山崎庸一郎
山崎 庸一郎(やまさき よういちろう[1]、1929年10月21日 - 2013年7月21日)は、日本のフランス文学者、翻訳家。学習院大学名誉教授。
人物情報 | |
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生誕 |
1929年10月2日 日本東京都 |
死没 | 2013年7月21日 (83歳没) |
出身校 | 東京大学 |
学問 | |
研究分野 | 文学(フランス文学) |
研究機関 | 学習院大学 |
経歴
編集1929年、東京生まれ。旧制学習院を経て、東京大学文学部仏文科で学ぶ。1953年に卒業。
卒業後は学習院大学フランス文学科助手となり、講師、助教授を経て教授に昇進。2000年に学習院大学を定年退職し、名誉教授となった。
受賞・栄典
編集研究内容・業績
編集- 当初はルネサンス期の詩歌の研究を中心としていたが、フランス留学と前後してアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ、テイヤール・ド・シャルダン、シモーヌ・ヴェイユなどに研究の中心を移した。主としてカトリック作家について数多くの翻訳をなした。
- 1990年には『サン=テグジュペリ著作集』をほぼ全訳、2005年にはそれまでの研究の成果を活かした『小さな王子さま』の新訳を出した[3]。
- 教え子には中条省平がいる。
著作
編集著書
編集- 『テイヤール・ド・シャルダン 未来への問いかけ』(講談社現代新書) 1971
- 『サン=テグジュペリの生涯』(新潮選書) 1971
- 『星の王子さまの秘密』(彌生書房) 1984
- 『愛のファンタスム アラン=フルニエ試論』(踏青社) 1988
共著
編集翻訳
編集- 『十六世紀フランス文学』(V・L・ソーニェ、二宮敬, 荒木昭太郎共訳、白水社、文庫クセジュ) 1958、のち改版
- 『ドゴール大戦回顧録』全6巻(ドゴール、村上光彦共訳、みすず書房) 1961 - 1966、のち新版
- 『モーリヤック 日記』第1・2(フランソワ・モーリャック、村上光彦共訳、みすず書房) 1961
- 『ペギー』(ロマン・ロラン、村上光彦共訳、「全集16」みすず書房) 1965
- 『中国で経験したこと』(ジュール・ロワ、篠田浩一郎, 岩崎力共訳、至誠堂) 1966
- 『ネロ』(ジェラール・ヴァルテル、みすず書房) 1967
- 『リコ兄弟』(ジョルジュ・シムノン、集英社、シムノン選集6) 1969、集英社文庫 1980
- 『人間その運命』(ルコント・デュ・ヌイ、中条忍共訳、彌生書房) 1970
- 『人格とアナーキー』(エマニュエル・ムーニエ、佐藤昭夫共訳、法政大学出版) 1972
- 『首かざり』(モーパッサン、集英社、ジュニア版世界の文学) 1975
- 『星の輝きを宿した無知』(ギュスターヴ・ティボン、みすず書房) 1976
- 『悪魔の陽のもとに』(ジョルジュ・ベルナノス、春秋社、ジョルジュ・ベルナノス著作集1) 1976
- 『歴史との対話 クリオ』(シャルル・ペギー、中央出版社) 1977
- 『七日七たび フランス・レジスタンスその一記録』(エマニュエル・ダスティエ、冨山房百科文庫) 1978
- 『他者』(ジュリアン・グリーン、「全集」人文書院、ジュリアン・グリーン) 1979
- 『神の足跡を求めて』(ジャック・リヴィエール、「選集」彌生書房) 1979
- 『人みな夜にあって』(ジュリアン・グリーン、「全集」人文書院) 1981
- 『文学と信仰のはざまで クローデルとの往復書簡』(ジャック・リヴィエール、中条忍共訳、「選集」彌生書房) 1982
- 『愛についての試論』(ジャン・ギトン、望月一雄訳、彌生書房) 1983
- 『絵画の記号学 エクリチュール・パンチュール』(ルイ・マラン、篠田浩一郎共訳、岩波書店) 1986
- 『空の英雄メルモーズ』(ジョゼフ・ケッセル、水野綾子共訳、中央公論社) 1988
