日本独立リーグ野球機構
一般社団法人日本独立リーグ野球機構(にほんどくりつリーグやきゅうきこう、英: The Japan Association of Independent Professional Baseball League、略称: IPBL Japan[1][2])は、2014年9月1日に設立された、日本のプロ野球独立リーグの合同組織である。設立登記地および発足時点での事務局は東京都千代田区に置かれていた[1]。2020年時点の登記地および事務局は練馬区富士見台(ベースボール・チャレンジ・リーグ事務局内)となっている[3]。
創立者 | 鍵山誠 |
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団体種類 | 一般社団法人 |
設立 | 2014年9月1日 |
所在地 |
〒177-0034 東京都練馬区富士見台2-1-11 あずまビル4F 北緯35度44分8.5秒 東経139度37分38秒 / 北緯35.735694度 東経139.62722度座標: 北緯35度44分8.5秒 東経139度37分38秒 / 北緯35.735694度 東経139.62722度 |
法人番号 | 1010005022905 |
起源 | 独立リーグ連絡協議会 |
主要人物 |
会長 馬郡健 顧問 久保博 副会長 上野馨太・徳丸哲史 事務局長 野副星司 |
活動地域 | 日本 |
主眼 | 野球事業の推進を通してスポーツの発展に寄与し、日本の地域社会の繁栄と国際親善に貢献すること |
活動内容 | 野球独立リーグの合同組織 |
ウェブサイト |
www |
概要
編集四国アイランドリーグplusとベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)の2リーグによる合同組織として設立された。それ以前には、この2リーグによる連絡組織「独立リーグ連絡協議会」が任意団体として2010年から存在していたが、法人格を持たないことから、社会人野球や学生野球といったアマチュア野球団体に対して責任ある交渉団体が求められていた[2]。このため、約1年の準備期間を経て、一般社団法人として設立された[2]。この背景として、日本学生野球憲章改正に伴う元プロのアマチュア資格取得緩和の協議に、独立リーグが関われなかったことが契機になったという指摘がなされている[4]。その後発足した九州アジアリーグが2021年に、北海道フロンティアリーグが2022年に、日本海リーグが2023年に加盟し、ほかにも加盟を申請または検討中のリーグがある(詳細後述)。
機構はアマチュア野球団体との交流に加え、海外の野球組織間を結ぶ機能を持つことも目指している[2][4]。
2021年3月1日には、加盟各リーグ(および琉球)が公式戦で使用する統一球を制定・採用したことを発表した[5]。
また、加盟リーグの優勝チームによるグランドチャンピオンシップの主催団体である[6]。
加盟リーグ
編集- 四国アイランドリーグplus
- ベースボール・チャレンジ・リーグ(ルートインBCリーグ)
- 九州アジアリーグ(ヤマエグループ 九州アジアリーグ)
- 北海道フロンティアリーグ
- 日本海リーグ
加盟リーグに所属する各球団は賛助会員という扱いで機構に参加している。
発足後の加盟等
編集2020年3月6日、2リーグのいずれにも属していないプロ野球チーム・琉球ブルーオーシャンズが賛助会員(他の所属リーグ各球団と同じ扱い)として加盟した[7]。
熊本ゴールデンラークスなどを母体として2021年に開幕した九州アジアリーグは、当機構に加盟申請する予定と2020年9月に関係者により発表され[8]、2021年2月25日に加盟が正式に発表された(発表時点ではリーグ名は「九州アジアプロ野球リーグ」とされていたが、その後「九州アジアリーグ」に変更された)[9]。2020年11月4日のリーグ運営組織設立会見ではグランドチャンピオンシップにも参加する計画であることも表明している[10][11]。
2021年10月に北海道ベースボールリーグから一部球団が脱退して結成された北海道フロンティアリーグは、結成を表明した際に、新リーグは機構への加入を目指すと明記した[12]。2022年1月27日にリーグTwitterにて申請書類を提出したことが発表され[13]、2月28日、IPBLから新規加盟が発表された[14]。
