法華口駅
法華口駅(ほっけぐちえき)は、兵庫県加西市東笠原町沖にある、北条鉄道北条線の駅である[1]。
法華口駅 | |
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駅舎(2013年) | |
ほっけぐち Hokkeguchi | |
◄田原 (1.5 km) (1.8 km) 播磨下里► | |
所在地 | 兵庫県加西市東笠原町沖[1] |
所属事業者 | 北条鉄道 |
所属路線 | 北条線 |
キロ程 | 6.1 km(粟生起点) |
電報略号 | ホケ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面2線[1] |
乗降人員 -統計年度- |
78人/日 -2018年- |
開業年月日 | 1915年(大正4年)3月3日[1] |
備考 | 無人駅 |
歴史
編集1887年代(明治20年代)京姫鉄道株式会社が園部駅から篠山、法華口駅周辺を経由し姫路駅に至る鉄道を計画していたが、1903年(明治31年)に京姫鉄道株式会社の解散により実現しなかった。
年表
編集- 1915年(大正4年)3月3日:播州鉄道粟生駅 - 北条町駅間の開通と同時に開業[1][3]。旅客・貨物の取扱を開始。
- 1923年(大正12年)12月21日:播丹鉄道の駅となる[3]。
- 1943年(昭和18年)6月1日:播丹鉄道の国有化により鉄道省(→日本国有鉄道)の駅となる[3]。
- 1962年(昭和37年)3月1日:貨物の取扱を廃止[3]。
- 1973年(昭和48年)10月1日:荷物扱い廃止[4]。
- 1985年(昭和60年)4月1日:北条鉄道の駅となる[3]。
- 2012年(平成24年)
- 2013年(平成25年)12月22日:三重塔建立[10]。
- 2014年(平成26年)4月25日:駅舎・プラットホーム[11]、および別棟のトイレ[12]が国の有形文化財に登録される。
- 2020年(令和2年)
駅構造
編集相対式ホーム2面2線をもつ、列車交換が可能な地上駅である。列車は右側通行で進入する。ホーム間の移動は粟生寄りの構内踏切を渡ることで行う。駅舎は1番線側にある。
番線 | 路線 | 方向 |
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1 | 北条線 | 粟生方面 |
2 | 北条町方面 |
- 2019年以前は片面ホーム1面1線だった[1]。西側に木造の駅舎を持ち[1]、駅舎内は無人化後、待合室が駐輪場となっていた。駅舎は1915年の開業当時に建設されたものである[1]。この駅舎とプラットホームおよび便所について、文化審議会は2013年11月に登録有形文化財とする答申を文部科学大臣に提出(ほかに播磨下里駅・長駅も対象)[20]、2014年に官報での告示を経て登録となった[18]。
- 国鉄時代からの古い駅名標が残されている。隣駅が網引駅と播磨下里駅になった1943年から1945年頃までに書かれたと思われる右横書きの駅名(ローマ字はなし)も読み取ることができる[21]。
- 国鉄時代の末期は中間駅で唯一の有人駅(業務委託駅)だったが、現在は無人駅となっている。
- 以前は汲み取り式便所(便器は全穴和式)があったが、2012年1月、地元ボランティアらの寄付や協力によって洋式水洗トイレが完成した[5][22]。
- 2012年11月に、駅舎パン工房~Mon favori~(モンファボリ)が開店した[6][9]。店長はボランティア駅長を兼務していたが、2017年10月をもってボランティア駅長を退任した[23]。ボランティア駅長を目当てに北条鉄道に乗車する人も少なくなく、2017年度の北条鉄道の営業収益減少の原因の一つに、ボランティア駅長の退任も挙げられていた[24]。駅西側には自転車置き場が新設された。駅南側には駐車場が整備される予定。
列車交換設備
編集国鉄時代に列車交換設備を廃止し、長らくかつての相対式ホームが痕跡として残っていた。2018年2月、加西市の支援により交換設備を「2019年度」に復活させる構想があることが神戸新聞により報じられた[25]。2018年3月に策定された「加西市地域公共交通網形成計画」には、「2018年度~2019年度」を実施時期とした「法華口駅鉄道交差施設整備事業」が含まれている[26]。施設設備にあたっては、幹線鉄道等活性化事業費補助(形成計画事業)を活用し、北条鉄道を主体として、国(鉄道・運輸機構経由)および地方公共団体の補助金を財源として事業が進められた[27]。2019年8月2日には全国初となる保安システム、票券指令閉塞式導入が国土交通省より許可された[28]。
工事は2020年3月末に終了する予定だったが、同年1月に国土交通省近畿運輸局から2両編成での運転可能にするにはホーム延伸工事が必要だと指導を受けた。北条鉄道が検討した結果、ホーム延伸工事を進めることとなった[28]。交換設備は6月に完成し、同月28日からは上下線とも新設されたホーム(駅舎側に従来のホームに接続する形で追加された1番線が粟生方面、対向する2番線が北条町方面)の使用を開始するとともに、従来のホームは利用者通路に変更されて使用が停止された[13][14]。
