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セントロサウルス

セントロサウルス Centrosaurus は、中生代白亜紀後期の北アメリカ大陸に生息していた角竜の仲間の恐竜カナダアルバータ州の白亜紀の地層から数千個体分もの大量の化石が産出しており、群れを形成する恐竜だったと考えられている。最もよく知られたケラトプス類の一つ。 世界で最も多様な角竜の化石を産出する州立恐竜公園において代表的な動物であり、セントロサウルス亜科の模式属でもある。 学名は古代ギリシャ語で「尖ったトカゲ」を意味し、鼻の上の角ではなくフリルの縁のホーンレットに因んでいる(命名の時点で鼻の上の角は見つかっていなかった為)。模式種セントロサウルス・アペルトゥス Centrosaurus apertus種小名ラテン語で「開いた」という意味で、フリルの開口部に因んでいる。

セントロサウルス
Centrosaurus
セントロサウルス・アペルトゥス。ロイヤル・ティレル古生物学博物館
地質時代
白亜紀後期カンパニアン
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 周飾頭亜目 Marginocephalia
下目 : 角竜下目 Ceratopia
: ケラトプス科 Ceratopidae
亜科 : セントロサウルス亜科 Centrosaurinae
: セントロサウルス Centrosaurus
学名
Centrosaurus
Lambe1904
シノニム
  • Monoclonius nasicornus Brown, 1917
  • Eucentrosaurus apertus (Lambe, 1904) Chure & McIntosh, 1989

目次

セントロサウルスの名称問題編集

Centrosaurus の名は、先に現生のトカゲの仲間に使用されていたため、このケラトプス類には新たに エウセントロサウルスEucentrosaurus の名が与えられたが、その後、そのトカゲに与えられたCentrosaurusという名称は改名され、CentrosaurusEucentrosaurusの両方が有効名という紛らわしいことになっている。日本ではセントロサウルスの方が使用頻度が高い。

またCentrosaurus は、「ケントロサウルス」と表記されることもあるが、剣竜類Kentrosaurus というものがあり、こちらもカナ表記すると同じケントロサウルスになってしまう。混乱を避けるためにカナ表記では Centrosaurus を「セントロサウルス」、 Kentrosaurus を「ケントロサウルス」と呼び分けることが多い。

形態編集

セントロサウルスの筋骨逞しい肉体は強靭な肋骨により支えられていた。全長は約6メートル強ととりわけ巨大な恐竜というわけではない。鼻先に1本の角を持つ。この角は個体(恐らく年齢)によって前に曲がったり後ろに曲がったり、上にまっすぐに伸びたりとバリエーションが様々である[1]。後頭部に短いフリルが発達する。骨質の短い棘がフリルの周縁を囲み、フリルの後端部には鍵型に湾曲した一対の骨が目立つ。これらの装飾は成長と共に伸びたものと思われる。眼窩上部にも、小さな角状突起が存在する。フリルの骨格には大きな穴があり、軽量化されている。胴体は樽状で、太く頑丈な四肢と短い尾を持つ[2]

 
生体復原図

発見編集

セントロサウルスの最初の発見はローレンス・ラムによってなされた。場所はカナダアルバータ州のレッドディア川沿いのダイナソーパーク累層だった。その後に、州立恐竜公園で膨大なボーンベッドが発見された。いくつかのボーンベッドは数100mの範囲に渡って広がっており、数千個体分ものあらゆる年齢、あらゆる保存状態のセントロサウルスの骨で構成されていた。科学者たちは大規模な群れが洪水した川を渡ろうとして大量に溺死した結果であると推測している。[3]ヒルダの町の近くで発見されたヒルダ・メガボーンベッドは、これまでに発見されたすべての恐竜のボーンベッドの中で最大であると信じられている。[4]