また、同じ2022年2月28日付で賛助会員の琉球ブルーオーシャンズの除名が発表された[15]。除名の理由については記載されていない。これについて琉球側は翌3月1日に、対象行為の特定や根拠規定の明示がなかったこと、処分の通知が球団に対して直接なされなかったことを挙げて除名決定を不当とし、「速やかに処分の無効を確認する法的措置を講じる予定」と球団ウェブサイトで表明した[16]。しかし、2022年限りで活動を休止している。
2022年8月26日に、同年のグランドチャンピオンシップを加盟4リーグの優勝チームにより実施することが発表された[6]。
2023年2月24日、前年終了後に日本海オセアンリーグを離脱した球団によって結成された日本海リーグの加盟を承認したと発表した[17]。
2023年11月に、2024年シーズンからのNPBファーム加入が決まったBCリーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラブは、2023年シーズンをもって賛助会員の資格を終了した[18]。
非加盟リーグ
編集日本に存在する他の独立リーグのうち関西独立リーグ(通称・さわかみ関西独立リーグ、旧・BASEBALL FIRST LEAGUE)および北海道ベースボールリーグ(2020年創設)は加盟していない。このうち、関西独立リーグについて2020年9月に広尾晃が、代表者が同年2月にIPBLの会議に出席して加入の意向を伝えた(まずは準加盟を目指す)こと、IPBL会長の馬郡健も「独立リーグの仲間が増えることは非常に頼もしく、うれしいことです」と基本的には歓迎する姿勢を示し「新しく加盟を目指すリーグには運営体制や運営ルール、また契約ルールなど条件を確認させていただくこと、また機構の理念などに共感いただき、新しい独立リーグの形を一緒につくっていくことを確認させていただきたい」と述べていることを報じている[19]。2022年の申請時には加盟を容認する意見も出たとされるが、同年の加盟は見送られた[20]。2023年9月発行の雑誌インタビューでリーグ代表の仲木威雄は、2023年に至るまで申請を提出しながら加盟承認に至っていないことを認め、機構側が示した加盟への課題対応を意識しながらシーズンを過ごしていると述べるとともに、選手の雇用形式について「(引用者注:次回の)加盟申請までに(中略)まとめて、提示をする予定」と話し、2024年の加盟を目指す意向を示した[21]。IPBL側は2024年度の加盟申請は「2月下旬以降承認」としていたが[22]、3月1日時点で新規加盟の発表はない。それに先立つ2月21日の日刊スポーツ記事には、リーグが加盟を「模索している」と報じられた[23]。
北海道ベースボールリーグについても、加盟に向けて調整中と2021年4月に報じられた[24]。しかし前記の通り、早期加盟を目指した球団は同年シーズン終了後にリーグを脱退して北海道フロンティアリーグを結成している。
2021年9月にルートインBCリーグからの離脱球団で結成が表明された日本海オセアンリーグは、当時ルートインBCリーグ代表の村山哲二が加入予定と取材に対して述べ[25]、リーグCEOの黒田翔一は2022年1月26日に自身のTwitterアカウントで加盟に必要な書類の提出が完了したとツイートした(その後該当ツイートは削除)[26]。しかし、2022年2月28日時点で加盟申請の結果が発表されず、2022年シーズンは非加盟となった。関西独立リーグと日本海オセアンリーグは、2022年2月28日に機構が開催した運営責任者の合同会議(オンライン)には、加盟各リーグとともに参加したと報じられた[27]。
日本海オセアンリーグは2022年シーズン終了後に構成球団と活動地域を全面的に変更したベイサイドリーグとなった。同時にリーグを離脱した2球団が結成した日本海リーグは前記の通りその後加盟を承認されている。一方ベイサイドリーグは2023年のシーズン終了後に加盟1球団が脱退、リーグ運営者の交代が発表されたが、その後具体的な動きがなく、残った1球団も指導者・選手が全員退団して実態がなくなり、2024年はリーグとして事実上活動を休止している。
ライターの阿佐智は、機構が2022年から新規加盟リーグに対して約半額は供託金として将来還付する前提の「加盟費」(数百万円単位)を課していることをウェブコラムで紹介した[28]。
NPBとの関係
