仙台国際音楽コンクール

ヴァイオリンとピアノ国際コンクール

仙台国際音楽コンクール(せんだいこくさいおんがくコンクール、: Sendai International Music Competition)とは、宮城県仙台市において2001年平成13年)から3年毎に行われているコンクール。コンクールのポスターロゴは「楽都仙台 simc」。2005年(平成17年)には国際音楽コンクール世界連盟にも加盟した。

仙台国際音楽コンクール
Sendai International Music Competition
日立システムズホール仙台
受賞対象ヴァイオリン演奏、ピアノ演奏
会場日立システムズホール仙台
日本の旗 日本
主催仙台国際音楽コンクール組織委員会
報酬賞金300万円、金メダル、ディプロマ
初回2001年(平成13年) -
最新受賞者ヴァイオリン部門中野りな日本)、ピアノ部門ルゥォ・ジャチン中国
公式サイトsimc.jp ウィキデータを編集

特徴 編集

本コンクールは、若い音楽家の育成を目的の1つとしているため、以下のような特色を持っている。

  1. ヴァイオリンピアノの2部門
  2. コンチェルト協奏曲)を課題曲とする。
  3. 本選では、仙台フィルハーモニー管弦楽団と共演する。
  4. 1位入賞者には、コンサートやリサイタルの出演機会を与える。
  5. 出場資格に年齢制限がある。

特典 編集

主催者より、各部門の入賞者には賞金が授与され、1位から3位までの者にはメダルも授与される。2007年(平成19年)には、大阪在住の個人より寄贈されたステンレス製のトロフィーも1-3位の者に授与された。以下に、各部門ごとに授与される賞金等を記載する。

順位 賞金 賞状等
1 300万 賞状、金メダル
2 200万円 賞状、銀メダル
3 100万円 賞状、銅メダル
4 80万円 賞状
5 70万円 賞状
6 60万円 賞状
※1位-3位入賞者は、入賞者記念ガラコンサートへの出演に同意することが必要。出演料は10万円。

さらに、各部門1位入賞者には以下の特典がある。

  1. 日本の主要都市(仙台市、東京都など)において、仙台フィルハーモニー管弦楽団、または日本の代表的なオーケストラとの通算3回以上の共演の機会
  2. 仙台市等におけるリサイタル出演の機会
  3. コンクールにおける演奏を収録したコンパクトディスクの作成

なお、ファイナルに進めなかったセミファイナリストの中から、審査委員特別賞として奨学金50万円を授与することがある。

出場資格 編集

出場資格は、開催年の28年前の1月1日以降出生の者。すなわち、本選開催年に満28歳となる者、またはそれより年少の者(本選開催時に28歳である全ての人が対象ではないので、27歳以下と表現。第1回は25歳以下)。

概要 編集

2004年平成16年)の第2回コンクールでは、全世界からバイオリン部門とピアノ部門をあわせて300人以上(日本人が2/3)の応募があった(出場資格は27歳以下)。出場希望者から提出された書類及び課題曲を録音したCDによって予備審査が行われ、その後、パリウィーン上海・仙台・ニューヨークでピアノ伴奏によるオーディションを行い、各々の部門でおおむね36名が仙台での本選に進んだ。

仙台での本選は公開され、室内楽弦楽四重奏または弦楽五重奏)を伴奏とする予選を行って12名以内に絞り、セミファイナルでは仙台フィルハーモニー管弦楽団の伴奏のもと6名以内の入賞者を決めた。入賞者は、再び仙台フィル伴奏のファイナルに出場し、順位が決定された。また、1位-3位入賞者は、仙台フィル伴奏でガラ・コンサートを行った。2007年(平成19年)の第3回コンクールも同様の実施。

2部門開催のため、賞金総額が1600万円以上と日本の国際コンクールの中で最も高く、各々の部門の入賞者の賞金も国際的に高い部類に入る。また、海外からの参加者への旅費補助がやや高く(日本人には旅費補助なし)、本選出場者には国籍に関わらず宿泊費用が無料であるため、回を重ねるごとにコンクール出場経験の浅いプロ志望者でも本選に進出するようになった。ただし、課題曲は回を重ねるにつれ易しくなっている[1][2]

仙台での本選は、約300人のボランティアに支えられている。各々の部門でファイナルまで2週間ずつの長期に渡ることや、出場者に未成年が含まれることもあり、ホストファミリーのバックアップに感謝する出場者が多い。

なお、2010年(平成22年)開催予定の第4回コンクールにおいて、バイオリン部門予選の室内楽伴奏に山形交響楽団のメンバーも初めて加わることが発表されている[3]

経緯 編集

世界の3大音楽コンクールの1つである 「チャイコフスキー国際コンクール」 のいわばジュニア部門として位置付けられる「第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」が、1995年(平成7年)に仙台市で開催された。この開催経験をもとに、伊達政宗による仙台開府四百年を記念して、2001年(平成13年)から3年毎に仙台市の主催でコンクールが開催されるようになった。なお、「第2回若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門の2位であった上原彩子が、2002年、「第12回チャイコフスキー国際コンクール」ピアノ部門において、女性として史上初の第1位を獲得した。ピアノ部門での日本人の第1位獲得も史上初。

