ビデオ・オン・デマンド

ビデオ・オン・デマンド (Video On Demand) とは、視聴者が観たい時に様々な映像コンテンツを視聴することができるサービスである。略称「VOD」。別名「電子レンタルビデオ」。

VODにおいて配信されるコンテンツは、公開済の映画や放送済の放送番組、オリジナルの映像作品を配信するものもある。

課金方法としては、コンテンツごとに課金するもの(エレクトリック・セルスルーやペイ・パー・ビュー)、月会費や年会費を支払うと多くのコンテンツが観放題となるもの(サブスクリプションモデル)などがある。

概要編集

ユーザが要求した時点でコンテンツを配信する通信であり、放送では行うことができない映像の一時停止・巻戻し・早送りなどの操作が可能なサービスが多く、利便性が高い。

例えば、ある映画を観たくなった時、レンタルビデオ店に借りに行ったりする代わりに、VODならパソコンインターネット(主にブロードバンド回線)により視聴することが可能である。また、セットトップボックス(STB)を用いて、テレビ受像機で視聴可能なサービスもある。

レンタルDVDショップでは、店舗側の都合による非入荷や、制作元などの意向で特定の店舗以外には入荷を許可しない、予算等の関係でレンタル店チェーンの本部が流す所を限らせている事などから、店頭で取り扱いができない場合がある。こうした作品でも、このシステムにより利用可能な場合もある。

最大で同時刻帯にアクセスのある視聴者数だけ個別にコンテンツを送出しなければいけないため、送出サーバや通信回線の帯域が多く必要とされる。このため、テレビ放送画質で自由なVODを実現するのは困難が伴う。[要出典]

NVOD (Near VOD)編集

従来技術の延長でVODに似たサービスを実現するものとして、NVOD (Near VOD) がある。これは比較的短時間の間隔をずらして次々と同じ番組を送出するもので、例えば120分番組を12のチャンネルで10分おきに送出すると、視聴者は最大10分待てば必要な番組を冒頭から観ることができる。

技術的には単なる多チャンネル放送であり、帯域さえ確保できればよい。しかし、あらゆる番組を常時NVODで放送するほどの帯域は用意できないため、現実的には本来のVODに期待されるサービスとは隔たりがある。

VODのサービス形態編集

AVOD(エー・ヴイ・オー・ディー)
Advertising Video On Demand(アドバタイジング・ビデオ・オン・デマンド)。
広告型動画配信。企業からの広告掲載によって配信業者が収益を得て、視聴者は無料で動画が視聴できる配信形態。
EST(イー・エス・ティー)
Electric Sell-Through(エレクトリック・セル・スルー)。
視聴期限のないペイ・パー・ビュー(PPV)。インターネット上でコンテンツファイルを購入するサービス形態。
本来はコンテンツファイルを利用者のPC、スマートフォンなどのデバイスに保存し、購入者がコンテンツファイルの所有権を有する形態を指していたが、映像は購入したサービス上で無期限に視聴できるが、コンテンツファイルの所有権を有さないタイプのサービスもこの形態に含まれるようになっている。
SVOD(エス・ヴイ・オー・ディー)
Subscription Video On Demand(サブスクリプション・ビデオ・オン・デマンド)。
定額制動画配信サービス。定額料金を支払うことで、用意されている映像を期間内であれば無制限に視聴できる配信形態。
TVOD(ティー・ヴイ・オー・ディー)
Transactional Video On Demand(トランザクショナル・ビデオ・オン・デマンド)。
期限付きのペイ・パー・ビュー。レンタル型の動画配信形態で、利用者は視聴期限内でコンテンツを視聴することができる。

