コローニ・C3B (Coloni C3B) は、スバルコローニ・レーシング1990年F1世界選手権に投入したフォーミュラ1カー。エンジンは富士重工業(スバル)とモトーリ・モデルニが共同開発した水平対向12気筒1235エンジン英語版を搭載した。C3Bは失敗作であった。8戦に参加し、1度も予備予選を通過することはできなかった。

コローニ・C3B
カテゴリー F1
コンストラクター イタリアの旗 コローニ
デザイナー ポール・バージェス
先代 コローニ・C3
後継 コローニ・C3C
主要諸元
シャシー アルミニウムおよびカーボンファイバーモノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, ショックアブソーバー
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, ショックアブソーバー
エンジン スバル・モトーリ・モデルニ・1235英語版 3.5リッター, 500ps, B12 (180°), NA ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション ミナルディ 6速
燃料 アジップ
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム スバルコローニ・レーシング
ドライバー ベルギーの旗 ベルトラン・ガショー
通算獲得ポイント 0
初戦 1990年アメリカグランプリ
出走優勝表彰台ポールFラップ
0(8)0000
テンプレートを表示

背景

編集

1988年をもってターボエンジンが禁止され、全車が自然吸気エンジンを使用することとなり、様々なエンジンビルダーがF1参入を試みた。スバルもその中の一つだった。スバルはイタリアのモトーリ・モデルニに資金提供し、その水平対向12気筒エンジンを供給することでF1に参入しようとしていた。1989年にミナルディがこのエンジンをテストしたが、使用には難色を示し、契約は成立しなかった。コローニはフォード・コスワース製エンジンを使用していたが、活動資金は常に不足していた。スバルはチームの株式の51%を購入し、エンジンを供給することとした。チームは既存のシャシーを改造してスバルエンジンを搭載し、開発を進めていくことになった。コローニ・C3Bは当初の設計意図に反して、水平対向12気筒エンジンを搭載したが、当初は過渡的なモデルになると考えられていた。実際にはC3Bはスバルエンジンを搭載した唯一のF1カーとなった。

開発

編集

C3Bは1989年のC3の改良型であった。2台のC3の内1台が、V8型のフォード・コスワース・DFRエンジンに替えてスバル水平対向12気筒エンジンを搭載できるよう車体後部を改変された。スバルエンジンは重く、幅広であり車体はいくつかの変更を必要とした。エンジンはパイプ製のサブフレームで固定され、フレームはモノコックに固定するため箱形の補強が取り付けられた。ラジエーターはエンジンから離れた前方に取り付けられた。その結果、モノコックはサイドポッドも一体化した。サイドボックス内の冷却開口部は小さく、冷却空気はサイドボックスの2つ通路を通って車体に引き込まれた。全体的に、C3Bは運転が非常に困難であった。一部の資料によると、シーズン初期に重量は最低重量よりも約100kgオーバーしていたという。トランスミッションはミナルディ製のギアボックス(コローニがスバルF12エンジンに対応するギアボックスを開発出来なかったため)が搭載された。

チームは1台体制でシーズンに臨み、ドライバーはベルトラン・ガショーが起用された。彼は一度も予備予選を通過できなかった。エンジンは非常に重いだけでなく信頼性に欠け、一説には公称600馬力強というのは真っ赤な嘘で、500馬力どころか、450馬力前後程度しか出ない、と評されるほど非力であった。また、ガショーは「F3000よりも遅い」「恥ずかしい」と散々酷評していた。

フランスグランプリの後にスバルはF1から手を引き、コローニとの提携は終了した。コローニは再び自らのチームで参戦することとなったが、スバルは後継のエンジンが決定するまでエンジンの供給を続けた。チームはフォード・コスワース・DFRへエンジンを変更し、第9戦ドイツグランプリからはC3Cを投入した。

F1における全成績

編集

(key) (太字ポールポジション

シャシー エンジン タイヤ 車番 ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント 順位
1990年 コローニ・C3B スバル
水平対向12気筒 3.5
G USA
 
BRA
 
SMR
 
MON
 
CAN
 
MEX
 
FRA
 
GBR
 
GER
 
HUN
 
BEL
 
ITA
 
POR
 
ESP
 
JPN
 
AUS
 
0 -
31   ベルトラン・ガショー DNPQ DNPQ DNPQ DNPQ DNPQ DNPQ DNPQ DNPQ

参考文献

編集
  • Adriano Cimarosti: Das Jahrhundert des Rennsports. Autos, Strecken und Piloten. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1997, ISBN 3-613-01848-9.(ドイツ語)
  • Alan Henry: Auto Course 1990/91. Osprey Publishing Ltd, London 1991, ISBN 0-905138-74-0.(ドイツ語)
  • David Hodges: A-Z of Grand Prix Cars. Crowood Press, Marlborough 2001, ISBN 1-86126-339-2.(英語)
  • David Hodges: Rennwagen von A-Z nach 1945. Motorbuch-Verlag, Stuttgart 1994, ISBN 3-613-01477-7.(ドイツ語)
  • Pierre Menard: La Grande Encyclopedie de la Formule 1. 2. Auflage. Chronosports, St. Sulpice 2000, ISBN 2-940125-45-7.(フランス語)
  • Alle Zwolfe. In: motorsport aktuell. Heft 4, 1990 (Bericht uber den Subaru-Motor).(ドイツ語)

参照

編集

外部リンク

編集