ゼブラーマン

2004年に公開された日本の映画

ゼブラーマン』は、2004年2月14日から全国の劇場で公開された日本映画。その中に登場する劇中劇、およびその主人公。そして、映画とタイアップして登場したプロレスラー。キャッチコピーは『白黒つけるぜ!!

ゼブラーマン
監督 三池崇史
脚本 宮藤官九郎
製作 岡田真
服部紹男
製作総指揮 黒澤満
平野隆
出演者 哀川翔
鈴木京香
安河内ナオキ
市川由衣
三島圭将
近藤公園
柄本明
岩松了
大杉漣
渡部篤郎
音楽 遠藤浩二
主題歌日曜日よりの使者
THE HIGH-LOWS
撮影 田中一成
編集 島村泰司
製作会社 セントラル・アーツ
配給 東映
公開 日本の旗 2004年2月14日
上映時間 115分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 4.7億円[1]
次作 ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-
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監督は三池崇史俳優哀川翔の主演100作目を記念して製作され[2]、この映画で哀川は第28回日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞した。製作は「ゼブラーマン」製作委員会。配給は東映2010年には続編の『ゼブラーマン -ゼブラシティの逆襲-』が公開された。

また、山田玲司による漫画版が『ビッグコミックスピリッツ』にて連載された。

ストーリー 編集

舞台は2010年。生徒からも家族からも疎まれる冴えない小学校教師市川新市は32年前に低視聴率で僅か7回の放送で打ち切りとなった特撮テレビ番組「ゼブラーマン」に登場する「白黒つけたぜ」が決め台詞のヒーロー・ゼブラーマンコスプレという特異な趣味を持つ。

そのころ、市川の住む地区で、地球征服を目論む宇宙人による奇妙な事件が続発。ひょんなことから市川は憧れのゼブラーマンに扮しその宇宙人と戦うことになるのだった。

キャスト 編集

スタッフ 編集

主題歌 編集

日曜日よりの使者
作詞・作曲:甲本ヒロト  編曲・歌:THE HIGH-LOWS
この曲はHondaの「Do You Have a HONDA?」のキャンペーンソングでもあるが、劇場公開にあわせてシングルカットされた。

製作 編集

1990年東映Vシネマネオチンピラ 鉄砲玉ぴゅ〜』を初の主演作として[2]、以降は大半の主演作がVシネマの哀川翔は"Vシネマの帝王"と呼ばれた[2]。本作は主演作を積み重ねてきた哀川と、Vシネマも撮ってきた三池崇史監督が「100本目を祝おう」と製作したもの[2]。出資者やVシネマファンを巻き込み、結果的に全国184館での上映という盛大なイベントになり[2]、積み重ねられたVシネマの人と歴史とファンの、ある種の"爆発"ともいえる現象が起きた[2]

哀川は「100本目にしてやっと子供たちにも面と向かって『映画館に見に行けよ』と言える作品ができた。今までは『こっそり見ろよ』なんて言ってたからね(笑)」「おれは不良というよりやんちゃしていた程度だけど、ターゲットは元・不良、今・不良、これからの不良、約2000万人。『翔さんに憧れてヤクザになりました』というファンもいたよ。おれ、そういうつもりで映画やっているワケじゃないから、『やめといたほうがいいと思うよ』と言ったけど(笑)」「100本目を作ってくれたスタッフに感謝。『ゼブラーマン』を観た後に涙が出たよ」などと話した[3]

宣伝・興行 編集

東映宣伝部が宣伝を担当したが、哀川は公開前に活字、テレビと合わせて異例の200件の取材をこなし、"哀川翔まつり"状態[2]。公開は3週間だったが[2]、大きな話題を呼んだ[2]

劇中劇 ゼブラーマン 編集

1978年3月4日から、同年4月15日まで土曜日19:30 - 20:00 (JST) にテレビハンドレッド系で7話放送され、視聴率1.8%という低迷により打ち切られた特撮テレビ番組……という架空の設定の作品。いわゆる劇中劇である。

あらすじ 編集

主人公の十文字譲は、とある小学校に勤める教師。世間で騒がれている環境破壊や公害、犯罪などには、人一倍憤る強い正義感を持つ男だが、引っ込み思案であるため、普段は目立たない存在。動物園の飼育係をしている譲の伯父・十文字念二郎(通称「念仏おやじ」)の一家と共に暮らしている。