対応デバイス編集

動画再生に対応したデバイスは、

に大別される。一つのアカウントで複数のデバイスで視聴が可能なマルチデバイスに対応したサービスプロバイダもある。

主なコンテンツプロバイダー編集

コンテンツの制作およびVOD提供事業者向けにコンテンツの卸売りを行うサービスプロバイダー。自サイト上での直販形式でVODサービスを提供している事業者もある。

主なビデオ・オン・デマンドサービス編集

プロコンテンツ型動画配信サービス編集

サービス 所有者 ローンチ 有料会員数 サービス形態
Netflix Netflix, Inc. 2007 2億2310万[1] SVOD
Amazon Prime Video Amazon.com 2006 1億7500万[2] SVOD・TVOD・EST
Disney+ ウォルト・ディズニー・カンパニー 2019 1億6420万[3]
テンセントビデオ/WeTV テンセント 2011 1億2400万[4]
iQIYI 百度 2010 1億140万[5]
Youku アリババグループ 2003 9000万
HBO Max ワーナーメディア 2020 7680万
Peacock コムキャスト 2020 5400万
Hulu ウォルト・ディズニー・カンパニー 2007 4620万[6]
Paramount+ パラマウント・グローバル 2014 4330万[7]
Mango TV Mango Excellent Media(湖南広播電視台) [8]
ALTBalaji Balaji Telefilms 2017 3400万
Apple TV+ Apple 2019 3360万
ESPN+ ウォルト・ディズニー・カンパニー 2018 2280万[6]
Discovery+ ディスカバリー 2021 2200万[9]
Curiosity Stream CuriosityStream Inc. 2015 2000万
iWantTFC ABS-CBN 2010 1300万
Rakuten TV 楽天グループ 700万 SVOD・TVOD・EST
DAZN DAZN Limited(Access Industries)
Globoplay Grupo Globo 2015 650万
Crunchyroll ソニーグループ 2006 500万
dTV NTTドコモ 400万[10] SVOD・TVOD
U-NEXT U-NEXT 2007 275万[11] SVOD・TVOD・PPVライブ配信
NHKオンデマンド 日本放送協会 2008 254万 SVOD・TVOD
dアニメストア NTTドコモ 2012 250万[12] SVOD・TVOD
BritBox BBC

ITV

2017 200万
FOD フジテレビジョン 2005 100万[13] SVOD・TVOD・AVOD

ライブ配信・PPVライブ配信

Paravi プレミアム・プラットフォーム・ジャパン 2018 SVOD・TVOD
ABEMA 株式会社AbemaTV(サイバーエージェントテレビ朝日 2016 92万[14] ライブ配信・PPVライブ配信

SVOD・TVOD・AVOD

DMM TV 合同会社DMM.com 2022 SVOD・TVOD・EST

PPVライブ配信

ビデオマーケット ビデオマーケット SVOD・TVOD・EST
TELASA TELASA株式会社(KDDIテレビ朝日 SVOD・TVOD
Google Play Google TVOD・EST
GYAO! ヤフー株式会社 AVOD・TVOD
クランクイン!ビデオ ブロードメディア 月額ポイント制のTVOD・EST
BANDAI CHANNEL バンダイナムコライツマーケティング SVOD・TVOD
観劇三昧 ネクステージ SVOD・TVOD・EST・PPVライブ配信
日テレ無料TADA! 日本テレビ AVOD
テレ朝動画 テレビ朝日 AVOD・ライブ配信・PPVライブ配信
TBS FREE TBSテレビ AVOD
ネットもテレ東 テレビ東京 AVOD
MBS動画イズム 毎日放送 AVOD・TVOD・SVOD
ytv MyDo! 讀賣テレビ放送 AVOD
カンテレドーガ 関西テレビ放送 AVOD・月額ポイント制のTVOD
ひかりTV NTTぷらら SVOD・TVOD・EST
スカパー!番組配信 スカパーJSAT
SPOOX スカパーJSAT SVOD・TVOD
TVer 株式会社TVer AVOD・ライブ配信
Locipo 東海テレビ放送中京テレビ放送CBCテレビテレビ愛知

(システム運営業務委託:株式会社アップストリーム)

