1963年イギリスグランプリ

1963年イギリスグランプリ (1963 British Grand Prix) は、1963年のF1世界選手権第5戦として、1963年7月20日シルバーストン・サーキットで開催された。

イギリス 1963年イギリスグランプリ
レース詳細
1963年F1世界選手権全10戦の第5戦
シルバーストン・サーキット (1952-1974)
シルバーストン・サーキット (1952-1974)
日程 1963年7月20日
正式名称 XVI RAC British Grand Prix
開催地 シルバーストン・サーキット
イギリスの旗 イギリス (イングランドの旗 イングランド) ノーサンプトンシャー州 シルバーストン
コース 恒久的レース施設
コース長 4.711 km (2.927 mi)
レース距離 82周 386.261 km (240.011 mi)
決勝日天候 晴 (ドライ)
ポールポジション
ドライバー ロータス-クライマックス
タイム 1:34.4
ファステストラップ
ドライバー イギリスの旗 ジョン・サーティース フェラーリ
タイム 1:36.0 (3周目)
決勝順位
優勝 ロータス-クライマックス
2位 フェラーリ
3位 BRM

18回目となるイギリスグランプリは、1960年以来3年ぶりにシルバーストンで開催された。ロータス・25をドライブするジム・クラークが2年連続でイギリスグランプリを制した。

レース概要

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予選でジム・クラークポールポジションを獲得することは驚きではなかった。クラークと0.2秒差の2位にブラバムダン・ガーニー、3位はBRM・P57(チームは前戦フランスGPに登場した新車P61を使用しないことに決めた)で出走したグラハム・ヒル、4位のジャック・ブラバムまでがフロントローを占めた[1]。2列目はフェラーリジョン・サーティースクーパー勢(ブルース・マクラーレントニー・マグス)が占めた[2]

大観衆が詰めかけた決勝はブラバムとガーニーのブラバム勢が先行し、マクラーレンとヒルが続き、クラークは5位と大きく出遅れた。しかし、4周目にクラークは首位を取り戻した。クラークが2位以下を引き離し始める時、マクラーレンはエンジントラブルでリタイアした。ガーニーはブラバムを抜いて2位に上がり、その後ブラバムはエンジンブローでリタイアした。3位に浮上したヒルはサーティースの猛追を受け続ける。59周目にガーニーがエンジントラブルでリタイアした時には、首位のクラークがヒルとサーティースを1分近くリードしていた。最終ラップでヒルの燃料が底をつき、サーティースが2位に上がってレースは終了した[2]

なお、地元出身のマイク・ヘイルウッドボブ・アンダーソン(ともにロードレース世界選手権出身者)が本レースでF1デビューを果たしている[2][3]

エントリーリスト

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チーム No. ドライバー コンストラクター シャシー エンジン
  オーウェン・レーシング・オーガニゼーション 1   グラハム・ヒル BRM P57 BRM P56 1.5L V8
2   リッチー・ギンサー
  スクーデリア・セントロ・スッド 3   ロレンツォ・バンディーニ BRM P57 BRM P56 1.5L V8
  チーム・ロータス 4   ジム・クラーク ロータス 25 クライマックス FWMV 1.5L V8
5   トレバー・テイラー
  クーパー・カー・カンパニー 6   ブルース・マクラーレン クーパー T66 クライマックス FWMV 1.5L V8
7   トニー・マグス
  ブラバム・レーシング・オーガニゼーション 8   ジャック・ブラバム ブラバム BT7 クライマックス FWMV 1.5L V8
9   ダン・ガーニー
  スクーデリア・フェラーリ SpA SEFAC 10   ジョン・サーティース フェラーリ 156/63 フェラーリ Tipo178 1.5L V6
  ブリティッシュ・レーシング・パートナーシップ 11   イネス・アイルランド BRP Mk1 BRM P56 1.5L V8
12   ジム・ホール ロータス 24
  R.R.C. ウォーカー・レーシングチーム 14   ヨアキム・ボニエ クーパー T66 クライマックス FWMV 1.5L V8
  シロッコ・レーシング・カーズ 15   トニー・セッテンバー シロッコ SP BRM P56 1.5L V8
16   イアン・バージェス
  オートモビリ・ツーリズモ・エ・スポート 17   ジャンカルロ・バゲッティ 1 ATS 100 ATS 100 1.5L V8
18   フィル・ヒル 1
  レグ・パーネル・レーシング 19   クリス・エイモン ローラ Mk4A クライマックス FWMV 1.5L V8
20   マイク・ヘイルウッド ロータス 24
21   マステン・グレゴリー BRM P56 1.5L V8
  DWレーシング・エンタープライゼス 22   ボブ・アンダーソン ローラ Mk4 クライマックス FWMV 1.5L V8
  エキュリー・マールスベルゲン 23   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 718 ポルシェ 547/3 1.5L F4
  ティム・パーネル 24   ジョン・キャンベル=ジョーンズ ローラ Mk4 クライマックス FWMV 1.5L V8
  シフェール・レーシングチーム 25   ジョー・シフェール ロータス 24 BRM P56 1.5L V8
  イアン・ラビー・レーシング 26   イアン・ラビー ギルビー 62 BRM P56 1.5L V8
  スクーデリア・デ・トマソ 27   ナシフ・エステファノ 1 デ・トマソ 801 デ・トマソ 1.5L F8
ソース:[4]
追記
  • タイヤは全車ダンロップ
  • ^1 - マシンが準備できず

