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お笑い第七世代(おわらいだいななせだい)とは、2019年頃から提唱された、2010年代後半から活躍する若手お笑い芸人を指す俗称。明確な定義はないが、1987年以降に生まれたデジタルネイティブ[1]であるゆとり世代の芸人[2]または、1989年1月8日生まれ以降の平成生まれ[3][4][5]の現在20代から30代前半の世代[6]が該当するとされる。「第7世代」と表記されることもある。

発端編集

霜降り明星せいやが、2018年12月22日深夜放送のラジオ番組霜降り明星のだましうち![7]で「次の年号の世代を『第七世代』と勝手に銘打ち、20代で区切って固まる」ことを提案したことによる。これは、当初は芸人に限った話では無く、同世代のYouTuberミュージシャン等とともにジャンルを超えて集まることの提言であった[8][9]。この時の「七」という数字は、せいやの思いつきによるものであり、「順番ではないんすよね。平成世代とか、なんでもよかった」「『ゆとり世代』 でもええわ」ということであった[10][9]。後にせいやは、「ちょっとそんなん(第七世代)があったらおもろいなってラジオで言ったらブワッと広がってしまって…。」と語っている[11]。さらに、「上の世代に勝とうとかじゃなくて、自分ら20代でしかできないお笑いがあるのではないか、そういう可能性を探る世代」としている[10]

定義編集

ENGEIグランドスラム』2019年3月30日放送分や、『前略、西東さん』2019年4月27日放送分にて、お笑い第七世代のくくりで数組の芸人が紹介された。この時、どちらも第七世代を平成生まれとしてくくっている[4][5][12]

また、「お笑い8年周期説」に則って2017年にフジテレビで放送された『新しい波24』に出演・選抜された世代に該当している。この番組はお笑い第四世代を輩出した『新しい波』の第四弾に当たり、周期的にも第七世代と合致する。お笑い第六世代を輩出した『新しい波16』放送終了後の、2009年 - 2016年に芸能界デビューした芸人が選抜されており、この世代がお笑い第七世代に該当するものと扱われている。せいやが提案したのは20代で区切ることであったが、平成31年(2019年)に20代で区切ることは、1987年生まれ以降のゆとり世代や1989年生まれ以降の平成生まれで括ることに相当している。

お笑い評論家のラリー遠田によると、ウッチャンナンチャンダウンタウンが世に出始めた1980年代後半頃、彼らのような若い世代の芸人をすでに活躍している上の世代の芸人と区別するために作られた言葉が「お笑い第三世代」であり、ザ・ドリフターズコント55号が「第一世代」、タモリビートたけし明石家さんまが「第二世代」と後発的に位置づけられた。その後、「お笑い第四世代」「お笑い第五世代」などという言葉を使う人も一部にはいたが、「お笑い第三世代」以外はそれほど一般的ではない。これらの用語はウィキペディア日本語版の「お笑いブーム」という項目にまとめられているが、それ以外に明確な情報源があるわけではなく、ウィキペディア日本語版の記述が独り歩きして広まったのが実情ではないかと述べ、「お笑い第七世代」という言葉を使っている霜降り明星自身も、そのようなネット情報をもとにして自分たちをそこに位置付けているのだろうと指摘している[3]

反応編集

有吉弘行はこの括りに違和感を表明している。ノンキーズ山崎晋(現・ヤマザキモータース)くりぃむしちゅー有田哲平を引き合いに出し、同じ世代で売れた芸人と売れない芸人が存在していることから、世代で括ることに疑問を呈した。有吉自身、猿岩石は第四世代に該当するが、自身のブレークはそこから遅れている[13]

EXITの兼近は、2019年に行われた長谷川まさ子とのインタビューの中で、この世代について「経歴とかじゃなくて、出てきたタイミングかな。今テレビに出てきて、お笑いを盛り上げている世代のことを言っているのかなって。」と語っている[14]

カミナリのまなぶは、「『お笑い第7世代』とかで括られるのは、霜降りがリーダーになっちゃうから嫌ですけど(苦笑)」とする一方、「テレビに出ているのが、僕らの世代に集まっているのは嬉しい」と語っている[15]

特徴編集

価値観編集

ラリー遠田によると、お笑い第七世代は、物心ついた頃からインターネットが身近にあったデジタルネイティブ世代であり、お笑い以外の文化にも幅広い関心を持っている。具体的には、上の世代の芸人と比べて、地上波テレビを絶対視するような意識が薄く、YouTuberにも偏見を持っていない者が多い[16]。霜降り明星・粗品は、「20代はそんなガツガツしてない。特に体張る系は慣れてない。ぼくらの時代は体罰はもう問題になっていたんで、そういう違いはめっちゃある」と語っている。ハナコの岡部は、同世代で上下関係が厳しい人を聞かないとし、陣内智則は、事務所が違っても仲がよく、コンビも仲がいいと語っている。また陣内は、「テレビで物怖じしない」との印象を受けており、テレビ東京佐久間宣行は、昔はモテたいとかお金が欲しいとか別の野心があってお笑いを選んでた人たちが多かったのに対し、多分お笑い以外で稼げる能力や選択肢がたくさんある上でお笑いを選んでいるから、「よこしまな気持ちでお笑いをやってない」と語っている[10]

