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概要編集

五色台の名称は、古代中国の陰陽五行説に由来するという。五色の名の付いた紅ノ峰・黄ノ峰・青峰・黒峰・白峰山があり、地形図に記載された昭和35年以降は、山塊の総称とされている。遠方から望む山容は台形で、なだらかに広がる。最高峰の標高483メートルの猪尻山ほか複数の頂に、標高407メートルの国分台(こくぶだい)などの平坦面が連なる。東西約8キロメートル・南北約10キロメートルの山塊で、北北西方向に緩やかに標高を減じる台地の地形(メサ[注 2]である[1][2][3][4]。 県内と瀬戸内海沿岸向けの放送送信の適地とされ、多くの送信鉄塔が五色台送信所に設置されている。

備讃瀬戸を望む好展望地であり、四季折々の自然と触れ合うフィールドに恵まれる。1950年(昭和25年)、瀬戸内海国立公園[5]に編入された。五色台園地の「五色台ビジターセンター」には自然体験ハウスが併設され、「休暇村讃岐五色台」にはテニスコートプールオートキャンプ場などが併設されている[6]

五色台園地のほかに、崇徳天皇白峯陵・四国八十八箇所霊場白峯寺根香寺瀬戸内海歴史民俗資料館・五色台少年自然センター[注 3]・観光果樹園・宿泊施設などが散在する[7]

稜線を南北に五色台スカイライン県道281号)が走り、ドライブとともに、展望台で瀬戸内海などの眺望を楽しむことができる。五色台スカイラインは、高松市~坂出市の南側山越えの県道180号と山上で交差する。他方は、山麓海岸外周の県道16号と大崎ノ鼻で交差する[8]

五色台園地に加え、北側に大崎山園地・黒峰に黒峰園地、白峯寺の参道の入り口に白峰園地がある。各々、眺望の良い展望台があり、大崎山園地には流政之の彫刻作品「またきまい」が設置されている。白峰園地は桜の木が多く、春は花見で賑わう。展望台からは、瀬戸大橋・瀬戸内海の多島美に加え、夜景が楽しめる。その他、西行が白峯陵を訪れたとされる道は[注 4]、乃生(のう)白峯寺線歩道「西行のみち」として整備されている[8]

 
稚児ヶ滝(白峯寺線歩道)

国分台遺跡は、旧石器時代サヌカイト讃岐石)製[注 5]のナイフ形石器などの、大規模原産地遺跡として知られる。地元では石を叩くと、カンカンと澄んだ音を響かせるため、「カンカン石」と呼ばれ、観光みやげ品として販売されている。また、世界で唯一のサヌカイト製の、石琴(リソフォン)などが製作されている[注 6][4][9][10]

地形・地質ほか編集

 
五色台の地形図

地形の詳細は巻頭と概要に記述の通り。

新生代中新世の約1300万年前~約1500万年前の瀬戸内火山活動の溶岩などでできた讃岐層群からなる。基盤の花崗岩の上に、凝灰岩・火山角礫岩・讃岐岩質安山岩讃岐石サヌカイト)が重なる。讃岐石は、国分台・青峰・白峰山・蓮光寺山・黄ノ峰の山頂部に分布する。サヌカイト溶岩が地表で分布する世界で唯一の場所であり、サヌカイト聖地[注 7]とされている。また 瀬戸内海国立公園を代表するジオサイトの一つであり、国分台遺跡を有する[3][4]

主な峰編集

読み 標高 『香西記』(1792) による由来の要約
猪尻山 いのしりやま 483 m
大平山 おおひらやま 478.7 m 四国百山に選定されている
  
青峰(青峯) あおみね 449.3 m が多いので、冬でも青々としている
国分台 こくぶだい 407.2 m
赤峰台 402.7 m
北峰 389 m
  
峰山(黒峰)(黒峯) みねやま( くろみね ) 375 m 黒い岩がある
勝賀山 364 m
  
白峰山(白峯) しらみねやま( しらみね) 337 m 山深いので雪がなかなか消えない
  
紅峰(赤峯)(紅の峯) こうみね(あかみね)(こうのみね) 245 m 海岸にあるので朝日に照らされ、夕日に紅葉が照らされる
王越山 236 m
  
黄ノ峰 (黄峯) きいのみね 175 m 秋のにより木々が黄色い、あるいは、オミナエシが多い

地形図と『讃岐府志(1681年)』の五峰の山名を対照して合致するは、白峰山と青峰だけである。『香西記(1796年)』の五色の山名の由来の記述は、白峯のほかは付会とされている。そして、中世後期に栄えた山岳寺院の、真言密教の五方五仏に配される五色糸(ごしきのいと)との関係があるとされる[11]

