松竹遊楽館
札幌市中央区にあった劇場(1910-2003)
松竹遊楽館(しょうちくゆうらくかん)は、かつて北海道札幌市中央区南2条西3丁目(狸小路3丁目)に存在した映画館である。1910年(明治43年)に芝居小屋として開設。その後映画館に転身し、北海道内における松竹系列のチェーンマスターとして親しまれた。
松竹遊楽館 Shochiku Yurakukan | |
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札幌狸小路遊楽館(1910年) | |
情報 | |
正式名称 | 松竹遊楽館 |
完成 | 1910年 |
開館 | 1910年9月 |
閉館 | 2003年3月23日 |
最終公演 |
ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(遊楽館1) たそがれ清兵衛(遊楽館2) |
収容人員 | (2スクリーン)600人 |
設備 |
6.1chサラウンドEX 35mm映写機 |
用途 | 映画上映 |
旧用途 | 演芸場 |
運営 | 松竹株式会社 |
所在地 |
〒060-0062 札幌市中央区南2条西3丁目5-1 (狸小路3丁目、現在のモユクサッポロの位置) |
最寄駅 |
地下鉄大通駅(10番出口) すすきの駅(1番出口) 札幌市電すすきの停留所[注 1]からそれぞれ徒歩約4分 |
沿革
編集画像外部リンク | |
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初代遊楽館と2代目遊楽館の写真 「北の映像ミュージアム」(2012年3月7日) |
- 1910年(明治43年)9月:九島伊太郎により演芸場『遊楽館』として創設。当時、南3条西4丁目にあった料亭「いく代」を経営していた小林喜三郎が、料亭で義太夫や浪花節の稽古に励んでいる芸妓達の発表の場を作らないかと九島に相談したのがきっかけとされる[1]。
- 1915年(大正4年):映画常設館となる。
- 1940年(昭和15年):改築を行う。
- 1956年(昭和31年)9月20日:総工事費1億5千万円をかけて2度目の改築を行い、地下1階に名画座『遊楽地下劇場』を新設[2]。
- 1974年(昭和49年):松竹の直営館となる。同時に遊楽地下劇場が『SY遊楽』と改称。
- 1991年(平成3年):2月9日から半年にわたる大改築を行い[注 2]、遊楽館が2階席を廃した414席、SYが264席となり同年8月10日にリニューアルオープンする[4][注 3]。
- 1996年(平成8年)6月14日~6月15日:「さっぽろ映画祭リターンズ'96」が開催される[注 4]。
- 1997年(平成9年):札幌市保健福祉局認定の「環境衛生優良施設」に選ばれる[5]。
- 1999年(平成11年)6月12日:松竹のブロックブッキング制の廃止に伴い、館名を松竹遊楽館1・2に統一。
- 2003年(平成15年):札幌シネマフロンティアの開業に伴い閉館。3月23日「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」(ピーター・ジャクソン監督)「たそがれ清兵衛」(山田洋次監督)の上映を最後に93年間の歴史に終止符を打った[6][7]。
データ
編集主な上映作品
編集松竹遊楽館→遊楽館1
編集シリーズ作品
- 男はつらいよシリーズ全48作
- 劇場版必殺シリーズ(中村主水篇の6作と『三味線屋・勇次』)
- 機動戦士ガンダム(第1作~第3作までと機動戦士ガンダム 逆襲のシャア)
- バカヤロー!シリーズ全4作
- 釣りバカ日誌シリーズ(第1作~第11作まで。第12作~第13作は札幌劇場で、第14作以降は札幌シネマフロンティアにて上映)
- 学校シリーズ全4作
その他
- ダウンタウン・ヒーローズ(1988年)
- 座頭市(1989年)
- クライシス2050(1990年)
- 遠き落日(1992年)
- REX 恐竜物語(1993年)
- シュート!(1994年)
- うなぎ(1997年)
- アンドロメディア(1998年)
- メッセージ・イン・ア・ボトル(1999年)
- マトリックス(1999年)
- アメリカン・ビューティー(2000年)
- グラディエーター(2000年)
- A.I.(2001年)
- ハリー・ポッターと賢者の石(2001年)
- ロード・オブ・ザ・リング(2002年)
