音楽配信

インターネットを通じて楽曲を配信すること

音楽配信(おんがくはいしん)は、インターネットを通じて楽曲を配信することである。「デジタル音楽販売」「オンライン(音楽)配信」なども同じ意味に使われる。一曲・アルバム毎にダウンロードする形式や、定額制のストリーミングによる聴き放題の形式がある。

歴史編集

黎明期編集

世界最大の米国市場と第2位の日本市場の売り上げ。
米国の売り上げの75%がストリーミングから、一方日本は約80%が物理媒体の売り上げ。日本の物理媒体の売り上げは約20億ドルと米国の約10億ドルを超えているが、これは単価差によるもので、日本のCD単価は米国の約3倍であり、売り上げ数量では3分の1となる。
日米の各媒体のシェア。
日米でストリーミングと物理媒体の割合がおよそ逆である。米国も2007年頃には現在の日本と同じ比率であったが、この10年余でCD・DVDやダウンロードなどの買取が急減しストリーミングへ移行した。

パーソナルコンピュータのPCオーディオの分野では1990年代後半までに圧縮音源のMP3フォーマットが定着[1]。MP3の再生ソフトやCDに記録したMP3を聴くことのできるポータブルプレーヤーが発売されるようになった[1]。当時はインターネットもブロードバンドの普及前でデータ量の軽い音楽ファイルが好まれ、無料のエンコードソフトも豊富だったことから一気に普及した[1]。PCオーディオの音源ファイルの入手方法には音楽CDからのリッピングと楽曲配信サービスからのダウンロードの2つの形態の流れがある[1]

北米市場での普及編集

画像外部リンク
米国の音楽産業の販売数と売上金額の推移(媒体別)1973年以降(出典:全米レコード協会(RIAA))
  売上金額の推移
  2018年の売上金額構成
  販売数の推移
  2018年の販売数の構成

2000年代以降、Napsterなどのファイル共有ソフトやブロードバンドの普及で世界規模で海賊版問題が急速に拡大した。米国で海賊版全盛の状況に歯止めをかけるのは、全米レコード協会によるP2Pソフトウェアメーカー及び利用者への訴訟攻勢や、2003年に登場したApple Computerが米国で開始したiTunes Music Store(現iTunes Store)であった。

2000年代初頭に発売されたAppleのiPodは使いやすいインターフェイスによって人気を得ていた[1]。iTunes StoreはiPodの管理ソフトのiTunesに楽曲の購入とダウンロードの機能を付加したものである[1]2005年上半期には、世界のレコード業界全体の売り上げのうち6%をデジタル販売が占め、前年の3倍超に急増した[2]

2007年2月、Appleのスティーブ・ジョブズCEO(当時)がレコード会社に対してデジタル著作権管理(DRM)を撤廃するよう呼びかけた。その背景にはコピーコントロールCDを含む音楽複製防止に消費者の嫌悪が広がったこと、Appleが採用するFairPlayが他社の機器・ソフトで利用できず消費者を囲い込んでいることへの批判がある。これを受けてEMIはiTunes Store上でDRMなしの楽曲を配信することを決定し、2007年5月30日よりDRMフリーの楽曲を販売を開始した。

日本市場での動向編集

日本の音楽媒体の生産実績
日本の音楽消費形態は外国に比べて非常に稀である。2018年のCD・DVDの販売比率は日本は約75%であるが、米国はCD・LPなどの物理媒体は約12%で75%がストリーミングであった。アメリカの節の「画像外部リンク」を参照
日本の音楽媒体の生産金額のシェア

2000年は日本において、インターネットによる音楽配信の「元年」といわれたが、同年中には普及に至らなかった。当時はインフラ問題の改善(ダウンロード時間の短縮など)が課題と言われていた[3]