北条町駅内の指令員が全体の運行状況を統括。行き違いの際、列車の通行許可証の役割を果たすICカードを、運転士が法華口駅のICカードリーダーにタッチすることで信号を開通させる[17][29] かもしくは票券箱に納めたり運転士間で手渡しをする前述の「票券指令閉塞式」が日本の鉄道で初めて導入された[18][30]。8月3日の習熟運転より、列車行き違いを開始した[31]。これに伴い、同年9月1日よりダイヤ改正と列車の増発を実施した[17][18][19]。
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駅舎パン工房~Mon favori~
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駅舎パン工房~Mon favori~看板
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駅名標
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駅舎待合室
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フラワ2000-3型と桜
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旧ホームの様子(2019年7月)
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旧ホームの様子(2019年12月)
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利用停止となった旧ホーム(2020年6月)
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新ホーム1番のりば(粟生方面)
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新ホーム2番のりば(北条町方面)
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票券指令閉塞用ICカードリーダー
かつての駅構造
編集1958年(昭和33年)以前は、列車交換設備と貨物側線があった[32]。
北条町駅方面側には駅本屋と貨物側線があり、駅本屋の直近には貨物上屋、駅本屋から少し離れたところに農業倉庫 があり、それぞれに貨物ホームがあった。さらに以前は粟生駅方面側にも側線があった。貨物ホームは、線路側は石の三段積みで、反対側はゆるい傾斜がついており、トラックなどが着けるようになっていた。貨物上屋の北条町駅側には倉庫があったのだが、これは改装らしかった。旅客ホームは石の二段積みで、貨物ホームより低かった[33]。
利用状況
編集1日乗降人員推移[34] | |
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年度 | 1日平均人数 |
2011年 | 70 |
2012年 | 100 |
2013年 | 70 |
2014年 | 78 |
2015年 | 47 |
2016年 | 77 |
2017年 | 108 |
2018年 | 78 |
駅周辺
編集駅名は「法華山一乗寺への入口」の意味だが、駅から一乗寺までは西へ5km[1] と遠い。
バス路線
編集「法華口駅前」停留所
その他
編集隣の駅
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h i 『兵庫の鉄道全駅 JR・三セク』神戸新聞総合出版センター、2011年12月15日、222頁。ISBN 9784343006028。
- ^ ステーションマスターの活動 - 北条鉄道
- ^ a b c d e 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 14号 神戸電鉄・能勢電鉄・北条鉄道・北近畿タンゴ鉄道、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年6月19日、19-20頁。
- ^ “日本国有鉄道公示第180号”. 官報. (1972年10月1日)
- ^ a b “加西の北条鉄道 法華口駅に新トイレ 住民有志ら 活性化の願い込め”. 神戸新聞(朝刊) (神戸新聞社): p. 33(北播). (2012年1月15日)
- ^ a b 米粉パン工房:地産地消 北条鉄道の法華口駅に、きょうオープン /兵庫 2012年11月3日 毎日新聞[リンク切れ]
- ^ “法華口駅駅舎に米粉パン屋さんがオープンしました”. 北条鉄道 (2012年11月8日). 2014年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月2日閲覧。
