ハース・VF-19 (Haas VF-19) は、ハースF1チーム2019年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。

ハース・VF-19
カテゴリー F1
コンストラクター ハース
先代 ハース・VF-18
後継 ハース・VF-20
主要諸元
エンジン フェラーリ 064
1.6L V6ターボ
タイヤ ピレリ
主要成績
チーム リッチ・エナジー・ハースF1チーム
(Round 1-14)
ハースF1チーム
(Round 15-21)
ドライバー フランスの旗 ロマン・グロージャン
デンマークの旗 ケビン・マグヌッセン
出走時期 2019年
通算獲得ポイント 28
初戦 2019年オーストラリアGP
最終戦 2019年アブダビGP
出走優勝表彰台ポールFラップ
21(42台)0001
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概要 編集

2019年2月18日、プレシーズンテストが行われるカタロニア・サーキットで初公開された[1]。それに先駆けた2月7日に新しいカラーリングが公開され、イギリスエナジードリンクメーカーのリッチ・エナジーとのタイトルスポンサー契約開始に伴い、同社のブランドカラーであるブラックとゴールドに変わった[2][3]

しかし、雄鹿をモチーフにした同社のブランドロゴが著作権法違反で訴えられて敗訴したことから、第7戦カナダGPからロゴが削除され[4]、さらに第10戦イギリスGPの開催中にCEOが突如スポンサーを降板すると発表したが、CEOの独断で行われたことが判明した[5]。この騒動によってCEOは同社を去り、社名は「ライトニング・ボルト」に変更された。同社のグローバル戦略の変更に伴い、第14戦イタリアGP終了後に改めてスポンサーの降板を発表した[4]。なお、スポンサー終了後もブラックとゴールドのカラーリングを維持した[6][7]

2016年のF1参戦開始以降、フェラーリからパーツの供給を受けているが、空力パーツについては、ハースが独自で開発したもので構成されている[8]

2019年シーズン 編集

 
プレシーズンテストでのVF-19(ドライバーはロマン・グロージャン)。この時点ではリッチ・エナジー社のブランドロゴである雄鹿が描かれていた。

ドライバーはロマン・グロージャンケビン・マグヌッセンが引き続き残留。

プレシーズンテストではパワーユニット(PU)が原因のトラブルはあったものの、チームとしては大きなトラブルもなくテストを終えた。 シーズン前半だが、開幕戦オーストラリアGPこそ2台でのQ3進出とマグヌッセンの6位入賞という形でスタート。たが、新規格のタイヤとのマッチングに苦戦。チームもそれを把握[9]しており、タイヤの温度変化が激しい決勝の対応、いわゆるレースペースの問題が解消できれば、速さを発揮できると考えていた。実際、タイヤの温度のコントロールがしやすい予選では速さを見せており、第9戦オーストリアGPでマグヌッセンが予選Q3進出からの5番手獲得(規定外のギアボックス交換のペナルティにより決勝は10番手スタート)のように、予選Q3進出ができることからマシンとしての一発の速さという点では他と比べ劣っているわけではなかった。

ところが、予想よりマシン開発に苦戦[10]。試行錯誤の中、データ収集の一環で第11戦ドイツGPのフリー走行にて空力パーツの検証を実施し、開幕戦仕様(旧型)とアップグレード版のマシンの比較を行ったら、開幕戦仕様の方が速いことが判明[11]。この一件で今季のマシンはタイヤとのマッチング以外も問題があるという認識を示した[12]。そのため、タイヤとのマッチング[13]の件もあるが、来季のために後半戦のフリー走行は全てテスト寄りの内容に変更[14]。それを通じて原因が判明し、チーム側は今季のマシン開発の失敗が原因とするコメント[15]を残した。

最終的にはマシン開発の失敗が響き、全ての面においてチーム発足以来の最低成績でシーズンを終えることとなった。偶然ではあるが、それぞれのドライバーが獲得したポイントは、それぞれのカーナンバーと同じである。

スペック 編集

[16][8]

シャシー 編集

パワーユニット 編集

  • 型式:フェラーリ 064
  • 排気量:1,600cc
  • 気筒数:V型6気筒
  • 過給機形式:ターボ
  • 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)