結果

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予選

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順位 No. ドライバー コンストラクター タイム グリッド
1 4   ジム・クラーク ロータス-クライマックス 1:34.4 1
2 9   ダン・ガーニー ブラバム-クライマックス 1:34.6 +0.2 2
3 1   グラハム・ヒル BRM 1:34.8 +0.4 3
4 8   ジャック・ブラバム ブラバム-クライマックス 1:35.0 +0.6 4
5 10   ジョン・サーティース フェラーリ 1:35.2 +0.8 5
6 6   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 1:35.4 +1.0 6
7 7   トニー・マグス クーパー-クライマックス 1:36.0 +1.6 7
8 3   ロレンツォ・バンディーニ BRM 1:36.0 +1.6 8
9 2   リッチー・ギンサー BRM 1:36.0 +1.6 9
10 5   トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 1:36.8 +2.4 10
11 11   イネス・アイルランド BRP-BRM 1:36.8 +2.4 11
12 14   ヨアキム・ボニエ クーパー-クライマックス 1:36.8 +2.4 12
13 12   ジム・ホール ロータス-BRM 1:37.0 +2.6 13
14 19   クリス・エイモン ローラ-クライマックス 1:37.2 +2.8 14
15 25   ジョー・シフェール ロータス-BRM 1:38.4 +4.0 15
16 22   ボブ・アンダーソン ローラ-クライマックス 1:39.0 +4.6 16
17 20   マイク・ヘイルウッド ロータス-クライマックス 1:39.8 +5.4 17
18 15   トニー・セッテンバー シロッコ-BRM 1:40.8 +6.4 18
19 26   イアン・ラビー ギルビー-BRM 1:42.4 +8.0 19
20 16   イアン・バージェス シロッコ-BRM 1:42.6 +8.2 20
21 23   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 1:43.4 +9.0 21
22 21   マステン・グレゴリー ロータス-BRM 1:44.2 +9.8 22
23 24   ジョン・キャンベル=ジョーンズ ローラ-クライマックス 1:48.8 +14.4 23
ソース:[5]

決勝

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順位 No. ドライバー コンストラクター 周回数 タイム/リタイア原因 グリッド ポイント
1 4   ジム・クラーク ロータス-クライマックス 82 2:14:09.6 1 9
2 10   ジョン・サーティース フェラーリ 82 +25.8 5 6
3 1   グラハム・ヒル BRM 82 +37.6 3 4
4 2   リッチー・ギンサー BRM 81 +1 Lap 9 3
5 3   ロレンツォ・バンディーニ BRM 81 +1 Lap 8 2
6 12   ジム・ホール ロータス-BRM 80 +2 Laps 13 1
7 19   クリス・エイモン ローラ-クライマックス 80 +2 Laps 14
8 20   マイク・ヘイルウッド ロータス-クライマックス 78 +4 Laps 17
9 7   トニー・マグス クーパー-クライマックス 78 +4 Laps 7
10 23   カレル・ゴダン・ド・ボーフォール ポルシェ 76 +6 Laps 21
11 21   マステン・グレゴリー ロータス-BRM 75 +7 Laps 22
12 22   ボブ・アンダーソン ローラ-クライマックス 75 +7 Laps 16
13 24   ジョン・キャンベル=ジョーンズ ローラ-クライマックス 74 +8 Laps 23
Ret 25   ジョー・シフェール ロータス-BRM 66 ギアボックス 15
Ret 14   ヨアキム・ボニエ クーパー-クライマックス 65 油圧 12
Ret 9   ダン・ガーニー ブラバム-クライマックス 59 エンジン 2
Ret 26   イアン・ラビー ギルビー-BRM 59 ギアボックス 19
Ret 16   イアン・バージェス シロッコ-BRM 36 イグニッション 20
Ret 8   ジャック・ブラバム ブラバム-クライマックス 27 エンジン 4
Ret 11   イネス・アイルランド BRP-BRM 26 イグニッション 11
Ret 5   トレバー・テイラー ロータス-クライマックス 23 燃料ポンプ 10
Ret 15   トニー・セッテンバー シロッコ-BRM 20 イグニッション 18
Ret 6   ブルース・マクラーレン クーパー-クライマックス 6 エンジン 6
ソース:[6]
ラップリーダー[7]

第5戦終了時点のランキング

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  • : トップ5のみ表示。ベスト6戦のみがカウントされる。

脚注

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  1. ^ 本レースのスターティンググリッドは4-3-4。 Britain 1963 - Starting grid”. statsf1.com. 2018年9月24日閲覧。
  2. ^ a b c British GP, 1963”. grandprix.com. 2018年9月24日閲覧。
  3. ^ (林信次 1997, p. 62)
  4. ^ Britain 1963 - Race entrants”. statsf1.com. 2018年9月23日閲覧。
  5. ^ Britain 1963 - Qualifications”. statsf1.com. 2018年9月23日閲覧。
  6. ^ 1963 British Grand Prix”. formula1.com. 5 October 2013時点のオリジナルよりアーカイブ。20 September 2015閲覧。
  7. ^ Britain 1963 - Laps led”. statsf1.com. 2018年9月24日閲覧。

参照文献

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  • en:1963 British Grand Prix(2018年7月13日 23:26:05(UTC))より翻訳
  • 林信次『F1全史 1961-1965』ニューズ出版、1997年。ISBN 4-938495-09-0 

外部リンク

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前戦
1963年フランスグランプリ
FIA F1世界選手権
1963年シーズン
次戦
1963年ドイツグランプリ
前回開催
1962年イギリスグランプリ
  イギリスグランプリ 次回開催
1964年イギリスグランプリ