C. brinkmaniという種が2005年に本属の新種として記載されたが、2012年に新属としてコロノサウルスに分移された。[5]

分類編集

 
AMNH 5427の組立骨格, ビクトリア博物館

セントロサウルスはセントロサウルス亜科というグループの名前の由来になっている通り、同グループを代表する存在である。セントロサウルス亜科にはスティラコサウルスパキリノサウルスが内包され、それらはケラトプス類の中では比較的セントロサウルスに近縁である。スティラコサウルス、モノクロニウス、コロノサウルスなどはかなり類似している為、古生物学者の中には同じ動物と考える者もいる。[3][6][7] [8][9] 1996年、ピーター・ドッドソンはセントロサウルスとスティラコサウルス、ならびにセントロサウルスとモノクロニウスの間に属を分けるだけの十分な根拠となる差異を見出し、スティラコサウルスはセントロサウルスよりもモノクロニウスにより近縁であることを示唆した。

 
発生順序別の頭骨

ドッドソンはモノクロニウスの一種であるM.ナシコルニス M. nasicornis はスティラコサウルスの雌かもしれないとした。[10] 彼の主張は一部の他の研究者たちから賛同を得ている。[11]プロトケラトプス科からは性的二形の証拠が見つかっているが[12]いかなるケラトプス類においても性的二形の確固たる証拠は見つかっていない。[13][14][15] 一方、ライアンらは C. nasicornusC. apertusの同物異名[16]、またはセントロサウルスの種 Centrosaurus nasicornusとすべきであると考えており[17] 、それは同時にスティラコサウルス・アルベルテンシスStyracosaurus albertensisの直系の祖先であることも示唆している。[18] 2014年の研究では、C. nasicornusC. apertusの新参異名であり、成長の中間段階であると考察されている。[1]

以下のクラドグラムは2016年のライアンらによる分岐分類に基づいている。[19]

セントロサウルス亜科

ディアブロケラトプス・エアトニ



ナストケラトプス族

アヴァケラトプス・ランメルシ(ANSP 15800)