AVOD・ライブ配信・TVOD・月額制ライブ動画
ビデックスJP 株式会社ビデックス TVOD
HAPPY!動画 株式会社デジマース 月額ポイント制のTVOD
ムービーフルplus 株式会社Colorkrew(旧:株式会社ISAO) 月額ポイント制のTVOD
iTunes Store Apple
TSUBURAYA IMAGINATION 円谷プロダクション SVOD
アダルト動画配信サービス
サービス 所有者 ローンチ サービス形態
FANZA デジタルコマース 1998 EST・SVOD
ソクミル 株式会社ビデックス 2004 EST
DUGA 有限会社アペックス 2006 EST・SVOD
AdultFestaTV フェスタインターナショナル株式会社 2012 EST・SVOD
XCITY 株式会社アルケミア 1996 SVOD
TSUTAYA DISCAS 動画配信 カルチュア・エンタテインメント SVOD
JADE NET 株式会社I LINE 2010
SOD Prime ソフト・オン・デマンド EST・SVOD
MGS動画 メディアグローバルステージ 2005 EST・SVOD

ユーザー投稿型動画配信サービス編集

STBによる視聴編集

CATV編集

有線テレビジョン放送事業者またはRF方式の有線役務利用放送をする電気通信役務利用放送事業者が行うものであり、これらが行うCATV(有線テレビジョン放送又は電気通信役務利用放送)に附随するサービスとしてVODを提供している。インターネット(電気通信事業)に附随するサービスではない。

主な事業者

IPTV編集

IP方式の有線役務利用放送(IPTV)をする電気通信役務利用放送事業者が行うものである。利用するにはSTBが必要であるが、その機能を搭載したテレビ受像機も一部ある。主なものは次の通り。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ ディズニープラス有料会員、1億6420万人に”. 映画.com (2022年11月13日). 2022年11月17日閲覧。
  2. ^ Spangler, Todd (2021年4月29日). “Amazon Tops Q1 Expectations, Bezos Touts More Than 175 Million Prime Video Viewers” (英語). Variety. 2022年1月16日閲覧。
  3. ^ ディズニープラス有料会員、1億6420万人に”. 映画.com (2022年11月13日). 2022年11月17日閲覧。
  4. ^ 2022 First Quarter Presentation”. 2022年7月24日閲覧。
  5. ^ iQIYI Announces First Quarter 2022 Financial Results”. 米国証券取引委員会. 2022年7月24日閲覧。
  6. ^ a b Disney+の会員数が1440万人増、97万人減のNetflixと対照的な結果に”. 2022年8月15日閲覧。
  7. ^ “動画配信のParamount+とShowtime、同じアプリに”. 映画.com. (2022年9月12日). https://eiga.com/news/20220912/13/ 2022年9月13日閲覧。 
  8. ^ MANGO TV TO BECOME CHINA’S THIRD LARGEST SVOD SERVICE IN 2021 - SEÑAL NEWS” (英語). senalnews.com. 2022年1月20日閲覧。
  9. ^ “HBO Max and Discovery Plus Will Be Combined by Warner Bros. Discovery, Discovery CFO Confirms”. Variety. (2022年3月14日). https://variety.com/2022/tv/news/hbo-max-discovery-plus-combined-streaming-service-bundle-1235204060/ 2022年3月14日閲覧。 
  10. ^ 日経クロストレンド. “dTVが劇場版映画を製作 独自性で海外勢に勝てるのか” (日本語). 日経クロストレンド. 2022年3月2日閲覧。
  11. ^ U‐NEXT、会員275万人で前期比36万人増”. 文化通信.com (2022年10月15日). 2022年10月18日閲覧。
  12. ^ 日本のSVOD市場、会員数はAmazon Prime Videoがリード : 映画ニュース” (日本語). 映画.com. 2022年1月15日閲覧。
  13. ^ フジテレビ「FOD」有料会員数が100万人突破”. 文化通信.com (2022年11月22日). 2022年11月22日閲覧。
  14. ^ 日経ビジネス電子版. “視聴者4年で3倍 サイバー、赤字ABEMAに光明は差すか” (日本語). 日経ビジネス電子版. 2022年1月20日閲覧。

関連項目編集