谷崎 光(たにざき ひかり)は、日本作家[1][2][3]。著書は『中国てなもんや商社』[4][5]や『北京大学てなもんや留学記』[6]、『日本人の値段 ― 中国に買われたエリート技術者たち』[7]など。デビュー作の『中国てなもんや商社』は1998年に松竹で「てなもんや商社」として映画化された[8][4][9]。2020年時点で北京在住20年[10]

来歴

京都府に生まれ、大阪府で育つ[10][注 1]1987年昭和52年)からダイエー中華人民共和国合弁企業である貿易商社に勤務し、退職後の1996年平成8年)に貿易商社の経験を描いたノンフィクション『中国てなもんや商社』で作家デビューする[8][10][4][2][注 2]。同作は1998年(平成10年)に「てなもんや商社」として松竹で映画化され[8][14][4][9]、同年には『てなもんやパンチ!』も出版する[15][13]。『オール讀物[16][17]や『本の話[18]、『別册文藝春秋[19]、『週刊文春[20][21]などに寄稿し、『諸君!』で「女の園を往く てなもんや探険隊」を連載[22]。『世界週報』にも寄稿した[23]

2001年(平成13年)に再度中国へ渡り[8][10][2]対外経済貿易大学北京大学留学するとともに[24][25]北京在住のまま作家を続ける[10][8]。2001年には『文藝春秋』に「北京てなもんや留学」を寄稿し[26]、後の2007年には『北京大学てなもんや留学記』を出版[6][27]。この間、2002年(平成14年)には初の小説集『ウェディング・キャンドル』を出版[28]2003年(平成15年)には『週刊文春』で「仰天・中国経済ナマレポート」を連載し[29][30]、中国におけるSARS報道について『諸君!』に寄稿した[4][注 3]。(著作については「著書」節や「その他著作」節も参照。

2007年(平成19年)には野村総合研究所主催のフォーラムにおけるパネルディスカッション「2010年世界からみた関西」にピーター・フランクル蟹瀬誠一らとともにパネリストとして登壇[31]。『プレジデント Online special』では「赤裸々中国」を[32]、『歴史読本』では「老北京」を連載する[33][34]2014年(平成26年)12月には取材に3年をかけた『日本人の値段 ― 中国に買われたエリート技術者たち』を出版[35]。中国企業に雇われたのべ80人を超える日本人技術者に取材を重ね、ヘッドハンティングの実際や「日本の技術者たちのジレンマ」に迫った[35]

2016年(平成28年)には『国が崩壊しても平気な中国人 会社がヤバいだけで真っ青な日本人』を出版し、同書内で厚黒学英語版を紹介している[8]2017年(平成29年)には『本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか? 』を出版[36][37][注 4]ダイヤモンド・オンラインでは2018年(平成30年)まで「谷崎光の中国ウラオモテ」を連載し[39]2019年令和元年)には『NewsPicks』で「中国人が、日本人に絶対教えない話。」を連載した[2][40]2020年(令和2年)には日本政府に対する提言を『毎日新聞』に寄稿している[1]。2020年時点で北京在住20年[10]

人物

中国語は、旧HSK10級(中国政府公認の中国語資格で、当時の中国の国家通訳認定の級でもある。当時の最高級は11級。)[要出典]

姉はCGアーティスト[要出典]女子美術大学アート・デザイン表現学科教授季里[41]

