ケビン・キアマイアー

アメリカの野球選手 (1990 - )

ケビン・ジェームズ・キアマイアーKevin James Kiermaier, 1990年4月22日 - )は、アメリカ合衆国インディアナ州フォートウェイン出身のプロ野球選手外野手)。右投左打。MLBトロント・ブルージェイズ所属。愛称はジ・アウトロー[2]

ケビン・キアマイアー
Kevin Kiermaier
トロント・ブルージェイズ #39
タンパベイ・レイズ時代
(2014年6月28日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 インディアナ州フォートウェイン
生年月日 (1990-04-22) 1990年4月22日(34歳)
身長
体重
6' 1" =約185.4 cm
210 lb =約95.3 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 外野手
プロ入り 2010年 MLBドラフト31巡目(全体941位)
初出場 2013年9月30日
年俸 $10,500,000(2024年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
派遣歴

アクセントの誤用を避けるため「キーアマイアー」と表記されることもある[3][4][5]

経歴 編集

プロ入り前 編集

パデュー大学からアメリカンフットボールでの奨学金のオファーを受けていたが、野球を続けたいと考え、イリノイ州コミュニティカレッジパークランド・カレッジ英語版に進学、2シーズンNJCAAのオールアメリカンに選出された[6]

プロ入りとレイズ時代 編集

2010年MLBドラフト31巡目(全体941位)でタンパベイ・レイズから指名されプロ入り。同年は傘下のルーキー級プリンストン・レイズ英語版に所属。

2011年オフにはオーストラリアン・ベースボールリーグキャンベラ・キャバルリーに所属[7]

2013年9月にメジャー昇格し、9月30日のシーズン163試合目となるテキサス・レンジャーズとのワンゲームプレーオフで9回裏から中堅の守備に就いてメジャーデビュー。チームはそのまま抑え切り、プレーオフ進出の瞬間をグラウンドで迎えることができた。

2014年からの背番号をJ.P.ハウエルが長く着用していた「39」に変更した。開幕をAAA級ダーラム・ブルズで迎えたが、途中から控え外野手としてメジャーに定着。5月17日のロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム戦ではメジャー初安打、翌18日の同カードでは初本塁打を記録した。この年は108試合に出場。打率.263、10本塁打、35打点、5盗塁を記録した。守備ではデズモンド・ジェニングス中堅手を守っていたことにより、右翼手を中心に外野の3ポジションで起用された。

2015年は中堅手のレギュラーに抜擢され、151試合に出場して初めて規定打席に到達した。打率.265、10本塁打、40打点、18盗塁という成績を記録した。守備では5失策を喫して守備率こそ.988だったが、中堅手としてはリーグ最多の15補殺DRSでは+42を記録した。この守備防御点は2013年アンドレルトン・シモンズが記録した+41を上回り、史上最高値となった。オフにゴールドグラブ賞を受賞した。MVP投票ではわずかながら票を獲得した[8]

2016年は105試合に出場。打率.246、12本塁打、37打点、21盗塁を記録した。

2017年3月に総額5350万ドルの6年契約を結んだ(2023年は1300万ドルの球団側選択オプション)[9]。6月9日に、前の試合に一塁にスライディングを試みた際に、右腰に亀裂が入っているのが分かった。少なくとも2か月の離脱が余儀なくされた[10]。8月18日のシアトル・マリナーズ戦で、1番打者として復帰した[11]。2年連続の故障での離脱があったにもかかわらず、守備に関してはリーグ屈指の選手であることは変わりなかった。中堅手としてはDRS+22と自身最低で、ミネソタ・ツインズバイロン・バクストンのDRS+24に次ぐ第2位だった[12]。レギュラーシーズンでは、打率.276、15本塁打(自己最多)、39打点、出塁率.338、長打率.450、16盗塁など、少ない試合数ながら自己最高の打撃成績を記録した。ゴールドグラブ賞を受賞することもなく、レギュラーとしては初めて最終選考にも残らなかった[13]

2018年は、4月16日のテキサス・レンジャーズ戦で二塁にスライディングした際に右手の親指を故障をしたため、試合途中に離脱。翌日のMRI検査で親指の靭帯断裂が判明したため、3ヵ月戦線を離脱し[14]、6月19日のヒューストン・アストロズ戦で復帰した[15][16]。レギュラーシーズンでは、88試合に出場し、打率.217、7本塁打、29打点、10盗塁を記録した。また、守備では規定回に達していないにもかかわらずUZR+13、DRS+9.8を記録してウィルソン優秀守備選手賞英語版に選ばれた。

2019年は129試合に出場して打率.228、14本塁打、55打点、19盗塁だった。守備ではともにリーグ1位のUZR+6.9、DRS+13を記録し、エバン・ロンゴリアに並ぶ球団史上最多タイとなる3度目のゴールドグラブ賞を受賞した。

