ルーカスフィルム
ルーカスフィルム・リミテッド(Lucasfilm Ltd. LLC)は、1971年にジョージ・ルーカスが設立した映像製作会社である。2012年以降はウォルト・ディズニー・スタジオの傘下となっている。
![]() | |
![]() サンフランシスコのレターマン・デジタル・アーツセンター。本社機能の大部分が入る。 | |
種類 | LLC |
---|---|
略称 | LFL |
本社所在地 |
![]() カリフォルニア州マリンカウンティ |
設立 | 1971年12月10日 |
業種 | 公開会社 |
事業内容 | 映画・アニメーション |
代表者 | キャスリーン・ケネディ |
従業員数 | 2,000人 |
所有者 | ウォルト・ディズニー・スタジオ |
主要株主 | ウォルト・ディズニー・カンパニー |
主要子会社 |
インダストリアル・ライト&マジック ルーカスフィルム・アニメーション スカイウォーカー・サウンド ルーカスアーツ Singapore B.V. ルーカス・デジタル ルーカス・ライセンシング ルーカス・ブックス ルーカス・ラーニング ルーカス・オンライン |
関係する人物 | ジョージ・ルーカス |
『スター・ウォーズシリーズ』をはじめ、『インディ・ジョーンズ シリーズ』などの映画製作とメディアフランチャイズを行っている。本社はカリフォルニア州マリンカウンティにあるスカイウォーカーランチ内に設置されている。
映画における特殊撮影・視覚効果や、サウンド、コンピューター・アニメーションのパイオニアとしても有名で、他社の映画制作に数多く参加している。1980年代~90年代にかけては、『E.T.』、『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』、『ターミネーターシリーズ』、『ジュラシック・パーク』、『タイタニック』といった作品で革新的技術を世に見せ、映像製作会社としての地位を確立した。2000年代以降も、ピクサー・アニメーション・スタジオの各種作品や、『ハリー・ポッターシリーズ』、『トランスフォーマー』、『マーベル・シネマティック・ユニバース』などの人気映画に参加している[1][2][3]。
歴史編集
映像技術編集
1977年公開の『スター・ウォーズ』に、それまでの映画で見られなかった特撮を取り込みたいとルーカスは考えていた。しかし、配給会社である20世紀フォックスの特撮部門は当時閉鎖していたので、プロデューサーのゲイリー・カーツと協力し、独自のチームを作ることになった。まず、ダグラス・トランブルのアシスタントだったジョン・ダイクストラを招き、彼を通じて、大学生やエンジニアなどを集めた。そのメンバーは、インダストリアル・ライト&マジック(略称:ILM)と名付けられた。『スター・ウォーズ』の公開後にチームは解散したが、1978年に新しいILMが開設された。
1979年には、ニューヨーク工科大学よりエドウィン・キャットマルをヘッドハントし、コンピューター・アニメーション部門が設立された[4]。後にCG部門は独立しピクサーとなる。
その後もILMはルーカスフィルムの映画制作を通して、CGI、デジタル合成、デジタルリムーバル、モーフィングなど、昨今の大作映画に欠かせない映像技術の研究と開発に大きく貢献した。長年、サン・ラファエルに置かれていたが、2005年にマーケティング、オンライン、ライセンシング部門と共にレターマン・デジタル・アーツセンターに移動した。
ディズニーとの関係編集
ディズニーのアトラクション『キャプテンEO』の映像製作をルーカスフィルムが務めたことで、両社の繋がりが生まれた。1987年に『スター・ツアーズ』、1995年に『インディ・ジョーンズ・アドベンチャー』がディズニーパークにオープンした。
2012年10月31日、ウォルト・ディズニー・カンパニーは現金と株式40億5000万ドル相当でルーカスフィルムを買収した[5][6][7][8]。ルーカス本人も会社から身を引き、後任の社長として映画プロデューサーのキャスリーン・ケネディを指名[9][10][11]。幼い頃からディズニーのファンだったと公言しているルーカスは、「ディズニーは巨大な企業で、あらゆる能力や設備が整っている。今回の買収によりルーカスフィルムが得られる強さは大いにあるだろう」「自分が会社を去っても『スター・ウォーズ』は今後100年続く」と語っていた[12][13]。
買収から6年経った2018年にはディズニー最高経営責任者のボブ・アイガーから、ルーカスフィルムの買収額は既に回収済みと発表された[14][15][16]。
サイト編集
- スカイウォーカーランチ:本社機能とスカイウォーカー・サウンドが入っている。
- ニューサイト:ランチの隣の谷にできたビル。マーチャンダイジング部門が入っている。
- レターマン・デジタル・アーツセンター:2005年からはサンフランシスコ市内プレシディオに大規模なスタジオをオープンし、ILMなどが入る。
部門会社編集
ルーカスフィルムの関連会社には、以下のものがある。
- ルーカス・デジタル
- スカイウォーカー・サウンド - 音響のポストプロダクションを業務とする
- インダストリアル・ライト&マジック(ILM) - SFX・VFX製作会社
- ルーカス・ライセンシング - 「スター・ウォーズ」などのマーチャンダイジングとライセンシングを扱う会社
- ルーカス・ブックス - 出版関連
- ルーカス・ラーニング - 教材関連
- ルーカスアーツ - ゲーム会社
- ルーカスフィルム・アニメーション - アニメ製作会社(2006年設立)
- ルーカス・オンライン - ウェブサイト運営
かつての傘下会社編集
- ピクサー - 1986年にスティーブ・ジョブズに売却
- THX Ltd. - 2002年に独立
製作作品編集
スター・ウォーズ編集
- スター・ウォーズ Star Wars (1977)
- スター・ウォーズ 特別篇 Star Wars: Special Edition (1997)
- スター・ウォーズ/帝国の逆襲 Star Wars - The Empire Strikes Back (1980)
- スター・ウォーズ/帝国の逆襲 特別篇 Star Wars - The Empire Strikes Back: Special Edition (1997)
- スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 Star Wars - Return of the Jedi (1983)