著書

大手出版社

  • 『中国てなもんや商社』文藝春秋、1996年、ISBN 4163512306[42][43][44]
  • 『てなもんやパンチ!』文藝春秋、1998年、ISBN 4163533605[15][注 5]
  • 『スチャラカ東京のオキテ』祥伝社〈祥伝社黄金文庫〉、2001年、ISBN 4396312539
  • 『今ごろ結婚しているハズが…!? 』角川書店角川文庫〉、2001年、ISBN 4043619014
  • 『てなもんやOL転職記』文藝春秋〈文春文庫〉2002年、ISBN 416763502X
  • 『ウェディング・キャンドル―「私」を生きる物語』文藝春秋、2002年、ISBN 4163207503
  • 『てなもんや中国人ビジネス』講談社、2003年、ISBN 4062120488
  • 『北京の愉しみ』角川春樹事務所、2004年、ISBN 4758420378
  • 『北京大学てなもんや留学記』文藝春秋、2007年、ISBN 9784163692104
    • 『北京大学てなもんや留学記』文藝春秋〈文春文庫〉2008年、ISBN 9784167635039
  • 『今日も、北京てなもんや暮らし』飛鳥新社、2009年、ISBN 9784870319134
  • 『感動中国! 女ひとり、千里をいく』文藝春秋、2010年、ISBN 9784163721606
  • 『10年住んでもダマされる! 中国人の裏ルール』新人物往来社、2012年、ISBN 978-4404042811
  • 『男脳中国 女脳日本』集英社インターナショナル、2012年、ISBN 9784797672190
  • 『日本人の値段 ― 中国に買われたエリート技術者たち』小学館、2014年、ISBN 9784093883771
  • 『国が崩壊しても平気な中国人 会社がヤバいだけで真っ青な日本人』PHP研究所、2016年、ISBN 9784569827865
  • 『本当は中国で勝っている日本企業 なぜこの会社は成功できたのか? 』集英社、2017年、ISBN 9784087860887

Amazon kindle

  • 『中国人 世界で爆買い ウラのウラ』谷崎光 電子文庫、2015年、ASIN B00UCZ0WXI
  • 『本当は怖い 中国発 イノベーションの正体』2018年、ASIN B07HRTXM6B

原作作品

映画

てなもんや商社[注 6]

ラジオドラマ

  • 「てなもんやOL転職記」『ありがとうファミリー劇場』2002年、MBSラジオ[要出典]
  • 「ウエディング・キャンドル ―私を生きる物語」『ミッドナイト・ポップライブラリー』2002年(朗読:羽田美智子[要出典]

その他著作

主な連載

主な寄稿

『月刊しにか』[53]、『オール讀物[16][17]、『諸君![54][55]、『週刊文春[20][21][56]、『別册文藝春秋[19]、『本の話[18][57]、『世界週報[23]、『文藝春秋[26][58]、『毎日が発見』[32]、『週刊朝日[59]、『毎日新聞[1]などに寄稿している。

主な講演歴

  • 2007年10月10日 - 未来創発フォーラム2007(野村総合研究所主催、大阪国際会議場開催)- パネルディスカッション「2010年世界からみた関西」登壇[31][注 7]
  • 2015年4月24日 - 北京日本倶楽部(北京日本人会)定時総会・作家谷崎光さん講演会[36][38]「北京てなもんや文筆生活 -作家が語る、一冊の本ができるまで」[60]

脚注

注釈

  1. ^ 「大阪生まれ」とされている場合もある[11]
  2. ^ 谷崎は『中国てなもんや商社』を自ら文藝春秋社へ持ち込んでおり[12]、同社の編集者によると社の受付に原稿を置いて行ったのが出版のきっかけだという[13]
  3. ^ 谷崎光「恐怖の北京からの驚愕レポート 中国の「SARS(新型肺炎)報道」には「本当」がない」『諸君!』 第35巻第6号、2003年、92-102頁。NAID 40005738468[4]
  4. ^ 北京日本倶楽部(北京日本人会)[38]の参加者にも取材したという[36]
  5. ^ 『てなもんやパンチ!』は平成10年度の厚生省委託事業として日本障害者リハビリテーション協会によりCD-ROM化されている[45]
  6. ^ タイトルを「てなもんや商社 萬福貿易会社」としている場合もある[14]
  7. ^ 他のパネリストはピーター・フランクル、村元四郎、足立興治、蟹瀬誠一[31]

