OCN
OCN(オーシーエヌ、英: Open Computer Network)は、NTTレゾナントが運営する、日本最大級のインターネットサービスプロバイダ事業の名称である。2022年(令和4年)6月までNTTコミュニケーションズが運営していた。
概要編集
NTTコミュニケーションズのグローバル Tier 1 ネットワークをバックボーンに持ち、現在は会員数710万人以上(2022年12月31日現在719.7万人)を抱える日本最大級規模のインターネットサービスプロバイダである。これは、iモードなどの携帯電話向けサービスを除けば日本一の加入者数である[1]。
1996年12月、日本電信電話によってインターネット接続サービスの商品として、最大6MbpsのOCNエンタープライズ、最大1.5MbpsのOCNスタンダード、最大128kbpsのOCNエコノミーが法人向けに提供開始された。後に個人向けダイヤルアップ接続サービスのOCNダイヤルアクセスも開始された。1999年、日本電信電話会社の分割後はNTTコミュニケーションズに移管され、グループ内での重複事業を整理・再編する方針に基づき、個人向けサービスはNTTコミュニケーションズがグループ他社のプロバイダ事業を順次吸収・統合した。
個人向け接続サービスとしてFTTHやADSL、ISDNフレッツ接続や、移動体通信接続などに対応している。
法人向けはフレッツ接続や広域イーサネット接続やフレームリレー、ATM接続などに対応しており、ハウジングサービス、ホスティングサービス、固定IPアドレスサービス、VPN接続サービス、IP接続サービスなど幅広いインターネットソリューションを手がけている。
2022年6月30日まではNTTコミュニケーションズが運営していたが、NTTドコモグループ内での事業再編に伴い、個人向けサービスが同年7月1日からNTTレゾナントに移管された(法人向けサービスは引き続きNTTコミュニケーションズが運営)[2][3]。
沿革編集
- 1996年12月 - 分割前の日本電信電話によりインターネットサービスプロバイダ事業開始。
- 1999年
- 7月1日 - 分割化によりNTTコミュニケーションズに事業を移管。
- 10月1日 - OCNエコノミーを6,000円値下げし月額32,000円にて提供開始。
- 2000年5月 - 米国Tier1プロバイダVerio社を買収し、OCN/Verioの名称でTier1接続業者となる。
- 2002年10月 - NTT-PCコミュニケーションズが運営するプロバイダ事業『InfoSphere』のうち、個人向けサービスをOCNへ統合。InfoSphereは現在企業向けインターネットソリューション専業となる。
- 2003年1月23日 - NTTデータとNTTドコモから株式を取得し、ドリームネット株式会社を子会社化。
- 2005年7月1日 - ドリームネット(ドリームネット株式会社が運営)をOCNへ統合。
- 2006年9月1日 - 「ぷらら」を運営するぷららネットワークスと、「goo」を運営するNTTレゾナントを子会社化。
- 2007年
- 2008年5月 - 会員数が700万人を突破[5]。
- 2010年6月 - 会員数が800万人を突破[6]。
- 2022年7月1日 - 個人向けサービスのみ運営をNTTコミュニケーションズからNTTレゾナントに移管[3][7]。
個人向けサービス編集
OCNの個人向け接続サービスは、FTTHやADSLのフレッツ常時接続が中心になっているが、ISDN、アナログ回線でのダイアルアップ接続や、FOMAやPHSでのモバイル接続、公衆無線LANでの接続にも対応している。その他にメールのアカウント、ホームページ作成やブログ作成のアカウントも付与される。オプションとして、IP電話、iモードでのWebメールの利用や、ファイルの共有、音楽配信などのサービスを受けることができる。詳細は後述のとおりとなる。
FTTH接続サービス編集
OCN 光 with フレッツ編集
NTT東西が提供するフレッツ光の各サービスのPPPoE ISPとしてOCNを利用する際の契約形態。各フレッツとはセット申し込みになりNTTファイナンスによる利用料金の一括請求を利用できるが、光回線を提供するNTT東西とインターネット接続を提供するNTTコミュニケーションズに対して別々に使用料が発生する。ひかり電話やフレッツ・テレビなどのフレッツとともに提供される各種サービスの利用や光もっと2割などの割引サービスの適用が可能[8]。
IPv4 PPPoEのほか、IPv6 PPPoEを全国で利用できる。
