2011年のインディ500
前年: 2010 翌年: 2012

2011年のインディ500は、2011年5月29日に開催されたインディ500第95回のレースである。2011年のインディカー・シリーズの第5戦として行われた。また、第1回開催から100周年を迎えるレースでもあった。全車ホンダエンジン・ダラーラシャシー・ファイアストンタイヤを使用。

アメリカ合衆国の旗 2011年のインディ500
レース詳細
日程 2011年のインディカー・シリーズ
決勝開催日 5月29日
開催地 インディアナポリス・モーター・スピードウェイ
インディアナ州スピードウェイ
ポールポジション
ドライバー カナダの旗 アレックス・タグリアーニ
スピード 227.472 mph (366.081 km/h)
決勝順位
優勝 イギリスの旗 ダン・ウェルドン
タイム 2:56:11.7267
2位 アメリカ合衆国の旗 J.R.ヒルデブランド
3位 アメリカ合衆国の旗 グラハム・レイホール
最多リードラップ
ドライバー ニュージーランドの旗 スコット・ディクソン
周回数 73周
インディ500ルーキー・オブ・ザ・イヤー
ドライバー アメリカ合衆国の旗 J.R.ヒルデブランド

予選 編集

予選第1日『ポール・デイ』 編集

  • 5月21日に行われた。まず暫定予選通過24台を決めたあと、上位9人による最終予選『ファスト9』によってポール・ポジションを決定した。なお、ファスト9に進出した9台は予選通過と予選順位が確定した。
  • ファスト9進出者はファスト9の記録、それ以外は予選の記録を表示。
ポール・デイ(5/21)
順位 No. ドライバー チーム 4周平均速度 ポイント
ファスト9
1 77   アレックス・タグリアーニ サム・シュミット・モータースポーツ 227.472 mph (366 km/h) 15
2 9   スコット・ディクソン チップ・ガナッシ・レーシング 227.340 mph (366 km/h) 13
3 2   オリオール・セルビア ニューマン・ハース・レーシング 227.168 mph (366 km/h) 12
4 99   タウンゼント・ベル サム・シュミット・モータースポーツ 226.887 mph (365 km/h) 11
5 12   ウィル・パワー チーム・ペンスキー 226.773 mph (365 km/h) 10
6 98   ダン・ウェルドン ブライアン・ハータ・オートスポーツ 226.490 mph (365 km/h) 9
7 44   バディ・ライス パンサー・レーシング 225.786 mph (363 km/h) 8
8 67   エド・カーペンター サラ・フィッシャー・レーシング 225.121 mph (362 km/h) 7
9 10   ダリオ・フランキッティ チップ・ガナッシ・レーシング タイム無し(ガス欠) 6
10 - 24位
10 5   佐藤琢磨 KVレーシング・テクノロジー 225.736 mph (363 km/h) 4
11 14   ヴィトール・メイラ A.J.フォイト・エンタープライズ 225.590 mph (363 km/h) 4
12 4   J.R.ヒルデブランド パンサー・レーシング 225.579 mph (363 km/h) 4
13 06   ジェームス・ヒンチクリフ ニューマン・ハース・レーシング 225.572 mph (363 km/h) 4
14 30   ベルトラン・バゲット レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング 225.285 mph (363 km/h) 4
15 11   デイヴィー・ハミルトン ドレイヤー&レインボールド・レーシング 225.250 mph (363 km/h) 4
16 3   エリオ・カストロネベス チーム・ペンスキー 225.216 mph (362 km/h) 4
17 43   ジョン・アンドレッティ アンドレッティ・オートスポーツ 224.981 mph (362 km/h) 4
18 59   E.J.ヴィソ KVレーシング・テクノロジー 224.732 mph (362 km/h) 4
19 41   ブルーノ・ジュンケイラ A.J.フォイト・エンタープライズ 224.691 mph (362 km/h) 4
20 22   ジャスティン・ウィルソン ドレイヤー&レインボールド・レーシング 224.511 mph (361 km/h) 4
21 88   ジェイ・ハワード サム・シュミット・モータースポーツ 224.483 mph (361 km/h) 4
22 07   トーマス・シェクター SHレーシング 224.433 mph (361 km/h) 4
23 82   トニー・カナーン KVレーシング・テクノロジー 224.417 mph (361 km/h) 4
24 78   シモーナ・デ・シルベストロ HVMレーシング 224.392 mph (361 km/h) 4
参照:インディカー公式