編集日本野球機構 (NPB)が主催するみやざきフェニックス・リーグに、2022年はベースボール・チャレンジ・リーグ、九州アジアリーグ、北海道フロンティアリーグから合同の選抜チーム「日本独立リーグ野球機構選抜」を組織して参加することが同年8月29日に発表された[29]。2023年からは同年度より加盟の日本海リーグも選抜チームの対象となっている[30]。なお、従来からリーグ選抜チームが参加している四国アイランドリーグplus[31]は、以前と同じく単独の選抜チームで参加している[29]。
2024年の時点ではNPBとIPBLとの連携のための会議体として「独立リーグ連絡協議会」(かつての任意団体とは別)が存在すると報じられている[32]。
日本野球連盟との関係
編集2014年11月、社会人野球を統括する日本野球連盟は独立リーグについての取扱要領を改訂したが、その中で独立リーグを退団した選手のクラブチームへの競技者登録の制限期間(1年間)を、当機構所属リーグの選手に限って適用対象外とした[33]。
日本学生野球協会との関係
編集2015年5月19日、日本学生野球協会は理事会でIPBLと覚書を締結して「学生野球資格を持たない者との交流に関する規則」を改正し、同年6月1日からIPBL所属リーグの選手が協会加盟校野球部に対して、交流戦(高等学校を除く)や母校施設での練習、講習会等をおこなうことが可能となった[34][35]。
2015年8月には、プロ出身者に対する「学生野球資格回復講習会」に機構傘下球団出身者の参加が可能となり、リーグ出身者が指導者になる条件が緩和された[36]。
役員
編集- 会長:馬郡健(四国アイランドリーグplus 代表)
- 副会長:上野馨太(ベースボール・チャレンジ・リーグ代表取締役社長)
- 副会長:徳丸哲史(九州アジアリーグ代表)
- 専務理事:飯島泰臣(信濃グランセローズ球団取締役会長)
- 常務理事:田室和紀(愛媛マンダリンパイレーツ球団専務取締役)
- 理事:和泉享(香川オリーブガイナーズ球団代表取締役会長)
- 理事:山﨑寿樹(埼玉武蔵ヒートベアーズ代表取締役CEO兼オーナー)
- 理事:荘司光哉(北海道フロンティアリーグ代表)
- 監事:荒井健司(徳島インディゴソックス球団オーナー)
- 監事:村山哲二(ベースボール・チャレンジ・リーグ取締役会長)
- 顧問:久保博(元読売巨人軍取締役会長)
- 事務局長:野副星児(四国アイランドリーグplus事務局長)
脚注
編集- ^ a b 一般社団法人日本独立リーグ野球機構(IPBL Japan)設立のお知らせ - 日本独立リーグ野球機構(2014年9月1日)
- ^ a b c d 独立L野球機構を設立/他団体と交渉、正式窓口に - 四国新聞2014年9月2日
- ^ 機構概要 - 日本独立リーグ野球機構(2020年10月31日閲覧)
- ^ a b 独立リーガー、プロとしての存在を明確に ~日本独立リーグ野球機構設立会見~ - Sports Communications(2014年9月1日)
- ^ 統一球採用のお知らせ - 日本独立リーグ野球機構(2021年3月1日)
- ^ a b 日本独立リーググランドチャンピオンシップ2022開催のお知らせ - 日本独立リーグ野球機構(2022年8月26日)2022年8月27日閲覧。
- ^ 『琉球ブルーオーシャンズのIPBL加盟承認のお知らせ』(プレスリリース)ルートインBCリーグ、2020年3月6日 。2020年3月6日閲覧。
- ^ “熊本県内初のプロ野球チーム創設 来春開幕に向け準備”. 西日本新聞. (2020年9月12日) 2020年9月12日閲覧。
- ^ 九州アジアプロ野球リーグのIPBL加盟承認のお知らせ - 日本独立リーグ野球機構(2021年2月25日)
- ^ “野球の九州独立リーグが来年3・20開幕へ「地域創生の原動力に」”. 西日本スポーツ. (2020年11月4日) 2020年11月4日閲覧。
- ^ “プロ野球独立リーグが九州にも まず2球団、副業を容認”. 朝日新聞. (2020年11月4日) 2020年11月5日閲覧。
- ^ 士別サムライブレイズ [@samurai_blades] (2021年10月6日). "北海道ベースボールリーグ退会について(ご報告)". X(旧Twitter)より2021年10月6日閲覧。
- ^ 北海道フロンティアリーグ [@hfl_baseball] (2022年1月27日). "先日、IPBLへの加盟申請書を提出させて頂きました。". X(旧Twitter)より2022年1月29日閲覧。