史跡・文化財など編集

 
崇徳天皇白峯陵
 
白峯寺の山門
 
根香寺の仁王門

天皇陵崇徳天皇白峯(すとくてんのう しらみねのみささぎ):保元の乱により、讃岐に配流されていた崇徳院(上皇)の亡骸が、荼毘にふされた所に営まれている[注 8]。陵に隣接して白峯寺がある。白峯寺の境内に崇徳院の菩提を弔う「頓證寺殿」が建立され[注 9]檜皮葺の建物・前庭などは御所を模しているという。白峯寺所蔵の「木造頓證寺勅額」は、国の重要文化財であり>[12][13]、頓證寺殿拝殿付近には県指定文化財の頓證寺型石灯籠、西行法師の腰掛石、歌碑などがある[7][14]。明治維新直前の慶応4年(1868年)に、朝廷は崇徳上皇の神霊を京都に帰還させ、白峯神宮を造営した[15]

四国八十八箇所 第81番札所 白峯寺(しろみねじ):空海(弘法大師)が宝珠を埋め、円珍(智証大師)が本尊を刻み、伽藍を整備したと伝える真言宗の寺であり、白峰山の麓に所在する。門前の参道沿いに所在する2基の十三重石塔は国の重要文化財。他に建造物9棟(本堂、大師堂、阿弥陀堂、行者堂、薬師堂、頓証寺殿、勅額門、御成門、客殿、並びに附指定の七棟門と勅使門)が国の重要文化財に指定されている[7][12][13]。その他多数の指定文化財を有し、境内には県の保存木に指定されている樅(もみ)の巨木が立っている。参道からは瀬戸内海の景色を望むことができ、県内最大級の落差を有する稚児の滝などがある。また、年間を通して花に囲まれ[16]、特に春の桜、夏の紫陽花、秋の紅葉は有名で年中花を楽しめる寺として知られている[17]

四国八十八箇所 第82番札所 根香寺(ねごろじ):円珍(智証大師)の創建と伝える天台宗の寺であり、木々に囲まれた青峰の中腹に所在する。本尊の「木造千手観音立像」は、国の重要文化財に指定されている[12][13]。かつて、99の末寺を持つ山岳寺院の巨刹は焼失し、髙松藩主の松平頼重らにより再建された[7]。そして、新緑に加えて楓の紅葉は、県下有数の紅葉スポットとして知られる[18]

瀬戸内海歴史民俗資料館:瀬戸内海の歴史・民俗などに関する、資料の収集・保管・展示・調査・研究を行う県立の資料館である[注 10]。「瀬戸内海及び周辺地域の漁撈用具」と「瀬戸内海の船図及び船大工用具」は、国の重要有形民俗文化財に指定されている[12]。また、石積みを基調とした建物は、「日本建築学会賞」を受賞し、「公共建築百選」と「DOCOMOMO JAPAN選定 日本におけるモダン・ムーブメントの建築」にも選定されている[7]

遍路道:2013年(平成25年)10月17日、白峯寺と根香寺を結ぶ、道の歴史の面影を残す区間(根香寺道)が「讃岐遍路道」の名称で国の史跡に指定された[12]。白峯寺の山門から約400メートルの遍路道に、結界を示す笠塔婆(摩尼輪塔)の下乗石[注 11]と、添碑の下乗石がある[7][19]。また、白峯寺の参道の入り口にも下乗石が残存する。

登山・ハイキング編集

 
大平山の三角点

山麓に四国八十八箇所 第80番札所 国分寺(こくぶんじ)があり、白峯寺から根香寺へと霊場を巡る遍路道が、「四国の道」として整備されている[注 12]。格好の登山・ハイキングコースとして四季折々に利用される。山麓の高屋口から白峯寺・山麓の香西口から根香寺へと、各々遍路道と異なる「四国の道」が整備されている。また、山上の手軽なハイキングにも「四国の道」が利用される。最高峰の猪尻山(いのしりやま)は、私有地のため立ち入り禁止で、三角点も無い[20][21][22]

基準点:大平山(おおひらやま)、標高478.7m。

座標=北緯34度19分46.27秒
東経133度57分8.53秒

その他編集

五色台の国有林は、四国の「レクリエーションの森の風景森」に指定されている[23]

五色台の2,990ヘクタールは、香川県の鳥獣保護区に指定されている[22]

サヌカイトは、「讃岐石」の名称で、日本地質学会の香川県の「県の石」に選定されている[24]。また、「日本の地質百選」に、「サヌカイト」として選定されている[25]

美しい日本の歩きたくなるみち500選」に、「崇徳天皇ゆかりの地を訪ねるみち」として選定されている。

五色台は山地であり、人々の集住が見えない。そのため五色台の歴史は、仏教寺院・白峯御陵と西行が訪れた事柄に止まる[11]

