ノートルダムの鐘

概要編集

原題は冒頭の通り『THE HUNCHBACK OF NOTRE DAME』(日本語訳:ノートルダムのせむし男)だが、この「せむし男」が放送コードに抵触するため、邦題は変更された。劇中に使われるロゴも『THE BELLS OF NOTRE DAME』に差し替えられている。このような処置がとられているのは世界中でも日本だけである。なお、原作である小説の原題は『NOTRE-DAME DE PARIS』(パリのノートルダム)である。

原作と異なりハッピーエンドで終わるが、ディズニー作品としては珍しく、非常にシリアスで重々しい描写もある。後述のように興行的には伸び悩んだが、画面の美しさは黄金期再来といわれる1990年代長編ディズニーの中でも屈指の作品で、ストーリー・音楽も合わせて評価の高い作品となっている。興行収入が低かったこともあり、日本での知名度は当時の他のディズニー作品に比べるとやや低めだが、東京ディズニーランドや、東京ディズニーシーのショーでは「ノートルダムの鐘」「トプシー・ターヴィー」などの曲がしばしば使用される。

ディズニー・ルネサンスをもたらしたジェフリー・カッツェンバーグの、『リトル・マーメイド』『美女と野獣』『アラジン』『ライオン・キング』『ポカホンタス』に続くミュージカル路線最終作。ただし、この公開以前の1994年にカッツェンバーグはディズニーを去っており、興行収入も『ポカホンタス』の水準に達していない。

カジモドの歌う「僕の願い」のワンシーンで『美女と野獣』のベルと『ライオンキング』のプンバァがサプライズで登場している。さらに、どこかのシーンで、アラジンの魔法の絨毯が登場する。

あらすじ編集

15世紀パリジプシー狩りを行う最高裁判事のフロローは、逃亡したジプシーの女性を殺害し、彼女が抱えていた醜い顔の赤ん坊を井戸に捨てようとする。しかし、ノートルダム大聖堂の司祭にその罪を咎められ、償いとして赤ん坊を養育することになる。そして、赤ん坊に出来損ないという意味のカジモドという名前をつける。

20年後。ノートルダム大聖堂の鐘衝き男となったカジモドは、容姿こそ醜いが、優しく純粋な心を持つ青年として育った。彼は、フロローの厳格な教育の下で、大聖堂の外に出ることを決して許されず、友人は三人組の石像だけだった。ある日、カジモドは、フロローの言いつけを破り道化の祭りに参加し、そこでジプシーの美しい踊り子エスメラルダに出会い、一目惚れする。エスメラルダは、人々にいじめられるカジモドをかばったことで、フロローの怒りを買い、大聖堂に逃げ込む。護衛隊のフィーバス隊長は、エスメラルダを助けようと「聖域である大聖堂内では、逮捕できない」とフロローに告げる。フロローは、司祭からの警告も重なり撤収するが、大聖堂の周囲を包囲し、エスメラルダを軟禁状態に置く。しかし彼女は、カジモドの助けを借りて、大聖堂からの脱出に成功する。

エスメラルダに暗く歪んだ恋慕を抱くフロローは、エスメラルダの逃亡を知って激怒し、護衛隊を引き連れて、エスメラルダを捜索する。次第に狂気にとりつかれ、街中に火を放ちエスメラルダを捕えようとするフロローから離反したフィーバスは、護衛隊からの攻撃を受け重傷を負う。エスメラルダは、フィーバスを助け、カジモドに彼をかくまって欲しいと頼み込む。カジモドは、エスメラルダの頼みを受け入れるが、彼女がフィーバスを愛していることを知り、悲嘆に暮れる。一方、エスメラルダの逃亡にカジモドが加担したと察知したフロローは、カジモドに「明日の夜明けに、1000人の兵隊でジプシーの隠れ家を襲撃する」と告げる。それを聞いたカジモドとフィーバスは、エスメラルダを救うため、ジプシーの隠れ家「奇跡の法廷」に向かい逃げるように伝えるが、二人を尾行したフロローと護衛隊に襲撃され、フィーバスとジプシーたちは全員捕まってしまう。フロローは、エスメラルダを「自分を惑わした魔女」として処刑すると宣告し、自分の邪魔をするカジモドを大聖堂に監禁・拘束する。

翌日、ノートルダム大聖堂の広場でエスメラルダの処刑が行われようとする。フロローは、「自分の愛を受け入れれば、処刑を撤回する」とエスメラルダに告げるが、彼女がそれを拒否したため、フロローは火刑を執行する。しかし、そこにカジモドが現れ、エスメラルダを救い大聖堂に逃げ込む。激怒したフロローは、大聖堂に総攻撃を仕掛けるが、隙を突いて檻から脱出したフィーバスが、ジプシーや街の人々と共に護衛隊に襲いかかり、カジモドも大聖堂の上から応戦する。フロローは、司祭の制止を振り切って大聖堂に乗り込み、カジモドとエスメラルダを殺そうとする。フロローは、大聖堂から転落しかけたカジモドと、それを助けようとして身動きできないエスメラルダを殺そうとするが、ついに神の怒りに触れ足場の石像が崩れ転落死する。エスメラルダは、カジモドの身体を支えきれずに手を離し、それによってカジモドも転落するが、駆けつけたフィーバスに間一髪で助けられる。

