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TEMU1000型電車(ティーイーエムユー1000がたでんしゃ)は、台湾鉄路管理局(台鉄)の中長距離用振り子式交流電車。設計はJR九州885系電車の準同型。2007年民国96年)5月8日より「太魯閣号」の愛称で縦貫線宜蘭線北廻線台東線南廻線樹林-知本)間で運行されている。

台湾鉄路管理局TEMU1000型電車
TRA TEMU1000 TED1007 Xizhi 20130807.jpg
台湾鉄路管理局TEMU1000型電車
基本情報
運用者 台湾鉄路管理局
製造所 日立製作所笠戸事業所
製造年 2006年 - 2007年
2014年-2015年
製造数 64両
運用開始 2007年5月8日
投入先 太魯閣号
主要諸元
編成 8両編成(4M4T)
軌間 1,067 mm
電気方式 交流 25,000V 60Hz
架空電車線方式
最高運転速度 130 km/h (曲線通過+25km/h)
設計最高速度 150 km/h
起動加速度 2.2 km/h/s
全長 20,000 mm
主電動機 かご形三相誘導電動機
駆動方式 TD継手式中実軸平行カルダン駆動方式
制御方式 VVVFインバータ制御IGBT素子
保安装置 ERTMS/ETCS Level1
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TEMU1000型車内

概要編集

新北市宜蘭県を結ぶ北宜高速公路雪山トンネルの開通により、新北市宜蘭県との高速道路を使った自動車の移動時間は大幅に短縮された。これに対し、既設の台鉄宜蘭線は高速道路よりも大きく迂回しており曲線区間も多いため、在来型の車両の運行速度では高速道路との旅客獲得競争において不利な状況に追い込まれる懸念があった。このため台鉄は北宜直線鉄道を計画し所要時間の大幅短縮を狙ったが、2006年環境アセスメントをクリアできず、計画は頓挫してしまった。そこで北宜直線鉄路が環境アセスメントをクリアし開通するまでの間、先行して曲線区間を高速で通過できる振り子式列車を導入し、宜蘭線区間の運行時間を大幅短縮することにした。

台鉄が以前導入した韓国ロテムが生産したE1000型プッシュプル式電車は故障発生率が高く、また状況の改善にロテム側が非協力的である点が問題であった。このため、今回は韓国メーカーの入札資格を停止したので、最終的には日立製作所が設計・製作したJR九州885系電車を原型としたTEMU1000型電車の導入となり、穏便な車両調達が可能となった。

この車両は、885系電車と同様に設計最高速度は150km/h、営業最高速度は130km/hとなっている。振り子式車両で最大傾斜角は5度となっており、曲線区間を本則+25km/h(一般の列車よりも25km/h高速)で通過することが可能である。これにより所要時間を大幅に短縮し、高速バスとの競争力強化という要求に応えている。

西部幹線での試運転時に台北 - 高雄間を3時間15分で走破し、それまでEMU300型が保有していた同区間の最速記録3時間47分を大幅に塗り替えたが、保有車両数に限りがあること、東部幹線の速達化を重視していた交通部の判断で営業運転での投入は見送られた[1]

編成編集

 
TEMU1000
← (逆行)樹林、台北、七堵
宜蘭、花蓮、台東、知本(順行) →
号車 1 2 3 4 5 6 7 8
パンタグラフ
形式
TED1000
(Tc)

TEM1000
(M1)

TEP1000
(T)

TEM1000
(M2)

TEM1000
(M1)

TEP1000
(T)

TEM1000
(M2)

TED1000
(Tc)
その他設備 乗,  [和]WC [洋]WC [和]WC [和]WC [洋]WC [和]WC 乗, 
搭載機器   VVVF,Rc Mtr,VCB VVVF,Rc,SIV VVVF,Rc,SIV Mtr,VCB VVVF,Rc  
定員 36人 52人 48人 52人 52人 48人 52人 36人
凡例

編成一覧編集

列車編成
← 樹林、台北、七堵
宜蘭、花蓮、台東、知本 →
TED1000 TEM1000 TEP1000 TEM1000 TEM1000 TEP1000 TEM1000 TED1000
第1次 1 1001 1001 1001 1002 1004 1002 1003 1002
2 1003 1005 1003 1006 1008 1004 1007 1004
3 1005 1009 1005 1010 1012 1006 1011 1006
第2次 4 1007 1013 1007 1014 1016 1008 1015 1008
5 1009 1017 1009 1018 1020 1010 1019 1010
6 1011 1021 1011 1022 1024 1012 1023 1012
第3次 7 1013 1025 1013 1026 1028 1014 1027 1014
8 1015 1029 1015 1030 1032 1016 1031 1016

