ハード・ターゲット

ハード・ターゲット』(Hard Target)は、1993年に公開されたアメリカ合衆国アクション映画ジョン・ウー監督がハリウッドに進出した初の映画。2016年には監督をロエル・レイネが務め、ヴァンダムと共演の多いスコット・アドキンスが主演で続編が製作された。

ハード・ターゲット
Hard Target
監督 ジョン・ウー
脚本 チャック・ファーラー
製作 ジェームズ・ジャックス
ショーン・ダニエル
製作総指揮 サム・ライミ
ロバート・タパート
モシェ・ディアマン
出演者 ジャン=クロード・ヴァン・ダム
ランス・ヘンリクセン
ヤンシー・バトラー
音楽 グレーム・レヴェル
主題歌 「Born on the Bayou」
クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル
撮影 ラッセル・カーペンター
編集 ボブ・ムラウスキー
配給 アメリカ合衆国の旗 ユニバーサル・ピクチャーズ
日本の旗 UIP
公開 アメリカ合衆国の旗 1993年8月20日
日本の旗 1994年1月29日
上映時間 97分
100分(日本公開版)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $15,000,000
興行収入 $74,189,677[1]
次作 ハード・ターゲット2 ファイティング・プライド
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あらすじ編集

寂れたニューオリンズスラム街で、深夜ホームレスの男が殺し屋集団に追われた末殺害された。その数日後、弁護士ナターシャ・ビンダーは音信不通となった父ダグラスを心配して単身ニューオリンズを訪れるが、ダグラスが借りていたアパートの大家から、彼は勤務先の石油掘削会社をリストラされ、家賃を滞納したまま姿を消したと告げられる。ナターシャは父の失踪届を提出しに警察署を訪れるが、署では警官たちが待遇改善要求を掲げてストライキを起こしており、応対に出た女刑事ミッチェルもまともに取り合わない。

やむなく単独で父親探しを行おうとスラム街をさまよううち、チンピラに絡まれてしまう。そこに若くたくましい男が現れ、すさまじい格闘術でチンピラたちを撃退する。男はチャンス・ブードローといい、かつてアメリカ海兵隊武装偵察部隊で活躍した凄腕の軍人だった。退役後は商船員として働いていたが、香港で横暴な船長を半殺しにしたため、船員組合に睨まれて船員資格停止処分となり、失業中の身であった。父親探しに危険が伴うと判断したナターシャはチャンスをボディガードとして雇い入れようとするが、久し振りに船員の仕事に復帰できそうだった彼はナターシャの申し入れを断る。だが組合費滞納により資格停止処分が解除されないことが判明し、船が出港する2日以内に滞納分の組合費を稼ぐため、ナターシャの依頼を引き受ける。

2人の調査が核心に迫ろうとした矢先、父親の焼死体が発見された。警察は死体を事故と断定したが、チャンスは遺留品のドッグ・タグの不自然な破損から、何者かによる殺害と判断する。やがてチャンスの友人の黒人ホームレスエライジャ・ローパーが、フランス富豪エミール・フーションとその側近の南アフリカ傭兵ピク・ヴァン・クリーヴの組織する殺し屋集団の追跡に遭い、嬲り殺された。フーションとヴァン・クリーヴは、主に上流階級のセレブ達を顧客とした人間狩りゲームの主催者だった。彼らは狩りの標的としてホームレスの中から軍や警察出身の人間をピックアップし、警察のゼネストにより治安機能が低下しているニューオリンズを狩場として、セレブ達から高額な手数料を貰ってハンティングを行わせていたのだ。

ニューオリンズでのハンティングもそろそろ潮時と判断した二人は、検死報告を捏造させるために買収した監察医モートンや標的をピックアップさせていた手配師のランダルを口封じに殺害すると、自分たちの組織の存在を嗅ぎまわっているナターシャとチャンスを標的とした最後のハンティングを開始する。こうして、チャンスの反撃が始まる。

