非周期彗星の一覧

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非周期彗星の一覧(ひしゅうきすいせいのいちらん)では、非周期彗星および周期200年以上の長周期彗星のうち著名なものの・特筆すべきものの一覧である。

非周期彗星は、軌道離心率が1以上、つまり、放物線軌道双曲線軌道の非周期軌道を取る。近傍恒星による摂動非重力効果を無視すれば、それらは太陽系内部に1度だけ回帰し、二度と現れることはない。一方、周期が非常に長い長周期彗星は、遠い未来に再帰する。しかし実際には摂動や非重力効果により、二度と回帰しないかはるか未来に再帰するかは確実なことは言えず、これらを区別する意味は乏しい。

非周期彗星および長い長周期彗星の公式な符号は「C/」で始まる(ただし再帰した彗星は短周期長周期問わず「数字+P」となる)。見失われたか消滅した彗星の符号は「D/」で始まる。後者の一例としてはレクセル彗星(D/1770 L1)がある。この彗星は木星の重力によって太陽系から追い出されたことで知られている。

一覧 編集

符号は新符号・旧確定符号(ない場合もある)・旧仮符号(ない場合もある)の順。

名称 符号 発見者 発見日 特記事項
カエサル彗星 C/-43 K1 前44年5月18日 ユリウス・カエサル暗殺(紀元前43年3月15日)の2ヵ月後に出現し、ローマでは彼の死と関連付けられた。
1106年の大彗星 X/1106 C1 1106年2月2日 クロイツ群
軌道が不明なためX/で始まる。
1577年の大彗星
(弾正星)
C/1577 V1
1577 I
1577年11月1日 絶対等級−1.8等。絶対等級がマイナスの4彗星の1つ。
日本では松永弾正自決11日前の11月8日旧暦9月28日)から出現し、弾正星と呼ばれた。
C/1652 Y1
1652
リーベック 1652年12月17日 南アフリカ ケープタウンで発見。
池谷・張彗星
(ヘヴェリウス彗星)
153P
1661
ヘヴェリウス
池谷薫
張大慶
1661年2月3日
2002年2月1日
複数回回帰し周期彗星番号がついた唯一の長周期彗星。
再帰時の再発見者池谷と張の名で呼ばれる。
キルヒ彗星
(1680年の大彗星)
C/1680 V1 キルヒ 1680年11月14日 サングレーザー
最初に望遠鏡で発見された彗星。
C/1686 R1 ステル 1686年8月12日 南アフリカ ケープタウンで発見。
C/1689 X1 ステル 1689年11月24日 南アフリカ ケープタウンで発見。
1729年の大彗星
(サラバ彗星)
C/1729 P1
1729
サラバ 1729年8月1日 絶対等級−3.0等。 絶対等級がマイナスの4彗星の1つ。
クリンケンベルグ彗星 C/1743 X1
1744
クリンケンベルグ
ド・シェゾー(軌道計算者)
1743年12月9日
1743年12月13日
木星よりも明るくなり、1744年3月には少なくとも6本の尾が見えた。
ド・シェゾー彗星 C/1746 P1
1747
ド・シェゾー 1746年8月13日 絶対等級−0.5等、絶対等級がマイナスの4彗星の1つ。
1760年の大彗星
(パリジャン彗星)
C/1760 A1
1759 III
1760年1月7日 1758年木星まで0. 054AUまで接近した[1]
レクセル彗星 D/1770 L1 メシエ 1770年6月14日 1770年に地球まで0.015天文単位まで接近した。
最初に軌道を観測したレクセルの名前が付けられている。
1771年の大彗星 C/1771 A1
1770 II
1771年1月9日
1783年の大彗星 C/1783 X1
1784
ド・ラ・ニュクス 1783年12月15日
1807年の大彗星 C/1807 R1
1807
ジョバンニ 1807年9月9日
1811年の大彗星
(フロジェルグ大彗星)
C/1811 F1
1811 I
フロジェルグ 1811年3月25日
1819年の大彗星
(トラレス彗星)
