技術士 建設部門 都市及び地方計画

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技術士 建設部門 都市及び地方計画(ぎじゅつし けんせつぶもん としおよびちほうけいかく、選択科目の英文呼称は、Urban & Regional Planning[1])は、技術士資格の中の建設部門での選択科目の1つ。

主に都市計画業務従事者・技術者・都市計画家および造園緑化ランドスケープ関係業務などの技術者・従事者などが取得、都市計画地方計画地域計画のほか造園・ランドスケープアーキテクチャの専門家としての称号表示が可能となるほか、職場を技術士事務所登録する際に必要となっている。

解説

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建設コンサルタント#計画および設計の「都市」と「道路交通」のうちおもに交通工学交通計画のソフト関連部分、建設コンサルタント#調査の「都市」と「道路交通」などの業務に従事している技術者などが対象であり、道路や橋梁トンネル、道路付属物などの設計舗装関係など道路のハード関係は「道路」の科目の方になる。主にシビルエンジニア/土木技術者が受験し取得する建設部門の選択科目の中では、受験者の出自が特殊で、また技術士区分では当初から造園・ランドスケープ関係の科目もこの選択科目:都市及び地方計画に抱合されている[2]。このため、公園緑地庭園広場せせらぎ緑道街路並木などの設計や緑化といった造園・ランドスケープに従事していた技術者のほか造園家ランドスケープアーキテクトもこの選択科目を選択し受験している[2][3]

技術士建設部門は建設コンサルタント登録制度に関わる。建設コンサルタント登録規程による技術士要件、建設コンサルタントの特に建築(設計)は含まない土木系業務に関する21の登録部門の全部又は一部についてコンサルタントを営む者が、一定の要件を満たした場合に、国土交通大臣の登録が受けられる[4][5]。この登録により国の省庁機関(国土交通省農林水産業文部科学省など)や地方自治体など公共団体から委託される建設コンサルタント業務を受注・受託することが可能となっており、選択科目:都市及び地方計画取得者の場合は、建設コンサルタント登録21の登録部門のうち、都市計画及び地方計画部門(業務内容は都市計画又は地方計画に関する調査、企画、立案、環境影響評価若しくは助言又はこれらに関する工事の設計若しくは監理)と、取得者が造園系業務経験を有する場合に造園部門(業務内容は公園緑地計画(ランドスケープ・プランニング造園計画街路樹設計・緑化関連)に関する調査、企画、立案、環境影響評価若しくは助言又は公園緑地に関する工事の設計若しくは監理)の登録が可能となっている。なお、技術士建設部門に類似した資格に登録シビルコンサルティングマネージャ(RCCM)があるが、こちらでは建設コンサルタント登録21の登録部門と選択科目の統一がなされており、都市及び地方計画部門とは別に造園部門が設けられている[2]

土地区画整理士の試験においては、同選択科目の合格者で、土地区画整理事業に関し1年以上の実務経験を有する者は学科試験免除となる。

技術士の試験は第一次試験と第二次試験があり、第一次試験の合格(もしくは日本技術者教育認定機構が認定した大学の認定課程修了者)から技術士となる第二次試験が受験可能となるといった、段階を踏む必要がある。試験の流れや試験内容は技術士試験を参照。

第一次試験は、マークシート形式(五肢択一式)で行われ基礎科目(全部門共通、科学全般)と適性科目(全部門共通)、専門科目(建設部門共通)の3つの構成となっている。

第二次試験は、筆記試験と面接試験があり、筆記試験は必修科目Ⅰ、選択科目Ⅱ、選択科目Ⅲの3つの構成となっている。設問が出題され、それについて答案用紙を用いてまとめる記述式のスタイルとなっている。

令和から試験制度改正となったが、これまでの必須科目(建設一般)や技術的体験論文の形式には準じており、各科目の内容で実務経験からの記述を求める問題形式、受験者の経験をベースとした課題解決力を問うような設問構成にしている。