予選第2日『バンプ・デイ』 編集

  • 5月22日に行われた。予選通過の枠残り9つをかけて争った。なお、ポール・デイで予選を通過したドライバーがバンプ・アウトされることがなかった[1]ため、10-24位のドライバーも順位通りで予選通過が確定した。
バンプ・デイ(5/22)
順位 No. ドライバー チーム 4周平均速度 ポイント
25 23   ポール・トレーシー ドレイヤー&レインボールド・レーシング 224.939 mph (362 km/h) 3
26 7   ダニカ・パトリック アンドレッティ・オートスポーツ 224.861 mph (362 km/h) 3
27 6   ライアン・ブリスコー チーム・ペンスキー 224.639 mph (362 km/h) 3
28 26   マルコ・アンドレッティ アンドレッティ・オートスポーツ 224.628 mph (362 km/h) 3
29 83   チャーリー・キンボール チップ・ガナッシ・レーシング 224.499 mph (361 km/h) 3
30 38   グラハム・レイホール チップ・ガナッシ・レーシング 224.380 mph (361 km/h) 3
31 19   アレックス・ロイド デイル・コイン・レーシング 223.957 mph (360 km/h) 3
32 36   ピッパ・マン コンクエスト・レーシング 223.936 mph (360 km/h) 3
33 24   アナ・ベアトリス ドレイヤー&レインボールド・レーシング 223.879 mph (360 km/h) 3
  • 予選落ち
No. ドライバー チーム 備考
8   ホーピン・タン ドラゴン・レーシング ポール・デイにクラッシュしドクターストップ
20   スコット・スピード
  パトリック・カーペンティア
ドラゴン・レーシング バンプ・デイにスピードからカーペンティアに交代
27   マイク・コンウェイ アンドレッティ・オートスポーツ
34   セバスチャン・サーベドラ コンクエスト・レーシング
17   ラファエル・マトス AFSレーシング
18   ジェームズ・ジェイクス デイル・コイン・レーシング
28   ライアン・ハンター=レイ アンドレッティ・オートスポーツ ジュンケイラと交代することにより予選33位扱いで決勝を出走

決勝 編集

  • 『ポイント』は、予選・決勝で獲得したポイントの合計。
  • 『(R)』は、2011年インディ500のルーキー。(シーズンのルーキーとは異なる)『(W)』は、前年までのインディ500優勝経験者。
順位 No. ドライバー チーム 周回 時間
リタイヤ理由
スタート
順位
リード
ラップ
ポイント
1 98   ダン・ウェルドン(W) ブライアン・ハータ・オートスポーツ 200 2:56:11.7267 6 1 59
2 4   J.R.ヒルデブランド (R) パンサー・レーシング 200 +2.1086 12 7 44
3 38   グラハム・レイホール チップ・ガナッシ・レーシング 200 +5.5949 29 6 38
4 82   トニー・カナーン KVレーシング・テクノロジー 200 +7.4870 22 0 36
5 9   スコット・ディクソン(W)1 チップ・ガナッシ・レーシング 200 +9.5434 2 73 45
6 2   オリオール・セルビア1 ニューマン・ハース・レーシング 200 +9.5435*
(+8.8757)
3 18 42
7 30   ベルトラン・バゲット レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング 200 +23.9631 14 11 30
8 07   トーマス・シェクター SHレーシング 200 +24.3299 21 0 28
9 26   マルコ・アンドレッティ アンドレッティ・オートスポーツ 200 +25.7411 27 0 25
10 7   ダニカ・パトリック アンドレッティ・オートスポーツ 200 +26.4483 25 10 23
11 67   エド・カーペンター サラ・フィッシャー・レーシング 200 +27.0375 8 3 26
12 10   ダリオ・フランキッティ(W) チップ・ガナッシ・レーシング 200 +56.4167 9 51 24
13 83   チャーリー・キンボール (R) チップ・ガナッシ・レーシング 199 +1 lap 28 0 20
14 12   ウィル・パワー チーム・ペンスキー 199 +1 lap 5 0 26
15 14   ヴィトール・メイラ A.J.フォイト・エンタープライズ 199 +1 lap 11 0 19
16 22   ジャスティン・ウィルソン ドレイヤー&レインボールド・レーシング 199 +1 lap 19 0 18
17 3   エリオ・カストロネベス(W) チーム・ペンスキー 199 +1 lap 16 0 17
18 44   バディ・ライス(W) パンサー・レーシング 198 +2 laps 7 0 20
19 19   アレックス・ロイド デイル・コイン・レーシング 198 +2 laps 30 0 15
20 36   ピッパ・マン (R) コンクエスト・レーシング 198 +2 laps 31 0 15
21 24   アナ・ベアトリス ドレイヤー&レインボールド・レーシング 197 +3 laps 32 0 15
22 43   ジョン・アンドレッティ アンドレッティ・オートスポーツ 197 +3 laps 17 0 16
23 41   ライアン・ハンター=レイ2 A.J.フォイト・エンタープライズ 197 +3 laps 33 0 12
24 11   デイヴィー・ハミルトン ドレイヤー&レインボールド・レーシング 193 +7 laps 15 0 16
25 23   ポール・トレーシー ドレイヤー&レインボールド・レーシング 175 +25 laps 24 0 13
26 99   タウンゼント・ベル サム・シュミット・モータースポーツ 157 接触 4 0 21
27 6   ライアン・ブリスコー チーム・ペンスキー 157 接触 26 0 13
28 77   アレックス・タグリアーニ サム・シュミット・モータースポーツ 147 接触 1 20 25
29 06   ジェームス・ヒンチクリフ (R) ニューマン・ハース・レーシング 99 接触 13 0 14
30 88   ジェイ・ハワード (R) サム・シュミット・モータースポーツ 60 接触 20 0 14
31 78   シモーナ・デ・シルベストロ HVMレーシング 44 ハンドリング 23 0 14
32 59   E.J.ヴィソ KVレーシング・テクノロジー 27 接触 18 0 14
33 5   佐藤琢磨 KVレーシング・テクノロジー 20 接触 10 0 14
41   ブルーノ・ジュンケイラ2 A.J.フォイト・エンタープライズ - 下記参照 - - 4
リードチェンジ:23回(10人)
参照:インディカー公式