また、フレッツとOCNを別々に申し込み利用できる『OCN 光 「フレッツ」』が別途存在する[9]。
2008年8月1日より一日のアップロード量を30GBまでに制限していたが、2016年6月1日以降廃止されている[10]。
OCN 光編集
NTTコミュニケーションズが光コラボレーション(FVNO)事業者として従来フレッツの契約が必要であった回線部分も提供する。上記 「with フレッツ」とは異なり、利用者はNTTコミュニケーションズとのみ契約すればよい。前述の「with フレッツ」とは全く別物の商品である。
物理的な回線やNGN自体はフレッツのものを用いているためフレッツ光からの転用も可能で、基本的に転用により通信速度が変化するなどということはない。
フレッツ光電話、フレッツ・テレビと同等のサービスを「OCN ひかり電話」、「テレビオプション」として合わせて契約でき、またこれらを契約中のフレッツからの転用時はこれらも同時に転用される。
OCN光単体の契約では「with フレッツ」より割高になるケースがあるが、同社のMVNO、「OCN モバイル ONE」をセットで契約する場合「OCN光モバイル割」が利用できる。
全国でIPv4PPPoE、IPv6 PPPoE が利用できるほか、 2017年7月25日以降に申し込みされた回線において IPv6 IPoEが利用可能となっている[11]。
OCN for ドコモ光編集
NTTドコモが光コラボレーション事業者としてFMCをおこなっているドコモ光のISPとしてOCNを選択することが可能。ISP利用料金はNTTドコモからの請求となる。また、「OCN光モバイル割」はこちらにおいても利用可能である。タイプBのプロバイダーとなっている為、月額料金がタイプAのプロバイダーよりも、220円割増しとなっている。
全国でIPv4PPPoE、IPv6 PPPoE が利用できるほか、 2017年9月1日以降に申し込みされた回線において IPv6 IPoEが利用可能となっている[11]。
OCN ADSL編集
ADSLを用いた接続サービスである。
NTT東西の「フレッツ・ADSL」(新規受付終了)で利用できる 『OCN ADSL「フレッツ」』とイー・アクセス(旧アッカ・ネットワークス)のADSL回線を利用した「OCN ADSL セット」との2種あったが、「OCN ADSL セット」のサービスは同ADSLサービスの終了に伴い、2017年3月末日を以て終了した[12]。
IP電話OCNドットホンに対応している。
モバイル接続、ダイアルアップ接続編集
携帯電話、PHSの接続の他に、公衆無線LAN接続サービスがある。前述のとおり、NTTドコモのほかイーモバイル、ウィルコムからの接続を許容している。
- 携帯電話・PHS
- NTTドコモ
- OCN モバイル d
- Xi
- FOMA(FOMAハイスピード含)定額接続(定額データプラン)
- OCN モバイル ONE(旧:OCN モバイルエントリー d)(Xi/FOMA対応)
- OCN モバイル d
- ウィルコム
- イーモバイル
- OCN モバイル エントリー EM(旧:OCN 高速モバイル EM)
- 公衆無線LAN
- OCNホットスポット(ソフトバンクテレコムのBBモバイルポイントへの接続サービス)
- フレッツ・スポット (NTT東西の公衆無線LANフレッツスポット対応)
- OCN ダイヤルアクセス
固定電話からのダイアルアッププランで、電話代込みの「コミ・デ・プラン」電話代別のライトプラン、ナチュラルプラン、その他定額プランがある。
メール・ホームページ作成・ブログ編集
- メール
-
- メールグループ作成(OCN同士でメーリングリスト作成が可能)
- メール転送
- iモードからのWebメール利用
- ウィルスチェック、迷惑メール対策
- 独自ドメインメール
- 追加アドレス(有料)
- 2011年1月25日現在、既読時のメールヘッダーにStatus:ROがつかないため、このヘッダを用いたフィルタリングができなかったり、第三者による盗聴に気付きにくい。
- ホームページ作成
- 10MBまで無料でホームページの開設が可能。ディスク容量追加の場合は有料となる。合わせてブログも無料で作成が可能となる。サービス名はPageOn、既に提供を終了している[いつ?]。
- ブログ
サービス名は「ブログ人」、2014年11月30日サービスを終了。
サービス名は「OCNフォトフレンド」2016年3月31日サービス終了、「OCNcafe」2012年2月29日サービスを終了。
IP電話編集
- OCNドットフォン/OCN ドットフォン300
