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乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ

乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』(おとめせんそう ディーヴチー・ヴァールカ / Dívčí válka)は、大西巷一による日本漫画15世紀中央ヨーロッパで起きたフス戦争を題材とする。

漫画:乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ
作者 大西巷一
出版社 双葉社
掲載誌 月刊アクション
レーベル アクションコミックス
発表号 2013年7月号 - 2019年6月号
巻数 全12巻
話数 全60話
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

月刊アクション』(双葉社)の創刊号である2013年7月号から[1][2]2019年6月号まで連載。全60話。

目次

概要編集

大西は自身のWebサイトにおいて『乙女戦争』と書いて「ディーヴチー・ヴァールカ」と読むが、「おとめせんそう」と読んでもかまわないとしている[1]。タイトルの「乙女戦争」はチェコの古い伝説であり、本作が「女の子が主人公となって積極的に戦う戦争」という意味を持たせるために付けられている[3]。戦争と少女という題材を扱っており、性暴力性奴隷などの描写も多い。

フス戦争は、が実戦で組織的、かつ大量に集中運用された始めての戦争であり、その戦場に立つ少女兵を描いている。大西は西洋の処刑拷問を描いた『ダンス・マカブル〜西洋暗黒小史』といった中世ヨーロッパの歴史物への造詣が深いが、本作でも表紙に描かれる少女兵のかわいらしさからは、想像もつかない残酷な試練の連続が描かれている[3][4]

大西は、フス戦争を題材に採り上げた理由として以下をインタビューで答えている[5]

  1. 革新的な戦術で弱者である農民が、強者である騎士を次々に倒していく。
  2. 宗教戦争の過激さと純粋さ。
  3. 女、子供が戦士として活躍する。
  4. スラヴ系の金髪の女の子と民族衣装が描ける。

2014年には本作コミックス3巻と、百年戦争を描いたトミイ大塚の『ホークウッド』(メディアファクトリー)6巻の発売を記念して「中世どっきり残酷フェア」が開催され、協力書店へのポスター掲出、それぞれの作品の見どころをまとめたチラシの配布、コミックス購入者へ抽選で両者の直筆カラー色紙のプレゼントが行われた[3][6]

2015年川崎市産業振興会館で「第6回中世ヨーロッパ関連総合展示会 PolarisMedievalFestival」が開催された際には、大西も参加しサイン会を行っている[7]甲冑を着用し、競技用ポールウェポンロングソードなどで戦う「甲冑格闘技STEEL!」を開催する日本アーマードバトル・リーグと本作が2016年にスポンサー契約を交わしている[8]。コミックス9巻初版の巻末には「甲冑格闘技STEEL!」の広告も掲載されている。

あらすじ編集

1420年、フス戦争が勃発した翌年のボヘミア王国(現在のチェコ共和国)。カトリック派聖ヨハネ騎士団フス派狩りによって家族を虐殺され、自らも陵辱された12歳の少女シャールカは、通りすがりのフス派の英雄ヤン・ジシュカに倒れていたところを拾われる。

ジシュカに誘われて彼の傭兵隊に加わったシャールカは、ターボルと名付けられたフス派が集う拠点の山で出会った2人の少女ガブリエラターニャとともに、新兵器「笛(ピーシュチャラ)」を扱う「天使隊」の一員となる。彼女らを含めて農民兵を主体とする2千人のターボル軍を結成したジシュカは、総勢10万におよぶカトリック派十字軍に包囲されたプラハへ進軍し、敵将の神聖ローマ皇帝ジギスムントに宣戦布告する。

プラハ近郊ヴィトコフの丘にて突撃してくる敵の騎兵に対し、ターボル軍は荷車と笛を組み合わせた「ワゴンブルク戦術」を用いて少数ながらも圧倒し、見事に十字軍を撤退に追い込み勝利する。こうして、シャールカは勢い付いたフス派の仲間たちと共に、反カトリックの戦いに身を投じ成長していく。

