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擲弾発射器

手榴弾をより遠くに飛ばすための武器
グレネードランチャーから転送)

擲弾発射器(てきだんはっしゃき、英語: Grenade launcher)は、擲弾を発射するための火器[1][2]。通常、口径20mm以上の火器は砲として扱われるが、擲弾発射器は運用上・形態上などの問題から小火器として扱われることが多い[3]

目次

来歴編集

擲弾発射器の歴史は、フリントロック式マスケット銃の時代まで遡る。当時、手榴弾投擲を担当する兵科として擲弾兵があったが、攻城戦では投擲距離が足りないことから、専用の発射器 (Hand mortarが開発された。これは小銃の口径を拡大し、手榴弾を装填できるようにしたもので、小銃弾よりも遥かに重い手榴弾(擲弾)を発射する圧力に耐えられるように、銃身を思い切って短縮するかわりに火砲並みの分厚いものとなった。この極端に短い銃身により初速はかなり遅くなったが、これにより、擲弾は放物線を描いて飛翔することになり、防壁越しの射撃には適することから、一時期ヨーロッパでは多用された。しかし低初速ゆえの命中精度の低さが問題になり、戦闘形態の近代化が進むにつれて使われなくなっていった[4]

第一次世界大戦西部戦線が構築されると、敵の塹壕に手榴弾(擲弾)を投射する必要から、再び擲弾発射器が注目されることになった。このときには、フリントロック式発射器と同様の発想で、小銃の銃口部にカップ型の発射機を装備して、ここに手榴弾を入れて空砲で射出するもののほか、手榴弾に丸棒をつけて銃口に差し込んで空砲で射出するものなどが開発された[4]。ただし、特に小銃を使用して投射する小銃擲弾は、大重量の擲弾を射出する必要から、通常よりも薬室圧力が上昇するため反動が激しく、肩付け射撃ができないため射撃精度が低く、また小銃本体の消耗も激しいという問題があり、戦間期には、ドイツ国防軍5 cm leGrW 36大日本帝国陸軍八九式重擲弾筒のように、専用の小型迫撃砲が志向されることになった[5]

第二次世界大戦では、小銃擲弾や小型迫撃砲のような対人兵器のほか、対戦車兵器としての擲弾発射器も登場した。これは、モンロー/ノイマン効果を用いた成形炸薬弾の場合、低初速の対戦車擲弾のほうが適しているためであった。またベトナム戦争では、視界の悪い熱帯雨林での戦闘に対応して、薬莢に薬室をもたせたハイ・ロー・プレッシャー弾を使用することで、個人携行できる擲弾発射器(いわゆる「擲弾銃」)が開発された[3][4]

擲弾発射器編集

 
アンダーバレル・グレネードランチャー M203を装着したM727
 
XM25

擲弾発射器の方式には、手動式および自動式の2種類の基本方式がある[3]

手動式編集

手動式は、装填・閉鎖・撃発・排莢など一連の動作をすべて手動で行うものであり、更に下記のように分類される[3]

元折れ式
肩撃ち式を基本とする擲弾専用銃である。特に軍用の場合、手動式単体の擲弾銃の使用は減少し、下記の小銃装着式に移行している[3]
小銃装着式(英語: add-on grenade launcher[2]
小銃の銃身下部に固定する方式が多い。弾薬は1発ずつ銃身の後方から装填され、また銃身の後方には撃発機構が付されている[3]
回転弾倉式
同一円周上で、等間隔に複数の薬室を有する円柱状の弾倉をもつ方式。1930年代末にはマンビル・ガン (Manville gunが開発されたものの、多弾数を追求した結果かさばって操作性が悪く、普及しなかったことから[4]、現代では6発装填としたものがほとんどである。なお弾倉の回転は、手動式のほか、ぜんまいばねを利用するものもある[3]
主な機種
元折れ式
チューブ弾倉式(ポンプアクション
小銃装着式
回転弾倉式
エアバースト式
アサルトライフルブルパップ方式20mmグレネードランチャーが一体化した小火器。計画中止。

自動式編集

 
Mk.19 自動擲弾銃

自動擲弾銃英語: Automatic grenade launcher)は、連射できる擲弾銃[2]。自動機構としては、ブローバックガス圧作動方式反動利用式があるが、構造が単純なブローバック式が多用されている[3]

主な機種

対戦車擲弾発射器編集

 
RPG-7

擲弾発射器の性格上、運動エネルギー弾ではなく成形炸薬弾などの化学エネルギー弾が使用される。装甲貫徹力と命中精度を向上させるため、ロケット推進を導入した対戦車ロケット弾の採用が一般的になっているほか、一部では、発射機に無反動砲の原理を導入しており、擲弾発射器というよりは、ロケットランチャーあるいは無反動砲とも考えられる[3]

主な機種

脚注編集

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注釈編集

出典編集

  1. ^ 防衛省 1971, p. 39.
  2. ^ a b c 防衛省 1992, p. 23.
  3. ^ a b c d e f g h i 弾道学研究会 2012, pp. 830-836.
  4. ^ a b c d 床井 2008, pp. 88-93.
  5. ^ ワールドフォトプレス 1986, pp. 54-62.

参考文献編集

関連項目編集