交通アクセス編集

バス路線は山麓で止まり、山上への乗り入れは無い。JR高松駅坂出駅間の予讃線が南麓を走行する。

ギャラリー編集

 
山と海を望む(休暇村讃岐五色台)

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 五色台は山塊の総称であり、明確な範囲の定めはない。
  2. ^ 台地の地形の説明では、「屋島五色台(国分台)」と列記されることが多い。
  3. ^ 中学生対象の県立の集団宿泊学習施設であるが、「自然科学展示室」は無料で公開されている。
  4. ^ 雨が降ると、讃岐岩質安山岩の崖に現れる「稚児ヶ滝」は、落差約100メートルの幻の大滝とも呼ばれ、歩道から望むことができる。
  5. ^ 日本地質学会が選定した、「県の石」の名称の「讃岐石」に統一して記述する。
  6. ^ 国分台は陸上自衛隊の射撃訓練場に使用され、立ち入り禁止区域である。サヌカイトは、坂出市の「金山」などで採石されている。
  7. ^ 地質学で固有名称の「サヌカイト」は、明治の中頃に五色台で採取され、ドイツ人のバインセンク博士により命名された。
  8. ^ 宮内庁の管轄である。年間を通し、いつでも参拝できる。
  9. ^ 髙松藩主の松平頼重・頼常により再建された。
  10. ^ 香川県立ミュージアムの分館であり、観覧料は無料である。
  11. ^ 聖地のため、皇族貴族ほか、馬や籠を降りて参拝されたいとの表示の石標である。
  12. ^ 環境省四国自然歩道「五色台のへんろみち」ルート、距離17.2キロメートルである。

出典編集

  1. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス(地図情報) - 国土地理院
  2. ^ a b 『角川日本地名大辞典・37・香川県 』、角川書店、1985年、329頁。
  3. ^ a b c 森合重仁 編 『香川県 地学のガイド』、コロナ社、1979年、44-60頁。
  4. ^ a b c 長谷川修一・鶴田聖子 著 『讃岐ジオサイト探訪』、香川大学生涯学習教育研究センター、2013年、1-5・82-84頁。
  5. ^ 瀬戸内海国立公園 - 環境省
  6. ^ 瀬戸内海国立公園 パークガイド 瀬戸内海 東部地域』、自然公園財団、2004年、20頁。
  7. ^ a b c d e f 香川県の歴史散歩編集委員会 『香川県の歴史散歩』、山川出版社、2013年、19・20・117-120頁。
  8. ^ a b 「香川の瀬戸内海国立公園 ガイドブック 」(冊子)、香川県みどり保全課、2016年、17-19頁。
  9. ^ 廣瀬常雄 「旧石器をもった狩人」『日本の古代遺跡 8 香川』、保育社、1983年、46-50頁。
  10. ^ 丹羽祐一 「不思議な石器」『香川県の歴史』、山川出版社、1997年、10-13頁。
  11. ^ a b 観光学術読本 五色台』、高松市商工観光課、1957年、7-9頁。
  12. ^ a b c d e 国指定文化財等データベース - 文化庁
  13. ^ a b c 『香川の文化財』、香川県教育委員会、1996年、9・105・118頁。
  14. ^ 『崇徳上皇御遺跡案内』、鎌田共済会郷土博物館、1978年、37-39頁。
  15. ^ 「崇徳上皇の実像に迫る/香川学会が坂出で講演会」、四国新聞、2019年2月10日。
  16. ^ 『四国遍路の旅・27』、講談社、2005年、26頁。
  17. ^ 「さぬき錦景・白峯寺/陽光浴びお遍路癒す」、四国新聞、2016年11月18日。
  18. ^ 『四国八十八カ寺&周辺ガイド』、出版文化社、2016年、186頁。
  19. ^ 『讃岐四国遍道しろみね道調査報告書』、香川県・香川県教育委員会、2012年、15頁。
  20. ^ 高松勤労者山の会 「五色台」『香川県の山』、山と渓谷社、2017年、58-63頁。
  21. ^ 「五色台の遍路道」『野山への招き PARTⅢ』、高松市ハイキング協会、2001年、110-116頁。
  22. ^ a b 「かがわの自然保護マップ」、香川県みどり保全課、2014年。
  23. ^ 四国の「レクリエーションの森」 - 林野庁
  24. ^ 県の石リスト - 日本地質学会
  25. ^ 日本の地質百選 - 地質情報ポータルサイト

関連項目編集

  • 浅田孝 - 1962年から1970年台にかけて五色台開発に尽力した人物

外部リンク編集