主な登場人物編集

シャールカ
本作のヒロイン(主人公)[4]。初登場時西暦1420年で12歳[4]であったので、生年は西暦1408年と推定される。誕生日は不明。ボヘミア王国の農民の一人娘。家族は両親だけで兄弟姉妹はいない。両親を殺害された後は血縁のある家族は一人娘のクラーラのみ。7巻時点14歳。8巻で16歳。10巻で22歳。最終の12巻で30歳になっている。名前は伝説の「乙女戦争」の主要人物の名前からとられている[3]
異端フス派)狩りの名目で住んでいた村が騎士団に襲われ、両親と住んでいた村の人間を皆殺しにされる。自身もレイプされ[4]たが一人だけ生き残り、彷徨っていたところをヤン・ジシュカ率いる傭兵団に拾われ[4]、少女兵として戦場に立つことになる。各地を転戦するうちにヨハン・フニャディと出会い、好意を持たれる。その後、神聖ローマ帝国に捕えられた際に14歳で自身の処刑を回避するためにヨハンと投獄された牢内でセックスを重ねて妊娠する。シャールカ自身が自分の命を救う以外にヨハンへの愛が芽生えており、ヨハンの子供なら産みたいと思えたことが大きな理由でもあった。ヨハンもシャールカを深く愛しており自分の子供を産んで欲しいと望み、結果的には二人のセックスは愛を伴った神聖な行為となり無事に妊娠し、恩赦後に15歳で長女・クラーラを出産し母親となった。死刑が回避された出産後はヨハンと共にクラーラを育てながら事実上の夫婦生活を送っていたが、娘をヨハンに預けて仲間たちの元へ戻ることを選んだ。強姦されたことで性行為と男性に対する恐怖心があったが、ヨハンとの子作りでそれを克服し、出産後もヨハンの求めに応える形で夫婦の営みとしてのセックスをするようになった。
ジシュカの存命中、ヴィルヘルム・フォン・シュヴァルツを決死の嘆願で助命するも、それが仇となってジシュカ死後にヴラスタをヴィルヘルムに殺されるなどの悲劇を招いてしまう。その後、戦闘中に濁流に呑まれて行方不明となり、その際のショックで記憶喪失になって旅の踊子一座に拾われて売春婦として生き延びていた。記憶が甦った後はかつてのフス派の仲間たちに合流し、ヨハンとも9年ぶりに再会した。子供まで産んだヨハンの事は当然に愛しており、再会後は会えなかった9年間を埋めるようにヨハンに抱かれた。和平が叶ったら娘の元へ行きたいと願っていたが、フス派が壊滅した最後の戦いで、踊子一座での仲間だったエリーザが馬に撥ねられた際に誤射された矢を左目に受けて撤退中の馬車から落とされ、そのまま戦場に取り残されてしまう(エリーザは撥ねられた際に頭を打ち、生存はしたが記憶喪失となった)。しかしヨハンの密命を受けたヴィルヘルムに救われて戦場を脱出、サーラとイスクラたちのいる傭兵団の元に送り届けられ、左目を失明したものの生存することが出来た。その後はサーラたちと共に傭兵団の一員となっていたようだが、フス戦争終結から4年が経過した1438年に領内に攻め込んできたオスマン帝国軍の兵士に襲われていたクラーラを助けたことで13年ぶりに愛娘と、さらにはヨハンと4年ぶりの再会を果たし、物語は完結する。
ヤン・ジシュカ
実在の人物。隻眼であり、物語中で失明する。
女子供でも扱える軽量な火器ピーシュチャラ(笛)の採用や、信仰や軍規により統率の取れた行動をとる農民兵、装甲荷車を用いたワゴンブルク戦術など自分の考えた奇策でフス派を勝利に導くが、その奇策を実現できることに喜びを感じる戦争狂でもあるように描かれている[4]
コミックス9巻で死亡。本作ではペストによる病死ではなく、ペストに罹患し隔離治療していたところでカトリック派の暗殺者に受けた傷が元で死亡したと描写されている。なお、ペストの流行そのものが、特別に飼育したネズミを町に放つというカトリック派による工作であった。
フス派