記録 編集

No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 ポイント ランキング
AUS
 
BHR
 
CHN
 
AZE
 
ESP
 
MON
 
CAN
 
FRA
 
AUT
 
GBR
 
GER
 
HUN
 
BEL
 
ITA
 
SIN
 
RUS
 
JPN
 
MEX
 
USA
 
BRA
 
ABU
 
2019 8   グロージャン Ret Ret 11 Ret 10 10 14 Ret 16 Ret 7 Ret 13 16 11 Ret 13 17 15 13 15 28 9位
20   マグヌッセン 6 13 13 13 7 14 17 17 19 Ret 8 13 12 Ret 17 9 15 15 18 11 14

脚注 編集

  1. ^ “ハースF1が2019年型マシン『VF-19』をバルセロナテストでお披露目”. AUTOSPORTweb. (2019年2月18日). http://www.as-web.jp/f1/453267?all 2019年2月25日閲覧。 
  2. ^ “ハースF1が2019年シーズンのマシンカラーリングを発表。黒と金の配色でイメージを一新”. AUTOSPORTweb. (2019年2月7日). http://www.as-web.jp/f1/450123?all 2019年2月25日閲覧。 
  3. ^ “ハースF1、「2019年の目標はレッドブル撃破」と明言。新スポンサーともども自信を示す”. AUTOSPORTweb. (2019年2月7日). http://www.as-web.jp/f1/450239?all 2019年2月25日閲覧。 
  4. ^ a b “ハースF1チーム、タイトルスポンサーの『リッチ・エナジー』とのパートナーシップ終了を発表”. AUTOSPORTweb. (2019年9月9日). https://www.as-web.jp/f1/520483?all 2019年9月10日閲覧。 
  5. ^ リッチエナジー、ハースとの契約終了はCEOの独断専行? 株主と意見対立か”. motorsport.com (2019年7月11日). 2019年7月12日閲覧。
  6. ^ ハースF1、リッチエナジーとのタイトルスポンサー契約の”友好的な”解消を発表”. motorsport.com (2019年9月10日). 2019年9月10日閲覧。
  7. ^ タイトルスポンサー契約解消のハースF1、マシンの新カラーを披露。リッチ・エナジーのブラック&ゴールドを引き続き使用”. autosport web (2019年9月17日). 2019年9月19日閲覧。
  8. ^ a b “【新旧F1マシンスペック比較】ハース編:カラーリング一新のVF-19は、独自空力開発が光るマシンに”. AUTOSPORTweb. (2019年2月23日). http://www.as-web.jp/f1/455203?all 2019年2月25日閲覧。 
  9. ^ タイヤ加熱に苦しむハースは早くも白旗? 直線が長いバクーで「失望する準備」jp.motorsport.com(2019年4月23日)同年同月29日閲覧
  10. ^ 母国GPなのに……グロージャン、アップグレード無しに“がっかり”jp.motorsport.com(2019年6月23日)2019年6月24日閲覧
  11. ^ アップグレード版よりも速い……ハース、今後は“開幕戦仕様”のパッケージで参戦?jp.motorsport.com(2019年7月27日)2019年7月29日閲覧
  12. ^ 不振続くハース、マシン開発も空振りで「参ってしまう……」とチーム代表jp.motorsport.com(2019年9月17日)2019年9月19日閲覧
  13. ^ タイヤの問題に苦しみ続けるハースF1、2019年シーズン中の解決は困難とチーム代表が示唆www.as-web.jp(2019年10月18日)2019年10月21日閲覧
  14. ^ F1技術解説:2019年シーズン低迷の原因をつかんだハース。新フロントウイングをテストwww.as-web.jp(2019年11月15日)2019年11月19日閲覧
  15. ^ ハース、シーズン終了を待ち望む「今は”守備11人”でサッカーしているような状況」jp.motorsport.com(2019年11月13日)2019年11月19日閲覧
  16. ^ “Haas F1 Team’s 2019 Challenger: The VF-19”. Rich Energy Haas F1 Team. (2019年2月7日). https://www.haasf1team.com/machine 2019年2月25日閲覧。