戦いが終わった後、大聖堂から出て来たフィーバスとエスメラルダは、街の人々から歓喜の声で迎えられる。エスメラルダは、大聖堂の中に引き籠るカジモドの手を取り広場に連れ出す。人々は、カジモドに賛美の声を挙げる。カジモドは、ようやく大聖堂の外の世界に迎えられたのである。

登場人物編集

カジモド
本作の主人公。醜い容姿で生まれながらも、優しく純粋な心を持つ青年。赤子の時にジプシー狩りでフロローにジプシーである母を殺されたが、司祭の一声で、ノートルダム大聖堂の鐘楼に、20年間ずっと軟禁状態で育てられる。ちなみに「カジモド」はフロローが名付けた名前(「出来損ない」の意味)であり、本名は不明。またカジモト自身はジプシーの血族の可否は劇中触れられていない。真実を知らず母に捨てられたと思っていたため、厳格な育ての親、ご主人様であるフロローには逆らえなかった。鐘衝きが仕事だが、外界と隔離されて生活しているためフロロー以外の人間を鐘楼から見下ろすことでしか知らなかった。20年も大聖堂の鐘楼に住んでいるのか、大胆なスタントアクションや女性一人(とヤギ一匹)を軽々担いで大聖堂を鳶職のように縦横無尽に移動するなど身軽で握力もかなりのものと思われる。また小さい木彫りの人形を着色に至るまで易々と作成できるなど手先も器用。
エスメラルダと出会い、生まれて初めての恋をするが、エスメラルダはフィーバスを選び、彼の恋は報われなかった[3]。しかし、彼らとは硬い友情で繋がりあい、助け合うことで心を通わせフロローに敵討ちする。最後は、エスメラルダに大聖堂の外へ連れ出され、市民と打ち解け合い、ようやく大聖堂の外の世界に受け入れられた。
エスメラルダ
自由を愛する、ジプシーの美しく情熱的な踊り子。カジモドにとって初めて出来た人間の友達。ジプシーであるため、壁の中の生活には耐えられない。フロローによって大聖堂に閉じ込められた時や、捕まり火刑されそうになった時には、カジモドに助けられた。最後は、フィーバスと結ばれ、カジモドを大聖堂の外に連れ出した。
クロード・フロロー
最高裁判事(原作ではフロローが司祭)。しかし判事という職に就きながらも自覚すらしない作中屈指のエゴイストかつ差別主義者であり、ディズニー・ヴィランズの多くが自分を悪と自覚しているのに対し、自らの言動・行動が正義と信じ込んでいるなどヴィランズではかなり異色の存在。
ジプシーであったカジモドの母を追い詰め死に追いやり、赤子のカジモドもその顔の醜さから井戸に捨てて殺そうとするしたが、偶然大聖堂の目の前であったことから司祭に咎められたことにより、大聖堂の鐘楼に20年間閉じ込め、鐘衝きとして育てる。エスメラルダに対して暗くて深く歪んだ恋慕の情を抱き、彼女を手に入れるか、もしくは厳格な自分を誘惑した魔女として火刑にしようと目論む。しかし最後は、大聖堂内でカジモドとエスメラルダを殺そうとしたことにより神の怒りに触れ、大聖堂から転落死する自業自得の末路を遂げた。
フィーバス
護衛隊長。気障で陽気な美男子。フロローにジプシー狩りを命じられるが、民家に火をかけるなどのフロローの残虐な横暴に耐えかね、離反。カジモドとはエスメラルダをめぐる恋敵だが、協力しジプシーの隠れ家「奇跡の法廷」を探し当る。最後は、市民やカジモドと共にフロローと護衛隊に立ち向かう。戦いの後は、エスメラルダと結ばれ、カジモドと親友になった。愛馬の名はアキレス。
クロパン
狂言回し。普段は陽気な人形遣いだが、ジプシーを纏めるリーダーでもある。
ユーゴ/ヴィクトル/ラヴァーン
ノートルダム大聖堂にいる三人組の石像で、カジモドの唯一の親友。彼らは通常、カジモドの前でしか動かないが、ユーゴだけはジャリの前でイタズラ程度に動いた。ユーゴとヴィクトルの名前は、原作者ヴィクトル・ユーゴーから取られている。
ユーゴは、ふとっちょでひょうきんもの。ヴィクトルは長身で、温厚かつ涙もろい。ラヴァーンは、三人のまとめ役のおばあさん。
ジャリ
エスメラルダの飼っているヤギ。機転が利き、カジモドやフィーバスも助ける。
司祭
ノートルダム大聖堂の司祭。本名は不明。神聖なる大聖堂を聖域として逮捕や殺しを認めず、当時赤ん坊のカジモトを殺そうとしたフロローの横行を引き留めたり、大聖堂に入り込んだエスメラルダをジプシーと知りながらも保護するなど、フロローよりは良識人として描かれている。作中終盤にてエスメラルダを救い大聖堂に逃げ込んだカジモトを始末しようと入り込んだフロローを「ここは神の家だ!」と仁王立ちするも振りほどかれた。