必修科目Ⅰは、建設部門受験者共通の出題科目。どの選択科目を選んでいても、受験者全員が取り組む。形式は設問が2つ出題されてうち1つを選択して回答する。令和になってからこの形式となった(それまでは5肢択一式のが20問)。1設問のうち(1)から(4)までの段階を踏ませて答案をまとめる構成になっている。

選択科目ⅡはⅡ-1,Ⅱ-2と2構成となっている。答案用紙は1枚。Ⅱ-1は設問が4つ出題されてうち1つを選択して回答する。4つの設問は通常は土地造成土地区画整理事業等の問題・交通計画系問題・都市地方計画系問題・公園緑地や環境関連問題となっている。

出題されるテーマは、受験者の実務的な経験・能力を具体的に評価するための設問を、社会および経済的な背景から、今後の都市のあるべき姿についてや社会的な影響があった災害事故事件等の発生、あるいは受験当該時の社会情勢について、その選択科目の視点からや、その選択科目での主たる「技術テーマ」に関わる課題を問い、その解決策について等、もしくは新たな法律制度基準ガイドライン等が示された際、さまざまな検討を求めるあるいは新技術や新たな考え方で方向性についての考えや意見を求めるといったスタイルである。そして出題の背景、テーマとしている事象、あるいは状態:都市の社会状況の変化、対象業務や条件(土地利用又は都市施設に関しての具体的な都市計画を想定している)、そして立場を当該計画・事業の担当者とし、論述する範囲内容を、検証の対象とする都市計画と検証を行う背景、検証の手順とその具体的内容、業務を進める際に留意すべき事項に定めて設問されている。

Ⅱ-2では2問出題され1問選択。答案用紙は2枚。2つの設問構成は、通常は都市地方計画系に関する問題と公園緑地系に関する問題が出題される。

内容は受験者が担当責任者として計画策定を行う想定で、現状から想定される課題やその調査手法などを述べた上で、計画における目指すべき将来像を述べ、具体的な数値は不要であるが計画において設定することが適当と考える定量的な目標を挙げさせて、これらを実現するために必要と考えられる方策や想定される負の側面と対応方策について述べさせるなどである。(1)から(3)と段階を踏ませて答案をまとめさせる。そして、都市再生や市街地整備、公園緑地の保全・再生・創出、防災・減災、景観形成、大都市都心の交通計画、エリアマネジメント、建築規制・誘導、自転車交通政策、都市緑化などをテーマにした記述式回答方式で、都市地方計画系ならば土地・建物一体型の市街地整備手法、集約型都市構造など、公園緑地系ならば緑の基本計画Park-PFI、都市公園のストック効果向上とともに法制定や改正の機会、例えば空家等対策の推進に関する特別措置法や平成29年に改正された都市公園法都市緑地法からの出題など、試験時に最新で時事性の高いテーマを問わせる問題となっている。

選択科目Ⅲは、2013年(平成25年度)から新たに設けられて、課題解決能力を問う問題になる。これまでの実務の経験論文形式を廃止して開設された。2問出題中1問選択、答案用紙3枚に渡る分量となる。設問構成はⅡ-2と同じ。

主には現行下の社会基盤整備に課せられたテーマに関する「都市及び地方計画」科目からの現況について、改善に取り組むべき事項や問題の要因の説明を求めさせて、その課題を挙げさせた上で、解決策を問うものである。さらにその解決策の具体的な評価あるいはリスクや負の影響等について、多様な視点からの分析で、論述させる。(1)から(3)と段階を踏ませて答案をまとめさせる。

都市計画分野や造園分野に従事する者は理工系社会工学、都市計画・土木工学・建築学系、造園学・ランドスケープ系だけでなく、経済学社会学地理学といった文系大学学部や2000年代以降は文理統合や学際領域学部の出身者も多いが[6]、改正により第一次試験の受験が必須になったことで、第一次試験をクリアするには土木工学系の学問を修得した者が有利となる出題傾向であるため、現制度化では資格取得に不利な状況となっている、といった選択科目特有の問題点が課題として挙げられている[7]

