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激突!』(げきとつ、原題: Duel)は、リチャード・マシスンの短編小説を映像化した、1971年製作のアメリカ合衆国テレビ映画ユニバーサル社提供。スティーヴン・スピルバーグ監督。日本での公開は1973年1月。

激突!
Duel
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 リチャード・マシスン
原作 リチャード・マシスン
製作 ジョージ・エクスタイン
出演者 デニス・ウィーバー
音楽 ビリー・ゴールデンバーグ
撮影 ジャック・A・マータ
編集 フランク・モリス
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1971年11月13日
日本の旗 1973年1月13日
上映時間 90分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $450,000 (概算)
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運転中に追い抜いたトレーラーから執拗に追跡されるセールスマンの恐怖を描く。1973年に第1回アボリアッツ・ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した。

目次

あらすじ編集

セールスマンであるデイヴィッド・マンデニス・ウィーバー)は商談のため車でカリフォルニアへ向かう途中、ハイウェイで走行スピードが遅い大型トレーラータンクローリーを追い越す。するとその直後大型トレーラーはマンの車を執拗に猛追してきた。

トレーラーは列車が通過中の踏切にマンの車を押し込もうとしたり、警察に通報するマンを電話ボックスごと跳ね飛ばそうとしたりするなど、マンは明確な殺意を感じ取る。マンは大型車の不利な峠道へ逃げるが、突如マンの車は白煙を吐き、オーバーヒートしてしまう。マンは出がけに立ち寄ったガソリンスタンドラジエーターホースの劣化を指摘されていた。

大幅に馬力の落ちた車で逃げ切ることは難しいと悟ったマンは、巨大なトレーラーとの決闘を決意する。マンは向かってくるトレーラーに自らの車を対峙させると手提げトランクでアクセルペダルを固定し、トレーラーに向けて走らせた。正面衝突する直前にマンは転げるように車から飛び降り、無人となったマンの車はそのまま走り続け、トレーラーと正面衝突してマンの車のボンネットから火が噴き、その火と煙でトレーラーの視界が見えなくなる。トレーラーの運転手はマンが未だ車に乗ってると思い込みそのまま走り続けたが、トレーラーの運転手は崖に気付き慌ててブレーキを掛けたが間に合わず、マンの車もろとも崖下へと転落。2台の車が捻じれ軋む音が咆哮のように荒野に響く。トレーラーの運転席に血が零れ落ちていた事からトレーラーの運転手は死亡した模様。マンは崖から2台の車の残骸を見つめて助かった事に喜んだ。

どれほどの時間が経過したのか陽は沈もうとしていたが、マンは崖の縁に腰掛け、ただ2台の車の残骸を見つめていた。

登場人物編集

デイヴィッド・マン
主人公。どこにでもいるサングラスを掛けたサラリーマン。愛車プリムス・ヴァリアントでハイウェイを走行中に大型トレーラータンクローリーを追い越した事がきっかけで、トレーラーの運転手に命を狙われる羽目になる。最初は車でトレーラーから逃走していたが、終盤で車がオーバーヒートを起こした為にトレーラーに決闘を挑み、トランクを車のアクセルペダルに固定して車を走らせたままトレーラーと正面衝突寸前に飛び降り、トレーラーの運転手に「車に乗ったまま正面衝突してきた」と思い込ませ、トレーラーの運転手をそのまま自分の車もろともトレーラーごと崖に転落させ、生還した事に喜びを見せるも、最後は崖の縁に腰掛け2台の車の残骸を見つめていた。
トレーラーの運転手/ケラー
マンが追い越した大型トレーラータンクローリーの運転手。茶色い錆び付きの古いピータービルト281を愛用。マンに追い越された際に執拗に追い命を狙う。マンの車の前を走行したら故意に減速したり進路妨害したり、トレーラーから左腕を出し追い越しを指示して対向車に衝突させようとしたり、逆にマンがトレーラーの前を走行したら猛スピードで走行してクラクションを鳴らし煽りながら体当たりでマンを殺害しようとしたり、列車が走行中の踏切にマンの車をトレーラーで後ろから押し込み殺害しようとしたり、マンの車の前を走りかなり距離が離れても路肩に停めて待ち伏せしたり、ペットの蛇を見せる女性店員が経営するガソリンスタンドの電話ボックスから警察に通報されそうに成った際は電話ボックスに体当たりして殺害しようとしたり、そのガソリンスタンドからマンが車で逃走して物陰に隠れ遣り過ごされた際はマンが車で寝て1時間程休憩されたにも関わらず来る事を予想して長時間待つ等の執念深さを見せ様々な方法でマンを殺害しようとする。。中盤ではタイヤが地面に嵌り動けなくなったスクールバスをトレーラーで後ろから押して助ける一面を見せるが、此れは飽くまで悪党だと隠す為で決してスクールバスを可愛そうに思った訳でない。マンが自分の顔を見ようと自ら接近して来た際はトレーラーを走行させ見せない様にしている。終盤ではマンを前に走らせ猛スピードで走行して体当たりで殺害しようとマンを山の頂上に追い詰めるが、此れはマンが正当防衛で自分を殺害しようとする罠でマンが山の頂上で決闘を挑み車を体当たりして来た際はマンが車から飛び降りた事に気付かずに正面衝突。衝突したマンの車のボンネットから噴いた火と煙で視界を遮られてしまった事で崖に気付くのに遅れ慌ててブレーキを掛けるが間に合わず、マンの車と愛車のトレーラー毎転落して死亡。
物語では一切判明しなかったが、本作で登場するトレーラーの運転手の正体は各州で同じ手口でドライバーを狙う殺人トレーラー運転手。トレーラーのフロントバンパーに付けて有る各州数枚のナンバープレートは犯行時に自分が付けて居た州毎のナンバーで犯行の証[1]。一見マンに追い越された事で怒りを抱いた行き摩りの犯行に見えるが、マンを標的にしただけだった。
物語では一貫して大型トレーラーの運転手(スタントマンキャリー・ロフティン)の顔が見えず手足しか見えない。此れにより丸で大型トレーラー自体が意思を持ち追って来る様な効果を演出している。運転手が顔を見せず執拗にマンを追いかけるトレーラーを監督は「怪獣の様に考えた。」と語る。
本作では最後迄トレーラーの運転士の名前と顔は不明だが、原作では「ケラー」と言う苗字で顔は「角ばった顔、黒い目、黒い髪の毛」との事。