2020年COVID-19の影響で60試合の短縮シーズンとなった。トロント・ブルージェイズとの開幕3戦目では10回裏に山口俊から逆転サヨナラ三塁打を打った[17]。最終成績は49試合の出場で打率.217、3本塁打、22打点、8盗塁だった。守備ではUZR+7.7、補殺6でリーグ1位、DRS+10は同2位を記録した。チームは10年ぶりに地区優勝を飾り、ポストシーズンに進出。ニューヨーク・ヤンキースとのALDS第3戦では、田中将大から決勝点となる本塁打を記録した[18]ヒューストン・アストロズとのALCSでは華麗な守備を見せるも[19]、第3戦で左手に死球を受け、第4戦から第6戦は先発を外れた。第7戦で先発復帰し、チームもリーグ優勝を決めた。ドジャースとのワールドシリーズでは2本塁打を記録したが、チームは敗れた。

2021年は過去3年の打撃低迷から復調し、122試合の出場で打率.259、4本塁打、37打点、OPS.716を記録した。

2022年は7月に左腰部の手術を行った[20]ため出場試合数は63試合に留まり、打率.228、7本塁打、22打点、OPS.650という成績であった。オフにチームオプションを破棄され、FAとなった[21]

ブルージェイズ時代 編集

2022年12月14日にトロント・ブルージェイズと1年900万ドルの契約を結んだ[22]

2023年シーズンは中堅手のレギュラーとして127試合に出場し、打率.265を記録した他、通算4度目となるゴールドグラブ賞を受賞した。オフの11月3日にFAとなった[23]が、12月28日に1年1050万ドルでブルージェイズと再契約を結んだ[1]

選手としての特徴 編集

「守備だけなら歴代最高クラス」とも言えるほど守備力に優れており、ゴールドグラブ賞を3回受賞している[24][25]中堅手としてDRSは通算・単年ともにMLB歴代最高であり、通算UZRアンドリュー・ジョーンズに次ぐ2位である[26]

強肩で、2015年10月1日には外野から本塁への送球の球速が100.4mph(約161km/h)を記録した[27]

走力があり、通算で50本以上の三塁打と、3本のランニング本塁打を記録している[28]

人物 編集

妻との間には息子が2人いて、2018年11月に長男のカーター・ジェームズ、2021年3月に次男のクルー・ジャックスが誕生した[29]

詳細情報 編集

年度別打撃成績 編集

















































O
P
S
2013 TB 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- ---- ---- ----
2014 108 364 331 35 87 16 8 10 149 35 5 4 5 2 23 2 3 71 3 .263 .315 .450 .765
2015 151 535 505 62 133 25 12 10 212 40 18 5 2 2 24 0 2 95 7 .263 .298 .420 .718
2016 105 414 366 55 90 20 2 12 150 37 21 3 0 1 40 1 7 74 5 .246 .331 .410 .741
2017 98 421 380 56 105 15 3 15 171 39 16 7 4 1 31 2 5 99 3 .276 .338 .450 .788
2018 88 367 332 44 72 12 9 7 123 29 10 5 2 2 25 2 6 91 4 .217 .282 .370 .653
2019 129 480 447 60 102 20 7 14 178 55 19 5 1 1 26 2 5 104 8 .228 .278 .398 .676
2020 49 159 138 16 30 5 3 3 50 22 8 1 0 0 20 1 1 42 2 .217 .321 .362 .683
2021 122 390 348 54 90 19 7 4 135 37 9 5 0 4 33 2 5 99 4 .259 .328 .388 .716
2022 63 221 206 28 47 8 0 7 76 22 6 1 0 0 14 0 1 61 2 .228 .281 .369 .649
2023 TOR 129 408 370 58 98 21 6 8 155 36 14 1 1 4 29 0 4 86 9 .265 .322 .419 .741
MLB:11年 1043 3759 3423 468 854 161 57 90 1399 352 126 37 15 17 265 12 39 822 47 .249 .309 .409 .718
  • 2023年度シーズン終了時

年度別守備成績 編集



左翼(LF) 中堅(CF) 右翼(RF)




































2013 TB - 1 0 0 0 0 ---- -
2014 1 0 0 0 0 ---- 42 100 2 1 1 .990 68 137 3 5 1 .966
2015 - 148 410 15 5 3 .988 2 2 0 0 0 1.000
2016 - 104 264 7 2 1 .993 -
2017 - 97 242 5 6 1 .976 -
2018 - 88 232 5 0 1 1.000 -
2019 - 125 250 6 4 0 .985 -
2020 - 46 86 6 0 0 1.000 -
2021 - 116 229 1 1 0 .996 -
2022 - 60 139 2 1 0 .993 -
2023 TOR - 127 257 5 3 2 .989 -
MLB 1 0 0 0 0 ---- 954 2209 54 23 10 .990 70 139 3 5 1 .966
  • 2023年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高
  • 各年度の太字年ゴールドグラブ賞受賞

表彰 編集

記録 編集

背番号 編集

  • 41(2013年)
  • 39(2014年 - 2023年)

