アリエル・ミランダ・ギルAriel Miranda Gil, 1989年1月10日 - )は、キューバ共和国ハバナ州ハバナ出身のプロ野球選手投手)。左投左打。CPBLでの登録名は「米蘭達」。KBOでの登録名は「미란다」。

アリエル・ミランダ
Ariel Miranda
福岡ソフトバンクホークス時代
(2019年8月12日)
基本情報
国籍 ( キューバから亡命)
出身地 ハバナ州ハバナ
生年月日 (1989-01-10) 1989年1月10日(35歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
190 lb =約86.2 kg
選手情報
投球・打席 左投左打
ポジション 投手
プロ入り 2015年 アマチュアFA
初出場 MLB / 2016年7月3日
NPB / 2018年8月18日
CPBL / 2020年4月12日
KBO / 2021年4月7日
最終出場 MLB / 2018年4月17日
NPB / 2019年9月16日
CPBL / 2020年11月8日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

キューバ時代 編集

キューバの国内リーグであるセリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルバケーロス・デ・ラ・アバナなど4球団で2007年から2013年までプレーした。

オリオールズ時代 編集

 
ボルチモア・オリオールズ時代
(2016年3月30日)

亡命を経て2015年5月23日にボルチモア・オリオールズとマイナー契約を結んだ[1]。この年は傘下のルーキー級ガルフ・コーストリーグ・オリオールズ、A+級フレデリック・キーズ、AA級ボウイ・ベイソックスでプレーし、3球団合計で14試合に先発登板して6勝3敗・防御率3.60・71奪三振の成績を残した。

2016年は開幕をAAA級ノーフォーク・タイズで迎えた。7月3日のシアトル・マリナーズ戦でメジャーデビュー。

マリナーズ時代 編集

 
シアトル・マリナーズ時代
(2017年8月30日)

2016年7月31日にウェイド・マイリーとのトレードで、マリナーズへ移籍した[2]。移籍後は8月4日に昇格すると、先発ローテーション入りした。移籍後は11試合に登板し、うち10試合が先発登板。防御率3.54・5勝2敗・WHIP1.09という安定した成績を残した。なお、オリオールズでの1登板を加えると、防御率3.88・WHIP1.12という数字になる。

2017年は開幕から先発ローテーションを守り、8勝7敗の成績を残した。

2018年は7月4日にシーズン初登板を果たしたものの、同日中に40人枠から外された[3]

ソフトバンク時代 編集

2018年7月17日に福岡ソフトバンクホークスがミランダの獲得を発表した。シーズン終了までの契約で、背番号は19[4]。8月18日には京セラドーム大阪で行われた対オリックス戦において来日初登板を先発投手として迎え、5回2/3を投げ初勝利を飾る[5]。以降先発ローテーションの一角を担い、8試合に先発登板し6勝1敗、防御率1.89の成績を挙げた。ポストシーズンのクライマックスシリーズにおいては、日本ハムとのファーストステージ第1戦と西武とのファイナルステージ第2戦に先発登板。広島東洋カープとの日本シリーズでも第3戦に先発登板して勝利投手となり、チームの日本一連覇に貢献した。

2019年、3月30日に行われた対西武戦において開幕先発ローテーション2番手として先発登板を迎え、シーズン初勝利を挙げる[6]。5月19日の日本ハム戦(鹿児島県立鴨池野球場)では先発で4回2失点で降板したが、試合が5回終了降雨コールドゲームになったためミランダの勝利投手となった。先発投手が5イニング未満で勝利投手となったのは2000年8月22日のオリックス・ブルーウェーブ戦で日本ハムの関根裕之(4回1失点)が記録して以来19年ぶりパ・リーグ9人目の珍記録となった。この年、前年より防御率を悪化させたものの登板機会を増やし7勝を挙げたが、同年11月28日に翌年の契約を結ばないことが球団より発表された[7]

中信兄弟時代 編集

2020年1月7日、CPBL中信兄弟との合意が発表された[8]

2020年は開幕投手を務め、5回1失点と試合を作るも勝敗は付かなかった[9]。2登板目の統一ライオンズ戦で、7回を投げきり2失点で来台初勝利を飾った。5月24日の富邦ガーディアンズ戦で前の打席で本塁打を打たれた林益全に対して、故意死球を与え退場処分となった[10]。6月20日の楽天モンキーズ戦で自己ワーストの4被本塁打、9失点を喫し自身5連敗となった[11]。次の登板となった同月28日の富邦ガーディアンズでは7回3失点と好投し、約2か月ぶりに勝ち投手となった[12]。8月5日の統一ライオンズ戦でCPBL史上4人目、史上5度目となる1イニング3者3球三振を記録した[13]。最終的には1年間ローテーションを守りキャリア初となる2桁勝利を記録した[14]台湾シリーズでは1失点完投勝利を果たすなど[15]1勝1敗、防御率2.87を記録した[16]。オフに球団側は残留交渉をするも難航し、自由契約となった[17]

