トウルヌソル(トゥルヌソル Tournesol)とは、昭和初期(1930年代から1940年代)の日本を代表するサラブレッド種牡馬である。

トウルヌソル
『審驥輯 第1輯』より
品種 サラブレッド
性別
毛色 鹿毛
生誕 1922年
死没 1946年8月27日(24歳没・旧25歳)
Gainsborough
Soliste
母の父 Prince William
生国 イギリスの旗 イギリス
競走成績
生涯成績 24戦6勝
獲得賞金 6625ポンド
テンプレートを表示

1935年から1939年にかけて5年連続で日本のリーディングサイアーを獲得。また、第1回東京優駿大競走(現・東京優駿(日本ダービー))優勝馬ワカタカを含む6頭の東京優駿優勝馬を輩出。これは2021年までに7頭の同レース優勝馬を輩出したディープインパクト[注 1]に次いでサンデーサイレンス[注 2]と同数での2位の記録である。直系子孫は日本の内国産馬としてはもっとも成功を収め、クモハタが日本のリーディングサイアーになり、4代連続の重賞勝馬が出た。競走馬時代はイギリスでプリンセスオブウェールズステークスなど6勝をあげた。

経歴および血統背景

編集

祖父バヤルドゲイクルセイダーゲインズバラの2頭のイギリス三冠馬の父で、1917年1918年イギリスの種牡馬チャンピオンになった。このうちゲインズバラは1915年にイギリスで三冠を達成して種牡馬になると、1925年から1927年までイギリスの種牡馬ランキング4位になった。

トウルヌソルはこの時期の活躍馬で、1926年にプリンセスオブウェールズステークスなどに勝ち、1927年のアスコットゴールドカップ4着のあと脚部故障により引退すると、約10万円で購買され、日本に輸入されて千葉県三里塚の下総御料牧場に繋養された。

同じ1922年生まれのゲインズバラ産駒には、アスコットゴールドカップを勝ったソラリオがいる。その後、ゲインズバラの子にハイペリオンが出て、ゲインズバラは1932年1933年にイギリスの種牡馬チャンピオンになった。ハイペリオンは1940年代に5回チャンピオンサイヤーになってゲインズバラの系統の歴史的な成功を決定したが、同時期の日本ではトウルヌソルが5回チャンピオンサイアーとなった。

トウルヌソルの名前は「ヒマワリ」を意味するフランス語である。トウルヌソルは当時の二大主流のセントサイモン(4×4)、ハンプトン(4×4)のインブリードをもつ。半妹のラソローニュ(父プリンスチメイ)はナッソーステークスの勝馬。祖母シーの妹、マテルはヴェルメイユ賞の勝馬。

これだけの血統背景を持つ馬を、この時代の日本に輸入し、日本産サラブレッドの礎とすることができたのは、当時の競馬や馬産のみならず、後世の日本の馬畜産業にとっても最大級の幸運であったと言われている。

競走馬時代

編集

競走成績は24戦6勝、2着5回、3着3回。収得賞金は6625ポンド

おもな成績

編集
  • 1着
    • プリンセスオブウェールズステークス(12ハロン=約2400メートル)
    • ダッチェスオブヨークプレート
    • ゼトランドプレート
    • クイーンズプライズ
    • グレートノーザンハンデキャップ
  • 2着
    • ハードウィックステークス
    • ノースアンバランドプレート
  • 3着
    • アスコットステークス
  • 4着
 
三里塚記念公園内の記念碑

種牡馬時代

編集

1927年(昭和2年)、宮内省より依頼を受けた獣医学博士丹下謙吉がイギリスに赴き、約8100ポンド(当時の日本円で約98000円)で購入した(輸入に要した経費も含めると9450ポンド、約11万4500円[1])。なお、当時の10万円は、計算式によって若干の差違はあるものの、2000年代の現金ならば10億円かそれ以上に匹敵する価値であった。トウルヌソルは千葉県宮内庁下総御料牧場で種牡馬となった。種付料は500円。