出典

  1. ^ a b c 毎日 2020.
  2. ^ a b c d e 谷崎 光 作家 在北京”. NewsPicks. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  3. ^ 資料詳細 書名:今日も、北京てなもんや暮らし”. 蔵書検索・予約. 相模原市立図書館. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  4. ^ a b c d e f 森清勇 (2021年6月4日). “歴史にみる中国とロシアの恐るべき隠蔽体質・虚言癖 新型コロナのパンデミックは起きるべくして起きた”. JBpress. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  5. ^ 豊田義博「中国人と日本人は,なぜ,うまくいかないのか? ―中日ホワイトカラーの職業価値観比較―」『研究紀要 Works Review』第4巻第2号、2009年、1-14頁。
  6. ^ a b 李 2011.
  7. ^ 東2015.
  8. ^ a b c d e f 東 2016.
  9. ^ a b c d e 【作品データベース】てなもんや商社”. 松竹. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  10. ^ a b c d e f 毎日 2020, 著者紹介.
  11. ^ 文春文庫 てなもんやOL転職記”. 紀伊国屋書店. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  12. ^ 佐藤・松原・福田 1996.
  13. ^ a b 『てなもんやパンチ!』谷崎光|単行本”. 文藝春秋BOOKS. 文藝春秋社. 2024年7月7日(UTC)閲覧。
  14. ^ a b c d e 日本映画紹介 てなもんや商社」『キネマ旬報』1998年8月、193頁。
  15. ^ a b 黒沼克史「文春図書館」『週刊文春』第40巻第13号、1998年4月、159-166頁。
  16. ^ a b 谷崎光「わたしの1000字告白 忘れ得ぬ旅」『オール讀物』 第53巻第5号、1998年5月、241頁。doi:10.11501/4437608
  17. ^ a b 谷崎光「わたしの1000字告白 貧乏自慢」『オール讀物』第55巻第3号、2000年3月、351頁。doi:10.11501/4437630
  18. ^ a b 谷崎光「爆笑てなもんやホームページ道中記」『本の話』第4巻第10号、文藝春秋社、1998年10月、15-19頁。NAID 40005126252
  19. ^ a b 谷崎光「わが心の町」『別册文藝春秋』第224号、1998年7月、327頁。doi:10.11501/7927451
  20. ^ a b 谷崎光「日本人はなぜ英語ができないか」『週刊文春』第41巻第32号、1999年8月、153頁。doi:10.11501/3376804
  21. ^ a b 谷崎光「あるミイラの履歴書」『週刊文春』第42巻第19号、2000年5月、158頁。doi:10.11501/3376841
  22. ^ a b 谷崎光「女の園を往く てなもんや探検隊(1)女の政治?タカラズカ」『諸君!』第32巻第2号、2000年2月、290-295頁。NAID 40001864853。谷崎光「女の園を往く てなもんや探険隊 (12・最終回) オンナ金融道--銭の花道」『諸君!』第33巻第1号、2001年1月、236-241頁。NAID 40001865196
  23. ^ a b 谷崎光「ゲストエッセー 華僑ビジネスマンたちの仕事ぶり」『世界週報』第82巻第9号、2001年3月、56-57頁。NAID 40002150347
  24. ^ 谷崎光『北京大学てなもんや留学記』文藝春秋〈文春文庫〉、2007年6月単行本発行、2008年7月文庫版発行・同電子版公開。
  25. ^ 李 2011, p. 70.
  26. ^ a b 谷崎光「北京てなもんや留学 ― 出発前からトラブル続出。それでも再び中国へ!」『文藝春秋』第79巻第11号、2001年10月、303-309頁。NAID 40003428818
  27. ^ NCID BA82269919
  28. ^ ウェディング・キャンドル「私」を生きる物語”. 文藝春秋BOOKS. 文藝春秋社. 2024年7月8日(UTC)閲覧。
  29. ^ a b 谷崎光「仰天・中国経済ナマレポート(1)就職戦線 日本企業が中国学生にとっちめられている」『週刊文春』第45巻第6号、2003年2月13日、160-163頁。NAID 40005650888
  30. ^ a b 「仰天・中国経済ナマレポート(3)老師曰く「中国の不動産屋の九割はウソつきです」」『週刊文春』第45巻第8号、2003年2月27日、147-150頁。NAID 40005670378
  31. ^ a b c 変わりゆく世界、進みゆく日本」『知的資産創造』第15巻第12号、野村総合研究所、2007年12月、88頁。
  32. ^ a b c 谷崎光『北京大学てなもんや留学記』文藝春秋〈文春文庫〉、2007年6月単行本発行、2008年7月文庫版発行・同電子版公開。