ヤン・イスクラ
初登場時はカトリック派の暗殺者として、ヤン・ジシュカの暗殺を実行する(この時の負傷が原因でヤン・ジシュカは失明することになる)。しかし、暗殺に失敗したヤン・イスクラをカトリック派が切り捨てるような行動に出たため、フス派に転向。しばらくはヤン・ジシュカの下で働くが、シャールカの友人ガブリエラを暗殺したことで罪の意識に苛まれて出奔。エリーザベトの下で働いていたところ、シャールカと再会し、ガブリエラ殺しも赦されフス派に戻る。
実在の人物であるが、若いころは不明であり、本作で描かれている部分は創作である。
プロコプ
ターボルの聖職者でフス派の宗教的指導者の1人。戦闘に参加するとともに農民兵たちを鼓舞する少年少女たちによる聖歌隊「ターボル天使隊」を組織する。
ジシュカの死後はターボル派の指導者として、軍事指揮官の役目も担う事となる。
カトリック派との和平と戦争終結を目指してバーゼル公会議に参加し、穏健派のヤン・ロキツァナとともに和平案をまとめるが、急進派のターボル派とオレープ派はその内容を拒絶。
プロコプ自身は講和を望んでいたものの仲間を見捨てることが出来ずにターボル派指揮官としてリパニの戦いに参加、シャールカとサーラを戦場から脱出させた後戦死した。
ヤン・ジェリフスキー英語版
フス派の宗教的指導者の1人。攻撃的で急進的な説教師
「火を吐くような説教」と称され、実際に口から火を吐いているような描写がされている。
物語の開始以前にプラハプラハ窓外投擲事件を起こし、カトリック派であった市長と市参事会員を窓から投げ落として殺害した。この事件がフス戦争のきっかけでもある。
ヴラスタ
ヤン・ジシュカ率いる傭兵団に所属する女騎士。戦闘力は高く、十字軍の騎士たちと対等以上に渡り合う。ジシュカに好意を持っており、ジシュカの婚約者を自称するリーゼロッテとは喧嘩が絶えない。
ジシュカの子供を身ごもっていたが、ジシュカ死亡後にヴィルヘルムと闘い、死亡する。
リーゼロッテ
天才工学者と言われたコンラート・キーザー英語版の孫娘(キーザーは実在だが、孫娘は架空の人物)。
祖父譲りで様々な新兵器の開発を行うが、役に立っているかどうかは怪しいところもある。ジシュカの婚約者を自称する。
チャペク(サーンのヤン・チャペク)チェコ語版
ジシュカの傭兵団の一員で痘痕面と三白眼が特徴。騎乗戦闘と弓射の腕に優れ、かつてはクマン人傭兵たちと行動を共にしていたこともある。
典型的な無頼の傭兵気質の持ち主で略奪行為などへの抵抗感は薄い。ボヘミア最強の傭兵隊の矜持から、従軍する農民たち(特に女子供)に強く反発する。
ロハーチ(ドゥベーのヤン・ロハーチ)チェコ語版
ジシュカの傭兵団の一員で、精悍な顔立ちと髭が印象的な壮年の傭兵。
堅い守りに定評のある謹厳実直な人物だが、思わぬ酒癖の悪さを発揮することも。
ヴィクトリーン(ポシェブラディとクンタートのヴィクトリーン・ボチェック)チェコ語版
丸顔とおかっぱ頭が特徴の恰幅の良い傭兵。
もともとはボヘミアの大貴族の出身だが、先祖代々の所領であるポシェブラディをジシュカに奪還してもらった恩義に報いるため彼の盟友となる。
イジー
39話の初登場時点で4歳になるヴィクトリーンの息子。ジシュカが洗礼親のため、彼によくなついている。
ヴィクトリーンの死後は、同じフス派貴族であるヒネク・クルシナに後見されていた。
57話にて再登場するが、14歳とは思えない政治的センスとリアリズムの持ち主であり、レオンやシャールカに協力してボヘミア平和同盟の成立に貢献した。
フス戦争終結後、聖杯派貴族たちの推戴を受けて1458年、ボヘミア王として即位することとなる。
フヴェズダ(ヴィーツェミリツのヤン・フヴェズダ)
