日本の学校制服(にほんのがっこうせいふく)では、日本における学校制服について述べる。

概要編集

種類編集

 
大阪府立泉尾高等学校の制服。創立約90年の同校だが、高等女学校からの伝統のセーラー服を止め、2003年から男女ともブレザー制服にした。なお、同校では「女子生徒でも、ズボンネクタイ」という、ボーイッシュな組み合わせを許可している

男子生徒用の制服は詰襟学生服ブレザー、女子生徒用の制服は女子通学服に大別されている。なお、学校の制服全般を男女形状タイプに関係無く「学生服」、小学生向けのものは「学童服」と呼ぶ場合もある。ジェンダーレスで性別に関係なく制服が選べる制度導入が促進されている[1][2][3][4][5][6][7]

男子編集

学生服(学ラン)・学生帽
中学校では2006年現在主流であるが、高等学校はブレザーなどへのモデルチェンジで大きく減少している[8]
ブレザー
高等学校で主流のタイプ[8]
セーラー服
フェリーチェインターナショナルスクール(群馬県)が、男子児童の制服としてセーラー服を採用している(夏服のシャツは男女共通。冬服の上着は男女で若干異なるが、類似したデザイン。)[9][10]

女子編集

女子の制服制度として選択可能にしている自治体のほか、申し出があれば認める例もある[11][12]

セーラー服
ボトムスについては大部分の学校では通年スカートを組み合わせるが、一部の学校(仙台市常盤木学園高等学校など[13])では冬期にスラックスを選択することが可能である。また、冬期のスラックス着用を義務づけている学校もある(坂井市立鳴鹿小学校安曇野市立明科中学校など)。
ブレザー
高校生に主流の制服。高等学校の新設校やモデルチェンジによって採用されることが比較的多い制服である。これにリボン[14]を合わせることが多い。一部の学校では、スラックスを組み合わせることも可能である。また、数は少ないが、冬期にスラックスを義務づけている学校もある(札幌市立南が丘中学校など[15])。
スクールセーター
吊りスカート
吊りスカートは本来女子小学生制服として採用されている事例が多いが、男子小学生もスカート制服として選択することができる小学校(みやま市立瀬高小学校など)においては、男女関係なく吊りスカートが着用できることが予想される[5][6][7]

地域性編集

歴史編集

近代初期編集

 
女学生の服に多い矢絣

明治 - 昭和初期編集

 
東京府立第五中学校で採用された背広型の制服の例(大正時代)

太平洋戦争 - 昭和中期編集

 
通学途中の継宮明仁親王(1945年)

1960年代から1970年代編集

1980年代編集

1990年代以降編集

制服のファッション化の背景には、制服は基本部分を親に購入してもらうことができるため、リボンなどの小物や色の組み合わせを変えることでオシャレを演出できるほか、小遣いの範囲で小物を買い足していくことができるといった、私服よりも安価にオシャレを楽しめることが理由だと考える意見がある[16]

しかし、一度制服を廃止した途端に受験者数が落ち込むケースが存在する。制服を再導入する学校も出てきている。千葉県立小金高等学校では、公立の学校としては珍しく、1993年から私服通学を認めていたが、志願者が減少の一途を辿っていたため、2011年から制服を再導入すると決定したところ、志願者数が増加した[17]。また北海道富良野高等学校が、式典などでの服装の乱れについて指摘を受け、2011年度から制服を復活させることにした[18]

近年の日本におけるこのような制服のファッション化は、日本国外でも注目されており、フランスの雑誌『Japan LifeStyle』における言及、「日本の女子高生の制服は自由の象徴」といったパリ娘たちの意見[19]や2009年Japan Expoにおける制服ファッションの前年比での激増[20]、ファッション誌に常に制服が特集されているタイ王国[21]バンコクで2009年3月に開催された制服ファッションイベント「カワイイ・フェスタ」の開催などに、その注目の度合いを見ることができる。

一方で、制服の購入には経済的負担や、人生の一時期に着用して、あとは廃棄されるという課題もある。このため、同じ学校に通う年下の子供がいる家庭への譲渡や中古品売買が一部で行われている。全国の公立中学校のうち、600校を対象にした日本国政府の調査では、制服に上履きジャージなど体操服を含めた一式の金額は、平均6万円である[22]