C/1819 N1
1819 II
トラレス 1819年7月1日
1823年の大彗星 C/1823 Y1
1823
1823年12月24日
ポン彗星 C/1825 N1
1825 IV
ポン 1825年7月18日
1830年の大彗星 C/1830 F1
1830 I
ファラゲー
ファローズ
1830年3月16日
1830年3月20日
ファラゲーはモーリシャス、ファローズは南アフリカ ケープタウンで発見。
1831年の大彗星 C/1831 A1
1830 II
ヘラパス 1831年1月7日 1
1843年3月の大彗星
(3月の大彗星)
C/1843 D1
1843 I
多数 1843年2月5日 クロイツ群
北半球では3月に見えたためこう呼ばれる。
1844年の大彗星 C/1844 Y1
1844 III
1844年12月17日
1845年6月の大彗星 C/1845 L1
1845 III
1845年6月2日
ハインド彗星 C/1847 C1
1847 I
ハインド 1847年2月6日
ミッチェル彗星 C/1847 T1
1847 VI
ミッチェル 1847年10月1日
クリンカーフューズ彗星 C/1853 L1
1853 III
クリンカーフューズ 1853年6月11日
1854年の大彗星 C/1854 F1
1854 II
1854年3月23日
ドナティ彗星 C/1858 L1
1858 VI
ドナティ 1858年6月2日
1860年の大彗星 C/1860 M1
1860 III
1860年6月18日
サッチャー彗星 C/1861 G1
1861 I
A・E・サッチャー 1861年4月5日
テバット彗星
(1861年の大彗星)
C/1861 J1
1861 II
テバット 1861年5月13日 C/1500 H1と同一の可能性あり。
実視等級–3〜–4等。最も明るかった彗星の1つ。
1865年の南天の大彗星 C/1865 B1
1865 I
1865年1月17日
コッジャ彗星 C/1874 H1
1874 III
コッジャ 1874年4月17日
1880年の南天の大彗星 C/1880 C1
1880 I
複数 1880年2月1日
1881年の大彗星 C/1881 K1
1881 III
1881b
テバット 1881年5月22日
ウェルズ彗星 C/1882 F1
1882 I
1882a
ウェルズ 1882年3月18日
1882年9月の大彗星 C/1882 R1
1882 II
1882b
1882年9月1日 クロイツ群。太陽に接近した際の推定実視等級−17等。
C/1882 R1、C/1945 X1 (ドゥ・トイト)とC/1965 S1X/1106 C1の破片かもしれない。
1887年の南天の大彗星 C/1887 B1
1887 I
1887a
トーミ 1887年1月18日
1901年の大彗星 C/1901 G1
1901 I
1901a
1901年4月23日
1910年1月の大彗星
(1910年の日中の大彗星)
C/1910 A1
1910 I
1910 a
多数 1910年1月12日 同日朝に多くの人が観測しており、最初に見た天文学者はイネスである。
1910年に回帰したハレー彗星とは別の彗星。
ブルックス彗星 C/1911 O1
1911 V
1911c
ブルックス 1911年7月21日
ベリャヴスキー彗星 C/1911 S3
1911 IV
1911g
ベリャヴスキー 1911年9月29日
シェレルプ・マリスタニ彗星 C/1927 X1
1927 IX
1927k
シェレルプ
マリスタニ
1927年11月28日
1927年12月6日
デコック・パラスケヴォポロス彗星 C/1941 B2
1941 IV
1941c
デコック
パラスケヴォポロス
1941年1月15日
1941年1月23日
南天の大彗星 C/1947 X1
1947 XII
1947n
1947年12月7日
日食彗星 C/1948 V1
1948 XI
1948l