脚注 編集

  1. ^ a b Keegan Matheson (2023年12月29日). “Kiermaier returning to Toronto on 1-year deal” (英語). MLB.com. 2023年12月30日閲覧。
  2. ^ Rays Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月27日) 2017年9月15日閲覧
  3. ^ カーショーの復調とドジャースの勝機。ポストシーズンに弱い大投手が“逆襲”を始めた!(3/3)”. Sports Graphic Number. 文藝春秋 (2020年10月24日). 2021年10月31日閲覧。
  4. ^ レイズ劇勝の立役者フィリップス、喜び過ぎてあわや失神”. フランス通信社 (2020年10月26日). 2021年10月31日閲覧。
  5. ^ レイズ、主力次々に放出で低迷必至。有望選手育成で再建への道に光明見出す【30球団戦力紹介】”. ベースボールチャンネル (2018年4月10日). 2021年10月31日閲覧。
  6. ^ Sarina Fazan (2015年3月22日). “Getting to know Tampa Bay Rays outfielder Kevin Kiermaier with this week's "10 questions"”. ABC. 2015年9月23日閲覧。
  7. ^ Kevin Kiermaier Stats, Highlights, Bio”. オーストラリアン・ベースボールリーグ. 2015年11月25日閲覧。
  8. ^ 2015 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2021年10月31日閲覧。
  9. ^ Adams, Steve (2017年3月15日). “Rays, Kevin Kiermaier Agree To Six-Year Extension”. 2017年3月16日閲覧。
  10. ^ Hip injury will sideline Kevin Kiermaier 2 months”. MLB. 2017年6月9日閲覧。
  11. ^ “Kevin Kiermaier will return to the Rays tonight”. DRaysBay. https://www.draysbay.com/2017/8/18/16169322/kevin-kiermaier-returns-tampa-bay-rays-disabled-list 2017年8月19日閲覧。 
  12. ^ Major League Leaderboards » 2017 » Center Fielders » Fielding Statistics | FanGraphs Baseball”. 2017年10月13日閲覧。
  13. ^ “Rays Alex Cobb, Evan Longoria named finalists for Gold Gloves”. (2017年10月26日). http://www.tampabay.com/rays-alex-cobb-evan-longoria-named-finalists-for-gold-gloves/2342460 2017年11月1日閲覧。 
  14. ^ Kevin Kiermaier needs thumb surgery, out 3 months”. MLB. 2018年4月16日閲覧。
  15. ^ Topkin, Marc (2018年6月19日). “Rays’ Kevin Kiermaier returns, with energy to spare”. Tampa Bay Times. http://www.tampabay.com/blogs/rays/2018/06/19/rays-kevin-kiermaier-returns-with-energy-to-spare/ 2018年8月26日閲覧。 
  16. ^ Staff (2018年6月19日). “Rays' Kevin Kiermaier: Activated Tuesday, starting in center field” (英語). CBS Sports. https://www.cbssports.com/fantasy/baseball/news/rays-kevin-kiermaier-activated-tuesday-starting-in-center-field/ 2018年8月26日閲覧。 
  17. ^ レイズ・キアマイアー、山口俊から逆転サヨナラ打”. nikkansports.com. 2020年10月24日閲覧。
  18. ^ 田中将大のカーブを狙い打ち 3点弾のキアマイアー「絶対に投げてくると思った」”. Full-Count. 2020年10月24日閲覧。
  19. ^ 好守連発に「アンビリーバブル」 3連勝でWS王手のレイズ指揮官はご満悦”. Full-Count. 2020年10月24日閲覧。
  20. ^ “レイズ一筋キアマイアーが手術、契約最終年も今季絶望 今季限りの退団覚悟 ”. 日刊スポーツ. (2022年8月14日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/amp/202208140000131.html 2022年12月15日閲覧。 
  21. ^ Rays Decline Kevin Kiermaier's Option” (英語). MLB Trade Rumors. 2022年11月10日閲覧。
  22. ^ Blue Jays Sign Kevin Kiermaier” (英語). MLB Trade Rumors (2022年12月15日). 2022年12月15日閲覧。
  23. ^ 130 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). Home (2023年11月3日). 2023年11月4日閲覧。
  24. ^ Sanford, Adam. “Kevin Kiermaier ranked 10th best center fielder by MLB Network”. DRaysBay. 2020年10月24日閲覧。
  25. ^ マエケン、秋山がゴールドグラブ最終候補入りも…“不可解”すぎる選出に批判殺到”. THE DIGEST. 2020年10月24日閲覧。
  26. ^ Major League Leaderboards » 2020 » Center Fielders » Fielding Statistics”. www.fangraphs.com. 2020年10月24日閲覧。
  27. ^ Video: Rays CF Kevin Kiermaier hits 100 mph with outfield throw” (英語). スポーツイラストレイテッド (2015-10-). 2021年10月31日閲覧。
  28. ^ a b Kevin Kiermaier Career Home Runs”. Baseball-Reference.com. 2021年10月31日閲覧。
  29. ^ Kevin Kiermaier, wife welcome new baby, Krew Jax”. タンパベイ・タイムズ (2021年3月27日). 2021年10月31日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集