声の出演編集

役名 原語版声優 日本語吹替
カジモド トム・ハルス 石丸幹二
エスメラルダ デミ・ムーア 保坂知寿
歌: ハイジ・モーレンハウアー
クロード・フロロー トニー・ジェイ 日下武史
歌:村俊英
フィーバス ケビン・クライン 芥川英司
クロパン ポール・カンデル 光枝明彦
ユーゴ ジェイソン・アレクサンダー 治田敦
ヴィクトル チャールズ・キムブロー 今井清隆
ラヴァーン メアリー・ウィックス
ジェーン・ウィザース
末次美沙緒
カジモドの母 メアリー・ケイ・バーグマン
司祭 デヴィッド・オグデン・スティアーズ 松宮五郎
歌:佐川守正
野蛮な兵士 コーリー・バートン 渋谷智也
とんまな兵士 ビル・ファッガーバッケ 味方隆司
兵士/ジプシー ジム・カミングス 井関一
明戸信吾
柴垣裕子
老囚人 ゲイリー・トゥルースデイル
ジャリ フランク・ウェルカー 原語版流用
日本語版制作スタッフ
演出/台本 浅利慶太
収録監修 杉田静生
音楽演出 深澤茂行
調整 井上秀司
録音/調整 室克己/久連石由文
制作協力 アオイスタジオ/東京テレビセンター/プロセンスタジオ
制作 劇団四季
制作監修 岡本企美子
日本語版制作 DISNEY CHARACTER VOICES INTERNATIONAL, INC.
日本語吹き替え版は、当時の劇団四季所属の舞台俳優が声を担当しており、高い歌唱力と演技力で評価が高い。

スタッフ編集

  • 原作:ヴィクトル・ユーゴー
  • 製作:ドン・ハーン
  • 監督:ゲイリー・トルースデール、カーク・ワイズ
  • 脚本:タブ・マーフィ、アイリーン・メッキ、ボブ・ツディカー、ノニ・ホワイト、ジョナサン・ロバーツ
  • 音楽:アラン・メンケン
  • 作詞:スティーヴン・シュワルツ

主題歌・挿入歌編集

  • 「ノートルダムの鐘(The Bells of Notre Dame)」:オープニングテーマ
  • 「僕の願い(Out There)」
  • 「トプシー・ターヴィー(Topsy Turvy)」
  • 「ゴッド・ヘルプ(God Help The Outcasts)」
  • 「天使が僕に/罪の炎(Heaven's Light/Hellfire)」
  • 「ガイ・ライク・ユー(A Guy Like You)」
  • 「ノートルダムの鐘(リプライズ)(The Bells of Notre Dame-Reprise)」
  • 「奇跡の法廷(The Court of Miracles)」
  • 「サムデイ(Someday)」:エンディングテーマ

舞台編集

映画版と同じく作曲はアラン・メンケン、作詞はスティーヴン・シュワルツで、ディズニー・シアトリカル・プロダクションズが製作。

先ず、1999年から2002年までジェームス・ラピーヌの脚本でベルリンで上演。ドイツ語に翻訳したのはミヒャエル・クンツェ。ベルリンで上演されたミュージカルとして最長の記録を打ち立てた[4]

その後、脚本をピーター・パーネルに変更し、ナンバーも入れ替え、スコット・シュワルツ演出により、試験的に、2014年にサン・ディエゴで、2015年にニュージャージーで上演した。しかし、最終的に、ディズニー・シアトリカル・プロダクションズがブロードウェーで上演するという判断には至らなかった。

日本では、2016年12月にピーター・パーネル脚本版の劇団四季公演[5]としての上演が初演となる。初演キャストは公開オーディションで決定[5]

日本での上演編集

キャスト編集

※ 2016年6月8日の制作発表時のキャスト候補者[6]

※ オリジナルキャスト

劇団四季での上演日程編集

脚注編集

  1. ^ a b The Hunchback of Notre Dame (1996)” (英語). Box Office Mojo. 2010年5月1日閲覧。
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)554頁
  3. ^ ただし続編の『II』にてマデリンと結ばれることになる。
  4. ^ This Day in Disney History - THE FIRST - THE ORIGINAL”. disneyhistory@gmail.com (2016年11月20日). 2016年11月20日閲覧。
  5. ^ a b 劇団四季がミュージカル「ノートルダムの鐘」上演!公開オーディションも実施”. ステージナタリー (2016年2月29日). 2016年2月29日閲覧。
  6. ^ “劇団四季「ノートルダムの鐘」カジモド役ら出演者候補を発表”. スポーツ報知. (2016年6月8日). http://www.hochi.co.jp/entertainment/20160608-OHT1T50100.html 2016年6月8日閲覧。 

関連項目編集

外部リンク編集