レース詳細 編集

  • 予選ではシモーナ・デ・シルベストロがクラッシュで左手に火傷を負ったが、決勝レースには応急処置を施して出走した。
  • 日本人唯一の出場となった佐藤は21周目ターン1でウォールに接触しリタイアした。
  • 1回目のフルコースコーション時に各車がピットストップに入ったが、ウィル・パワーがピットアウトを早まりピットレーンで左リアタイヤが脱輪するアクシデントが発生した。
  • チップ・ガナッシ・レーシングのディクソンとフランキッティは序盤から後半まで124周をリードした。しかしラストピット後の展開を読み間違え燃料不足でペースダウン、フランキッティに至っては最終周で200mphを下回るほどであった。一方同チームのレイホールは29番手スタートから166周目にはラップリーダーになる追い上げを見せた。
  • レースは残り40周で燃費競争になった。179周目にはダニカ・パトリックが6年振りに、189周目には彼女を抜いてベルトラン・バゲットがリーダーに立ったが共にアンダーグリーンでピットに入った。
  • 198周目、ヒルデブラントがラップリーダーに立つと最終周に入るまでトップを守った。しかしルーキーの優勝者が誕生すると誰もが思った最終コーナーでクラッシュ、ウェルドンが残り305メートル地点でオーバーテイクし2005年以来のインディ500通算2勝目となった。なお、ヒルデブランドはクラッシュしたものの惰性でゴールし、2位となった。
  • ウェルドンは2009年・2010ともにパンサー・レーシングから出走して2位であった。一方、ヒルデブランドの所属するパンサー・レーシングは2008年のヴィトール・メイラを合わせ、チームとして4年連続2位という結果となった。
  • ウェルドンはこのレースで以下の記録を残した。
    • 決勝での平均レース速度 170.265 mph (274.015 km/h)、当時歴代4位であり1991年以来20年振りに170mphを上回った。
    • 200周の完走タイム 2時間56分11秒7267。2000年のファン・パブロ・モントーヤ以来となる3時間以内の完走を達成した。
    • 優勝ドライバーのリードラップ数 1周。1912年のジョー・ドーソンの最少記録(2周)を更新した。
  • なお、ウェルドンはこの年の最終戦ラスベガスで多重クラッシュに巻き込まれ事故死、これがインディカー最後の勝利となった。
  • 注1:ゴールの時点ではセルビアが前だったが、フルコースコーション(追い抜き禁止)時に抜いていたことと判断され順位が入れ替えられた。
  • 注2:予選を通過したのはジュンケイラだったが、決勝はハンター=レイが交代して出走。予選のポイントはジュンケイラ、決勝のポイントはハンター=レイのみに加算

ギャラリー 編集

脚注 編集

  1. ^ この当時の予選ルールでは「ポール・デイに24位以上の記録を残したドライバーの予選記録をバンプ・デイに記録を残したドライバーが全員上回った場合、予選通過の権利を剥奪され、改めてアテンプトを行わなければならない(その場合、バンプ・デイで最高記録を残したドライバーの予選順位が「25位」から順次繰り上がる)」というルールがあった。

外部リンク 編集


前回開催
2010年のインディ500
  インディ500 次回開催
2012年のインディ500