アルビオン級揚陸艦

アルビオン級揚陸艦 (英語: Albion-class Landing Platform Dock) は、イギリス海軍が運用するドック型輸送揚陸艦(LPD)の艦級[1]

アルビオン級揚陸艦
HMS Bulwark MOD 45154839.jpg
基本情報
艦種 ドック型輸送揚陸艦(LPD)
運用者  イギリス海軍
建造期間 1998年 - 2001年
就役期間 2003年 - 就役中
建造数 2隻
前級 フィアレス級
要目
基準排水量 14,600 t
満載排水量 16,981 t
漲水時:18,500 t
全長 178.00 m
最大幅 28.9 m
吃水 6.1 m
機関方式 ディーゼル・エレクトリック方式
主機
推進器
  • スクリュープロペラ×2軸
  • バウスラスター(294 shp)×1基
  • 出力
  • 16V32LNEディーゼル発電機 (8,377 bhp / 発電容量6,250 kW)
  • 4R32LNEディーゼル発電機 (2,172 bhp / 発電容量1,560 kW)
  • 電源 電動機 (8,047 shp / 6 MW)×2基
    最大速力 18ノット
    航続距離 8,000海里 (15kt巡航時)
    乗員
    • 個艦要員: 325名
    • 揚陸部隊: 305名(最大710名)
    兵装
  • ゴールキーパーCIWS×2基
    ※後日、ファランクス Block1Bに換装
  • GAM-B01 20mm機銃×2基
  • 12.7mm機銃×4基
  • C4ISTAR
  • CSSスカイネットSATCOM
  • ADAWS 2000 mod 1
  • レーダー
  • 996型997型「ARTISAN 3D」 低空警戒・洋上捜索用×1基
  • 1007型 航海・航空管制用×2基
  • 電子戦
    対抗手段
  • UAT(7)電波探知装置
  • DLJ(2) デコイ発射システム
  • テンプレートを表示

    来歴編集

    イギリス海軍では1965年よりフィアレス級揚陸艦2隻を運用してきたが、老朽化を受けて、1981年、それぞれ1984年1985年に退役する方針が発表された。1982年フォークランド紛争での活躍を受けてこの退役計画は先延ばしにされたものの、老朽化は覆うべくもなく、1988年より代艦の検討が着手された[2]

    1992年ヤーロウ社とVSEL社、ダウティSEMA社に対して設計が発注された。そして長い議論ののち、1996年7月18日、建造契約が発注された[1]

    設計編集

    イギリス海軍において初めて統合された電気推進システムを持ち、その結果機関部要員がそれまでの3分の2に減少し、艦全体では40%の要員削減が達成された。艦首にはバルバス・バウが付されている[1]

    指揮統制システムとして、イギリス海軍で標準的なCSS(Command Support System)を備えている。本級搭載のシステムではワークステーション72基を備えている[1]

    車両甲板は、駐車レーンとして使った場合には550メートル分に相当しており、チャレンジャー2主力戦車であれば6両、軽車両であれば2トントラック16両、小型トラック36両、糧食30トンに相当する。ウェルドックには、戦車輸送可能な揚陸艇LCU Mk.10を4隻、人員あるいは軽車両を輸送する揚陸艇LCVP Mk.5を4隻搭載できる。またアメリカ海軍LCAC-1級エア・クッション型揚陸艇を受け入れることもでき、この場合は2隻を収容できる。艦尾門扉は17.2メートル幅がある[1]

    艦尾甲板は、CH-47の運用にも対応できるヘリコプター甲板とされており、長さ64メートル、2個の発着スポットが設定されている。ただしハンガーは備えていない[1]

    同型艦編集

    バロー・イン・ファーネスにあるBAEシステムズの造船所で2隻建造された。

    2004年11月、内戦が発生したコートジボワールからの在留イギリス人の脱出を、「アルビオン」が支援している。

    # 艦名 発注 起工 進水 就役
    L 14 アルビオン
    HMS Albion
    1996年
    7月18日
    1998年
    5月23日
    2001年
    3月9日
    2003年
    6月19日
    L 15 ブルワーク
    HMS Bulwark
    2000年
    1月27日
    2001年
    11月15日
    2004年
    12月10日