キャスト編集

役名 俳優 日本語吹替
NET 劇場公開版 日本テレビ ソフト版
デイヴィッド・マン デニス・ウィーバー 穂積隆信 宍戸錠 徳光和夫 原康義
ジャクリーン・スコット 沢田敏子 北浜晴子 横尾まり 日下由美
バーの店主 エディ・ファイアストーン 村松康雄 村松康雄 後藤敦
バスの運転手 ルー・フリッゼル 加藤正之 池田勝 石住昭彦
ガソリンスタンドの女店主 ルシル・ベンソン 麻生美代子 麻生美代子 巴菁子
ラジオのパーソナリティ スウィート・ディック・ウィッティントン 野沢那智
白石冬美
屋良有作
トレーラーの運転手 キャリー・ロフティン 台詞なし
その他 篠原大作
石森達幸
野田圭一
緑川稔
槐柳二
沼波輝枝
中川まり子
野沢マキ
広見多子
佐久間あい
秋元千賀子
千田光男
郷里大輔
沢木郁也
さとうあい
中田和宏
宮内幸平
矢野陽子
江沢昌子
鶴田良美
片岡富枝
みやざこ夏穂
西川幾雄
加藤亮夫
村松康雄
前田敏子
蓮池龍三
田村聖子
古澤龍之
小島大輝
宮里駿
小坂明
十川史也
岡珠希
今泉舞
木村優梨香
日本語版制作スタッフ
演出 左近允洋 左近允洋 中野洋志
翻訳 進藤光太 高山美香
調整 栗林秀年 飯塚秀保
効果 PAG PAG
選曲 東上別符精
担当 吉田啓介
制作 グロービジョン 日本テレビ
グロービジョン
ACクリエイト
※ユニバーサル思い出の復刻版DVD・BDにソフト版と共に収録。
  • 劇場公開版 - 1976年のリバイバル上映の際に制作、使用されたもの。
※宍戸は当時『警部マクロード』でデニス・ウィーバーを吹替えており、それを踏まえての起用と思われる。
※デニス・ウィーバーを吹替えた徳光はアナウンサー役以外の声優経験がなかったため、あらかじめ沢木郁也が吹替えたものが演技の見本として使われた[4]
  • ソフト版 - DVDBD収録。2019年5月8日のBSテレ東での放送はこの吹替を使用(ただし本編は約76分に短縮)。
※デヴィッドを吹き替えた原は、1990年代の『激突!』と評されている映画『ブレーキ・ダウン』でも主人公の吹替を担当している。

作品解説編集

無名時代のスティーヴン・スピルバーグが演出し、その名前はこの作品の成功によって業界内に知れ渡った。劇中で、主人公の車や、電話ボックスのガラスにスピルバーグの姿が映っていたことでも知られる。

もともとテレビ放映用に製作された作品だが、日本ヨーロッパでは劇場公開された。上映時間はテレビ版が74分、ヨーロッパで劇場公開された版は90分。劇場版ではデニス・ウィーバーのナレーションが無い。発売されているビデオは劇場版+ナレーション付きのものである。

スピルバーグはこの年、本作の監督を務める前に『刑事コロンボ』の第3作「構想の死角」で監督を務めた。本作の監督に立候補した際、プロデューサーから「君の自信作を持って来てくれ」と言われ、『コロンボ』を提出したところ、監督としての採用が決定した。

演出編集

運転手が顔を見せず執拗に主人公を追いかけるトレーラーを、監督は「怪獣のように考えた」と語る。その描写は『ジョーズ』のホホジロザメに引き継がれていく。終盤でトレーラーが崖から墜落するシーンとジョーズが死ぬシーンでは、効果音として同じ恐竜の鳴き声[5]が使用されている。