「都市及び地方計画」の属する建設部門の第一次試験の専門分野(都市計画、建築環境のほかに土質基礎施工計画道路工学、鉄道工学、鋼コンクリート材料工学、河海工学港湾工学や空港工学、電力土木トンネルからの選択)は土木工学系の設問が主体となっている。とりわけ都市計画を専門とする分野において数多く存していた、建設系大学学部出身者以外の従事者・技術者にとって、受験科目である共通(改正により令和から消滅。理学である数学物理化学生物地学からの選択。関連資格取得者や大学理系学部出身者は免除が可能であった)、基礎(大学理系レベルで設計・計画、情報・倫理、解析、材料・化学・バイオ、技術連関からの選択)および専門の各科目をクリアしなければならなくなり、不得手、未経験という慣れない科目への対応を余儀なくされることになった。その結果、都市計画の分野は、裾野が広い分野であり総合的な知見や経験に基づく実践力、応用力が基底となっているが、改正は大学のエンジニアリング課程の修了者を基本とするようになされたため技術士制度の試験(第一次試験での理工系必須の共通科目)への対応が、非常に高いハードルとなり、特に経験は有している中堅以降で理工学系以外の出身者にとっては余計な時間と労力を割くことに徒労感があり、結果として、技術士に相応しい知見を持ちながら、資格取得にいたっていない現状が出来上がり、理工系以外(文系等)出身の技術者にとって入り口部分でのハードルの高さは、受験機会の減少や資格取得者数の停滞にもつながっているとしている[7]

都市計画と密接な関係があり、優秀な都市計画技術者・都市計画家も数多く存在する建築系の大学・学部等の出身者についても、技術士第一次試験では、特に芸術・文系学部出身者ならば未経験となりうる旧共通科目や基礎科目、工学部建築学科出身者でも土木部門の知識が要求される専門科目(土質基礎、施工計画、道路、鉄道、施工計画等。対応可能な科目としては、都市計画、建築材料や環境のみ)をクリアする必要があり、しかも2010年後半以降の傾向では、土質、構造力学鋼構造河川水理学の知識は必須傾向であり、ハードルが高くなったことで、この段階で受験を断念したり、なかなか合格に至らないケースが多くあるとしている[7][8]

脚注

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  1. ^ 技術部門と選択科目の英文表記, 日本技術士会
  2. ^ a b c 和田(1999)
  3. ^ 建設技術研究会(1990)
  4. ^ 建設関連業のページ 中部地方整備局
  5. ^ 建設コンサルタント登録制度とは 国土交通省
  6. ^ 例えば、日本建築学会(2001)
  7. ^ a b c 日本都市計画学会・日本都市計画家協会・都市計画コンサルタント協会 (2010)
  8. ^ このためか建築系で都市計画従事者の場合は、一級建築士取得後に5年の都市計画実務経験によって、建設コンサルタント登録が可能となっている

参考文献

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  • 和田淳(1999)ランドスケープアーキテクトが「技術士」になる方法、信山社出版株式会社
  • 三舩康道・新里達也(2009)技術士一次試験建設部門② 都市及び地方計画/建設環境、オーム社
  • 都市計画技術者の技術力評価方法に関する検討調査研究会報告書 平成22年3月 社団法人日本都市計画学会・NPO法人日本都市計画家協会・社団法人都市計画コンサルタント協会
  • 建設技術研究会(編)(1990)建設部門 傾向と対策 技術士受験テクニックⅡ 吉井書店
  • 日本建築学会(2001)建築雑誌 Vol.116 特集:建築と土木 コラボレーションとアンビバレント 「建築雑誌」「土木学会誌」共同企画
  • 土木技術研究会(編) 技術士第二次試験の解答例 建設部門 (技術士試験シリーズ 3) 近代図書
  • 土木技術研究会(編) 技術士第二次試験 必須科目・選択=経験問題の解答例 建設部門 (技術士試験シリーズ 2) 近代図書
  • 土木技術研究会(編) 技術士第二次試験論文作成テクニック 建設一般 (技術士試験シリーズ) 近代図書
  • 日経コンストラクション(編) 技術士第二次試験建設部門合格指南 日経BP社・オーム社
  • 技術士検討委員会(編) 技術士第二次試験出題傾向と対策 山海堂

関連項目

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外部リンク

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