- スター・ウォーズ/ジェダイの復讐 特別篇 Star Wars - Return of the Jedi: Special Edition (1997)
- スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス Star Wars Episode I - The Phantom Menace (1999)
- スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃 Star Wars Episode II - Attack of the Clones (2002)
- スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 Star Wars Episode III - Revenge of the Sith (2005)
- スター・ウォーズ/フォースの覚醒 Star Wars: The Force Awakens (2015)
- ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー Rogue One: A Star Wars Story (2016)
- スター・ウォーズ/最後のジェダイ Star Wars: The Last Jedi (2017)
- ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー Solo: A Star Wars Story (2018)
- マンダロリアン The Mandalorian (2019 - )
- スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け Star Wars: The Rise of Skywalker (2019)
インディ・ジョーンズ編集
- レイダース/失われたアーク《聖櫃》 Raiders of the Lost Ark (1981)
- インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 Indiana Jones and the Temple of Doom (1984)
- インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 Indiana Jones and the Last Crusade (1989)
- インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull (2008)
- インディ・ジョーンズ5 Indiana Jones 5 (2021)
脚注編集
- ^ “映画上映前に流れるTHXロゴの「ブゥゥウウンン」という音の正体とは? - GIGAZINE”. gigazine.net. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “『スター・ウォーズ』史上最高の音を日本唯一の劇場で!ルーカスが認めたTHX” (日本語). シネマトゥデイ. 2020年4月8日閲覧。
- ^ 岡本玄介 (2019年8月23日). “映画音響THXの新しいディープ・ノート・トレイラーは映画館に行った気分になれるよ” (日本語). www.gizmodo.jp. 2020年4月8日閲覧。
- ^ 『ピクサー 早すぎた天才たちの大逆転劇』 早川文庫〈ハヤカワ文庫NF〉、2015年。ISBN 978-4150504243。
- ^ "Disney to Acquire Lucasfilm Ltd."(ウォルト・ディズニーによるプレス・リリース)
- ^ 「ディズニー、スター・ウォーズの『ルーカス』買収 15年にも新作上映」(日本経済新聞、2012年10月31日、9時25分)
- ^ Inc, mediagene (2012年10月31日). “ディズニーがルーカスフィルム買収、「スター・ウォーズ エピソード7」制作へ着手” (日本語). www.gizmodo.jp. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “なぜルーカスフィルムを買収したのか、“放送事業者”としてのディズニー (1/4)” (日本語). ITmedia ビジネスオンライン (2012年12月4日). 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ディズニーがルーカスフィルムを買収” (2012年10月31日). 2012年11月2日閲覧。
- ^ “ルーカスフィルム、40億ドル。それはディズニーにとって「いい買い物」だった|WIRED.jp” (日本語). WIRED.jp. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ディズニーがルーカスフィルム買収、スター・ウォーズ新作に着手” (日本語). CNN.co.jp. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “『スター・ウォーズ』ルーカスフィルム社長、2021年まで任期延長” (日本語). シネマトゥデイ. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ルーカスフィルム社長が「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」の新企画について発言 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)” (日本語). screenonline.jp. 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ルーカスフィルムの買収から6年、ディズニーはすでに投資額を回収 | 未知領域” (日本語) (2018年12月10日). 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、21世紀フォックス買収の舞台裏とは? ロバート・アイガー『ディズニーCEOが実践する10の原則』4月7日刊行|Hayakawa Books & Magazines(β)” (日本語). Hayakawa Books & Magazines(β). 2020年4月8日閲覧。
- ^ “ディズニーが買収を繰り返したことによる成功と戦略とは? - GIGAZINE”. gigazine.net. 2020年4月8日閲覧。