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非接触型決済(ひせっしょくがたけっさい)は、非接触型ICカードまたは同種類のICチップを搭載した携帯電話等と、舗の決済端末機器との間で無線通信を行う方式の電子決済システムである[1][2][3]

目次

概要編集

非接触型決済は、技術的には非接触型ICカードNFCFelicaRFIDなど)を利用した決済である。非接触型ICチップによる決済方法はコンタクトレス決済(Contactless Payment)ともいう[4]現金を使わず手軽に素早く決済ができるのが特徴である。


他の決済システムとの比較編集

インストア・キャッシュレス決済は、決済情報の伝達手段により、磁気カード、接触型ICカード、非接触型ICカード(前述)、QRコードバーコード、その他のビーコン(赤外線、光学、音響ほか)などの種別がある。

非接触型決済は手段として非接触型ICカードを使用するものに限られる。QR・バーコード決済は非接触型決済ではない[5]。通常はNFCチップ等の非接触型ICカードを利用した決済を指す[4]

各国の非接触型決済編集

オーストラリア編集

オーストラリアではNFCによるEMV非接触型決済が広く普及している[4]。コモンウェルス銀行など国内主要銀行は自社の発行するMasterCard・VisaブランドのカードをMasterCard PayPassおよびVisa payWaveで利用することを推進している。

日本編集

歴史編集

日本では1990年代前半に導入計画があり、2001年にEdy(現:楽天Edy)Suicaが登場し、2000年代後半以降は導入が相次いでいる。

日本での非接触型決済の草分け的存在は、楽天Edyである。2001年1月にサービスを開始し、2006年5月時点で、累計1,790万枚(そのうち、おサイフケータイでの利用者は310万人)発行され、32,000店の利用可能店舗を擁するサービスとなった。楽天EdyにはFeliCaが使われており、クレジットカードや、キャッシュカード全日本空輸と提携してのANAマイレージカードを代表とする各種のポイントカード会員カード、社員証・学生証など各種の身分証明書などと一体化したタイプのカードの発行、おサイフケータイでのサービス提供などを行っている。これらは他のサービスと共通点が多く、ある意味、日本における非接触型決済のサービスの基本形といえるかもしれない。

楽天Edyと双璧をなすのが、JR東日本が発行するSuicaである。2006年5月末時点で、累計1,665万枚(そのうち、ショッピングサービスが可能なのは、1,263万枚)発行され、6,300店の利用可能店舗を擁する。発行枚数や利用可能店舗の数では、楽天Edyに劣っているが、Suicaのサービスは、首都圏仙台新潟近郊だけに導入されているので、密度的には上回っているといえよう。また、Suicaは楽天Edyと違い、鉄道・バスなどの交通機関を利用できるという利点を持つ。そのため、定期乗車券使用者なら、毎日のように所持し使用される。そのこともあってか、JR西日本ICOCAJR東海TOICAなど、他のIC乗車カードとの相互利用が行われており、より一層の利用拡大が図られた。

問題点編集

現在の日本での非接触型決済の問題点は、その非接触型決済のサービスごとに使える店舗が分かれ相互に利用できない、そもそも使える店舗自体が少ない、などである。そのため、顧客側に、サービスと、そのサービスが使える店舗の組み合わせを把握させるという手間を強いている。

一部では、SuicaiDの共通端末の整備(2007年1月運用開始)[6]や、SuicaとPASMOの相互利用(2007年3月利用開始)[7]nanacoの端末での他の非接触型決済の利用(2007年4月利用開始)[8]などの動きが続いている。

また日本国内では非接触型決済の通信プロトコルとしてFeliCaが採用されることが多いが、国際的にはFeliCaの普及度は高いとはいえないため、新たなガラパゴス化市場となるのではないかという指摘もある(詳しくはガラパゴス化#非接触ICカードを参照)。

非接触型決済のサービスが並立していることは、顧客に短期的な不利益を与えている一方、サービス間での競争が積極的に行われることによって、より良いサービスを顧客は受ける事が出来るため、長期的には利益を与えているとも言える。(クレジットカードもサービス開始当初は端末などが相互利用できなかった)。

非接触型決済の導入例編集

乗車カード編集

 
鉄道用ICカードの例

日本では数々のIC乗車カードが導入されている。乗車や乗車券の購入など以外での非接触型決済でも使われているカードもある。その代表的なのが、2004年3月に電子マネーサービスを開始したSuicaである。その後、PiTaPaICOCAが続いた。これらは、将来の人口減に伴う乗客減に備え、鉄道会社が鉄道以外での収入源を確保するなどのためである。
現在、利用できる店舗は、構内や系列の店舗がほとんどであるが、徐々に駅周辺やその他の位置にある店舗も増えている。

乗車以外の非接触型決済ができる主な乗車カード

  • Suica(2004年3月利用開始)
  • PiTaPa(2004年10月利用開始、ポストペイ方式)
  • ICOCA(2005年10月利用開始、2008年3月からSuicaと電子マネーの相互利用開始)
  • PASMO(2007年3月利用開始、Suicaとの相互利用も同時に開始された)