- ^ “法華口駅の米粉パン屋さん”. 北条鉄道のブログ (2012年11月9日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ a b “加西 大正期建築の北条鉄道法華口駅 駅舎内にパン工房完成 障害者らが製造、販売 名称は「モンファボリ」 3日オープン”. 神戸新聞(朝刊) (神戸新聞社): p. 23(北播). (2012年11月1日)
- ^ 会社情報沿革 - 北条鉄道
- ^ 北条鉄道法華口駅本屋及びプラットホーム - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ 北条鉄道法華口駅便所 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b “広報かさい 2020年5月号 No.673” (PDF). 加西市. p. 1 (2020年5月). 2022年1月2日閲覧。
- ^ a b “北条鉄道の法華口駅に交換 設備を整備 9月から列車増発へ”. 鉄道プレスネット. (2020年6月30日) 2020年7月2日閲覧。
- ^ “広報かさい 2020年8月号 No.676” (PDF). 加西市. p. 9 (2020年8月). 2022年1月2日閲覧。
- ^ “法華口駅行違い設備完成に伴う2列車運行習熟運転の実施について”. 北条鉄道 (2020年7月27日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ a b c “企業版ふるさと納税で資金調達 兵庫の三セク・北条鉄道の挑戦”. NEWSポストセブン (2020年8月10日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ a b “旧国鉄「キハ40形式気動車」運行実現を…北条鉄道のクラファンに「想像以上の大反響」 五能線カラーで来春にも”. まいどなニュース (2021年9月13日). 2022年1月2日閲覧。
- ^ “加西・北条鉄道木造駅舎、有形文化財登録に喜びの声”. 神戸新聞NEXT (2013年11月16日). 2014年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月2日閲覧。
- ^ エリエイ(プレス・アイゼンバーン)『レイル』No.100 2016年10月 P4-27高見彰彦「駅名標の移り変わり 寺田町駅の発見から」
- ^ “網引駅・法華口駅のトイレが完成!” (2012年1月14日). 2017年5月16日閲覧。
- ^ “最新イベント情報”. 北条鉄道 (2017年10月10日). 2019年3月6日閲覧。
- ^ “北条鉄道の営業収益2年連続減 悪天候や寒波要因”. 神戸新聞NEXT (2018年6月20日). 2019年3月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月2日閲覧。
- ^ “北条鉄道に交換設備設置の報道、運行本数倍増でもっと便利に”. マイナビニュース (2018年3月9日). 2019年6月9日閲覧。
- ^ 「公共交通のめざす姿に向けた施策・事業 (PDF) 」 - 加西市(「加西市地域公共交通網形成計画」、p.63を参照)
- ^ “鉄道助成ガイドブック 令和元年度” (PDF). 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構. 2019年10月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月5日閲覧。
- ^ a b 会社の現状(令和元年度) - 北条鉄道
- ^ “北条鉄道法華口駅に行き違い設備設置 ―その狙いは阪神エリアへのアクセス向上―”. 鉄道チャンネル. 2021年8月30日閲覧。
- ^ “北条鉄道・法華口駅、行き違い設備完成 全国初の保安システム採用 兵庫”. 産経ニュース. (2020年8月5日) 2022年1月2日閲覧。
- ^ 法華口駅行違い設備完成に伴う2列車運行習熟運転の実施(レポート) - 北条鉄道
- ^ 『小レイアウトむきの貨物ホーム』河田耕一 - 『鉄道模型趣味』 No.119(1958年5月号、機芸出版社)[要ページ番号]
- ^ 『小レイアウトむきの貨物ホーム』河田耕一 - 『シーナリィ・ガイド』 p.189(1974年、機芸出版社)[要ページ番号]
- ^ 国土数値情報(駅別乗降客数データ) - 国土交通省、2020年9月11日閲覧
- ^ “「サザエさん」オープニングで兵庫県内の観光地を訪問”. 産経ニュース. (2017年4月1日) 2022年1月2日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 法華口駅 - 北条鉄道
- 北条鉄道法華口駅本屋及びプラットホーム - 国指定文化財等データベース(文化庁)
- 動画で見るニッポンみちしる 法華口駅 - NHKアーカイブス