獅子鼻ともじゃもじゃの鬚面が特徴の傭兵。キャラクターとしては1巻から登場し、9巻の回想シーンにも姿が見えるなどジシュカの部下としては相当な古参だが、名前が出たのは9巻において死亡した際のみ。
史実では本来はジシュカの部下ではなくジェリフ派の軍事指揮官の一人で、ジェリフスキーの失脚後にターボル派に移っている。ジシュカの死後、彼の後を継いでターボル派の指導者となるが、約1年後にムラダー・ヴォジツェの戦いで重傷を負い、死亡した。
プロクーペクチェコ語版
オレープ軍の歩兵長。元は農民だが、ジシュカに戦術眼とリーダーシップを買われ歩兵部隊長となった。
ジシュカの死後はオレープ派の指導者となって戦いを続けるが、リパニの戦いで戦死した。実在の人物であり『小プロコプ(プロコプ・マリー)』とも呼ばれる。
ペトル・ヘルチツキー英語版
ターボルの司祭の一人。
信仰を守るためには暴力の行使もやむを得ないとするジシュカやプロコプと異なり、聖書に基づく不戦と絶対非暴力を主張する。
ヴィトコフの戦いの後ターボル派を離脱し、自身の信仰の下ボヘミア兄弟団を設立する。
ボヘミア貴族
ヴァルテンベルクのチェニェクチェコ語版
ボヘミア貴族の筆頭であり、ボヘミア王に代わってあらゆる都市行政を司るボヘミア最上級城伯の地位を持つ。
フス派の穏健派であるウトラキスト(聖杯派)のトップとして、ボヘミアの防衛とフス派の信仰の保護、およびカトリック派との和平による戦争終結を何とか両立させようと苦闘するが、結果としてどっちつかずの苦しい立場に追い込まれ、フス派の分裂を招いてしまう。
マレショフの戦いでジシュカ率いる急進派の軍に決定的に討ち破られてフス派内での影響力を失い、その後失意のうちに没した。
ロジュンベルクのオルトジフチェコ語版
南ボヘミアに拠点を持つ大貴族ロジュンベルク(『薔薇の城』の意)家の少年当主。戦争開始当初はチェニェクらと共にフス派支持を表明するが、その後カトリック派に転じる。
未成年での家督相続当時に後見人として彼を支えたチェニェクを実の兄のように慕っているが、ジシュカに対しては強い反感を隠さない。
シュヴァンベルクのボフスラフドイツ語版
ヴァルテンベルク家、ロジュンベルク家と並ぶ大貴族、シュヴァンベルク(『白鳥城』の意)家当主。オルトジフとともにフス派支持からカトリック派に転じるが、ヴィシェフラドの戦い英語版でフス派の捕虜となり、助命と引き換えに再度フス派に転じる。
再転向にあたり貴族や大商人主体の穏健派ではなく、最急進派のターボル派に身を置き、彼らの武力を利用してボヘミアの覇権を狙おうとしていたが、徐々に本気でフス派の理想と信仰に傾倒していった。
ジシュカの死後、レッツの戦いにおいて突撃の先頭に立ち見事に城門を突破するが、そこで重傷を負いレッツ陥落の直後に死亡した。
リヒテンブルクのヒネク=クルシナ英語版
ボヘミアの有力貴族、リヒテンブルク家の青年当主で熱心なフス派信徒。当初は農民主体のターボル軍に対して隔意があったが、後にはその実力やジシュカの軍略を認め、自らが支援者となってフラデツ近辺ののオレープ山にターボルと同様のフス派共同体を設立するまでになる。
その後次第に急進性を強めていくターボル派、オレープ派のあり方に危機感を抱き、袂を分かってウトラキスト(聖杯派)に転じるが、マレショフでの敗戦の後ジシュカの下に復帰した。
神聖ローマ帝国
ジギスムント
皇帝。異端者(フス派)を征伐するため、十字軍を度々ボヘミアに派遣する。
バルバラ
ジギスムントの後妻。類まれな美貌と数か国語を操る知性を持ち、影の宰相といわれ、ドラゴン騎士団の創設にも関わった女傑。反面、好色な所かあり、いい男を集めて「逆ハーレム」を作ってしまうほど。
ヨハン・フニャディ
