菅野昭正
来歴・人物編集
神奈川県横浜市出身。浦和高等学校(旧制)を経て、東京大学文学部仏文学科卒業。1954年東大助手、1957年明治大学講師、助教授、1972年東京大学文学部仏文科助教授、1982年教授。
1984年に『詩学創造』で芸術選奨文部大臣賞、1986年に『ステファヌ・マラルメ』で読売文学賞、1997年に『永井荷風巡歴』でやまなし文学賞、同年紫綬褒章受章。1999年に日本芸術院賞をそれぞれ受賞。2003年、日本芸術院会員。2006年、旭日中綬章受章。2007年、世田谷文学館館長。2011年『慈しみの女神たち』で日本翻訳出版文化賞受賞。2016年、第1回井上靖記念文化賞(旭川市主催)受賞。
現代フランス文学の翻訳が多数あるほか、近現代日本文学の研究も盛んに行っている。1981年から2001年まで「東京新聞」などで文芸時評を担当、『変容する文学の中で』として刊行された。
著書編集
- 『詩の現在 12冊の詩集』集英社 1974年
- 『小説の現在』中央公論社〈中公叢書〉 1974年
- 『詩学創造』集英社 1984年/平凡社ライブラリー 2001年
- 『ステファヌ・マラルメ』中央公論社 1985年
- 『横光利一』福武書店 1991年
- 『小説を考える 変転する時代のなかで』講談社 1992年
- 『セイレーンの歌 フランス文学論集』小沢書店 1993年
- 『永井荷風巡歴』岩波書店 1996年/岩波現代文庫 2009年
- 『変容する文学のなかで 上 文芸時評1982-1990』集英社 2002年
- 『変容する文学のなかで 下 文芸時評1991-2001』集英社 2002年
- 『変容する文学のなかで 完 文芸時評2002-2004』集英社 2007年。「現在文学史年表」「作者名・作品名索引」付
- 『憂鬱の文学史』新潮社 2009年
- 『明日への回想』筑摩書房 2009年
- 『小説家 大岡昇平』筑摩書房 2014年
翻訳編集
- ロジェ・ニミエ『ある愛の歴史』新潮社, 1955年
- レイモン・クノー「詩篇」、『現代フランス詩人集 第2』 ユリイカ, 1956年
- アンジェロス『リルケ』(富士川英郎と共訳)、新潮社, 1957年
- ヴァレリー「テスト氏」(村松剛・清水徹と共訳)、『世界文学大系 51』 筑摩書房, 1960年
- ナタリー・サロート『プラネタリウム』新潮社, 1961年
- リラダン「ヴェラ」、アポリネール「ヒルデスハイムの薔薇」 「オノレ・シュブラックの失踪」、 『フランス短篇名作集』学生社, 1961年に収録
- ジェローム・アントワーヌ・ロニー『情念とはなにか』白水社・文庫クセジュ, 1962年
- ピエール・ガスカール『逃亡者』白水社(新しい世界の文学3), 1963年
- アンドレ・ジード「狭き門」、『世界の文学 第33巻』中央公論社 1963年
- チェーザレ・パヴェーゼ『美しい夏・女ともだち』(三輪秀彦と共訳)白水社(新しい世界の文学9), 1964年
- フランソア・モーリアック『内面の記録』(杉捷夫と共訳)紀伊國屋書店 1964年
- クロード・エドモンド・マニー『現代フランス小説史』(佐藤朔・白井浩司・望月芳郎共訳)白水社, 1965年、新装版2006年
- ナタリー・サロート「トロピスム」、『現代フランス文学13人集 第2巻』 新潮社, 1965年
- レーモン・クノー「わが友ピエロ」、『現代フランス文学13人集 第3巻』 新潮社, 1965年
- バルザック「谷間のゆり」、『世界文学全集 第4巻』 河出書房新社, 1965年
- モーリス・ブランショ「謎の男トマ」、『現代フランス文学13人集 第3巻』 新潮社, 1966年/新版『ブランショ小説選』書肆心水, 2005年 に収録