歴史編集

 
基隆港に陸揚げされる車両
(2006年12月17日)
  • 2006年(民国95年)
  • 2007年(民国96年)
  • 2008年(民国97年)3月1日 - 団体列車等での貸切が可能となり、企業や団体の旅行などで用いられるようになる(いわゆる「太魯閣団臨」)。
  • 2012年(民国101年)1月17日 - 埔心駅南の幸福水泥踏切事故のため、TEMU1000型初廃車。
  • 2014年(民国103年)7月 - 台東線・南廻線(台東-知本間)電化により知本駅まで運転開始。
  • 2014年8月 - 埔心駅南の幸福水泥踏切事故で廃車となったTED1010号車の代替車が完成し、台中港へ陸揚げされる。[2]
  • 2014年12月28日 - 台湾政府交通部により当形式及びTEMU2000型各2編成の追加発注と2015年末の投入が決定された。[3]
  • 2015年(民国104年)3月25日 - 上記TED1010型を含む事故編成が営業運転に復帰。
  • 2016年(民国105年)
    • 1月12日 - 3次車第1編成(TEMU1013+1014)が台中港で陸揚げされ、甲種回送される。[4]
    • 2月25日 - 3次車第2編成(TEMU1015+1016)が台中港で陸揚げされ、甲種回送される。[5]
    • 4月21日 - ダイヤ改正で3次車を営業運転に正式投入

後継車両編集

残りの48両については、引き続き入札公示が繰り返されていたが、台湾ドルの通貨安などの影響で応札者が現れない状況が続いていた。

しかし、東部幹線台東駅までの複線電化事業が決定したため、台湾政府交通部では振り子式気動車を導入予定だった分も合わせて136両を新たに発注し直すこととし、日立製作所・丸紅連合と日本車輌製造住友商事連合が応札した。

その結果、2010年12月31日、後者の連合が受注することとなり、2012年(民国101年)までに、最高速度や車体傾斜機構などの性能を本形式と同等以上とする、TEMU2000型が導入される運びとなった[6][7]

その後2014年12月28日、政府交通部は当形式2編成16両を同数のTEMU2000型と同時に追加発注することを決定した[8]

その他編集

  • 基隆駅などで台鉄職員の手造りによる当形式を模した移動型弁当販売カートが稼働しており、利用客に好評を得ている。[9][10]
  • 2016年の増備車の先頭車には年号と干支の猿をあしらったロゴが付されている。[11]
 
汐止駅にある弁当販売カート

特別仕様車編集

2016年3月21日よりエバー航空・台湾サンリオとのコラボレーションで3次車第1編成(TEMU1013+1014)がハローキティのラッピング仕様車となり特別列車として運行を開始したが、ヘッドレストカバーが盗難に遭う事案が多発した[12]。その後カバーを低価格のものに交換し、4月21日の改正以降にこの編成を含めた3次車が定期列車として運行されることとなった。 2019年2月1日でラッピング仕様を終了する予定だったが、一旦8月1日まで契約を半年延長[13]、その後運行終了を7月1日に前倒してラッピングを定期クルージング列車である環島之星に引き継いだ[14]

関連商品編集

脚注編集

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  1. ^ その後、2016年(民国105年)4月には後継車両のTEMU2000型普悠瑪号)が西部幹線を走破する営業列車に投入されている。
  2. ^ (中国語)政府電子採購網,決標公告102/05/29
  3. ^ http://www.railway.gov.tw/tw/news_Detail.aspx?SN=8586&NewsType=0
  4. ^ 台湾鉄道タロコ号の増備車、けさ台中港で陸揚げ
  5. ^ (繁体字中国語)沒讓東北季風攪局 太魯閣新車抵港卸貨
  6. ^ (中国語)傾斜式電聯車136輛購案終於決標,101年開始交車
  7. ^ (中国語)台鐵傾斜列車終拍版 日商住友擊敗丸紅奪標
  8. ^ (繁体字中国語)臺鐵局積極回應民眾東部運輸服務期待,完成增購4組列車,將於明年底陸續交車投入營運
  9. ^ TVBS Q版太魯閣號「賣便當」 HOT到海外-Youtube
  10. ^ 民視新聞 台鐵奇招 迷你太魯閣號賣便當-Youtube
  11. ^ (繁体字中国語)(中時電子報)暌違10年 新太魯閣號報到 Q版猴頭討喜
  12. ^ キティ特急 運行初日にヘッドレストカバー盗難続出…損失5万円超/台湾 2016年3月22日 フォーカス台湾
  13. ^ (繁体字中国語)確定了!Kitty彩繪列車繼續開到8/1 台鐵曝「延期關鍵因素」”. ETtoday 旅遊雲 (2019年1月22日). 2019年7月4日閲覧。
  14. ^ (繁体字中国語)獨/太魯閣Kitty彩繪車提前7月說掰 改在它身上動手腳”. 聯合報 (2019年6月20日). 2019年7月4日閲覧。
  15. ^ 台湾鉄道 「ハローキティ号」鉄道模型を限定発売へ”. フォーカス台湾 (2017年6月4日). 2019年7月5日閲覧。

関連項目編集