MOR 692



CMN 8804



ナストケラトプス・ティトゥシ



マルタの新タクソン





ゼノケラトプス・フォレモステンシス




アルベルタケラトプス・ネスモイ




シノケラトプス・ズケンゲンシス



ウェンディケラトプス・ピンホルネンシス




パキリノサウルス族

エイニオサウルス・プロクルヴィコルニス




アケロウサウルス・ホルネリ


パキリノサウルス

パキリノサウルス・カナデンシス




パキリノサウルス・ラクスタイ



パキリノサウルス・ペロトルム






セントロサウルス族


ルベオサウルス・オヴァトゥス



スティラコサウルス・アルベルテンシス






スピノプス・ステルンベルゴルム



セントロサウルス・アペルトゥス




コロノサウルス・ブリンクマニ









脚注編集

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  1. ^ a b Frederickson, J. A.; Tumarkin-Deratzian, A. R. (2014年). “Craniofacial ontogeny in Centrosaurus apertus. PeerJ 2: e252. doi:10.7717/peerj.252. PMC 3933270. PMID 24688836. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3933270/. 
  2. ^ ヘーゼル・リチャードソン、デイビッド・ノーマン(監修) 『恐竜博物図鑑』 出田興生(訳)、新樹社〈ネイチャー・ハンドブック〉、2005年、127頁。ISBN 4-7875-8534-7
  3. ^ a b "Centrosaurus." In: Dodson, Peter & Britt, Brooks & Carpenter, Kenneth & Forster, Catherine A. & Gillette, David D. & Norell, Mark A. & Olshevsky, George & Parrish, J. Michael & Weishampel, David B. The Age of Dinosaurs. Publications International, LTD. p. 135. ISBN 0-7853-0443-6.
  4. ^ Scientists find dino deathbed, signs of carnage. Edmonton Sun. http://www.edmontonsun.com/news/canada/2010/06/18/14439211.html retrieved 18 06 2010
  5. ^ Ryan, M. J.; Evans, D. C.; Shepherd, K. M.; Sues, H. (2012年). “A new ceratopsid from the Foremost Formation (middle Campanian) of Alberta”. Canadian Journal of Earth Sciences 49 (10): 1251. doi:10.1139/e2012-056. 
  6. ^ Ryan, M.J.; A.P. Russell (2005年). “A new centrosaurine ceratopsid from the Oldman Formation of Alberta and its implications for centrosaurine taxonomy and systematics”. Canadian Journal of Earth Sciences 42 (7): 1369–1387. doi:10.1139/e05-029. 
  7. ^ Dodson, P. (1990). “On the status of the ceratopsids Monoclonius and Centrosaurus”. In Carpenter, K.. Dinosaur Systematics: Perspectives and Approaches. Cambridge: Cambridge University Press. pp. 231–243. ISBN 0-521-36672-0. 
  8. ^ Ryan, M.J. (2007年). “A new basal centrosaurine ceratopsid from the Oldman Formation, southeastern Alberta”. Journal of Paleontology 81 (2): 376–396. doi:10.1666/0022-3360(2007)81[376:ANBCCF]2.0.CO;2. 
  9. ^ Dodson, P., Forster, C. A, and Sampson, S. D. (2004) Ceratopsidae. In: Weishampel, D. B., Dodson, P., and Osmólska, H. (eds.), The Dinosauria (second edition). University of California Press:Berkeley, pp. 494–513. 0-520-24209-2.
  10. ^ Dodson, P. (1996). The Horned Dinosaurs: A Natural History. Princeton University Press: Princeton, New Jersey, pp. 197–199. 0-691-02882-6.
  11. ^ Ryan, Michael J.; Evans, David C. (2005). “Ornithischian Dinosaurs”. In Currie, Phillip J.. Dinosaur Provincial Park: A Spectacular Ancient Ecosystem Revealed. Bloomington: Indiana University Press. pp. 312–348. ISBN 0-253-34595-2. 
  12. ^ Dodson, P. “Quantitative aspects of relative growth and sexual dimorphism in Protoceratops”. Journal of Paleontology 50: 929–940. 
  13. ^ Forster, C. A. (1990). The cranial morphology and systematics of Triceratops, with a preliminary analysis of ceratopsian phylogeny. Ph.D. Dissertation. University of Pennsylvania, Philadelphia. 227 pp.
  14. ^ Lehman, T. M. (1998年). “A gigantic skull and skeleton of the horned dinosaur Pentaceratops sternbergi from New Mexico”. Journal of Paleontology 72 (5): 894–906. 
  15. ^ Sampson, S. D.; Ryan, M.J.; Tanke, D.H. (1997年). “Craniofacial ontogeny in centrosaurine dinosaurs (Ornithischia: Ceratopsidae): taphonomic and behavioral phylogenetic implications”. Zoological Journal of the Linnean Society 121 (3): 293–337. doi:10.1111/j.1096-3642.1997.tb00340.x. 
  16. ^ M.J. Ryan and D.C. Evans, 2005, "Ornithischian dinosaurs". In: P.J. Currie and E.B. Koppelhus (eds.), Dinosaur Provincial Park: A Spectacular Ancient Ecosystem Revealed. Indiana University Press, Bloomington pp 312-348
  17. ^ Russell, L.S. (1930年). “Upper Cretaceous dinosaur faunas of North America”. Proceedings of the American Philosophical Society 69 (4): 133–159. 
  18. ^ Paul, G.S., 2010, The Princeton Field Guide to Dinosaurs, Princeton University Press p. 261
  19. ^ Ryan, M.J.; Holmes, R.; Mallon, J.; Loewen, M.; Evans, D.C. (2017年). “A basal ceratopsid (Centrosaurinae: Nasutoceratopsini) from the Oldman Formation (Campanian) of Alberta, Canada”. Canadian Journal of Earth Sciences 54. doi:10.1139/cjes-2016-0110. http://www.nrcresearchpress.com/doi/pdf/10.1139/cjes-2016-0110. 

関連項目編集