2000年代、日本では直営配信サイト「bitmusic」などパソコンやデジタルオーディオプレーヤーで聞く音楽配信とは別に携帯電話を使った音楽配信が活況を呈するようになった[1]。2003年後半以降、携帯電話の「着うた」が展開されると、コンテンツプロバイダが権利者から借り受けた音源を一曲単位でコンテンツ販売する「着うたサイト」のビジネスが急速に規模を拡大することになる。2006年以降、着うたとは別の携帯電話向け音楽配信サービスも開始された。NTTドコモがNapsterジャパンと提携した音楽コンテンツ定額配信サービスの「うた・ホーダイ」と、auブランドを展開するKDDIおよび沖縄セルラー電話が立ち上げたLISMOである(Napsterについては前出の通り2010年3月に終了済)。

音楽ダウンロード配信編集

音楽ダウンロード配信(おんがくダウンロードはいしん)は、 配信ストアから楽曲を1曲単位・アルバム単位で購入し、その楽曲データをダウンロードし、パソコンやiPodスマホ等のデバイスに保存することができるサービス。

世界的には、音楽ダウンロード配信による売上は2012年がピークで、それ以降は下降しており、代わりに定額制音楽配信が伸びている[4][5]。日本では、iPodが多く普及していることから、世界的に見ても音楽ダウンロード配信での販売量が多く、また同じく高い売り上げを記録している。音楽ダウンロード配信として、現在世界で最もダウンロードされた楽曲は、800万ダウンロードを記録した、宇多田ヒカルの「Flavor Of Life」(パソコンによる音楽配信と着うた着うたフルの累計。ギネス・ワールド・レコーズには、着うたフルで最もダウンロードされた楽曲である、青山テルマfeat.SoulJaの「そばにいるね」が、日本で最もダウンロードされた楽曲として認定されている)。

定額制音楽配信編集

定額制音楽配信(ていがくせいおんがくはいしん)は、月額で一定の料金を支払うことで自由に好きな楽曲を再生することができるサービス。サブスクリプション型音楽サービス音楽ストリーミングサービスとも呼ぶ[6]。2008年にサービスを開始したSpotifyが業界最大手[7]。なお、Spotifyはフリーミアムモデルを採用している。

米国では2016年にストリーミングによる売上がダウンロード配信の売上を超え、音楽総売上の34.3%を占めた[8]。その後も急成長が続き、2019年には音楽総売上の80%に到達、CDなどのパッケージ販売やダウンロード配信を圧倒するシェアとなった。ストリーミングサービスのシェア拡大には、スマートフォンの普及が大きく寄与している[9]

日本国内では2015年にApple MusicLINE MUSICAWAGoogle Play Music、2016年にSpotifyがサービスを開始した。2019年に日本国内のストリーミングによる売上は465億円を記録し、ダウンロード配信の225億円を大きく上回った[10]

日本は米国に比べ、音楽市場におけるCDパッケージ売上が占める割合が高いが、ストリーミングサービスの普及により音楽業界のビジネスモデルは過渡期を迎えている。2018年以降にはあいみょんなどストリーミングサービスを起点に注目を集めるアーティストが増加した[10][11]

ストリーミングを基本とするがオフラインでの再生用にキャッシュすることも可能であることが多い。楽曲を自分で選択する方法以外にも、チャンネルがありラジオのように自動で選曲を提供するサービスもある。[要出典]

ストリーミングはCDと比較すると、完成した楽曲をパッケージする時間を省けるのがアーティスト側にとってもメリットの一つとされている[12]

ストリーミング・サービスの一覧編集

以下はネットラジオ

日本対応編集

特記なきものは音声ストリーミングサービス。

終了編集

配信限定コンテンツ編集

CDの形態では販売しない配信限定コンテンツが存在する。日本では2000年代後半に配信限定シングルが急増した。シングルよりははるかに数は少ないが、配信限定アルバムも存在し、の「ウラ嵐BEST」のようなベスト・アルバムや企画アルバムが中心である。

