フィル・ウィリアム・クラインPhil William Klein, 1989年4月30日 - )は、アメリカ合衆国オハイオ州コロンバス出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

フィル・クライン
Phil Klein
横浜DeNAベイスターズ時代
(2017年3月4日、倉敷マスカットスタジアムにて)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 オハイオ州コロンバス
生年月日 (1989-04-30) 1989年4月30日(34歳)
身長
体重
6' 7" =約200.7 cm
260 lb =約117.9 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2011年 MLBドラフト30巡目(全体924位)
初出場 MLB / 2014年8月1日
NPB / 2017年4月1日
最終出場 MLB / 2016年10月1日
NPB / 2017年6月2日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りとレンジャーズ時代 編集

2011年MLBドラフト30巡目(全体924位)でテキサス・レンジャーズから指名され、プロ入り。この年は傘下のルーキー級アリゾナリーグ・レンジャーズで3試合に登板後、A-級スポケーン・インディアンス英語版へ昇格。9試合に登板し、1勝2敗・防御率4.58だった。

2012年はA級ヒッコリー・クロウダッズで33試合に登板し、6勝0敗8セーブ・防御率1.90だった。8月にA+級マートルビーチ・ペリカンズへ昇格。7試合に登板し、防御率0.87だった。

2013年はA+級マートルビーチで7試合に登板し、1勝0敗・防御率1.98だった。5月にAA級フリスコ・ラフライダーズへ昇格。29試合に登板し、5勝1敗・防御率2.52だった。

2014年はAA級フリスコで開幕を迎え、24試合に登板。3勝0敗10セーブ・防御率0.81と結果を残し、6月にAAA級ラウンドロック・エクスプレスへ昇格。AAA級では9試合に登板し、18.1回を無失点に抑え、8月1日にレンジャーズとメジャー契約を結んだ[1]。10点ビハインドの6回裏から登板したが、ロニー・チゼンホールに本塁打を打たれ、1回2安打1失点だった[2]。この年は、17試合全てでリリーフ登板し、防御率2.84・奪三振率10.9という好成績を残した。

2015年は、先発登板する機会もあり、11試合中2試合では先発で投げたが、1713回で被本塁打4、防御率6.75と不振だった。しかしながら、勝ち星を1つ挙げ、メジャーデビュー年から最低1勝以上の記録を2年に継続とした。

2016年6月9日にDFAとなった[3]。レンジャーズを出るまでに、8試合にリリーフ登板し、防御率5.19・1敗だったが、8.2イニングで12三振を奪った。また、ラウンドロックでは8試合に登板・うち1試合で先発登板し、防御率4.26・WHIP1.50を記録した。

フィリーズ時代 編集

2016年6月19日にウェイバー公示を経てフィラデルフィア・フィリーズへ移籍した[4]。フィリーズでは4試合に登板し、うち2試合が先発登板だったが、防御率8.44・WHIP2.06と大炎上した。一方、マイナー (AAA級リーハイバレー・アイアンピッグス) では14試合中10試合に先発登板し、防御率1.52・5勝1敗・FIP2.47・WHIP0.87・与四球率1.8・奪三振率10.5というピッチングを見せた。なお、レンジャーズ時代との通算成績は、MLBでは12試合の登板で防御率6.98・0勝1敗・FIP4.08・WHIP1.66、マイナーでは22試合の登板 (11試合が先発登板) で防御率1.96・5勝1敗・WHIP0.97というものだった。オフの12月14日にアジアで出場機会を求めるために自由契約となった[3][5]

DeNA時代 編集

2016年12月19日に横浜DeNAベイスターズと契約を結んだ。背番号は49。契約時点ではセントラル・リーグの現役投手最長身(身長201cm)[6]で、一軍監督のアレックス・ラミレスからは、「(阪神タイガースのエースで身長198cmの)ランディ・メッセンジャーに近い投手で(一軍公式戦での)2桁勝利を期待できる」との評価を受けていた[7]

2017年には、自身と同じく新加入のジョー・ウィーランドと共に、一軍公式戦の開幕から先発ローテーションの一角を担った。4月1日には、東京ヤクルトスワローズとの開幕カード第2戦(明治神宮野球場)で公式戦にデビュー。5回1失点という内容で、公式戦初勝利を挙げた。4月16日には、横浜スタジアムで催された同カードで、シーズン2勝目をマーク。しかし、4月23日の対中日ドラゴンズ戦(横浜)でNPB初黒星を喫すると、外国人選手6名(野手3名・投手3名)を抱えるチーム事情を背景に、外国人枠との兼ね合いで同月下旬から二軍で調整。5月20日の対読売ジャイアンツ戦(横浜)から一軍へ復帰したものの、制球難から先発で2連敗を喫したため、6月3日に出場選手登録を再び抹消された。さらに、抹消後に右肘痛を発症。イースタン・リーグ公式戦に登板せず、他の投手とは別の練習メニューによる調整を余儀なくされたため、8月7日には右肘の治療を理由にアメリカ合衆国へ帰国した[8]。チームはレギュラーシーズン3位からクライマックスシリーズ突破を経て日本シリーズへ進出したが、クラインは再来日に至らず、日本シリーズ終了3日後の11月8日には翌年の契約を結ばないことが球団から発表された[9]。12月2日に自由契約公示された[10]

