熱容量
熱容量(ねつようりょう、英語: heat capacity)とは、系に対して熱の出入りがあったとき、系の温度がどの程度変化するかを表す状態量である。 単位はジュール毎ケルビン(J/K)が用いられる。
統計力学 | ||||||||||||
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熱力学 · 気体分子運動論 | ||||||||||||
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定義編集
系がある準静的な過程で d'Q の熱を得たときの温度の変化を dT とすると、熱容量は
と表される[2]。
定積熱容量編集
体積が一定の条件下での熱容量を定積熱容量といい、内部エネルギー U により
で表される。括弧に付く添え字は微分を行う温度 T の他に体積 V を変数に持つことを表している。
定圧熱容量編集
圧力が一定の条件下での熱容量を定圧熱容量といい、エンタルピー H により
で表される。
性質編集
平衡状態の安定性から、等積熱容量は CV > 0 である。
定圧熱容量と定積熱容量の差は、熱膨張係数 α、等温圧縮率 κT と
で関係付けられる。特に、理想気体の場合には
となる。N は物質量、R はモル気体定数である。TV/κT > 0 なので Cp > CV の関係がある。 これは体積の変化により系が外部にした仕事の分だけ余計に外部から熱を得ていることを表している。
定圧熱容量と定積熱容量の比は比熱比と呼ばれ、断熱圧縮率 κS、等温圧縮率 κT と
で関係付けられる。Cp > CV > 0 なので γ > 1 である。
統計力学における位置付け編集
統計力学においては分配関数によって熱容量は
で表されており、エネルギーのゆらぎと関係付けられている。
出典編集
- ^ 八田, 一郎; 阿竹, 徹 (1989). “熱容量スペクトロスコピー”. 熱測定 16 (1): 12. doi:10.11311/jscta1974.16.10.
- ^ 古畑, 威「エントロピーと自由エネルギー」『化学教育』第11巻第4号、公益社団法人 日本化学会、1963年、 484頁、 doi:10.20665/kagakukyouiku.11.4_483、2022年1月18日閲覧。
参考文献編集
- 田崎晴明 『統計力学Ⅰ』培風館〈新物理学シリーズ〉、2008年。ISBN 978-4-563-02437-6。