脚注編集

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f g マイナビ『PCオーディオ ビギナーズガイド』2013年、7頁
  2. ^ 国際レコード産業連盟の発表
  3. ^ 「回顧2000 ポピュラー 大人向けサウンド復権」『日本経済新聞』2000年12月20日付朝刊、40頁。
  4. ^ アップルのiTunes、音楽ダウンロードの売上高が大幅減 - WSJ
  5. ^ Digital Music Sales Decrease For First Time in 2013 | Billboard
  6. ^ Apple Music” (日本語). Apple(日本). 2021年8月26日閲覧。
  7. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ). “定額制音楽配信” (日本語). コトバンク. 2021年7月16日閲覧。
  8. ^ 米音楽業界、ストリーミングとダウンロードの売上が逆転 史上初” (日本語). Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン) (2016年3月26日). 2021年8月26日閲覧。
  9. ^ 米音楽売上げ、ストリーミングが全体の8割に到達。スマホ普及とともにシェア拡大 - Engadget 日本版”. Engadget JP. 2021年8月26日閲覧。
  10. ^ a b ストリーミング時代のヒットとは? 変化する音楽業界のビジネスモデル(柴那典) - 個人” (日本語). Yahoo!ニュース. 2021年8月26日閲覧。
  11. ^ あいみょん、ストリーミングからブレイクした初のアーティストが音楽シーンに示した存在感”. ORICON NEWS. 2021年8月26日閲覧。
  12. ^ “【トークセッション】SKY-HI×AWA「令和時代の音楽ビジネスはどのように変貌していくのか」”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク株式会社). (2019年6月4日). https://www.barks.jp/news/?id=1000167706 2021年12月3日閲覧。 
  13. ^ 月額980円のスマホ/PC音楽配信「KKBOX」、6月1日開始 - AV Watch
  14. ^ 定額制音楽配信サービス「AWA」が5月27日から提供開始--月額360円から - CNET Japan
  15. ^ 新定額制音楽配信「AWA」は5月下旬開始で月額360円~ - AV Watch
  16. ^ 「LINE MUSIC」オープン記念無料トライアルキャンペーン!今なら誰でも無料で聴き放題! : LINE MUSIC MAGAZINE
  17. ^ Apple (日本) - Apple Press Info - Apple Musicが登場、音楽の楽しみ方のすべてを一つに。
  18. ^ Amazonが「Prime Music」を日本で提供開始
  19. ^ 「Amazon Music Unlimited」開始、Echoユーザーは月額380円。4千万曲以上聴き放題 - AV Watch
  20. ^ 楽天が定額制音楽聴き放題「Rakuten Music」。年内に最大3,000万曲。980円で30日 - AV Watch
  21. ^ 音楽配信のSpotify、広告付き無料聴き放題で日本参入。月980円の有料プランも - AV Watch
  22. ^ Spotifyが全ユーザー開放。世界最大の音楽配信が日本本格展開。対応デバイス100以上 - AV Watch
  23. ^ 世界初のアニソン定額配信サービス「ANiUTa」。月額600円で5万曲以上 - AV Watch
  24. ^ 日本初、CD音質のロスレスFLACで音楽配信「Deezer HiFi」8日スタート。月額1,960円 - AV Watch
  25. ^ レコチョクBestからリニューアル「RecMusic」スタート!料金そのまま、音楽聴き放題+ミュージックビデオも楽しめる
  26. ^ ハイレゾ対応ストリーミング配信「mora qualitas」無料先行体験開始
  27. ^ YouTube Musicがスタート。広告アリは無料、Premiumは980円〜
  28. ^ 音楽/トークなど575chを聴き放題、月額490円の「スマホでUSEN」。ローソンHMVと協力 - AV Watch
  29. ^ 「スマホでUSEN」が「SMART USEN」に名称変更。1,000チャンネルの定額制音楽配信 - AV Watch
  30. ^ 音楽ラジオステーション「Backstage Cafe」11/1開局、30組以上のアーティスト・パーソナリティが音楽番組を配信 原宿に公開収録スタジオも
  31. ^ Google Japan Blog: Google Play Musicを日本で提供開始します
  32. ^ 定額制音楽配信サービス「Music Unlimited」、国内向け楽曲数2,500万曲以上を達成 | Music Unlimited | ソニー
  33. ^ 「Music Unlimited」サービス終了のお知らせ | Music Unlimited | ソニー
  34. ^ ソニー、「Music Unlimited」を日本で開始 -30日1,480円のクラウド音楽配信。 - AV Watch
  35. ^ ソニーの定額制音楽配信「Music Unlimited」終了。Spotifyと協力し、「PlayStation Music」に - AV Watch

関連項目編集