開催年と入賞者 編集

第1回(2001年
ヴァイオリン部門
1 ホァン・モンラ   中国
スヴェトゥリン・ルセヴ   ブルガリア
3 梁美沙   韓国
4 石橋幸子   日本
5 大宮臨太郎   日本
6 白井圭   日本
ピアノ部門
1 ジュゼッペ・アンダローロ   イタリア
2 イ・ヂンサン   韓国
3 ワン・ユーチィア(ユジャ・ワン   中国
4 ダリア・ラボトキナ   ロシア
5 ロベルト・プラノ   イタリア
アミル・テベニヒン   カザフスタン
第2回(2004年
ヴァイオリン部門
1 松山冴花   日本
2 マクシム・ブリリンスキー   ウクライナ
3 チュウ・ダン   中国
4 アンドレアス・ヤンケ   日本
5 ヴァーリャ・デルヴェンスカ   ブルガリア
6 有希・マヌエラ・ヤンケ   日本
ピアノ部門
1 タン・シヤオタン   中国
2 高田匡隆   日本
3 ミハイル・ナミロフスキー   イスラエル
4 エリーザヴェータ・ドミートリエヴァ   ロシア
5 ショーン・ケナード   アメリカ合衆国
6 フロランス・ボワソル   フランス
第3回(2007年
ヴァイオリン部門
1 アリョーナ・バーウワ   ロシア
2 エリン・キーフ   アメリカ合衆国
3 シン・アラー   韓国
4 アンドレイ・バラーノフ   ロシア
5 千葉清加   日本
6 長尾春花   日本
ピアノ部門
1 津田裕也   日本
2 ルー・イチュ   台湾
3 オクサナ・シェフチェンコ   ロシア
4 イリヤ・オフチニコフ   ロシア
5 リー・カリン・コリーン   中国
6 ヴャーチェスラフ・グリャーズノフ   ロシア
第4回(2010年
ヴァイオリン部門
1 クララ・ジュミ・カン   ドイツ/  韓国
2 アンドレイ・バラーノフ   ロシア
3 長尾春花   日本
4 キム・ボムソリ   韓国
5 キム・デミ   韓国
6 ジオラ・シュミット   アメリカ合衆国
ピアノ部門
1 ヴァディム・ホロデンコ   ウクライナ
2 マリア・マシチェワ   ロシア
3 マリアンナ・プルジェヴァルスカヤ   スペイン
佐藤彦大   日本
5 ムン・ジヨン   韓国
6 クワン・イ   アメリカ合衆国
第5回(2013年
ヴァイオリン部門
1 リチャード・リン   アメリカ合衆国/  台湾
2 成田達輝   日本
3 富井ちえり   日本
4 アンナ・サフキナ   ロシア
5 キム・ボムソリ   韓国
6 スリマン・テカッリ   アメリカ合衆国
ピアノ部門
1 ソヌ・イェゴン   韓国
2 ハンス・ヒョンミン・ソ   韓国
3 アルテョム・ヤスィンスキイ   ウクライナ
4 ソナ・パク   アメリカ合衆国
5 片田愛理   日本
6 ホン・ジファン   韓国
第6回(2016年
ヴァイオリン部門
1 チャン・ユジン   韓国
2 スティーヴン・キム   アメリカ合衆国
3 青木尚佳   日本
4 アンナ・サフキナ   ロシア
5 メルエルト・カルメノワ   カザフスタン
6 岡本誠司   日本
ピアノ部門
1 キム・ヒョンジュン[要曖昧さ回避]   韓国
2 エヴァン・ウォン   アメリカ合衆国
3 北端祥人   日本
4 ブルース・シャオユー・リウ   カナダ
5 シン・ツァンヨン   韓国
6 坂本彩   日本
第7回(2019年
ヴァイオリン部門
1 該当者なし
2 シャノン・リー   アメリカ合衆国
3 友滝真由   日本
4 北田千尋   日本
5 イリアス・ダビッド・モンカド   ドイツ
6 荒井里桜   日本
6 コー・ドンフィ   韓国
ピアノ部門
1 チェ・ヒョンロク   韓国
2 バロン・フェンウィク   アメリカ合衆国
3 ダリア・パルホーメンコ   ロシア
4 佐藤元洋   日本
5 平間今日志郎   日本
6 キム・ジュンヒョン   韓国

脚注 編集

  1. ^ 第2回仙台国際音楽コンクール”. simc.jp. 2018年11月16日閲覧。
  2. ^ 第7回仙台国際音楽コンクール”. simc.jp. 2018年11月16日閲覧。
  3. ^ 山形交響楽団が初参加へ 仙台国際音楽コンクール河北新報 2008年10月22日)

関連項目 編集

外部リンク 編集