クレジットカード編集

日本でのクレジットカード小額決済で使われる事が少なかった。そのため、クレジットカードは諸外国並みに小額決済の利用を増やすために、手軽に早く利用できる手段として、非接触型決済サービスを始めたのである。そのため、数万円以下の決済の場合は、信用照会を行わずオフラインで済ませて、早い処理を行い行列を作らないように工夫したり、すでにクレジットカードを持っている顧客に対して簡単な申し込みで提供したり、dカードのように簡易な手続きのみで非接触型決済サービスのみを提供する例も出てきた。

携帯電話編集

携帯電話は、フィーチャーフォン及びスマートフォンが対応している。

フィーチャーフォン編集

フィーチャーフォンは、FeliCaを利用する決済に対応している。赤外線通信を利用する決済は実用化に至らなかった。

FeliCa
フィーチャーフォンのFeliCaを利用する決済は、おサイフケータイに対応している。従来のフィーチャーフォン(ガラケー)の外、現在新たに発売する携帯電話(ガラホと呼ばれるフィーチャーフォンに類似する携帯電話)にも装備されている。そのうえ、すでに楽天Edyが標準装備されているため、初期設定を行いチャージをすれば、すぐに利用することが出来る。また、NTTドコモは、902iSシリーズ以後、iDのNTTドコモでのサービスであるdカード(旧DCMX)が標準装備されている。そのため、dカード mini(旧DCMX mini)なら、(簡易な審査が存在するが)初期設定を行えばすぐ利用できる。
赤外線通信
赤外線通信を利用する決済は、幾つかの実験やトライアルが行われたが、いずれも実用化には至らなかった。
KDDICDMA 1X を利用する「Kei-Credit」のテストが2002年に、トライアルが2003年にそれぞれ行われた[11]。また、VisaVISAッピが商用化試行まで行ったが、計画は止まり、Visaの携帯電話での非接触型決済サービスはFeliCaを採用したVisa Touchを展開することになったが2014年6月末を以てモバイルサービスを終了し、近距離無線通信(NFC)を採用したVisaのタッチ決済を展開することとなった。

スマートフォン編集

スマートフォンでは、FeliCaNFCBluetoothを利用する決済に対応している。

ネット決済編集

ネット通販上での非接触型決済は、FeliCaのリーダ/ライタであるPaSoRiを利用して行う事が出来る。現在のところ、楽天Edyが使用できる(おサイフケータイの楽天Edyの場合、PaSoRiを使わずに単体でネット決済を行う事が出来る)。

コンビニエンスストア編集

コンビニエンスストアでは、非接触型決済により手軽で素早い決済が可能となるため、各社は積極的に導入を図っている。

コンビニエンスストアでの非接触型決済
コンビニエンスストア名 サービス名 導入年月日 備考
セブン-イレブン nanaco 2007年4月23日  
QUICPay 2008年4月7日
楽天Edy 2009年10月7日
iD 2010年7月23日
Kitaca 2011年3月18日 北海道約800店舗(Suicaの利用可)
PASMO 東京神奈川の一部300店舗(Suicaの利用可)
Suica 上記を除くJR東日本エリア内の店舗(PASMO・Kitaca・TOICA・ICOCA・SUGOCA・nimocaはやかけんの利用可)
TOICA JR東海エリア内の店舗(Suica・ICOCA・SUGOCAの利用可)
ICOCA JR西日本エリア内の店舗(Suica・TOICA・SUGOCAの利用可)
SUGOCA JR九州エリア内の店舗(Suica・nimoca・はやかけんの利用可)
ローソン Suica 2005年11月下旬 東京都の一部店舗
2009年4月8日 JR東日本エリア内の店舗(PASMO・Kitaca・TOICA・ICOCA・SUGOCA・nimoca・はやかけんの利用可)
PiTaPa 2006年1月20日 大阪府の一部店舗[3]
iD 2006年4月 [4]
QUICPay 2007年7月13日 [5]
楽天Edy 2007年8月23日 [6]
Smartplus 2009年4月23日
Visa Touch
ICOCA 2009年8月24日 JR西日本エリア内の店舗(Suica・TOICA・SUGOCAの利用可)
2012年2月7日 四国の店舗(Suica・TOICA・SUGOCAの利用可)
nimoca 2009年10月下旬 福岡県の全店舗(Suica・SUGOCA・はやかけんの利用可)
2010年4月20日 大分県の全店舗(Suica・SUGOCA・はやかけんの利用可)
Kitaca 北海道の全店舗(Suicaの利用可)
TOICA JR東海エリア内の店舗(Suica・ICOCA・SUGOCAの利用可)
SUGOCA 福岡・大分を除く九州の店舗(Suica・nimoca・はやかけんの利用可)
2011年4月26日 沖縄県の全店舗(Suica・nimoca・はやかけんの利用可)
WAON 2015年12月15日
ファミリーマート Suica 2004年9月28日 関東の店舗
2007年7月 JR東日本一部エリア内の店舗
楽天Edy 2005年8月12日
iD 2007年7月10日 ファミマTカード
Kitaca 2009年3月14日 北海道の店舗
SUGOCA 2009年6月7日 福岡県の全店舗・佐賀県の一部店舗
2011年8月30日 沖縄県の一部店舗
ICOCA 2009年5月12日 関西・岡山・広島地区の店舗
WAON 2009年10月13日
TOICA 2011年3月29日 JR東海エリア内の約100店舗
manaca 愛知県の約100店舗
QUICPay 2014年6月24日
PiTaPa 2014年9月30日 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県の全店舗および