2018年以降はどのプロ野球チームにも所属していない。

選手としての特徴 編集

長身を活かした角度のあるスリークォーターから、最速94.9mph(約152.7km/h)・平均91.8mph(約147.7km/h)のツーシーム、平均91.2mph(約146.8km/h)のフォーシームと、平均85.4mph(約137.4km/h)のスライダーの3球種を主体に、平均85.9mph(約138.2km/h)のチェンジアップ、平均80.0mph(約128.7km/h)のカーブを使用する(2016年)[11]。PITCHf/x上では2014年にカットボールが分類されている[12][13]

投球スタイルは例年、試行錯誤している模様で、メジャー1年目の2014年は、スライダーを多投しており、速球2種類との計3球種がほとんどを占めているが、2015年はフォーシームを基本球種としてスライダーとの2球種が主体となり、カーブは投げていない。2016年は一転してツーシームが最も多く、また再びカーブを投げるようになっている[14]

MLB通算被打率は、対右打者には.181ながら、対左打者には.350と苦手としている。

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2014 TEX 17 0 0 0 0 1 2 0 0 .333 79 19.0 11 3 10 5 2 23 1 1 6 6 2.84 1.11
2015 11 2 0 0 0 1 0 0 2 1.000 86 17.1 23 4 10 0 0 12 1 0 15 13 6.75 1.90
2016 8 0 0 0 0 0 1 0 0 .000 35 8.2 8 2 2 0 0 12 1 0 5 5 5.19 1.15
PHI 4 2 0 0 0 0 0 0 0 ---- 51 10.2 15 0 7 1 1 7 0 0 10 10 8.44 2.06
'16計 12 2 0 0 0 0 1 0 0 .000 86 19.1 23 2 9 1 1 19 1 0 15 15 6.98 1.66
2017 DeNA 7 7 0 0 0 2 3 0 0 .400 163 36.0 35 5 22 0 3 27 3 1 25 19 4.75 1.58
MLB:3年 40 4 0 0 0 2 3 0 2 .400 251 55.2 57 9 29 6 3 54 3 1 36 34 5.50 1.54
NPB:1年 7 7 0 0 0 2 3 0 0 .400 163 36.0 35 5 22 0 3 27 3 1 25 19 4.75 1.58
  • 2017年度シーズン終了時

背番号 編集

  • 64 (2014年)
  • 35 (2015年 - 同年途中)
  • 43 (2015年途中 - 同年終了、2016年途中 - 同年終了)
  • 31 (2016年 - 同年途中)
  • 49 (2017年)

記録 編集

MLB 編集

NPB 編集

投手記録
打撃記録

脚注 編集

  1. ^ "Rangers Purchase Contract Of RHP Phil Klein from AAA Round Rock; LHP Ryan Feierabend Designated for Assignment" (Press release) (英語). MLB.com (Texas Rangers). 1 August 2014. 2015年12月22日閲覧
  2. ^ Scores for Aug 1, 2014” (英語). ESPN (2014年8月1日). 2015年12月22日閲覧。
  3. ^ a b MLB公式プロフィール参照。2016年12月21日閲覧。
  4. ^ Jeff Neiburg (2016年6月19日). “Phillies Claim RHP Phil Klein Off Waivers From Rangers, Option Him to Triple A”. nbcphiladelphia.com. 2016年6月23日閲覧。
  5. ^ Todd Zolecki (2016年12月14日). “Blanco, Phils agree on one-year deal” (英語). MLB.com. 2016年12月21日閲覧。
  6. ^ DeNA、右腕クライン獲得を発表 セ最長身2m1、山口穴埋めに期待”. スポーツニッポン (2016年12月19日). 2016年12月21日閲覧。
  7. ^ ラミレス監督絶賛!クラインは“メッセンジャー級” DeNA新助っ投が上々デビュー”. デイリースポーツ (2017年2月19日). 2017年11月8日閲覧。
  8. ^ DeNA、・クライン、右肘治療のため米国へ帰国 再来日は未定”. サンケイスポーツ (2017年8月7日). 2017年11月8日閲覧。
  9. ^ 2018年シーズン 選手契約について”. 横浜DeNAベイスターズ (2017年11月8日). 2017年11月8日閲覧。
  10. ^ 自由契約選手 | 2017年度公示”. 日本野球機構 (2017年12月2日). 2017年12月6日閲覧。
  11. ^ FanGraphs - PITCHf/x
  12. ^ カッターの球速と回転軸はフォーシームと類似。
  13. ^ BrooksBaseball
  14. ^ Phil Klein Pitch Data” (英語). The Baseball Cube. 2017年2月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集