トランシルヴァニアのフニャド(フネドアラ)城出身の貴族の聡明な少年。シャールカよりひとつ年上で西暦1407年生まれの初登場時13歳。10巻で23歳。最終の12巻で西暦1438年時点で31歳。その才覚をジギスムントに見いだされて彼の小姓となり、軍使役や連絡将校などを務める。シャールカと幾度か遭遇し好意を抱く。シャールカが神聖ローマ帝国に捕らえられた際には、処刑を回避させるため、合意の下、牢内でセックスを重ねて妊娠させ、恩赦後の西暦1423年のヨハン16歳時に娘クラーラを産ませて父親となった。クラーラの名前は「光」「明かり」を意味し、ヨハンが付けた。出産時はまだ未婚につき婚外子の庶子ながら長女になる。以後はシャールカと事実上の夫婦生活を送っていたが、シャールカがフス軍に戻ったためクラーラを養育しながらシャールカを探すことになる。子作りも助命のための義務感ではなくシャールカのことを深く愛していて、ヨハン自身が自分の子供を産んで欲しいと望んだ上でセックスをした。シャールカもヨハンを愛していたので結果的には二人のセックスは愛を伴った神聖な行為となり、その愛の証として娘が誕生した。シャールカにとって本当の意味で愛し合ってセックスをした唯一の男性。シャールカの出産後はクラーラを養育しながら夫婦の営みとしてセックスをするようになり、いずれは正式に妻に迎えようと考えていたが、シャールカが記憶を失い行方不明となっている間にハンガリー貴族の娘と政略結婚させられてしまう。その後フス派と教会側の和平の使者に付き添う形でシャールカの元を訪れて9年ぶりにシャールカと再会することが出来た。政略結婚の正妻よりも愛を交わして娘を産ませたシャールカに気持ちがあり、再会後に会えなかった9年間を埋めるようにシャールカを抱いている。和平が叶ったら娘・クラーラと共に暮らしたいと望んでいるが、仲間を見捨てられないシャールカを連れ帰ることは出来なかった。フス戦争終結から4年後の1438年に領国に攻め込んできたオスマン帝国軍から娘・クラーラを助けに行く途上でシャールカと4年ぶり二度目の再会を果たした。ちなみに政略結婚をさせられた正妻との間にも1433年にすでに長男のラースローが生まれており、クラーラの10歳年下で腹違いの弟になる。
クラーラ・フニャディ
ヨハンとシャールカの間に生まれた第一子で長女。10歳年下に腹違いの弟・ラースローがいる。神聖ローマ帝国に捕らわれたシャールカの処刑を逃れるためにシャールカの同意の下、ヨハンが牢内でセックスを重ねて妊娠させ、恩赦が下りた後に西暦1423年父・ヨハン16歳、母・シャールカ15歳時に生まれた。名前は父親であるヨハンが命名し「光」「明かり」を意味する。生後しばらくはシャールカに育てられていたが、シャールカがフス軍に戻る際に別れ、以後は父親であるヨハンの下で養育されている。ヨハンは出産時は未婚につき庶子扱いだが最初の子供で長女になる。両親を殺されたシャールカにとっては唯一の血縁関係のある実子であり、本当の意味で愛し合ってセックスをした唯一の男性との間に授かった子供になる。10巻で7歳に成長し、最終の12巻では西暦1438年時点で15歳になっており、本編最終話にてフス戦争終結から4年後に領国に攻め込んできたオスマン帝国軍の襲撃を父のヨハンに知らせようとして途中で兵士に捕まり、母親と同じように犯されそうになったところを傭兵団に加わっていたシャールカに助けられ13年ぶりに母親と再会した。成長してからはヨハンから貴族の血筋と聡明さ・勇気を受け継ぎ、シャールカの幼い頃の面影をよく映した美しい娘となった。父親のヨハンの事は「父上」と呼んでいる模様。
エリーザベト
ジギスムントとバルバラの娘。オーストリア公アルブレヒト5世に嫁ぐも、初夜の仕打ちと、その後の扱いに腹を立て、妊娠を偽装してアルブレヒトの下から離れた。シャールカ処刑を恩赦するため、ヨハン・フニャディの提案で死産であったことにされている。