  33. ^ a b 歴史読本 8月号 (発売日2012年06月23日) KADOKAWA”. Fujisan.co.jp. 富士山マガジンサービス. 2024年7月6日(UTC)閲覧。
  34. ^ a b 歴史読本 2月号 (発売日2012年12月24日) KADOKAWA 神社に秘められた古代史”. Fujisan.co.jp. 富士山マガジンサービス. 2024年7月6日(UTC)閲覧。
  35. ^ a b 東 2015
  36. ^ a b c 作家・谷崎光さん新作書籍のご案内”. 北京日本倶楽部. (2021年2月10日) 2024年7月8日(UTC)閲覧。
  37. ^ NCID BB24633727
  38. ^ a b 1989年からの活動歴”. 北京日本倶楽部. (2021年3月16日) 2024年7月8日(UTC)閲覧。
  39. ^ a b 「谷崎光の中国ウラ・オモテ」”. ダイヤモンド・オンライン. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  40. ^ a b 中国人が、日本人に絶対教えない話。#1 【直伝】中国で、あなたのスマホは「丸見え」だ”. NewsPicks. (2019年8月5日) 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  41. ^ メディア表現学科 専任教員”. アート・デザイン表現学科. 女子美術大学. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  42. ^ 岩崎明「●連載 本の窓」『小四教育技術』第49巻第2号、小学館、1996年5月、82-83頁。
  43. ^ 亜州書架 新刊紹介」『月刊しにか』第7巻第4号、大修館書店、1996年4月、120-121頁。
  44. ^ サンデー・らいぶらりい」『サンデー毎日』第75巻第8号、1996年3月、83-89頁。
  45. ^ てなもんやパンチ!、記録メディア 電子資料 障害者向け資料あり、谷崎光 著 日本障害者リハビリテーション協会、1999.9 <YH131-625>CD-ROM1枚、平成10年度厚生省委託事業、原本: 文藝春秋 1998、国立国会図書館サーチ000003647826
  46. ^ a b 作品紹介 てなもんや商社”. 映連データベース. 日本映画製作者連盟. 2024年7月6日(UTC)閲覧。
  47. ^ a b c d CRITIQUES てなもんや商社」『キネマ旬報』第1256号、1998年5月、83頁。
  48. ^ '98年日本映画の回顧と展望」『シナリオ』第55巻第3号、1999年3月、57-70頁。
  49. ^ 情報 映画案内」『シナリオ』第54巻第6号、1998年6月、114-116頁。
  50. ^ コロナ下の映画作り スピード感と緻密なシナリオで 「大コメ騒動」の本木克英監督に聞く”. 日経BizGate. (2021年1月8日) 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  51. ^ 細見卓司、佐藤美鈴 (2022年7月30日). “声をつなげて 文化芸術界から#MeToo記事 第12回ハラスメントやめぬ監督は淘汰される 監督協会理事長・本木克英さん”. 朝日新聞DIGITAL. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  52. ^ 藤本賞(1999年~1989年 受賞者)”. 藤本賞. 映画演劇文化協会. 2024年7月1日(UTC)閲覧。
  53. ^ 谷崎光「巻頭エッセイ 激変の北京」『月刊しにか』第8巻第4号、大修館書店、1997年4月、2-5頁。NAID 40004854956
  54. ^ 谷崎光「「原宿」てなもんや行状記」『諸君!』第31巻第7号、1999年7月、219-227頁。NAID 40001864639
  55. ^ 谷崎光「北京大学生は「日本知らず」ばかり」『諸君!』第39巻第5号、2007年5月、90-97頁。NAID 40015318519
  56. ^ 谷崎光「「北京の秋葉原」中関村 てなもんや潜入記 ― 90%がニセモノ!」『週刊文春』第50巻第9号、2008年3月、48-51頁。NAID 40015874276
  57. ^ 谷崎光「揺れる生きもの、「女」を描いた」『本の話』第8巻第3号、文藝春秋社、2002年3月、22-25頁。NAID 40005126714
  58. ^ 谷崎光「てなもんやマカオギャンブル旅行」『文藝春秋』第85巻第10号、2007年8月、83-85頁。NAID 40015449452
  59. ^ 谷崎光「現地ルポ PM2.5、農薬、重金属まみれの中国野菜が日本にくる? ― 汚染大国・中国のすさまじい現実」『週刊朝日』第118管第46号、2013年10月、18-21頁。NAID 40019809390
  60. ^ 谷崎光 (2015年4月27日). “4月24日(金) 北京日本人会の総会で、講演をします(会員外・参加OK)”. 谷崎光 中国日記 official blog. goo blog. 2024年7月9日(UTC)閲覧。

参考文献

関連文献

外部リンク