    アルビオン 編集

    ネームシップ「アルビオン」は2018年4月に北東アジアへ派遣された。核・ミサイルの開発を進める北朝鮮に対する制裁の抜け穴となっている「瀬取り」を監視するのが目的の1つと見られている[3]佐世保に寄港中の5月には乗組員の男が酒に酔い、雑居ビルのガラスドアを蹴破った他、男性の手を傘で刺したとして逮捕・送検されたが、長崎地検佐世保支部は不起訴処分として乗組員の男は釈放された[4]8月3日に東京の晴海ふ頭に入港し、翌4日・5日には艦内の一般公開が行われた[5]。これに合わせ、在日イギリス大使館は、日本のOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』に同名の強襲揚陸艦が登場することに引っ掛けたツイートを披露した[6][7]。 8月23日及び24日に沼津海浜訓練場及び同周辺海空域において自衛隊と日英統合水陸両用作戦の訓練を行うと発表されたが[8]台風接近による荒天のため中止となった[9]8月25日には本州南方海域において海上自衛隊輸送艦しもきた」と日英共同訓練を実施した[10]

    2010年12月13日から2011年10月10日までイギリス海軍の艦隊旗艦を務めた[11]

    2018年3月27日から再び艦隊旗艦となったが、2021年1月27日、艦隊旗艦の任務を空母「クイーン・エリザベス」と交代した[12]

    ブルワーク編集

    2番艦「ブルワーク」の初任務は2006年7月に地中海で実施されたオペレーション・ハイブロウ (Operation Highbrow)であった。ベイルートに入港し、約1300人のイギリス国民を収容、退避させた。

    2010年5月にはデヴォンポート海軍基地の乾ドックに入り、3,000万ポンドを投じて改修が行われた[13]。 8ヶ月かけた改修の後、2011年10月11日に「アルビオン」と交代し、艦隊旗艦となった[13][14]。改修により揚陸艇および航空機の夜間運用能力が付与され、さらに飛行甲板上で2機のCH-47を同時に運用できるようになった[13]

    2015年6月1日、艦隊旗艦の任務をヘリコプター揚陸艦「オーシャン」と交代した[15]

    脚注編集

    1. ^ a b c d e f Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 804. ISBN 978-1591149545 
    2. ^ 藤木平八郎「生まれ変われるか?英揚陸作戦部隊」『世界の艦船』第479号、海人社、1994年4月、 82-85頁。
    3. ^ 英揚陸艦「アルビオン」北東アジア派遣のねらい 英海兵隊は何しに地球の裏側へ?
    4. ^ 英海軍の男不起訴 酒に酔い、ビル損壊と傷害容疑 地検佐世保
    5. ^ 英海軍揚陸艦「アルビオン」東京へ到着 装甲車など搭載し ホストは海自艦「うらが」
    6. ^ @UKinJapan (2018年8月1日). "@HMS_Albionにガンダム0083は搭載していませんが、たくさんの皆さんのお越しをお待ちしています。" (ツイート). Twitterより2020年5月23日閲覧
    7. ^ 「ガンダムは搭載していません」 英海軍揚陸艦「アルビオン」入港で大使館が粋なツイート
    8. ^ 日英統合水陸両用作戦訓練の実施について (PDF)
    9. ^ 日英統合水陸両用作戦訓練の中止について (PDF)
    10. ^ 日英共同訓練の実施について (PDF)
    11. ^ Plymouth-based HMS Albion becomes Royal Navy flagship”. BBC News. BBC. 2018年10月27日閲覧。
    12. ^ @RoyalNavy (2021年1月28日). "The start of a new era…" (ツイート). Twitterより2021年2月9日閲覧
    13. ^ a b c LPD (R) Albion Class Landing Platform Dock, United Kingdom”. Naval Technology. 2012年1月6日閲覧。
    14. ^ Bulwark takes over as UK flagship”. Defence News (2011年10月18日). 2012年1月6日閲覧。
    15. ^ HMS Ocean to assume Fleet Flagship role”. Royal Navy (2015年5月27日). 2016年6月17日閲覧。

    外部リンク編集