ヴィルヘルム・フォン・シュヴァルツ
ザヴィシャ・チャルニをモデルにした創作人物。
ドイツ騎士団再建を目指す高潔な人物であり、敵対していたシャールカを戦火から救ったこともある。ジギスムントの隠し子であり、そうと知らずにバルバラと関係を持った際には、義理とは言え、義母と息子とが関係をもったことに悩む。一度はフス派に敗れ捕らわれるが、シャールカの嘆願により助命される。しかし、このシャールカによる助命が結果的に仇となり、その後に舐めた辛酸とバルバラへの忠誠から、丸腰の女性をも手にかける冷酷な人物へと変貌した。
フス派との戦いで右腕を失いながらも戦い続け、最終話ではヨハンからシャールカ救出の密命を受け、生存を確認したが、近くにいた少女兵に撃たれて致命傷を負ってしまう。だが、かつて助命嘆願をしてくれた恩に報いるため、最期の力を振り絞ってシャールカをサーラとイスクラの元に送り届けた後、それを見届けながら息を引き取る。
ボスコヴィツェのヤン・フシェムベラチェコ語版
カトリック派のモラヴィア貴族で、ヴィシェフラド城の守将。やや粗野な所もあるが、部下の信頼も厚い高潔な武人。フス派軍の攻囲に対してヴィシェフラド城を守り抜くが、長期にわたる包囲で兵糧が尽きた上救援にやってきた解囲軍もジシュカに敗れ去ったため、ロハーチとシャールカの説得を受け入れついに降伏した。
部下ともども安全を保障されて城を退去した後はモラヴィアの自領に帰還していたが、フス派軍がモラヴィアに侵攻してきたため、再び干戈を交えることになる。
ポーランド・リトアニア連合
ジクムント・コリブート
ポーランド国王ヴワディスワフ2世の甥でリトアニア大公の一門に属する青年貴族。ジギスムントのボヘミア王位を拒否したボヘミア貴族達がヴワディスワフ2世へのボヘミア王位提供を打診した際、ヴワディスワフ2世が自身に代わり推薦したリトアニア大公ヴィータウタスの代理としてボヘミアに派遣された。
作中ではいささか軽挙妄動的な人物として描かれているが、それでもボヘミア摂政として一度はフス派内の軍事衝突を未然に防ぐことに成功するなど、軍事的にも政治的にもそれなり以上の指導力はある模様。
婚約者のアレクサンドラをヴィルヘルムに殺害された上、ジギスムントの政治工作により一度は帰国を強制されるが、マレショフの戦い後ヴワディスワフ2世とヴィータウタスの承認を得ずに再度プラハに入城し、フス派各派の支持の下ボヘミア王位を宣言した。
フランス王国,百年戦争関係者
ジャンヌ・ダルク
レオン
パリ大学神学部の学生でコーションの教え子。遍歴学生(ゴリアール)として踊る白猫座と行動を共にしている。プレイボーイで踊る白猫座の女性ほぼ全員と肉体関係を持っていたが、マリー(シャールカ)とエリーザにだけは手を出さなかった。
出世欲が強く、フス派問題を解決すれば聖職者としての栄達も思いのまま考えてフス派との接触を図る。とはいえその行動と情勢判断は的確で、本質的には理知的で誠実な性格であることがうかがい知れる。
プロコプの信頼を得てバーゼル公会議におけるカトリック派とフス派の仲介役として活動。フス派急進派が講和を拒絶した後は聖杯派とカトリック派によるボヘミア平和同盟の結成に尽力した。
ヘンリー・ボーフォート
イングランド王国枢機卿。フランスとイングランドの間で行われている百年戦争を終結させようとしている。ジャンヌ・ダルクを処刑から救おうともするが、これはジャンヌを処刑することで、ジャンヌの信奉者たちがフス派のように徹底抗戦するようになることを畏れてのことである。
本作では、密かに幼児プレイの性癖持ちと設定されている。
踊る白猫座
記憶を失ったシャールカが拾われ、「マリー」として5年以上を過ごすことになる旅芸人の一座。踊りなどを披露するだけでなく、夜間の性的サービスも販売している。