最初の活躍馬のワカタカ1932年(昭和7年)に創設された第1回東京優駿大競走に勝ち、帝室御賞典連合二哩横浜特別も優勝して当時の大競走を制覇した。これ以降もハッピーランド、ワカミチなどが活躍し、1936年トクマサ1937年に牝馬のヒサトモが東京優駿大競走を連覇した。一年あいて1939年クモハタ1940年イエリュウも連覇。1943年には牝馬のクリフジ変則三冠を達成した。

小岩井農場シアンモアと種牡馬成績で争い、二大種牡馬と言われ、下総御料牧場の黄金時代を築いた。1944年種牡馬を引退。産駒数374頭。産駒の獲得賞金の総額は150万円を超える。1946年8月27日に老衰で死亡。死後建立された記念碑が残っている。また目黒競馬場跡付近にある元競馬場前バス停そばにトウルヌソルの銅像がある。

 
目黒競馬場跡付近に建つトウルヌソル像(東京都目黒区)

メールライン

編集

クモハタ - 顕彰馬 東京優駿、東京5歳特別 リーディングサイアー6回
メイヂヒカリ - 顕彰馬、年度代表馬(最優秀3歳・4歳・古牡馬) 菊花賞中山グランプリ天皇賞・春朝日盃3歳S
||オーシャチ - 東京大賞典大井記念東京オリンピック記念、名古屋新春グランプリ
|||アイアンハート - カブトヤマ記念
||キクノヒカリ - ダイヤモンドS
||ブラックメイジ - 大井記念
||ミオソチス - オールカマー
||ハーバーヒカリ - 目黒記念
キヨフジ - 優駿牝馬
ニューフォード - 菊花賞
カツフジ - 天皇賞・秋
||ギンヨク - 東京優駿3着
ミツハタ - 天皇賞・春
||グレースタイバー - 東海菊花賞
ハタカゼ - 天皇賞・秋
||トパーズ - オータムハンデキャップ
|||ウエルスワン - 報知グランプリカップ、金盃報知オールスターカップ
||ハタノボル - カブトヤマ記念
||ユウセイ - 大井記念、金盃
ヤシマドオター - 桜花賞天皇賞・秋
クインナルビー - 天皇賞・秋
ワカクサ - 阪神3歳ステークス神戸盃
タカハタ - 朝日盃3歳S、目黒記念、ダイヤモンドS、日本経済賞
ヤマカブト - 中山大障害東京障害特別
ケニイモア - 中山大障害2回
クレタケ - 中山記念
|サチフサ - 金盃
トキノチカラ 
|ケンチカラ - 東京大賞典
|トキデンコー - 京都記念
|クラックソール - 中山特別
|キャプテンオー - 京都4歳特別

おもな産駒

編集

血統表

編集
トウルヌソル血統ゲインズバラ系 / Hampton 4x4=12.5%、St.Simon 4x4=12.5%、Galopin 4・5x5=12.5% (血統表の出典)

Gainsborough 1915
栗毛 イギリス
父の父
Bayardo 1906
鹿毛 イギリス
Bay Ronald Hampton
Black Duchess
Galicia Galopin
Isoletta
父の母
Rosedrop 1907
栗毛 イギリス
St.Frusquin St.Simon
Isabel
Rosaline Trenton
Rosalys

Soliste 1910
黒鹿毛 イギリス
Prince William 1903
黒鹿毛 イギリス
Bill of Portland St.Simon
Electriclight
La Vierge Hampton
Elizabeth
母の母
Sees 1899
鹿毛 イギリス
Chesterfield Wisdom
Bramble
La Goulue Prism
Rosary F-No.27-a


脚注

編集

注釈

編集

出典

編集
  1. ^ 国立国会図書館蔵『宮内省下総牧場における競走馬の育成調教』
  2. ^ 1952〜57年
  3. ^ 1964年

外部リンク

編集