名古屋市営地下鉄上飯田線
上飯田線(かみいいだせん)は、愛知県名古屋市北区の平安通駅から同区の上飯田駅まで[注釈 1] を結ぶ、名古屋市営地下鉄の路線[注釈 2]。ラインカラーは桃色(■)。
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![]() 名古屋市交通局7000形(平安通駅) | |||
基本情報 | |||
国 |
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所在地 | 愛知県名古屋市北区 | ||
種類 | 地下鉄 | ||
路線網 | 名古屋市営地下鉄 | ||
起点 | 平安通駅[注釈 1] | ||
終点 | 上飯田駅 | ||
駅数 | 2駅 | ||
路線記号 | K | ||
路線色 |
桃色 DIC F180[1] | ||
開業 | 2003年3月27日 | ||
所有者 | 上飯田連絡線(第3種鉄道事業者) | ||
運営者 | 名古屋市交通局(第2種鉄道事業者) | ||
使用車両 | 車両の節を参照 | ||
路線諸元 | |||
路線距離 | 0.8 km | ||
軌間 | 1,067 mm | ||
線路数 | 複線 | ||
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 | ||
閉塞方式 | 車内信号式 | ||
保安装置 | ATC | ||
最高速度 | 75 km/h[2] | ||
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停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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営業キロ数は、平安通 - 上飯田間の全長わずか0.8 km (800 m) しかなく、日本で距離が最も短い地下鉄路線である。
名古屋鉄道(名鉄)小牧線と上飯田 - 犬山間で相互直通運転を行っている。
すべての駅でmanaca(2011年2月11日に導入)などの交通系ICカード全国相互利用サービス対応カードが使用できる。
概要編集
上飯田線は平安通 - 上飯田間の1駅間のみを結ぶ路線であるが、これによって名鉄小牧線と名古屋市営地下鉄名城線の連絡を可能にしており、上飯田駅発着のバス路線の混雑緩和と小牧線沿線地域と名古屋都心部の鉄道による連絡を実現している[注釈 3]。
施設は、第三セクターの上飯田連絡線株式会社が第三種鉄道事業者として所有している。同社は上飯田 - 平安通間だけでなく味鋺 - 上飯田間の施設も所有しているが、その区間は第二種鉄道事業者である名鉄の線区となっている。2003年(平成15年)の開業当初は、上飯田線内は同線の第二種鉄道事業者である名古屋市交通局の乗務員が乗務し運転業務を行う体制であったが、合理化のため2007年(平成19年)度より名古屋市交通局が運転業務を名鉄に委託し、上飯田線内も名鉄の乗務員(犬山乗務区)が通し乗務している[3][4]。
各駅に可動式ホーム柵(ホームドア)が設置されているが、TASCは設置されておらず、ATCによって25km/hまで減速した後、運転士が手動で停車させる方式を採っている。このため、ホームドアの幅が扉幅+700mmと通常(扉幅+300mm)よりも広く作られている。また、将来の輸送量増加を見込んでホームは20m車6両分(130m、現在は4両編成で運行)で建設されている。
上飯田線には列車接近メロディは導入されていない。出発指示合図ブザーは平安通駅のみに設置されている(上飯田駅は、名鉄の管轄になっているため、名鉄の出発承認合図ベルが設置してある)。列車が駅を発車する前のドア閉めの際には、上飯田線では直通する名鉄小牧線と同様に車載の乗降促進メロディが流される。また、LED式旅客案内装置は両駅に設置されているが、上飯田駅のLED式旅客案内装置は名鉄仕様となっている。
上飯田線を経由して、地下鉄名城線平安通駅、志賀本通駅、黒川駅、大曽根駅、ナゴヤドーム前矢田駅のいずれかの駅と、名鉄小牧線の味鋺駅・味美駅のいずれかの駅の相互間を利用する場合、運賃に連絡特定割引の適用を受けることができる。
上飯田線の開業によって小牧・犬山方面から名鉄瀬戸線またはJR中央本線への連絡も容易になったが、地下鉄を介した小牧線と瀬戸線との通過連絡運輸は設定されていない。
路線データ編集
運行形態編集
ほぼ全列車が名鉄小牧線と直通運転しているが、平安通0:28発の最終列車上飯田行きと、上飯田5:35発の平安通行き始発列車は地下鉄線内のみの運行である。なお、名鉄小牧線が事故または気象災害等で運転休止の場合、上飯田駅で折り返し運転となる。昼間は小牧線犬山駅発着列車のみだが、朝夕には同線小牧駅折り返し列車がある。また、ワンマン運転を行っている。
- 運転間隔[5]
- 朝7.5分毎(平日。土休日朝は10分毎)、昼間15分毎、夕方10分毎
当線では大晦日から元日にかけての終夜運転は行わない。
車両編集
上飯田線および名鉄小牧線で運用している7000形・名鉄300系はすべて日本車輌製造製で、東山線以外の名古屋市営地下鉄の他の路線では(2015年8月までは東山線でも)日立製作所製の車両も走っているが、上飯田線は名古屋市営地下鉄の路線で唯一、開業時から一貫して日立製作所製の車両は走っていない。