- OCN光やOCN ADSLの利用者が利用できるIP電話サービスである。050の電話番号や通常の番号で利用が可能。パソコンだけでなく、一般電話機からも利用可能となる。OCN同士の通話のほか、無料通話先プロバイダが約280社あり、その他に一般固定電話、国際電話、携帯電話への通話も通常より大幅に安くなる。また、かかってくるほど割引されるといったサービスもある。
- 050あんしんナンバー for OCN
- 050のプライベート用電話番号を付与するサービスである。着信専用だが、センターを利用しての発信も可能。
その他オプション編集
OCNポータルサイト編集
OCNのポータルはOCN会員向けのサービスとそれ以外の一般ユーザーも利用できるサービスとがある。同じNTTグループのNTTレゾナントが提供しているポータルサイト「goo」のサービスを利用しているものも多い。
OCNポータルの主なサービス編集
- Webメール - OCNメールのWebメールを利用することができる。
- 検索 − gooの検索エンジンを利用した検索が可能となる。
- ニュース - gooニュースが利用できる。
- OCNゲーム - 様々なジャンルのゲームをダウンロードし利用できる。オンラインゲーム、無料ゲーム、フラッシュゲームなどがある。
- 教えて!goo - 質問と回答をやり取りするコミュニティサイトである教えて!gooへリンクが張られている。
- 地図 - MapFanのWeb地図を利用できる。
- OCN路線・時刻表
- OCN郵便番号
- OCN住まい・不動産
- OCNクルマ
- OCN旅行 -航空券やホテル等の予約
- 動画
- 音楽
- 天気 - ハレックスが提供する天気予報を利用。
- ネット販売、オークション - OCN百貨店というインターネット販売のポータルで、主に楽天市場やAmazon.co.jpを利用している。
- OCN マイポケット - NTTコミュニケーションが提供するファイル管理システムで、写真やファイルをネット上のサーバにアップし、仲間と共有したり、コンビニエンスストアのプリンタでファイルや写真を印刷することができるサービスである。[13]
- スルガ銀行OCN支店 - OCN会員専用のネットバンクとなる。名前のとおりスルガ銀行が運営を行っている。振り込みや口座引落などがネット上で利用することができる。その他に定期預金、ネット決済、投資信託といったサービスがある。
OCN動画編集
動画、音楽配信のサービスである。NTTコミュニケーションズから動画や音楽が配信されている。ドラマ、アニメ、映画、Vシネマ、グラビア、スポーツなどの豊富なコンテンツがある。無料のものと、有料のものがある。またストリーミングによって閲覧できるものと、ダウンロードが可能なものがある。音楽配信についてはmusicoやカラオケdamなどの音楽配信サービスとリンクをしている[14]。
ケータイOCN編集
iモードなど携帯電話から主に以下のようなポータルサービスを利用することができる。
企業向けサービス編集
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固定IPアドレス編集
OCNのビジネスプランにおいては固定IPアドレスサービスが用意されており、固定IPアドレスの個数は1, 8, 16, 32, 64から選べる。またダイナミックIPアドレスタイプも用意されている。
接続タイプは「Bフレッツ」「フレッツ光プレミアム」のほかに、メガデータネッツアクセス、STM[要曖昧さ回避]/ATMメガリンク、といったNTTコミュニケーションズのビジネス用のインフラを使ったものも用意されている。
また、OCNビジネスモバイル(d)といわれる、FOMAハイスピード網を使った、MVNOでの法人向けモバイルアクセスサービスも用意されており、固定IPアドレスを使ったセキュアなリモートアクセスが可能となっている。
OCNエコノミー編集
ADSLによる常時接続が広く普及するまで、個人がインターネットへ接続する方法は電話回線(公衆回線)へモデムをつなぐかISDN回線へDSUならびに対応ターミナルアダプタかルータで接続し、ダイヤルアップする方法が一般的であった。常時接続用にデジタル専用線は存在したものの、最低速度の64kbpsでもプロバイダ接続料を含めると10万円を超える月額費用となり、利用者はある規模以上の企業に限られ、個人が気軽に利用するにはハードルが高かった。