三重県、愛知県の一部店舗[7]

ミニストップ Suica 2005年8月 東北・関東・東海1都14県の店舗(PASMOKitacaTOICA・ICOCA・SUGOCA・nimocaはやかけんの利用可)
楽天Edy 2006年11月
WAON 2007年11月15日
ICOCA 2008年7月15日 近畿2府4県の店舗(Suica・TOICA・SUGOCAの利用可)
SUGOCA 2010年7月1日 九州3県の店舗(Suica・nimoca・はやかけんの利用可)
iD 2011年1月28日
QUICPay 2011年2月25日
デイリーヤマザキ Suica 2008年7月 JR東日本エリア内の店舗
iD
ICOCA 2009年6月22日 JR西日本エリア内の店舗
PiTaPa 2009年 大阪市内の一部店舗
楽天Edy 2010年4月7日
SUGOCA 2010年8月5日 九州の店舗
TOICA 愛知・岐阜・静岡の全店舗、および長野・滋賀の一部店舗
QUICPay 2013年7月20日
セイコーマート QUICPay 2005年10月
iD 2010年6月14日
楽天Edy 2011年6月
SAPICA 2011年11月28日 札幌市内の全店舗
Kitaca 2012年3月26日 北海道の全店舗
Suica 茨城・埼玉の全店舗
WAON 2017年7月25日
ポプラグループ 楽天Edy 2005年11月1日
WAON 2012年8月31日
iD
PASMO 2012年10月末 関東地区の店舗
ICOCA JR西日本・四国エリア内の店舗
SUGOCA 九州地区の店舗
スリーエフ Suica 2004年11月30日 関東地区の店舗。Suicaポイントクラブ
楽天Edy 2006年8月1日
iD 2009年2月26日
セーブオン 楽天Edy 2012年11月29日 埼玉の全店舗(イーサイト籠原店除く)と前橋市内の2店舗
iD
Suica 埼玉の全店舗と群馬の一部店舗
ココストア iD 2006年10月
楽天Edy 2008年8月1日 沖縄県の店舗
2010年8月1日 九州地区の店舗
2011年2月11日 愛知県の一部店舗
manaca
WAON 2010年12月16日 東北・関東・沖縄地区の店舗

※表で背景が緑色のSuica、PASMO、ICOCA、Kitaca、SUGOCA、TOICA、manaca、nimoca、はやかけんについては2013年3月23日より相互利用可能。PiTaPaは非対応。詳細は交通系ICカード全国相互利用サービスを参照。

スーパーマーケット編集

手軽で素早い決済は求められているが、導入はコンビニエンスストアほどには進んでいない。

ショッピングセンター編集

イオングループWAONセブン&アイグループnanacoなど。

脚注編集

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  1. ^ 高橋隆雄『センサーの基本と仕組み』、2011年、52-53頁。
  2. ^ https://kotobank.jp/word/%E9%9D%9E%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E5%9E%8B%E7%AB%AF%E6%9C%AB-689998
  3. ^ https://kotobank.jp/word/%E9%9D%9E%E6%8E%A5%E8%A7%A6%E5%9E%8BIC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89-7812#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
  4. ^ a b c コンタクトレス決済とは?世界各国での普及状況まとめ”. ピピッとチョイス. 2018年11月4日閲覧。
  5. ^ 淵田 康之. “キャッシュレス・ジャパンの実現に向けて”. 野村資本市場研究所. 2018年11月4日閲覧。
  6. ^ 報道発表資料 : ケータイクレジット「iD」と「Suica電子マネー」の共通インフラを運用開始 - NTTドコモ
  7. ^ [1]
  8. ^ [2]
  9. ^ a b デビットにも対応している。
  10. ^ a b プリペイドにも対応している。
  11. ^ “「Kei-Credit(ケイクレジット)」トライアルの試験機でのテスト開始について” (プレスリリース), http://www2.uccard.co.jp/profile/news_r/news_r199.html 
  12. ^ お店でのお支払いはOrigamiアプリで。スマホ決済「Origami Pay」のご利用方法”. 2018年1月21日閲覧。
  13. ^ 【Origami Pay】Origamiでのお支払いはQRコードの読み取りにて。お支払い画面を変更しました。”. 2018年1月21日閲覧。
  14. ^ 「LINE Beacon」でお買い物をする”. 2018年7月8日閲覧。
  15. ^ “スマホアプリ「Coke ON」キャッシュレス決済機能「Coke ON Pay」を開始” (プレスリリース), https://www.cocacola.co.jp/press-center/news-20181109-10 

関連項目編集