- 『D・G・ロセッティ』(ジャック・ド・ラングラード、中条省平共訳、みすず書房) 1990
- 『眼は聴く』(ポール・クローデル、みすず書房) 1995
- 『プロポ』1・2(アラン、みすず書房) 2000 - 2003
- 『アラン 芸術について』(アラン、みすず書房、大人の本棚) 2004
サン=テグジュペリ関連
編集- 『城砦』(サン=テグジュペリ、粟津則雄共訳、みすず書房、サン=テグジュペリ著作集) 1962
- 『サン=テグジュペリ 愛と死』(ジュール・ロワ、晶文社) 1969
- 『サン=テグジュペリの言葉』(訳編、彌生書房) 1973、のち新版 1997
- 『空を耕すひと サン=テグジュペリの生涯』(カーティス・ケイト、渋沢彰共訳、番町書房) 1974
- 『若き日の手紙』(サン=テグジュペリ、みすず書房) 1978
- 『サン=テグジュペリ著作集』全11巻・別巻1(3、5巻は別訳)(みすず書房) 1983 - 1990
- 別巻は「証言」と「批評」での作家論。一部は新編版「サン=テグジュペリ・コレクション」全7巻 2000 - 2001
- 『サン=テグジュペリの世界 星と砂漠のはざまに』(リュック・エスタン、岩波書店) 1990
- 『永遠の星の王子さま サン=テグジュペリ最後の日々』(ジョン・フィリップスほか、図版解説、みすず書房) 1994
- 『親愛なるジャン・ルノワールへ』(サン=テグジュペリ、山崎紅子共訳、ギャップ出版) 2000
- 『小さな王子さま』(サン=テグジュペリ、みすず書房) 2005
- 『サン=テグジュペリ デッサン集成』(佐藤久美子共訳、宮崎駿序文、みすず書房) 2007
テイヤール・ド・シャルダン関連
編集- 『ある思想の誕生』(テイヤール・ド・シャルダン、「著作集8」みすず書房) 1969
- 『愛について』(テイヤール・ド・シャルダン、みすず書房) 1974
- 『永遠に女性的なるもの テイヤール・ド・シャルダンの一詩篇の研究』(アンリ・ド・リュバック、法政大学出版局) 1980
- 『神のくに・宇宙讃歌』(テイヤール・ド・シャルダン、宇佐見英治共訳、みすず書房) 1984
シモーヌ・ヴェーユ関連
編集- 『シモーヌ・ヴェーユの世界』(ダヴィー、晶文社) 1968
- 『シモーヌ・ヴェーユ ある肖像の素描』(リチャード・リース、筑摩叢書) 1972
- 『シモーヌ・ヴェーユ伝』(ジャック・カボー、中条忍共訳、みすず書房) 1974
- 『シモーヌ・ヴェーユ最後の日々』(ジャック・カボー、みすず書房) 1978
- 『カイエ 1』(シモーヌ・ヴェーユ、原田佳彦共訳、みすず書房) 1998
記念論集
編集- 『友情の微笑み』山崎庸一郎古稀記念論文集刊行委員会 2000
参考資料
編集- 「山崎庸一郎略年譜」『友情の微笑み』山崎庸一郎古稀記念論文集刊行委員会 2000
脚注
編集- ^ 『サン゠テグジュペリの生涯』(新潮社、1971)、『星の王子さまの秘密』(彌生書房、新装版 1994)、『小さな王子さま』(みすず書房、2005)、および『「星の王子さま」と学ぼう! はじめてのフランス語』(第三書房、2010)の著者(訳者)紹介によれば「やまさき」。カーティス・ケイト『空を耕すひと』(番町書房、1974)の著作権表記でも ‘Yamasaki’ である。一方リュック・エスタン『サン゠テグジュペリの世界』(岩波書店、1990)の奥付では訳者名のふりがなが「やまざき」となっている。:ちなみにフランス語では母音に挟まれたsは濁音となるので、本人が「やまざき」と読ませるつもりで用いたフランス語風のローマ字表記をひらがなに変換するにあたって濁らずに読み、それが以後も踏襲されていったという可能性は否定できない。
- ^ “秋の叙勲・褒章(私学関係者)”. 日本私立大学協会 (2009年11月4日). 2023年4月14日閲覧。
- ^ 座談会『星の王子さま』の魅力(『有隣』397)