ジャン・ヴィゴ賞
ジャン・ヴィゴ賞(Prix Jean Vigo)は、映画監督に与えられるフランスの賞。29歳で亡くなった不遇の天才映画監督ジャン・ヴィゴにちなんだ賞であり、主に若手監督に授与される。アヴァンギャルドな作品に贈られることが多く、日本公開作品は少ない。
ジャン・ヴィゴ賞 Prix Jean Vigo | |
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受賞対象 | 将来が期待される若手監督(長編映画・短篇映画の2部門) |
国 | フランス |
主催 | ジャン・ヴィゴ賞協会 |
報酬 | なし |
初回 | 1951年 |
最新回 | 2019年 |
最新受賞者 | ステファヌ・バチュ (Stéphane Batut) |
公式サイト | https://www.prixjeanvigo.fr/ |
概要
編集ジャン・ヴィゴ賞は1951年に創設された。公式ウェブサイトの「規約」には「映画監督に対して与えられる賞であり、作品に対して与えられる賞ではない」と明記されている[1]。現在は長編映画と短編映画の2部門がある。受賞は一回限りである。賞金はなく、若手監督の活動を奨励するための賞である[1]。賞を主宰するジャン・ヴィゴ賞協会は、パリ13区に事務所を構えている[1]。
審査員は映画評論家、映画監督、俳優、作家、脚本家、ジャーナリストらによって構成され、当初の審査員は、ジョルジュ・アルトマン、ジャック・ベッケール、モーリス・ベッシー、ピエール・ボスト、アルマン=ジャン・コーリエ、ジョルジュ・シャランソル、ジャン・コクトー、シャルル・ドラ、ポール・ジルソン、ルネ・ジャンヌ、アンドレ・ラング、ジャン・クヴァル、ロジャー・レジャン、ジョルジュ・サドゥール、そしてジャン・ヴィゴの娘で映画評論家のリュス・ヴィゴであった。以後、フランソワーズ・アルヌール、ジャン・ケイロル、マリ・デプレシャン、ジョルジュ・ペレック、アラン・レネ、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ニコル・ヴェドレスなども審査員を務めた[2]。
受賞者・作品一覧
編集年 | 監督 | 作品 | 邦題・(未公開・直訳) |
1951 | La montagne est verte (短編) | (山は緑) | |
1952 | アンリ・シュネデール | La Grande Vie | (大いなる生) |
1953 | アルベール・ラモリス | Crin-Blanc (短編) | 白い馬 |
1954 | アラン・レネ | Les statues meurent aussi (短編) | (彫像もまた死す) |
1955 | ジャン・ヴィダル | Émile Zola (短編) | (エミール・ゾラ) |
1956 | アラン・レネ | Nuit et brouillard (短編) | 夜と霧 |
1957 | アラン・ジェシュア | Léon la lune (短編) | (月のレオン) |
1958 | ルイ・グロスピエール | Les Femmes de Stermetz (短編) | (ストルメックの女たち) |
1959 | クロード・シャブロル | Le Beau Serge | 美しきセルジュ |
1960 | ジャン=リュック・ゴダール | À bout de souffle | 勝手にしやがれ |
1961 | ジャン=ポール・サッシー | La Peau et les Os | (皮と骨) |
1962 | イヴ・ロベール | La Guerre des boutons | わんぱく戦争 |
1963 | フレデリック・ロシフ | Mourir à Madrid | (マドリードに死す) |
1964 | クロード・シャブロル | La Belle Vie | 美しき人生 |
1965 | (受賞なし) | ||
1966 | センベーヌ・ウスマン | La Noire de... | 黒人女... |
1967 | ウィリアム・クライン | Qui êtes-vous, Polly Maggoo ? | ポリー・マグーお前は誰だ? |
1968 | クリスチャン・ド・シャロンジュ | O Salto | (跳躍) |
1969 | モーリス・ピアラ | L'Enfance nue | 裸の少年期 |
1970 | ラウール・クタール | Hoa-Binh | ホア・ビン |
1971 | ジャン=ルイ・ベルトゥチェリ | Remparts d'argile | (粘土の城塞) |
1972 | ジェローム・ラペルーザ | Continental Circus | (コンチネンタル・サーカス) |
1973 | ギィ・ジル | Absences répétées | (欠勤常習) |
1974 | ベルナール・クィザンヌ | Un homme qui dort | (眠る男) |
1975 | ルネ・フェレ | Histoire de Paul | (ポールの物語) |
1976 | フランク・カサンティ | L'Affiche rouge | (赤いポスター) |
1977 | クリスチャン・ブリクー | Paradiso | (パラディゾ) |
1978 | ジャック・シャンプルー | Bako, l'autre rive | (対岸のバーコ) |
1979 | ジャック・ダヴィラ | Certaines nouvelles | (ある知らせ) |