1948年11月1日 最初に発見されたのはナイロビでの日食中(光度約 –2等)。
アラン・ローラン彗星 C/1956 R1
1957 III
1956h
アラン
ローラン
1956年11月8日
ムルコス彗星 C/1957 P1
1957 V
1957d
ムルコス 1957年7月29日
ウィルソン・ハバード彗星 C/1961 O1
1961 V
1961d
ウィルソン
ハバード
1961年7月23日
ヒューメイソン彗星 C/1961 R1
1962 VIII
1961e
ヒューメイソン 1961年9月1日
関・ラインズ彗星 C/1962 C1
1962 III
1962c
関勉
ラインズ
1962年2月4日
池谷・関彗星 C/1965 S1
1965 VIII
1965f
池谷薫
関勉
1965年9月18日 クロイツ群
ベネット彗星 C/1969 Y1
1970 II
1969i
ベネット 1969年12月28日
ホワイト・オルティス・ボレリ彗星 C/1970 K1
1970 VI
1970f
ホワイト
オルティス
ボレリ
1970年5月18日
1970年5月21日
1970年5月22日
最も明るかったクロイツ群の彗星。
コホーテク彗星 C/1973 E1
1973 XII
1973f
コホーテク 1973年3月7日
ウェスト彗星 C/1975 V1
1976 VI
1975n
ウェスト 1975年8月10日
ボーエル彗星 C/1980 E1 エドワード・ボーエル 1980年2月11日 太陽系の天体の中では最大の1.0575の離心率を持つ。
シューメーカー彗星 C/1984 U1 E. シューメーカー
C. シューメーカー
1984年 最も軌道傾斜角の値が大きく、最も軌道の傾きが小さい彗星。
スコリチェンコ・ジョージ彗星 C/1989 Y1
1990 VI
1989e1
スコリチェンコ
ジョージ
1989年12月17日
シューメーカー・レヴィ第9彗星 D/1993 F2
1994 X
1993e
E. シューメーカー
C. シューメーカー
レヴィ
1993年3月24日 1994年7月に木星に衝突。
ヘール・ボップ彗星 C/1995 O1 ヘール
ボップ
1995年7月23日 絶対等級−2.7等。絶対等級がマイナスの4彗星の1つ。
百武彗星 C/1996 B2 百武裕司 1996年1月30日
朱・ベーラム彗星 C/1997 L1 朱進
ベーラム
1997年7月3日
1997年7月8日
[2]
マックホルツ彗星 C/2004 Q2 マックホルツ 2004年8月27日
ポイマンスキー彗星 C/2006 A1 ポイマンスキー 2006年1月2日
マックノート彗星 C/2006 P1 マックノート 2006年8月7日
SOHO彗星 C/2007 M5 SOHO 2007年6月25日 最も小さい近日点距離を持つ(0.001AU)。
鹿林彗星
(ルーリン彗星)
C/2007 N3 葉泉志
林啓生
2007年7月11日
陳・高彗星 C/2008 C1 陳韜
高興
2008年2月8日 極めて1に近い離心率の値を持つ
パンスターズ彗星 C/2011 L4 パンスターズ 2011年6月6日 2013年に大彗星になるという予測があったが、実際には肉眼でかすかに見える程度であった。
ラヴジョイ彗星 C/2011 W3 テリー・ラヴジョイ 2011年11月27日 太陽から13万kmまで接近し、生き延びたサングレーザーの初観測例。が通常のクロイツ群の50倍以上大きい。
アイソン彗星 C/2012 S1 Vitaly Nevsky
Artem Novichonok
2012年9月21日 太陽表面から約117万kmのところを通過するサングレーザー。2013年に大彗星となる予測があったが、太陽最接近時に核が崩壊、蒸発したとみられる。
サイディング・スプリング彗星 C/2013 A1 サイディング・スプリングサーベイ 2013年1月3日 2014年10月19日火星に衝突する可能性があった。

関連項目 編集

外部リンク 編集