そんな平凡な生活に、ある日謎の少年とその母が現れることから、十文字の人生は急転する……。

キャスト 編集

  • ゼブラーマン / 十文字譲:新川優馬(演:渡洋史
  • 十文字念二郎 / 念おじ:外山裕
  • 十文字節子:斉藤みゆき
  • 十文字桃:清水陽子
  • 十文字元:寺島浩
  • 謎の少年・江戸川:中島真
  • 江戸川美穂:木戸まあさ
  • 須藤:山口広高
  • 月島:名古屋涼
  • バグピオンの声:山田平八
  • ナレーター:吉岡源一郎

スタッフ 編集

  • 連載:月刊ブラウン管君
  • 企画:岡田雄治、工藤新一、小島圭太
  • 監督:金本悟
  • 撮影:山本享、篠原正、佐々木弘
  • 照明:千葉清、野々村義人、高橋アキラ、遠山猛
  • 美術:山川登
  • キャラクターデザイン:赤坂和義、児玉美里
  • イラスト:宮川二郎
  • スタントコーディネート:辻井敬伺(Stunt Team Gocoo)

主題歌 編集

「ゼブラーマンの歌」
歌:水木一郎

登場メカニック 編集

架空 編集

グレービー号
特撮テレビ番組『ゼブラーマン』の劇中においてゼブラーマンが搭乗していたバイク。また、市川新市も縞模様に塗装された近い形のバイクを使用するようになる。
チロリアン2号
防衛庁特殊機密調査部が用いるワゴン型車両。宇宙人を探知するレーダーのほか、車体後部に様々な機器を搭載しているが、そのため車内スペースは狭く、エアコンも装備されていない。

実在 編集

防衛庁
米軍

関連商品 編集

  • SIMPLE2000シリーズ Vol.60 THE 特撮変身ヒーロー』 - 隠しパーツでゼブラーマンのコスチュームが登場。

漫画版 編集

基本設定は借用されているものの、ストーリーその他はほぼ山田オリジナルというべきものになっている。映画版では登場する怪人たちは「地球を侵略するために襲来した宇宙人」だったが、漫画版では「心に闇を抱えるがゆえに洗脳に身をゆだね、欲望のままに悪事に手を染めてしまった一般人」という設定になっている。怪人を「演じる」人間にも愛する者が存在しており、ヒーローを演じながらも怪人たちと同じように苦しみを抱える主人公自身の心情や葛藤、戦いを経て主人公が自分自身を見つめ直し、真の家族愛に目覚めていく過程を映画版以上に鮮明に描き出しており、「人情」「家族の絆」というテーマをより前面に押し出した作風となっている。

プロレスラー 編集

映画と連動した覆面レスラーのゼブラーマンは、映画に先駆けて2004年1月4日プロレスイベントハッスルの「ハッスル1」で初お披露目された[4]

次いで、空手家の小笠原和彦2月19日にゼブラーマンになることになり[5]、2004年2月29日プロレスリングZERO-ONE両国国技館大会でデビューした。入場曲は映画で使用された『ゼブラーマンの歌』。試合前には映画版に主演した哀川翔から花束が贈られ、そのまま哀川は試合を観戦した[6]。小笠原版ゼブラーマンは3月7日の「ハッスル2」にも参戦し、長州力タッグマッチで対戦した[7]

出典 編集

  1. ^ 「2004年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」『キネマ旬報2005年平成17年)2月下旬号、キネマ旬報社、2005年、152頁。 
  2. ^ a b c d e f g h i 宮崎美紀子 (2004年3月19日). “"帝王"生んだVシネマ 哀川翔『ゼブラーマン』で主演映画100本 低予算、短期間で撮影 ヒットするとシリーズ化 2週間程度公開後ビデオ化し、販売”. 東京新聞 (中日新聞東京本社): p. 芸能ス18 
  3. ^ 中山治美「主演映画100本、ヒーローになった哀川翔」『AERA』2004年2月23日号、朝日新聞社、46頁。 
  4. ^ ハッスル1 ハッスル公式サイト
  5. ^ ZERO-ONE「EMBERS」[1] スポーツナビ 2004年2月19日
  6. ^ ZERO-ONE 「MANIFESTO-1」第3試合 Fight It Out ~1st タッグマッチ 30分1本勝負[2] スポーツナビ 2004年2月29日
  7. ^ ハッスル2[3] スポーツナビ 2004年3月7日

外部リンク 編集