- 『ヴァレリー全集』筑摩書房, 1967年、訳者の一員。新版刊
- P.ドリュ・ラ・ロシェル「ゆらめく炎」(細田直孝と共訳)、『人間の文学 第8巻』河出書房新社, 1967年
- ヴァレリー「詩集」(平井啓之・清水徹と共訳)『世界詩人全集 第10巻』 新潮社, 1969年
- アンドレ・ブルトン「シャルル・フーリエへのオード」『アンドレ・ブルトン集成』第4巻に所収、人文書院, 1970年
- ボードレール「パリの憂鬱」『新集世界の文学 第8巻』 中央公論社, 1970年
- バルビュス「地獄」 『世界文学全集 第50巻』 集英社, 1970年
- バルザック「従兄ポンス」 『新潮世界文学 第8巻』 新潮社, 1971年
- ブランショ「好きなだけ書きつづけたまえ」 『バタイユ・ブランショ研究』竹内書店, 1972年
- クロード・シモン『ファルサロスの戦い』白水社, 1973年
- ツヴェタン・トドロフ『小説の記号学』(保苅瑞穂共訳)大修館書店, 1974年
- ポール・ヴァレリー『レオナルド・ダ・ヴィンチ論』(共訳) 筑摩叢書, 1975年
- ルイニルネ・デ・フォレ「子供部屋」, 『フランス短篇24』集英社, 1975年
- ナタリー・サロート『あの彼らの声が…』中央公論社, 1976年
- ギュスターヴ・フロベール「ボヴァリー夫人」『世界文学全集 第17巻』 集英社, 1976年、新版1979年
- ガデンヌ「スヘヴェニンゲンの浜辺」、『世界の文学 第24巻』 集英社, 1978年
- ウォルター・ペイター「宮廷画家の寵児」、『世界の文学 第42巻』 集英社, 1981年/『ペイター全集 1』 筑摩書房、2002年
- ステファヌ・マラルメ 『マラルメ全集』全5巻、筑摩書房、1989年-2010年。編集委員
- ミラン・クンデラ『不滅』集英社, 1992年。集英社文庫, 1999年
- J.M.G.ル・クレジオ『パワナ-くじらの失楽園』集英社, 1995年
- J.ロビンソン=ヴァレリー編『科学者たちのポール・ヴァレリー』紀伊國屋書店, 1996年
- ポール・フルキエ『哲学講義3 行動』(原好男・田村毅共訳)、ちくま学芸文庫, 1997年
- フィリップ・ソレルス『ルーヴルの騎手 ルーヴル美術館を創った男 ヴィヴァン・ドゥノンの生涯』集英社, 1998年
- J.M.G.ル・クレジオ『偶然・帆船アザールの冒険』集英社, 2002年
- イヴ・ボヌフォワ『マラルメの詩学』(阿部良雄共訳)筑摩書房, 2003年
- J.M.G.ル・クレジオ『アフリカのひと・父の肖像』集英社, 2006年
- ジョナサン・リテル 『慈しみの女神たち』上下 (星埜守之・篠田勝英・有田英也共訳) 集英社, 2011年
- 『レーモン・クノー コレクション5 わが友ピエロ』水声社, 2012年
共著・編著編集
- 『徹底討議 19世紀の文学・芸術』 平島正郎・高階秀爾との共著、青土社 1975年、新装版2000年
- 『作家の世界-辻邦生』番町書房 1978年
- 『読む事典フランス』高階秀爾・木村尚三郎・荻昌弘共編、三省堂 1990年
- 『九鬼周造随筆集』岩波文庫 1991年
- 『石川淳短篇小説選』・『長篇小説選』・『評論選』ちくま文庫 各2007年
- 『永井荷風再考』日本放送出版協会。「NHKカルチャーラジオ 文学の世界」、2011年1-3月放送回
- 『知の巨匠 加藤周一』岩波書店 2011年
- 『村上春樹の読みかた』平凡社 2012年
- 『ことばの魔術師 井上ひさし』岩波書店 2013年
- 『書物の達人 丸谷才一』集英社新書 2014年
- 『辻井喬=堤清二 文化を創造する文学者』平凡社 2016年
- 『大岡信の詩と真実』岩波書店 2016年