1980 | ルネ・ジルソン | Ma blonde, entends-tu dans la ville … | (ブロンド女と街で...) |
1981 | ジャン=ピエール・サンティエ | Le Jardinier | (庭師) |
1982 | フィリップ・ガレル | L'Enfant secret | 秘密の子供 |
1983 | ジェラール・モルディヤ | Vive la sociale | (社会問題、万歳) |
1984 | (受賞なし) | ||
1985 | メーディ・シャレフ | Le Thé au harem d'Archimède | (アルシ・アフメドのハーレムでお茶を) |
1986 | ジャック・ロジエ | Maine Océan | メーヌ・オセアン |
1987 | ロラン・ペラン | Buisson ardent | (燃える茂み) |
1988 | リュック・ムレ | La Comédie du travail | (仕事喜劇) |
1989 | ダイ・シージエ | Chine ma douleur | 中国、わがいたみ |
1990 | パトリック・グランベレ | Mona et moi | (モナと私) |
1991 | エリック・バルビエ | Le Brasier | 赤と黒の接吻 |
1992 | オリヴィエ・アサヤス | Paris s'éveille | パリ・セヴェイユ |
1993 | アンヌ・フォンテーヌ | Les histoires d'amour finissent mal... en général | (恋は失敗に終わる...たいていは) |
1994 | セドリック・カーン | Trop de bonheur | 幸せ過ぎて |
1995 | グザヴィエ・ボーヴォワ | N'oublie pas que tu vas mourir | (いつかは死ぬんだ、忘れるな) |
1996 | パスカル・ボニゼール | Encore | アンコール |
1997 | ブリュノ・デュモン | La Vie de Jésus | ジーザスの日々 |
1998 | クロード・ムリエラス | Dis-moi que je rêve | 夢だと云って |
1999 | ノエミ・ルヴォヴスキ | La vie ne me fait pas peur | 人生なんて怖くない |
2000 | パトリシア・マズイ | Saint-Cyr | (サン=シール) |
オルソ・ミレー | De l'histoire ancienne | (古代史) | |
2001 | エマニュエル・ブルデュー | Candidature | (候補) |
アラン・ギロディ | Ce vieux rêve qui bouge | 動き出すかつての夢 | |
2002 | シャルル・ナジュマン | Royal Bonbon | (ロイヤル・ボンボン) |
2003 | ジャン=ポール・シヴェラック | Toutes ces belles promesses | (このすべての立派な約束) |
2004 | パトリック・ミモーニ | Quand je serai star | (いつかスターになったら) |
2005 | ジェローム・ボネル | Les Yeux clairs | (明るい瞳) |
2006 | ロラン・アシャール | Le Dernier des fous | (最後の道化師) |
2007 | セルジュ・ボゾン | La France | (フランス) |
2008 | エマニュエル・ファンキエル | Nulle part, terre promise | (どこにもない、約束の地) |
2009 | オリヴィエ・デュカステル ジャック・マルティノー |
L'Arbre et la Forêt | (木と森) |
2010 | カテル・キレヴェレ | Un poison violent | (劇毒) |
2011 | ラバ・アメール・ザイメッシュ | Les Chants de Mandrin | (マンドランの歌) |
2012 | エレナ・クロツ | L'Âge atomique | (原子力時代) |
2013 | ジャン=シャルル・フィトゥッシ | L'Enclos du temps | (時の囲い地) |
2014 | ジャン=シャルル・ユー | Mange tes morts : Tu ne diras point | (死人を食らえば、何も言えなくなる) |
2015 | ダミアン・オドゥール | La Peur | (恐怖) |
2016 | アルベール・セラ | La Mort de Louis XIV | ルイ14世の死 |
2017 | マチュー・アマルリック | Barbara | バルバラ ― セーヌの黒いバラ |
2018 | ジャン=ベルナール・マルラン | Shéhérazade | シェヘラザード |
ヤン・ゴンザレス | Un couteau dans le coeur | (心臓に突き刺さったナイフ) | |
2019 | ステファヌ・バチュ (Stéphane Batut) | Vif-Argent | (燃える幽霊) |
脚注
編集- ^ a b c “Le Règlement - Prix Jean Vigo” (フランス語). www.prixjeanvigo.fr. 2019年7月5日閲覧。
- ^ “Le Jury - Prix Jean Vigo” (フランス語). www.prixjeanvigo.fr. 2019年7月5日閲覧。