当時のNTTがサービス開始したOCNエコノミーは、専用線としてデジタルアクセスを採用しながらも、NTT側のルータを最大24ユーザで共有させることでコストを削減し、月額38,000円で提供することが可能となった。これによって、中小企業やSOHO、一部個人のパワーユーザで導入を開始するところも現れた。
また、ユーザは固定グローバルIPアドレスを最大16個まで取得できたため、自己所有のサーバを使ってオリジナルドメイン名でのwebサイト(ウェブサーバ)やメールサーバなど、各種サーバを開設することが出来た。ただし、NTT側ルータを共有する最大帯域128kbps、ベストエフォート方式での提供であり、回線速度は非保障のサービスである。
その後、同様のベストエフォート方式のADSL、FTTH、CATVインターネット接続サービスなどのブロードバンドサービス普及に伴い、より安価で高速な常時接続サービスが登場したことでユーザが減り、2006年5月をもって新規受付を終了している。ただし法人向けサービス、「ビジネスOCN」のSTM[要曖昧さ回避]タイプで、ほぼ同等のサービスを現在でも提供している。
OCNエコノミーの沿革編集
迷惑メール対策編集
スパムの送信元ISPを調査しその結果を公表するプロジェクトの調査(2004年1月18日)によると、同日に30台の調査用端末が受信した違法広告メール(スパムメール)1万2451通のうち、発信元1位はOCNの4,339通(34.8%)であり、この数値は2位のNTTPCコミュニケーションズ(InfoSphere)の1,299通(10.4%)や、3位のDIONの1,006通(8.1%)を大きく引き離していた[15]。これに伴い迷惑メール対策として、2005年11月18日にはOutbound Port 25 BlockingやSMTP-AUTH、SMTP over TLS、等の対策をうっている[16]。
脚注編集
- ^ “第38期 四半期報告書(第3四半期)”. 日本電信電話株式会社. 2023年2月11日閲覧。
- ^ “「OCN モバイル ONE」などがNTTレゾナント運営へ、7月”. ケータイ Watch (2022年4月27日). 2022年7月1日閲覧。
- ^ a b “NTTレゾナント、「OCN」の事業運営を開始”. ケータイ Watch (2022年7月1日). 2022年7月1日閲覧。
- ^ OCN会員数600万人突破
- ^ おかげさまでOCNの会員数が700万を超えました
- ^ おかげさまで、OCNの会員数は800万を超えました。ご愛顧ありがとうございます。
- ^ “NTT Comコンシューマ向け事業のNTTレゾナントへの移管について”. www.ntt.com. 2022年5月14日閲覧。
- ^ “OCN 光 with フレッツ”. NTTコミュニケーションズ. 2017年10月11日閲覧。
- ^ “OCN 光 「フレッツ」(プロバイダサービスのみ)”. NTTコミュニケーションズ. 2017年10月11日閲覧。
- ^ “【重要】インターネットをより快適にご利用いただくための取組み”. NTTコミュニケーションズ. 2017年10月11日閲覧。
- ^ a b “よくあるご質問 (OCN IPv6インターネット接続機能(IPoE))”. NTTコミュニケーションズ. 2017年10月11日閲覧。
- ^ “OCN ADSL セットサービスをご利用中のお客さまへ(サービス終了のご案内)”. NTTコミュニケーションズ. 2017年10月11日閲覧。
- ^ OCN マイポケット
- ^ ブロードバンドOCN
- ^ SPAM WATCH 2004年スパム調査 [リンク切れ]
- ^ OCN、Outbound Port25 Blocking導入など迷惑メール対策を強化(ニュース記事)
関連項目編集
- OCNモバイルONE(格安スマホ)
- ベリオ (ISP)
- 定額データプラン
- ひかりTV
- ぷらら
- InfoSphere
- goo
- スルガ銀行
- MISIA(歌手、全国ツアーのスポンサーになっている)
- 石原さとみ - 2021年9月27日よりCMイメージキャラクター。
- .com Master - NTTコミュニケーションズが行っているインターネット検定。OCNのサポート担当者はこの検定の合格を職場推奨されている。
外部リンク編集
- OCN トップページ (日本語)
- NTTコミュニケーションズ トップページ (日本語)
- スルガ銀行 OCN支店 (日本語)
- goo トップページ (日本語)
- ぷらら トップページ (日本語)
- ドリームネット株式会社 トップページ(現・OCN ドリームネット) (日本語)