上飯田線用の車庫はなく、また現時点では他の地下鉄路線と直接的に線路がつながっていないため、車両整備は名鉄に委託して犬山検査場で行っている。ただし書類上における自局車両の所属先は鶴舞線や桜通線の車両と同様に日進工場となっている。
2003年の開業時より交通局2編成、名鉄8編成の体制であり廃車や増備は行われていない。交通局の車両は少ないため、あまり運用されない。前節の上飯田線内のみの列車は交通局の7000形で運用される。
自局車両編集
乗り入れ車両編集
利用状況編集
名古屋市営地下鉄上飯田線の年度別の輸送実績を下表に記す。 表中、最高値を赤色で、最低値を緑色で表記している。
年度 | 年間輸送人員 (千人) |
一日平均輸送人員 (人) |
最混雑区間乗車率 (%) |
輸送密度 (人/日) |
特記事項 |
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2003年(平成15年) | 8,189 | 22,436 | 70 | 開業 | |
2004年(平成16年) | 26,841 | 85 | |||
2005年(平成17年) | 28,181 | 98 | |||
2006年(平成18年) | 27,397 | 99 | |||
2007年(平成19年) | 10,043 | 27,589 | 101 | ||
2008年(平成20年) | |||||
2009年(平成21年) | |||||
2010年(平成22年) | |||||
2011年(平成23年) | |||||
2012年(平成24年) | 27,000 | ||||
2013年(平成25年) | 29,000 | ||||
2014年(平成26年) | 29,000 | 113 | |||
2015年(平成27年) | 31,000 | 116 | |||
2016年(平成28年) | 32,000 | 123 | |||
2017年(平成29年) | 33,000 | 123 | |||
2018年(平成30年) | 34,000 | 127 |
- 出典:愛知県ホームページ 陸上交通に関する統計 2015年3月31日
利用客は年々増加しているものの、上飯田連絡線株式会社への線路使用料が高いのと、上飯田駅から直接地下鉄を利用しても必然的に平安通駅で乗り換えが生じるために線内のみの利用客はそれほど多くなく(小牧線との直通利用客は上飯田駅で一度乗り降りしたと見なされる)、営業係数は400を超えている。
歴史編集
名鉄小牧線から名古屋市の中心部へは小牧駅から名鉄岩倉支線経由で名鉄犬山線に、あるいは上飯田駅で名古屋市電御成通線に乗り換えれば鉄道での連絡ができたが、1964年(昭和39年)に岩倉支線と1971年(昭和46年)の御成通線の廃止後は、鉄道での連絡手段が皆無になってしまった。名鉄小牧線の上飯田駅と地下鉄名城線平安通駅を鉄道で連絡し、その不便を解消するため、上飯田連絡線株式会社が設立され、同社により当線は建設され、2003年(平成15年)3月27日に開業した。
延伸計画編集
上飯田線のうち、平安通 - 上飯田間は、路線連絡の必要性の高さから先行開業したが、1992年(平成4年)の運輸政策審議会第12号答申「名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」によれば、将来は桜通線高岳駅及び東山線新栄町駅を経て、名古屋市中区の丸田町交差点付近まで延長する計画となっていた。丸田町付近では、同じく前記答申で計画されている東部線および金山線と接続する計画もあった。
しかし、開通前と比べて愛知県や名古屋市などの周辺自治体の関心が乏しく、また人口増加が望めない社会情勢だけでなく、名古屋市も桜通線の徳重駅までの延伸開業以降は新規の路線開設ならびに延伸を行わないと表明しており、実現は困難となっている。
駅一覧編集
駅番号 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 |
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KM 名古屋鉄道小牧線犬山駅まで直通運転 | |||
K01 | 上飯田駅 | 0.0 | 名古屋鉄道:KM 小牧線 (KM13)(直通運転) |
K02 | 平安通駅 | 0.8 | 名古屋市営地下鉄: 名城線 (M11) |
上飯田駅は名古屋鉄道の管轄駅、平安通駅は名古屋市交通局の管轄駅である。上飯田線単独の名古屋市交通局管轄駅は存在しない。
脚注編集
注釈編集
- ^ a b c d 『鉄道要覧』では第二種鉄道事業者の名古屋市交通局の路線としては平安通起点で記載。
- ^ 上飯田線については、路線番号が設定されていない。1972年(昭和47年)の都市交通審議会答申において、7号線として上飯田 - 平安通 - 市役所 - 金山間を建設する計画があったことや、使用車両が7000形であることなどから、路線番号を7とする記載などが散見されるが、現在の同線は1992年(平成4年)運輸政策審議会答申第12号において、味鋺 - 上飯田 - 平安通 - 新栄町 - 丸田町を結ぶ路線を、単に上飯田線として計画しており、以前の7号線とは別計画である。
- ^ 上飯田線に類似し1駅間だけ延長して他鉄道路線との連絡を可能にした例としては神戸電鉄有馬線の湊川駅から新開地駅までを結ぶ神戸電鉄神戸高速線(所有者は神戸高速鉄道)があるが、こちらは上飯田線とは異なり既存路線に接続させたものではない。