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歴史編集

アメリカ西海岸で、不況時に失業者達が日銭を稼ぐ為、ジットニー(:Jitney)と呼ばれるT型フォード等を利用して始めた事に由来すると言われる(現在でも北米では Dollar van と呼ばれる個人事業によるバスの運行が行われている)。その後、モータリゼーションと共に世界中に波及した。アジアの一部の国では2サイクルエンジンの三輪トラックの荷台を改造した乗合タクシーが走っている。

日本の乗合タクシー編集

日本では、9人以下の旅客を運ぶ営業用自動車を利用した乗合自動車を乗合タクシーと呼んでいる。

深夜に別の交通機関がなくなる地域や、過疎地など路線バスの機能が充分に発揮できない(大型自動車を用いて一定の運行頻度を保って事業を行うことが難しい)場所などで主に運行されている。

タクシー事業者が行っており、タクシー車両を用いるためこの名前がついているが、所定のダイヤと停車地に従って運行しており、利用者にとってタクシーというより路線バスに近い感覚での利用となる。このため、実態は乗合タクシーでもタクシー会社委託のコミュニティバスの路線と扱っているケースも少なくない。

使用される車種は、乗車定員9人の「ジャンボタクシー」が多い(利用者数が極端に少ない場所では、乗車定員5〜6人の一般的なセダン型タクシーを使うこともある)。立席利用など、座席定員を超える乗客を乗せることはできないため、グループでの利用をしないように呼びかける事業者もある(乗客を乗せきれない場合、続行便を手配する事業者もある)。

乗合タクシー事業は、道路運送法の「特定旅客自動車運送事業」に該当する場合があり、営業する場合は国土交通省の許可が必要である。

日本におけるおもな運行事業者については、日本の乗合タクシー運行事業者一覧を参照。

運行形態編集

運行形態としては主に以下のような形態がある。

都市 - 空港間の運行編集

 
秋北タクシーが運行する大館能代空港乗合タクシー

空港市街地を結ぶ。事業者があらかじめ指定した地域から空港へ向かう複数の利用者を集約して、各戸を順番にまわったあとに空港へ向かうもの。あるいはその逆。タクシー事業者や空港関連の団体が企画・主催しているため、空港によっては運行がない場合もある。

深夜・早朝運行編集

鉄道やバスの運行時間外である深夜・早朝に運行される。都市部や、住宅団地と駅の間の深夜・早朝の交通手段。

交通空白地帯での運行編集

 
朝倉市あいのりタクシー(甘木観光バス)

交通空白地帯の解消及び高齢者等交通弱者の公共施設等への移送手段の確保として運行されるもの。地方自治体がタクシー(ハイヤー)事業者に委託する場合が多く、対外的にコミュニティバスと紹介される実例も少なくない。

人口希薄地域では、路線バスの減便の穴埋め、もしくはバス路線を廃止した代替として運行される。都市部でも、東京都葛飾区さくら)や千葉県柏市かしわ乗合ジャンボタクシー・カシワニクル)など、行政サービスの一環として、鉄道・バス路線のない地域で運行されることがある。小型バスでも供給過剰となるような輸送量しか見込めない場合のほか、道路が狭隘で路線バス用車両の乗り入れが困難な地域を運行する場合もある。

自治体による財政補助もあることから、乗車については自家用車や運転免許証の有無、年齢(高齢者)や「身体障害者に限る」といった利用制限があるものもある。

定時定路線型
路線バスと同様に、運行日・運行時刻・路線・停留所を定めて運行するもの。一部区間または全区間がフリー乗降制となっていることもある。
デマンド型
利用者からの事前予約(デマンド)があった場合に運行するもの。路線バスと同様に運行ルートが定められているもの、指定された地域の範囲内でのみ利用可で範囲内であれば任意の場所で乗降できるもの、指定した乗降場所に限られるもの、乗降場所が利用者の自宅と駅・公共施設などに限られるものなどがある。
同一日・同一時間帯の同一区域で複数の利用者がいる場合、そのすべての利用者の乗降扱いを一度に行う。そのため乗車する時間は大まかな時間帯しか指定できず、時間に余裕を持って利用する必要がある。また、不特定多数の乗客を同時に乗せるため「乗合」となる。
予約は電話やインターネットなどで行う。利用する場合はその運行地域に在住している住民で、事前に運行する事業者もしくは自治体の担当部署に利用登録をする必要があるものが多い。一方で、誰でも利用登録なしで電話やインターネットでの予約だけで利用できる市町村の路線もある。

過疎路線が本線系統路線から分岐するという路線が存在するバス会社で、路線それ自体は存続させて「過疎路線が分岐するバス停」にそれまでバスが発車していた時間にタクシーを待機させ、そこから先はタクシー車両での運転(この場合、バスがタクシーになるだけで運賃はバスのものが引き継がれる)となる例も存在する。

鉄道駅 - 公営競技場間での運行編集

鉄道駅から公営競技場(競馬場競輪場競艇場オートレース場)まで着座して移動したい人向け。

小口貨物輸送編集

客貨混載の規制緩和が進む中で、2017年11月1日、旭川中央ハイヤー(現・旭川中央交通北海道旭川市)と佐川急便は、乗り合いタクシーを利用した戸別配送事業を開始した[1]

その他編集

尾瀬など自家用車が入れない地区への足。

違法営業問題編集

公営競技場などでよく見かけるが、乗合タクシーの営業許可がないのに、同じ方面へ向かう客を運転手の独自判断で相乗り運行させる営業法があるが、これは乗合行為、あるいは業界の俗語で「つめこみ」などと呼ばれる違法営業であり、乗合タクシーではない。
タクシーは道路運送法の規定により一度に1人または1グループの乗客を乗せることしかできず、(例え、他のグループの承諾を得たとしても)一回に不特定多数の乗客を乗せることは禁じられている。

日本国外の乗合タクシー編集

東南アジア編集

 
インドネシアのアンコット

フィリピンでは、ジープを乗合タクシーに改造したジープニー(ジプニー)が運行されている[2]。このほか3輪のタクシーであるトライシクルも多く運行されており、これらの交通手段の運賃がすこぶる安いこともあり、ベトナムなどに比べてオートバイの普及率が低くなっている一つの要因となっている[2]

インドネシアでは乗合タクシー「アンコット(Angkot)」が市民に広く利用されている。日本製の軽自動車など小型車からワンボックスまで様々な車種があり、料金も異なる。インドネシアではタクシー事業は認可制であり、正式に認可された事業者は黄色いナンバープレートを付けている。

タイでは、ソンテウと呼ばれる乗合タクシーが運行されている。

旧共産圏編集

ソ連圏諸国では、マルシュルートカと呼ばれる乗合タクシーが運行されている。

脚注編集

  1. ^ 貨客混載 タクシーが荷物も宅配 北海道・旭川で全国初 毎日新聞(2017年11月1日)2017年11月7日閲覧
  2. ^ a b 三菱東京UFJ銀行国際業務部『アジア進出ハンドブック』東洋経済新報社、2012年、149頁

関連項目編集