovaldi Pitch Data” (英語). The Baseball Cube. 2016年8月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集