登場人物編集

チャンス・ブードロー
演 - ジャン=クロード・ヴァン・ダム
元軍人。退役後は商船員として働いていたが、事件を起こして船員資格停止処分となり、現在は失業中。無頼な印象だが、ナターシャに仕事を頼まれた時には慎重な交渉をする思慮深さを見せた。ダグラスの焼死現場を見て不審を抱くなど、推理力もある。軍人としてのノウハウは失われておらず、一人で数人の暴漢をねじ伏せた。
エミール・フーション
演 - ランス・ヘンリクセン
フランスの富豪。ハンティングと称して人殺しを楽しむ極悪人で、自身も相当の腕利き。ピアノも堪能で、私邸でベートーベンの「熱情」を弾くなど多芸な面も見せる。
ピク・ヴァン・クリーフ
演 - アーノルド・ヴォスルー
フーションの側近。南アフリカ人の傭兵。傭兵だけあり腕はたち、殺害に一切の躊躇いを見せない残酷な性格。
ナターシャ・"ナット"・ビンダー
演 - ヤンシー・バトラー
弁護士。ナットは愛称。年齢は27歳前後。両親は20年前に離婚しており、父とは手紙で交流を図っていたが手紙がこなくなったことで心配して父を探す。無法者が多い場所で大金を持ち歩くなど、不用心なところがある。事実、そこを狙われて強盗に襲われたが、そこでブードローと出会う。
アンクル・ドゥヴェー
演 - ウィルフォード・ブリムリー
ブードローの伯父。ニューオリンズ近郊の山林で、狩猟と酒造を楽しみながら自給自足の生活をしている。フーション達との対決を決めたブードローに助力し、自身も弓矢を構えて奮戦する。
カーマイン・ミッチェル
演 - ケイシー・レモンズ
女刑事。杓子定規な性格だが、それだけに一度受けた仕事は最後までやろうとする仕事意識を持っている。最初はダグラスの失踪事件について「ホームレスの失踪なんて日常茶飯事」とまともに取り合わなかったが、ブードローの説得により事件の大きさに気づき、一転して協力的になる。手配師ランダルを捜索していた際、ヴァン・クリーヴの手下に襲われ死亡する。
ダグラス・ビンダー
演 - チャック・ファーラー
ナターシャの父。元海兵隊員。その後、石油掘削会社に勤務していたがリストラされて、家賃を滞納したまま姿を消した。フーションの部下達に殺害され、のちに焼死体となって発見される。
エライジャ・ローパー
演 - ウィリー・C・カーペンター
黒人ホームレス。ベトナム戦争に従軍していた元軍人。ブードローの友人。賞金欲しさにフーションのゲームに乗ってしまい、殺し屋達から逃げ切ることができずに殺害されてしまう。
ランダル・ポー
演 - エリオット・キーナー
手配師。スラム街でホームレス達に仕事を紹介していたが、実はフーションの仲間でホームレスの中から獲物をピックアップする役を担っていた。ダグラスに親密な家族がいたとは知らずに獲物として手配してしまうミスを犯したため、フーションから制裁を食らい、耳を削ぎ落とされる。最終的にはこの地に見切りをつけたフーション達から切り捨てられ、口封じのため殺害された。
モートン
演 - マルコ・セント・ジョン
ニューオリンズ市警の監察医。フーション達に買収されており、ハンティングで殺された獲物たちの検死報告を偽装していた。ミッチェルにダグラスの検死のやり直しをせがまれ、進退窮まってフーションに泣きつくも、逆に彼に見切りをつけられ殺害された。
イズマエル・ゼナン
演 - ジョー・ウォーフィールド
資産家。エライジャを獲物としたハンティングを行うが、土壇場で殺害を躊躇ったためエライジャに返り討ちにされてしまう。最期はフーションにトドメを刺された。

キャスト編集

役名 俳優 日本語吹替
VHS&DVD フジテレビ
チャンス・ブードロー ジャン=クロード・ヴァン・ダム 大塚明夫
エミール・フーション ランス・ヘンリクセン 坂口芳貞 堀勝之祐
ピク・ヴァン・クリーフ アーノルド・ヴォスルー 金尾哲夫 大塚芳忠
ナターシャ・"ナット"・ビンダー ヤンシー・バトラー 日野由利加 高島雅羅
カーマイン・ミッチェル刑事 ケイシー・レモンズ 堀越真己 金野恵子
アンクル・ドゥヴェー ウィルフォード・ブリムリー 今西正男 富田耕生
ダグラス・ビンダー チャック・ファーラー 辻親八 島香裕
エライジャ・ローパー ウィリー・C・カーペンター 岩田安生 羽佐間道夫
ランダル・ポー エリオット・キーナー 辻親八 宝亀克寿
ミスター・ロパッキ ボブ・アピサ 小山武宏 笹岡繁蔵
フリック ダグラス・フォーサイス・ロイ 今西正男
フラック マイケル・D・ライナート 島香裕[2] 広瀬正志
モートン監察医 マルコ・セント・ジョン 小山武宏 石森達幸
イズマエル・ゼナン ジョー・ウォーフィールド 大川透 原田一夫
マリー レノア・バンクス 久保田民絵
ウェイトレス バーバラ・タスカー 沢海陽子
職場代表 ランディ・チェラミー 島香裕 広瀬正志
刑事 ロバート・パヴロヴィッチ 大川透 沢木郁也
ステファン スヴェン=オーレ・トールセン 辻親八 大川透
ジェローム トム・ルポ
ピーターソン ジュールス・シルヴェスター 坪井智浩
通行人 テッド・ライミ 真殿光昭 水野龍司
その他 鈴木れい子
小野英昭
秋元千賀子
演出 中野寛次 左近允洋
翻訳 岩佐幸子 栗原とみ子
制作 東北新社 グロービジョン
初回放送 2020年3月18日
午後のロードショー[3]
1997年2月1日
ゴールデン洋画劇場

※2021年11月10日発売の「ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ」には、VHS&DVD版とフジテレビ版の両方の吹き替えを収録(ただし、編集の異なる海外版の映像マスターは未収録)[4]

スタッフ編集

裏話編集

この映画はジョン・ウーが『ハードボイルド/新・男たちの挽歌』を作った翌年に製作された映画である。当時のユニバーサル・ピクチャーズの会長であるトム・ポラックが、『狼 男たちの挽歌・最終章』を見た後でジョン・ウーに白羽の矢が立った。しかし、当時英語があまり話せない監督がこれほどの大作に参加するのは不安であると判断してもいたため、サム・ライミにウーの動向を監視し、万が一の時は監督を引き継ぐように指示を出した。だが、サム・ライミ自身はウーの香港時代の映画の熱狂的なファンであり、ウーの腕に信頼を置いていた。また、ライミは「ウーが70%の力を出す時、それはアメリカのアクション映画監督の100%の力に当たる」と評している。

参考文献編集

  1. ^ Hard Target (1993)”. Box Office Mojo. Internet Movie Database. 2011年8月29日閲覧。
  2. ^ 火事の現場での吹き替えは今西正男だったが、最終決戦ではドゥヴェーと被るため、島香裕に変わっている。
  3. ^ 番組表等ではクレジットはテレビ放送版だったが音源及びエンドクレジットはVHS&DVD版の物であった。
  4. ^ ハード・ターゲット ユニバーサル思い出の復刻版 ブルーレイ”. NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン. 2021年8月21日閲覧。

外部リンク編集