- ^ “北海道フロンティアリーグおよび加盟3球団、九州アジアプロ野球リーグ新規加盟1球団のIPBL加盟承認のお知らせ”. 日本独立リーグ野球機構 (2022年2月28日). 2022年2月28日閲覧。
- ^ “琉球ブルーオーシャンズのIPBL賛助会員除名のお知らせ”. 日本独立リーグ野球機構 (2022年2月28日). 2022年2月28日閲覧。
- ^ 日本独立リーグ野球機構に関して - 琉球ブルーオーシャンズ(2022年3月1日)2022年3月1日閲覧。
- ^ 日本海リーグおよび加盟2球団、ヤマエグループ九州アジアリーグ 新規加盟1球団のIPBL加盟承認のお知らせ - 四国アイランドリーグplusニュースリリース(2023年2月24日)2023年2月24日閲覧。
- ^ “[野球・新潟アルビ]日本独立リーグ野球機構から外れる、NPB2軍戦参加で賛助会員資格終了”. 新潟日報. (2023年11月24日) 2023年11月25日閲覧。
- ^ 広尾晃 (2020年9月3日). “"出遅れ野球リーグ"が見据える11年越しの悲願 関西独立リーグは「普通の独立リーグ」になるか(5/5ページ)”. 東洋経済ONLINE 2020年9月3日閲覧。
- ^ 広尾晃 (2022年10月18日). “大都市圏で、徐々に特色を打ち出しつつある、さわかみ関西独立リーグ”. Sportunity. 2022年10月19日閲覧。
- ^ 「さわかみ関西独立リーグ 来季は史上最多の6球団体制へ 野球熱の高い地盤で認められる存在になる」『Baseball Times』2023 Autumn (vol.55)、エス・アイ・ジェイ、2023年9月19日、pp.32 - 33
- ^ 24年度の当機構への新規加盟手続きについて - 日本独立リーグ野球機構(2023年11月16日)2024年3月1日閲覧。
- ^ 寺尾博和 (2024年2月21日). “ロッテキャンプに出稼ぎへ、“ピラミッド型”構想も 独立リーグの存在意義に注目/寺尾で候”. 日刊スポーツ 2024年3月1日閲覧。
- ^ “活動強化へ 企業から3人 美唄市初の「地域活性化起業人」”. 北海道新聞(道央版). (2021年4月3日)
- ^ 阿佐智 (2021年9月16日). “BCリーグ分裂の真相。なぜ西地区の4球団は新リーグ発足へと向かったのか (5/5ページ)”. Sportiva 2021年9月18日閲覧。
- ^ 黒田翔一 [@hashiriya19] (2022年1月26日). "4球団スタッフ、NOLスタッフ全力で頑張ってくれて、IPBL新加盟書類、本日全て提出できましたーーー!". 2022年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。X(旧Twitter)より2022年1月29日閲覧。
- ^ “琉球ブルーオーシャンズを賛助会員から除名 北海道独立リーグ3チームと福岡北九州が新加盟”. 日刊スポーツ. (2022年2月28日) 2022年2月28日閲覧。
- ^ 阿佐智 (2022年10月24日). “「負の歴史」を背負う都市型リーグの行方”. BASEBALL KING. 2022年10月25日閲覧。
- ^ a b 日本独立リーグ野球機構選抜 みやざきフェニックス・リーグ参戦のお知らせ[リンク切れ] - 日本独立リーグ野球機構(2022年8月29日)2022年8月29日閲覧。
- ^ “日本独立リーグ野球機構 第20回みやざきフェニックス・リーグ参戦のお知らせ”. ルートインBCリーグ (2023年8月14日). 2023年12月22日閲覧。
- ^ 第16回みやざきフェニックス・リーグの出場メンバーについて - 四国アイランドリーグplus(2019年10月2日)2022年8月29日閲覧。
- ^ “【阪神】なぜ育成ドラフトで高校生を指名しないのか 嶌村球団本部長が明かす野球振興への本気度”. 日刊スポーツ. (2024年1月24日) 2024年1月24日閲覧。
- ^ 国内独立リーグに関する取扱要領(2014年11月1日) (PDF) - 日本野球連盟
- ^ 学生野球界との交流に関する規則について - 日本独立リーグ野球機構(2015年5月20日)
- ^ 学生野球資格を持たない者との交流に関する規則 - 日本学生野球協会(2015年5月19日、PDFファイル)
- ^ 【独立リーグ出身者用】2015年度学生野球資格回復制度 研修会参加者募集のお知らせ - 日本独立リーグ野球機構(2015年8月17日)