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嗤う伊右衛門』(わらういえもん)は、京極夏彦による日本小説。第25回泉鏡花文学賞受賞作、第118回直木賞候補作。

嗤う伊右衛門
著者 京極夏彦
発行日 1997年6月
発行元 中央公論社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 385
コード ISBN 4-12-002689-2
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四代目 鶴屋南北の「東海道四谷怪談」と実録小説「四谷雑談集」を下敷きに執筆された、江戸怪談シリーズの第1弾。『このミステリーがすごい!』で第8位に、『週刊文春ミステリーベスト10』で第9位にランクインした。2003年蜷川幸雄監督、唐沢寿明小雪主演で映画化され、しかくの作画で漫画化もされた。

概要編集

本作の四谷怪談を京極独自の解釈でアレンジされており、大まかな設定を除くと全くの別物となっている。お岩は毒を盛られて醜くなったという設定が大きく変化しており、お岩は伊右衛門と出会う以前から既に病により既に醜くなっていたという設定から物語が始まっている。そして、伊右衛門もまた、理不尽な離縁が迫られた事や、伊藤家の策謀に翻弄されながらお岩の事を愛し続ける正義芯の強い男として描かれている。

あらすじ編集

登場人物編集

民谷 伊右衛門(たみや いえもん)
ついぞ笑ったことがないと言われる蒼白い細面の摂州浪人。民谷家へ婿入りする。旧姓・境野伊右衛門。岩の事を醜いとも厭だとも思っておらずむしろ愛情を抱いているが、岩には信じてもらえずに癇癪をおこされる。しかし怒鳴り返しもせず、黙って罪滅ぼしのように家や道具の修理をするので、余計に悋気の的となる。剣の腕はかなりのものらしい。浪人時代は木匠を生業としていたため、普請の腕もいい。
民谷 岩(たみや いわ)
今年で二十二になる民谷又左衛門のひとり娘。生来気性が激しく、理に適わぬこと道に外れることを心底嫌う質。意に染まぬ状況には烈火の如く怒る。疱瘡を病み、美しかった顔が醜く崩れてしまうが、凛とした態度を保ち続ける。しかし、家柄も落ちぶれ、醜い顔である自分に抵抗もせず婿入りした伊右衛門の本心がわからず、憐れみもなにも欲しくないと思っているので癇癪をおこすが、伊右衛門のことをおもって、家督をゆずって家を出る。
直助(なおすけ)
深川万年橋の町医者 西田尾扇のもとで住み込みで働く下男。卵の如き凹凸の少ないつるりとした顔。袖という、伊右衛門と同じ長屋の斜向いに住む十七八になる妹がいる。
御行の又市(おんぎょうのまたいち)
小股潜りの通り名を持つ。卑怯小細工を弄して、虚言を以て丸め込むを得意とする。武州三多摩の水飲み百姓の子。その父親は酒乱で稀代のろくでなし、又市が八つのときに死んだという。母親は又市が二つの頃に小間物屋だか飴屋の男と逃げて以来消息が分かっていない。この頃の又市は下谷の金杉に住まい、伊右衛門と岩の縁結びを行う。『巷説百物語シリーズ』にも登場する。冒頭での彼の発言から、『前巷説百物語』の『旧鼠』から2年程が経過していると分かる。
灸閻魔の宅悦(やいとえんまのたくえつ)
足力按摩。雑司が谷の宅悦の家の軒下に下げてある地獄の閻魔大王の滑稽な絵面看板から灸閻魔だの艾地獄の宅悦などと呼ばれる。百姓の生まれで奉公に出されたがどのお店でも役に立たず、食い詰めて按摩を始める。その按摩を始めてから2年で髪が抜け、全盲ではないが5年で目も見えなくなった。又市に民谷家婿入り斡旋の手助けを依頼する。
伊藤 喜兵衛(いとう きへい)
四谷左門殿町の御先手御鉄砲組与力。狒狒のごとき赤ら顔で、賄賂は取る目零しはするなど悪い噂が尽きない外道で、分けても色の道にかけては見境がなく、誰かれ構わず手をつけ力ずくで手込めにする。ただし剣の腕だけは立つ手強い相手。元は蔵前の札差の倅であったが、6年ばかり前に与力席を買い取る。
民谷 又左衛門(たみや またざえもん)
四谷左門町の御先手御鉄砲組同心。間もなく六十になる。武蔵国忍城城番を勤めた三河郷士を先祖に持つ。岩の父。謹厳実直、質実剛健だが言い換えれば粗相もせぬが目立ちもしない、沈香も焚かず屁もひらずといった人柄。伊東喜兵衛が梅を手篭めにした一件を仲裁した後、手入れ中の鉄砲の暴発で左目の視力と右腕の自由を奪われる。
梅(うめ)
両国の薬種問屋 利倉屋の主、茂介の娘。伊藤喜兵衛にさらわれ手籠めにされた。父親が又市に依頼したことで民谷又左衛門の養女となり、喜兵衛に輿入れする。
秋山 長右衛門(あきやま ちょうえもん)
四谷左門町の御先手御鉄砲組同心。幇間染みた間抜け面。先代の残した多額の借財を喜兵衛に返済してもらったことから、彼の従順な家来となり悪事の片棒すら担ぐようになった。しかし、喜兵衛からは嫌われている。秋山長右衛門本人はその事に全く気づいていない。
堰口 官蔵(せきぐち かんぞう)
四谷左門町の御先手御鉄砲組同心。鯰の如き面で喜兵衛の腰巾着の一人。用心深く悪知恵の働く小悪党。
お槇(おまき)
昔の男を求めて諸国を巡り歩き、雑司が谷界隈の辻堂に住まう唐針売り。もう五十は過ぎようという婆。渋紙みたいな面に斑らに白粉を塗り歯のない口に紅を指しており、見た目は七十過ぎ。商売っ気はこれっぽっちもなく、針を売りながら道行く男に手当たり次第色目を遣う。辻堂の脇の松の木で首を吊った後、又市と宅悦によって葬られる。
西田 尾扇(にしだ びせん)
深川万年橋の町医者。疱瘡に罹った岩の脈をとるがただの疱瘡ではないと見立てる。『前巷説百物語』の『二口女』にも登場する。
小平(こへい)
民谷の家に出入りしている担ぎの薬売り。浅草に住まう父親の孫平が躰を壊し、隠居して跡を継ぐ。まだ十七八の年端もいかぬ若造。代代民谷家の女が愛用している、壮気精という血の道に効く唐薬を納めている。壮気精は利倉屋から卸しているという。
佐藤 余茂七(さとう よもしち)
御書物奉行配下同心で民谷家の遠縁。四谷左門殿町 民谷の屋敷の伊右衛門の様子を伺いに行く。

書誌情報編集

小説
漫画

映画編集

嗤う伊右衛門 Eternal Love
監督 蜷川幸雄
脚本 筒井ともみ
出演者 唐沢寿明
小雪
音楽 宇崎竜童
撮影 藤石修
編集 川島章正
配給 東宝
公開 2004年2月7日
上映時間 128分
製作国  
言語 日本語
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2004年2月7日東宝の配給により公開。PG-12指定。第16回東京国際映画祭に特別招待作品として出品された。

第49回アジア太平洋映画祭で助演男優賞(香川照之)と美術賞(中澤克巳)を、第17回日刊スポーツ映画大賞で主演女優賞(小雪)を受賞した。

キャスト編集

外部リンク編集