斗山ベアーズ時代 編集

2020年12月23日、韓国プロ野球斗山ベアーズと契約した[18]。入団契約金は150,000ドル、年俸は550,000ドルに決まった。

2021年は、9月1日に行われた対起亜タイガースダブルヘッダー1回戦で、9回二死までノーヒットノーランを続けていたが朴燦灝に安打を許し記録達成はならなかった[19]。また10月24日に行われたLGツインズ戦で、崔東原1984年に樹立したシーズン奪三振数の韓国プロ野球記録(223)を37年ぶりに更新した[20]。同年は14勝を記録、最優秀防御率(2.33)、最多奪三振(225)の個人タイトルを獲得しシーズンMVPを受賞するなど[21]、バラ色のシーズンを過ごした。

2022年7月14日に斗山からウェーバー公示され[22]、7月21日に放出された。同年は開幕前から肩の故障に苦しみ、一軍では3試合のみの登板で未勝利だった。ミランダにとって韓国最後の登板となった同年6月25日、起亜タイガース戦では韓国プロ野球ワーストの1イニング7与四死球を与えた[23]。また、史上初めてMVP受賞翌年に解雇されるという不名誉な記録も残した。退団後には、ミランダの肩の状態を十分に確認せず再契約を結んだ斗山フロントに批判が殺到した。

その後は肩のリハビリに専念し、2023年3月20日にメキシカンリーグサルティーヨ・サラペメーカーズと契約。斗山時代の同僚だったホセ・ミゲル・フェルナンデスと再びチームメイトになった。しかし開幕から不振が続き、8月途中に解雇された。

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2007-2008 HAB 1 0 0 0 - 0 0 0 - ---- 3 0.1 1 0 2 0 0 0 0 0 2 1 27.00 9.00
2008-2009 9 0 0 0 - 1 0 0 - 1.000 36 7.0 14 0 4 0 1 7 1 0 9 8 10.29 2.57
2009-2010 2 0 0 0 - 0 1 0 - .000 11 2.0 4 1 2 0 0 0 0 0 3 3 13.50 3.00
2010-2011 15 12 0 0 - 4 3 0 - .571 221 49.2 51 5 26 1 0 22 1 0 35 28 5.07 1.55
2011-2012 MAY 20 19 2 1 - 4 11 0 - .267 518 121.2 120 9 48 7 1 77 12 1 56 46 3.40 1.38
2012-2013 MAY/IND 20 20 0 0 - 8 6 0 - .571 525 127.2 116 11 41 8 1 88 8 0 50 48 3.38 1.23
2013-2014 MAY/IJV 13 13 1 1 - 5 4 0 - .556 323 77.2 67 7 28 3 2 80 9 0 32 28 3.24 1.22
2016 BAL 1 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 11 2.0 4 0 0 0 0 4 0 0 3 3 13.50 2.00
SEA 11 10 0 0 0 5 2 0 0 .714 221 56.0 43 12 18 0 0 40 2 0 25 22 3.54 1.09
'16計 12 10 0 0 0 5 2 0 0 .714 232 58.0 47 12 18 0 0 44 2 0 28 25 3.88 1.12
2017 31 29 1 0 0 8 7 0 0 .533 678 160.0 140 37 63 1 5 137 8 0 93 91 5.12 1.27
2018 1 1 0 0 0 0 0 0 0 ---- 24 5.0 6 0 4 0 0 5 0 0 1 1 1.80 2.00
ソフトバンク 8 8 0 0 0 6 1 0 0 .857 191 47.2 28 3 27 1 0 40 0 0 10 10 1.89 1.15
2019 18 18 0 0 0 7 5 0 0 .583 382 86.0 80 13 48 0 2 58 3 0 44 40 4.19 1.49
2020 兄弟 25 25 0 0 0 10 8 0 0 .556 672 156.1 149 14 60 1 5 170 11 1 75 66 3.80 1.34
2021 斗山 28 28 1 1 0 14 5 0 0 .737 709 173.2 135 11 63 0 1 225 7 1 49 45 2.33 1.14
CNS:7年 80 64 3 2 - 22 25 0 - .468 1637 386.0 373 33 151 19 5 274 31 1 187 162 3.78 1.36
MLB:3年 44 40 1 0 0 13 9 0 0 .591 934 223.0 193 49 85 1 5 186 10 0 122 117 4.72 1.25
NPB:2年 26 26 0 0 0 13 6 0 0 .684 573 133.2 108 16 75 1 2 98 3 0 54 50 3.37 1.37
CPBL:1年 25 25 0 0 0 10 8 0 0 .556 672 156.1 149 14 60 1 5 170 11 1 75 66 3.80 1.34
KBO:1年 28 28 1 1 0 14 5 0 0 .737 709 173.2 135 11 63 0 1 225 7 1 49 45 2.33 1.14
  • 2021年度シーズン終了時
  • 各年度の太字はリーグ最高、赤文字はKBOにおける歴代最高