- メン・イン・ブラック2(2002年。第1作は札幌劇場と札幌ピカデリーにて上映)
- ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年。第3作以降は札幌劇場で上映)
- ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2003年。第3作は札幌劇場で上映)
SY遊楽→遊楽館2
編集- E.T.(1982年)
- ときめきに死す(1984年)
- グーニーズ(1985年)
- スタンド・バイ・ミー(1987年)
- 007 リビング・デイライツ(1987年)
- クロコダイル・ダンディー2(1988年)
- バットマン(1989年)
- ロッキー5(1990年)
- グリーン・カード(1991年。改築後の第1作)
- パトリオット・ゲーム(1992年)
- ザ・ファーム 法律事務所(1993年)
- 逃亡者(1993年)
- RAMPO(1994年)
- 今そこにある危機(1994年)
- アポロ13(1995年)
- 12モンキーズ(1996年)
- マーズ・アタック!(1997年)
- バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(1997年)
- ブルース・ブラザース20001998年)
- リーサル・ウェポン4(1998年)
- 奇蹟の輝き(1999年。この作品から遊楽館2に改称)
- ノッティングヒルの恋人(1999年)
- スペース・カウボーイ(2000年)
- パール・ハーバー(2001年)
- たそがれ清兵衛(2002年。最後の上映作でもあった)
- ギャング・オブ・ニューヨーク(2002年)
脚注
編集注釈
編集- ^ 狸小路停留場は閉館時点で未開業。
- ^ その間、松竹の邦画は「札幌ピカデリー」で上映されていた。
- ^ このリニューアルオープン直後にスガイビル4階にあった「グランドシネマ」と5階の「シネマ5」「シネマロキシ」が閉館に追い込まれている。
- ^ 以後1997年(6月27日~6月30日)、1998年(7月3日~7月5日)、1999年(7月2日~7月3日)と4年連続で遊楽館が会場の一つに使用されている。
- ^ 併設していた「マリオンクレープ」は同年11月より狸小路2丁目の「タイトーステーション札幌狸小路2丁目店」(ニコービル1階・2016年9月オープン[8])に移転している[9]。
出典
編集- ^ “すすきの歴史背景(3)”. すすきのゼロ番地飲食店街. gooブログ (2012年7月1日). 2013年11月17日閲覧。
- ^ 「映画館」『キネマ旬報』1956年12月1日、第162号
- ^ 加藤登紀子 (2014年11月10日). “仙台、沖縄のほろ酔いコンサートも楽しみにね!”. Tokiko Now. Tokiko World(加藤登紀子オフィシャルサイト). 2016年12月3日閲覧。
- ^ a b c “松竹系の2映画館 改装終えオープン”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1991年8月11日)
- ^ “過去の環境衛生市長表彰について”. 生活衛生. 札幌市 (2016年3月26日). 2016年11月22日閲覧。
- ^ a b c “松竹 たそがれ老舗映画館 狸小路・遊楽館 来月に閉館 山田作品で締め”. 北海道新聞夕刊 (北海道新聞社). (2003年2月26日)
- ^ 和田由美 (2003年3月20日). “札幌の老舗映画館 相次ぎ閉館 コヤとシャシンと活動屋魂”. 北海道新聞夕刊 (北海道新聞社)
- ^ a b c “「タイトーステーション札幌狸小路店」10月31日閉店”. リアルエコノミー. (2017年10月12日) 2017年12月23日閲覧。
- ^ マリオンクレープ札幌狸小路2丁目店 [@Taito_marionsp] (2017年11月10日). "お久しぶりです(*´ω`*)本日タイトーステーション札幌狸小路2丁目店内にて移転リニューアルオープン致しました(๑>◡<๑)". X(旧Twitter)より2023年7月22日閲覧。
- ^ “北海道札幌市にモユクサッポロ開業「商店街とともに成長」”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2023年7月20日) 2023年7月22日閲覧。