多様化(制服選択制)編集

  • 埼玉県戸田市にある戸田市立戸田東中学校でも平成31年度(2019年)以降、生徒が性別に関係なく制服選択制を導入した[3]
  • 岐阜県教育委員会は、公立高校(中等教育学校を含む)の制服の男女の区別を無くし、性別にかかわらず選択できると明記するよう全県高校(県立中等教育学校を含む)に要請。性別を問わず、スラックスかスカートを選択できる。背景には、性に関する価値観の多様化や、トランスジェンダーの生徒への配慮などがある[23]
  • 福岡県みやま市では、瀬高地域(旧・山門郡瀬高町)にある3か所の小学校を統合して設置されたみやま市立瀬高小学校が、2020年(令和2年度)の開校とあわせて「制服選択制」の導入が確認されており、同小学校に入学する新入生(1年生)は新しい制服を着用し、2年生以上の児童は制服の更新(買い替え)まで統合前各校の制服を着用する[24][6][7]
  • 犬山市教育委員会は、2020年6月9日、市内の全4中学校の制服に2021年4月からブレザーを採用すると発表。ブレザーを自治体で統一して採用するのは愛知県内で初。現行の詰襟セーラー服とブレザーのどちらかを生徒が選択できるようにする。ブレザーを加える理由は「動きやすく、寒暑に対応しやすい」と説明。女子がブレザーを着用する場合は、スカート以外にスラックスも選択できるようにし、女子向けの細見のスラックスを用意。愛知県内では豊橋市が2020年4月から、中学女子のスラックス選択制を取り入れている。市教委は厚さ対策として、夏の制服のポロシャツ採用も検討している[25]

脚注・出典編集

  1. ^ 2019年10月1日中日新聞朝刊16面
  2. ^ 大きな世界へ 新たな一歩”. 読売新聞 (2018年4月5日). 2020年4月10日閲覧。
  3. ^ a b 男子はスカートも 戸田市立戸田東中、多様性を認める新制服に切り替えへ 固定観念を捨て、その子の心に寄り添う”. 埼玉新聞 (2019年1月29日). 2019年3月23日閲覧。
  4. ^ a b 制服、性別関係なく選べます 千葉・柏の市立中学校”. 朝日新聞 (2018年2月19日). 2020年3月23日閲覧。
  5. ^ a b c 「ズボン」「スカート」選択OK 大津町の小中学校、制服の男女区別廃止へ”. 熊本日日新聞 (2020年2月27日). 2020年3月23日閲覧。
  6. ^ a b c LGBTに配慮 制服導入 みやま・4月開校の瀬高小”. 読売新聞 (2020年1月14日). 2020年4月10日閲覧。
  7. ^ a b c 半ズボン、スカート選択できる制服 みやま・瀬高小へ 上下着は男女兼用ブレザー LGBTへも配慮 /福岡”. 毎日新聞 (2020年1月15日). 2020年4月10日閲覧。
  8. ^ a b エキサイトニュース2006年4月20日『ところで学ランの「ラン」って何?』にて、尾崎商事(現・菅公学生服)マーケティング部社員談より。
  9. ^ 制服のご案内 幼稚部 幼稚園【FELICE INTERNATIONAL SCHOOL フェリーチェ インターナショナル スクール】英語
  10. ^ 制服のご案内 小学部 幼稚園【FELICE INTERNATIONAL SCHOOL フェリーチェ インターナショナル スクール】英語
  11. ^ 「制服、女子生徒もスラックスOK/公立中学校、広がる選択制 利便性やLGBTに配慮」日本経済新聞』夕刊2019年2月4日(2019年2月12日閲覧)。
  12. ^ 「中学制服 私らしく/中野区 女子にもスラックス/世田谷区 性別表記しません」東京新聞』夕刊2019年2月9日(1面)2019年2月15日閲覧。
  13. ^ アーカイブされたコピー”. 2012年8月31日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2012年7月31日閲覧。 および http://cms.m-tgh.jp/info_detail.html?news_id=000000066&PSID=jildzgnxr
  14. ^ 一部の学校では、女子でもネクタイを合わせることもある。
  15. ^ 北海道新聞』2008年2月14日
  16. ^ 櫻井孝昌 2009, p. 33
  17. ^ 「自由過ぎて」私服不人気…千葉県立小金高、制服再導入へ”. 『読売新聞』. 2009年5月23日閲覧。
  18. ^ 富良野高制服復活へ 2011年度から 式典などで服装乱れ指摘受け北海道新聞』2010年3月25日
  19. ^ 櫻井孝昌 2009, p. 30
  20. ^ 櫻井孝昌 2009, p. 160
  21. ^ 櫻井孝昌 2009, p. 48
  22. ^ (eco活プラス)眠る制服、後輩にリレー 専門店増・PTA向けガイドも朝日新聞』夕刊2018年12月18日(9面)2019年2月12日閲覧。
  23. ^ 2020年2月3日中日新聞朝刊1面
  24. ^ 男女区別のない小学校制服「全国で初めてでは」 来春開校統合小”. 西日本新聞 (2019年12月20日). 2020年3月25日閲覧。
  25. ^ 2020年6月10日中日新聞朝刊16面

参考文献編集

  • 櫻井孝昌『世界カワイイ革命 なぜ彼女たちは「日本人になりたい」と叫ぶのか』〈PHP新書〉、2009年11月30日。ISBN 9784569775357

関連項目編集

外部リンク編集