膨大なネタの吸収量と賞レース志向編集

ひつじのあゆみは、「'00年代には『爆笑オンエアバトル』『エンタの神様』『笑いの金メダル』など学校でも話題になるネタ番組が毎週放送されており」、「膨大な量の今まで見てきたお笑いを凌駕するハードルはおそらくどの世代よりも高い」とし、K-PROの児島気奈は、「お笑いに関する情報をこれでもかと吸収して育ってきた世代なので地肩がすごくてスタート地点が非常に高い」と語っている。さらに陣内智則は、自分たちがとりあえず劇場でウケるネタを作ることを第一に考えていたのに対し、最初から賞レースに向けてやっているという印象を述べている。せいやも、「ネタが好き、賞レース命で出てきてるところがハナコとシンパシーを感じる」と語っている[10]

ダウンタウンの影響を色濃く受けていない編集

ライセンス井本貴史によると、長年ダウンタウンとダウンタウンの影響を受けた芸人が活躍しており、M-1グランプリもその芸人たちが優勝してきたが、霜降り明星の優勝によりダウンタウンの影響下にある世代がひとつ終わったという。井本はこれを「ダウンタウンの終わりを見た」と表現し、ゆえに霜降り明星の優勝に「鳥肌が立った」という感想を残している[17]。霜降り明星のせいやは、現在のNSC生は、ダウンタウンの登場から40年以上経った後の新しいお笑い界の世代であると認めている[17]。また、この世代はダウンタウンという「神様」からだいぶ離れた世代であるため、同コンビからの影響を一切受けていない新しい笑いを作らなければならないという思いがあるとも語っている[18]

「第七世代」という括りで特集が組まれた番組・書籍編集

テレビ番組編集

  • 『ENGEIグランドスラム』2019年3月30日[12]、8月17日放送分[19]
  • 『前略、西東さん』2019年4月27日放送分[5]
  • 『7G〜SEVEN GENREATION〜』(2019年8月31日-、フジテレビ)

書籍編集

  • 『芸人芸人芸人』コスミック出版、2019年8月1日。ISBN 978-4-7747-8671-1

関連項目編集

脚注編集

注釈編集

出典編集

  1. ^ ミレニアル世代が振り返る2018年。霜降り明星、ローラ発言、アジアの音楽…”. bizSPA!フレッシュ (2019年1月27日). 2019年1月29日閲覧。
  2. ^ 本番中ファイナリストは何を考えていたのか?M-1激アツ裏話&お笑い第7世代について 【霜降り明星のパパユパユパユ】 - YouTube
  3. ^ a b ラリー遠田 (2019年4月27日). “霜降り明星が牽引する「お笑い第七世代」は、令和の“笑い”の主役になれるのか?”. AERA aot.. 2019年5月27日閲覧。
  4. ^ a b 『ENGEIグランドスラムLIVE』出演者第3弾発表!”. フジテレビ (2019年3月27日). 2019年5月27日閲覧。
  5. ^ a b c Inc, Natasha. “レインボー、スタンダップコーギーら平成生まれ芸人が「西東さん」集結” (日本語). お笑いナタリー. 2019年5月14日閲覧。
  6. ^ 「お笑い第七世代」フレーズに賛否両論2019年5月25日
  7. ^ お笑い第7世代の“新BIG3”は「四千頭身」「EXIT」「宮下草薙」で決まり?”. 日刊大衆 (2019年5月22日). 2019年5月27日閲覧。
  8. ^ ラリー遠田 (2019年4月27日). “霜降り明星が牽引する「お笑い第七世代」は、令和の“笑い”の主役になれるのか?”. AERA aot.. 2019年5月27日閲覧。
  9. ^ a b “霜降り明星、世にはばかる”. クイック・ジャパン (太田出版) 145. (8 2019). 
  10. ^ a b c d 芸人芸人芸人. コスミック出版. (2019年8月1日). 
  11. ^ 霜降り明星、低姿勢貫く 次なる“冠”獲得期待も「反感買わないように」”. Billboard JAPAN (2019年5月22日). 2019年5月27日閲覧。
  12. ^ a b Inc, Natasha. “サンド、千鳥、アンガ「ENGEI」出張ライブ、リズムネタや新世代企画も” (日本語). お笑いナタリー. 2019年5月14日閲覧。
  13. ^ 「お笑い第七世代」フレーズに賛否両論”. リアルタイム (2019年5月25日). 2019年1月29日閲覧。
  14. ^ EXIT (2019年6月15日). お笑いコンビ「EXIT」、“うさぎ跳び”的伝統の笑いに反逆!?. インタビュアー:長谷川まさ子. Yahoo!ニュース個人.. https://news.yahoo.co.jp/byline/hasegawamasako/20190615-00128980/ 2019年6月15日閲覧。 
  15. ^ カミナリが語る、お笑い第7世代「霜降り明星、ハナコの優勝は刺激になった」 | ページ 2” (日本語). bizSPA!フレッシュ (2019年6月8日). 2019年6月11日閲覧。
  16. ^ ラリー遠田 (2019年4月27日). “霜降り明星が牽引する「お笑い第七世代」は、令和の“笑い”の主役になれるのか?”. AERA aot.. 2019年5月27日閲覧。
  17. ^ a b 霜降り明星が語る“お笑い第七世代”の覚悟「ダウンタウンさんになれるチャンス」”. オリコン (2019年1月30日). 2019年1月29日閲覧。
  18. ^ 霜降り、NSC生に新時代到来を宣言「イーブイやシャワーズで笑い取れる時代が来る」”. ナタリー (2019年1月30日). 2019年1月29日閲覧。
  19. ^ ザテレビジョン. ““お笑い第7世代”が一挙集結!「ENGEIグランドスラム LIVE」第2弾出演者 (1/2) | 芸能ニュースならザテレビジョン” (日本語). ザテレビジョン. 2019年8月19日閲覧。