用語編集

「ピーシュチャラ」とルビが振られている。ピーシュチャラはチェコ語で「」を意味する単語。
杖状の筒であり、火縄を使って着火、弾を発射する原始的なマスケット銃拳銃の原型にあたる。
ヤン・ジシュカはピーシュチャラを装備させることで、非力な女、子供が鎧に身を包んだ重騎兵と渡り合える戦術を編み出した。
装甲馬車
「ワゴンブルク」とルビが振られている。直訳すると荷車城塞。農業用荷車の側面に厚い板製の盾状のものを据え、銃眼を設けることで、敵の攻撃を防ぎつつ、ピーシュチャラで攻撃が行える。装甲馬車を円形や半円形に数台並べて防御陣を構築する。(戦闘時には馬は外す)。
初期は荷車の下をかいくぐるといった攻略方法もあったが、後に底面にも板を設置するなど改善されている。ヴィルヘルムは自身と乗馬の能力をもって、上方を飛び越えて内部を攻撃する形で一度は装甲馬車戦術を破った。この他にも装甲馬車と装甲馬車の間が弱くなるといった問題もあったが、後に並べ方を工夫して改善されている。
天使隊
プロコフが組織した少年少女による聖歌隊。フス派の進軍歌にして讃美歌であるコラール『汝ら神の戦士チェコ語版』を歌い、フス派の人々の士気を高める。時にはピーシュチャラを手に戦うこともある。
アダム派
フス派の一派。黒死病を患い、治癒した少数の人を中心に広まった。聖書原理主義であり、本作においては戦うときも含めて男女を問わず全裸で生活し、麻薬を用いて乱交同然の「ミサ」を行うよう描写されている。フス派の中からも邪教認定され壊滅させられる。

書誌情報編集

関連項目編集

出典編集

  1. ^ a b 大西巷一. “『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』”. 2017年6月14日閲覧。
  2. ^ 「大西巷一のデビュー作など収めた短編集、「乙女戦争」4巻と同時発売”. コミック ナタリー (2015年5月9日). 2017年6月14日閲覧。
  3. ^ a b c d 西尾泰三 (2014年11月21日). “気分はもう中世暗黒時代 中世どっきり残酷対談だヒャッハー”. ITmedia. 2017年6月14日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 大居候 (2014年12月24日). “マイナーな「フス戦争」を戦記として楽しむ! 凄惨すぎる歴史絵巻『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』”. おたぽる. 2017年6月14日閲覧。
  5. ^ 大西巷一先生 インタビュー”. まんが王倶楽部. 2017年6月26日閲覧。
  6. ^ 乙女戦争×ホークウッドの合同フェア、直筆コラボ色紙が10名に”. コミック ナタリー (2014年11月21日). 2017年6月14日閲覧。
  7. ^ 「乙女戦争」の大西巷一、中世ヨーロッパがテーマの即売イベントでサイン会”. コミック ナタリー (2015年11月27日). 2017年6月14日閲覧。
  8. ^ “甲冑フルコンタクトバトルを主催する「ジャパン・アーマードバトル・リーグ」が『乙女戦争(ディーヴチー・ヴァールカ)』(「月刊アクション」)とスポンサー契約を結ぶ” (プレスリリース), ティンタジェル株式会社, (2016年5月11日), https://www.value-press.com/pressrelease/162020 2017年11月16日閲覧。 
  9. ^ 騎士と侍、もし本気で戦わば――甲冑格闘技「STEEL!」唯一の女性ファイターに聞く”. ITmedia (2015年3月13日). 2017年11月16日閲覧。

外部リンク編集