物語で立ち寄った飲食店にて主人公がトレーラーの運転手を「誰だ? 誰だ?」と探しまわるシーンには、黒澤明監督の『野良犬』のラストシーンがそのまま引用されている。

撮影編集

撮影期間が16日、編集作業から放送まで3週間程度しか確保出来なかったため、絵コンテを用いず、大きな地図に撮影ポイントなどを書き込んだものを使って撮影が進められた。早撮りで知られるスピルバーグであるが、自身でも「最も慌しい映画作りだった」と振り返っている。撮影現場はカリフォルニア州の砂漠で、キャニオン・カントリー(Canyon Country)やアグア・ダルシー(Agua Dulce)、アクトン(Acton)のシエラ・ハイウェーやエンジェルス・フォレスト・ハイウェーで行われた。トンネル、ガスステーション、踏切、カフェは実在する。

編集

 
トレーラーとプリムスの同型モデル

撮影に使用された赤色の乗用車は、米クライスラー製の「プリムス・ヴァリアント」(1967-76年生産、劇中のモデルはグリル形状、エンジン音から70-71年式の直列6気筒3.2もしくは3.7リッターエンジン搭載車で出力140馬力、最高速度150km/h程度)というごく普通のコンパクトカー。ベース車両はこげ茶色だったが、撮影のため新車設定にはない赤色に再塗装されている。「砂漠の中でも目立つから」という理由で赤色に塗り直した(本来、メッキパーツであるエンブレムも赤い事から、マスキングせずに赤色に塗装した事が伺える)。

トレーラーは「ピータービルト281」。タイヤはブリヂストン製。映画の本編ではエンブレムが取り外されていた。トラブル時のバックアップ用として複数台が用意されていた模様で、2013年現在、現存している車両もある。テレビで公開された後の劇場用追加撮影でバックアップ用の車両が使われた。

原作との相違点編集

原作ではトレーラー運転手の苗字が「ケラー」となっており、運転台のドアに書かれたその苗字を、マンがキラー(人殺し)と一瞬誤読して動揺する描写がある[6]。また、マンがトレーラー運転手の顔をはっきり見ているのも映画との相違点である。「角ばった顔、黒い目、黒い髪の毛」と、描写されている[7]

その他、飲食店でマンが間違った相手につかみかかるくだりや、スクールバスのくだり、踏切で押し出されて走行中の列車に殺されそうになるくだり、老夫婦に助けを求めるくだりなども映画のオリジナルである。

ソフト編集

DVDが発売される以前の本作のソフトは、1993年のニューマスター版レーザーディスク(スタンダードサイズ/ナレーション無しの90分版。日本未発売)発売まで画面と音が合っていないなどの問題点があった。
DVD版では効果音が一新・修正され、サウンドもドルビーとDTSの5.1chで収録された。なお、劇場公開時は画面サイズがシネマスコープのワイドにトリミングされていたが、DVD版ではテレビサイズで収録されている。
BD版は、4Kスキャンと高画質化がなされ、ヴィスタサイズにて収録された。
現行ソフト

  • 激突! ブルーレイ(2015年9月2日発売・廉価版)
  • 激突! スペシャル・エディション DVD(2012年4月13日発売・廉価版)

影響編集

本作のカーチェイスシーンは、ビル・ビクスビー主演のテレビシリーズ『超人ハルク』の1エピソードに丸々流用されている。更に、本作品のパターンは後に『ブレーキ・ダウン』や『ノーウェイ・アップ』などに引き継がれていく。

その他編集

  • 主人公が警察に通報するため立ち寄るガソリンスタンドの女店主役を演じているルシル・ベンソンは、スピルバーグの『1941』でも同じ役で出演している。
  • 主人公が助けを求める通りすがりの老夫婦役を演じているアレクサンダー・ロックウッドエイミー・ダグラスは、スピルバーグの『未知との遭遇』でも夫婦役で出演している。
  • 終盤、山道を登る前の場面で主人公は害虫駆除業者の車を警察車両と見間違えて車を寄せる。業者の社名は"Grebleips"で、スピルバーグ姓(Spielberg)の逆綴りになっている。

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ DVD特典映像のスピルバーグのインタビューより。
  2. ^ 初放送時のタイトルは『激突!∼殺人トラック・ハイウェイ大爆走』
  3. ^ 制作進行:古川典子、制作補:垂水保貴(日本テレビ)、制作:奥田誠治(日本テレビ)
  4. ^ 刑事コロンボ完全捜査ブック(2015)吉田啓介へのインタビューより
  5. ^ トレーラーが墜落する際、クラクションの音が段々恐竜の鳴き声に変わっていく。
  6. ^ リチャード・マシスン『激突!』小鷹信光訳、43頁(ハヤカワ文庫、1973年)
  7. ^ リチャード・マシスン『激突!』小鷹信光訳、34頁(ハヤカワ文庫、1973年)

外部リンク編集