年度別守備成績 編集



投手












2018 ソフトバンク 8 1 6 0 0 1.000
2019 18 3 13 4 0 .800
2020 兄弟 25 6 19 1 2 .962
NPB 26 4 19 4 0 .852
CPBL 25 6 19 1 2 .962
  • 2020年度シーズン終了時

記録 編集

NPB
CPBL

背番号 編集

  • 41(2016年 - 同年途中)
  • 37(2016年途中 - 2018年)
  • 19(2018年途中 - 2019年)
  • 28(2020年)
  • 57(2021年 - 2022年)

登場曲 編集

  • 「Mala Mia」 Muluma(2018年 - 2019年)

脚注 編集

  1. ^ Orioles agree to deal with Cuban pitcher Miranda”. Comcast SportsNet – CSNNE.com (2015年5月23日). 2016年9月19日閲覧。
  2. ^ Mariners trade Miley to O's for prospect Miranda” (英語). MLB.com. 2020年4月24日閲覧。
  3. ^ MLB公式プロフィール参照。2018年7月5日閲覧。
  4. ^ ソフトバンクの新外国人ミランダが入団会見 背番号は「19」”. SANSPO.COM(サンスポ) (2018年7月17日). 2020年4月24日閲覧。
  5. ^ a b “ソフトバンクが2連勝、オリックス・ローチ初黒星”. 日刊スポーツ. (2018年8月18日). https://www.nikkansports.com/baseball/news/201808180000238.html 2019年4月5日閲覧。 
  6. ^ ソフトバンク・ミランダ「難しかった」初勝利も反省”. 日刊スポーツ (2019年3月30日). 2018年4月5日閲覧。
  7. ^ “ソフトバンク、ミランダ&スアレスと来季契約を結ばず 今季7勝左腕が退団”. Full-Count. (2020年11月28日). https://full-count.jp/2019/11/28/post618351/ 2020年3月19日閲覧。 
  8. ^ 前ソフトバンク・ミランダが中信兄弟へ 台湾報道”. 日刊スポーツ (2020年1月7日). 2020年1月8日閲覧。
  9. ^ 台湾リーグが無観客で開幕 あの“元NPB助っ人”が開幕投手に”. BASEBALL KING. 2020年4月24日閲覧。
  10. ^ 自由體育. “中職》林益全開轟後被蓄意觸身? 米蘭達遭驅逐出場 - 自由體育”. sports.ltn.com.tw. 2020年5月24日閲覧。
  11. ^ 中職/米蘭達又被打爆 吞5連敗好慘” (中国語). tw.sports.yahoo.com. 2020年6月28日閲覧。
  12. ^ 【影】中職》米蘭達回穩送8K 兄弟4比3橫掃悍將” (中国語). tw.sports.yahoo.com. 2020年6月28日閲覧。
  13. ^ 中職/9球飆3K!米蘭達達成神紀錄” (中国語). tw.sports.yahoo.com. 2020年8月5日閲覧。
  14. ^ 聯合新聞網 (2020年10月18日). “中職/10位10勝投手 22年未見 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站” (中国語). 聯合新聞網. 2020年10月18日閲覧。
  15. ^ 聯合新聞網 (2020年11月3日). “中職/米蘭達9局完投勝 丘總:感覺真的不一樣 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站” (中国語). 聯合新聞網. 2020年11月3日閲覧。
  16. ^ 中華職棒大聯盟全球資訊網 The Official Site of CPBL”. www.cpbl.com.tw. 2020年11月8日閲覧。
  17. ^ 聯合新聞網 (2020年12月23日). “中職/米蘭達轉韓職合約內容曝光 兄弟近期公布新人選 | 聯合新聞網:最懂你的新聞網站” (中国語). 聯合新聞網. 2020年12月23日閲覧。
  18. ^ https://www.doosanbears.com/media/press/1/1464
  19. ^ 김경윤 (2021年9月1日). “'9회 2사까지 노히트' 두산 미란다, KBO 개인 첫 완봉 역투(종합)” (朝鮮語). 연합뉴스. 2021年9月1日閲覧。
  20. ^ 김경윤 (2021年10月24日). “[프로야구 24일 전적 종합'철완' 최동원 넘는데 37년 걸렸다, 미란다 최다탈삼진 신기록 세워…강백호 4안타 등 17안타 봇물 터트린 kt, 5연패 끊어…두산, 고우석에 잇달아 쓴잔 안기며 LG전 DH 1승1무로]” (朝鮮語). 마니아타임즈. 2021年10月24日閲覧。
  21. ^ プロ野球ことしのMVPに斗山のミランダ投手 奪三振記録を37年ぶり更新”. KBS WORLD (2021年11月30日). 2021年12月21日閲覧。
  22. ^ https://www.koreabaseball.com/Player/Trade.asp
  23. ^ https://www.yna.co.kr/view/AKR20220625037700007?input=1195m

関連項目 編集

外部リンク 編集