アルキメデス・カミネーロ

ドミニカ共和国の野球選手 (1987-)

アルキメデス・エウクリーデズ・カミネロ・オルドニェス(Arquímedes Euclides Caminero Ordóñez、1987年6月16日 - )は、ドミニカ共和国サントドミンゴ出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。愛称は、キャミー

アルキメデス・カミネーロ
Arquímedes Caminero
読売ジャイアンツ時代
(2017年、東京ドームにて)
基本情報
国籍 ドミニカ共和国の旗 ドミニカ共和国
出身地 首都地区サントドミンゴ
生年月日 (1987-06-16) 1987年6月16日(36歳)
身長
体重
6' 4" =約193 cm
245 lb =約111.1 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2005年 アマチュア・フリーエージェント
初出場 MLB / 2013年8月16日
NPB / 2017年3月31日
最終出場 MLB / 2016年10月2日
NPB / 2018年6月29日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴 編集

プロ入りとマーリンズ時代 編集

2005年5月25日にフロリダ・マーリンズと契約。

2006年、ルーキー級ドミニカン・サマーリーグ・マーリンズでプロデビュー。18試合に登板して0勝1敗2セーブ、防御率7.36、20奪三振を記録した。

2007年はルーキー級ドミニカン・サマーリーグで16試合に登板し、2勝3敗1セーブ、防御率2.83、48奪三振を記録した。

2008年はルーキー級ガルフ・コーストリーグ・マーリンズ、A-級ジェームズタウン・ジャマーズ英語版、A級グリーンズボロ・グラスホッパーズでプレー。A-級ジェームズタウンでは6試合に登板して1勝0敗、防御率4.91、8奪三振を記録した。

2009年はA-級ジェームズタウン、A級グリーンズボロ、A+級ジュピター・ハンマーヘッズでプレー。A級グリーンズボロでは10試合に登板して0勝0敗、防御率5.65、17奪三振を記録した。

2010年はA級グリーンズボロでプレーし、48試合に登板して5勝2敗3セーブ、防御率3.01、97奪三振を記録した。オフの11月19日にマーリンズとメジャー契約を結び[1]40人枠入りした。

2011年トミー・ジョン手術を受けた[2]影響で、ルーキー級ガルフ・コーストリーグで1試合の登板にとどまった。

2012年はA+級ジュピターで19試合に登板して1勝0敗1セーブ、防御率0.44、27奪三振と好投し、7月にAA級ジャクソンビル・サンズへ昇格。12試合に登板して0勝0敗2セーブ、防御率3.06、17奪三振を記録した。

2013年2月20日にマーリンズと1年契約に合意[3]。AA級ジャクソンビルで開幕を迎え、42試合に登板。8月16日にメジャーへ昇格し[4]、同日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦でメジャーデビュー。5点ビハインドの8回表から登板し、1回を無安打無失点1奪三振に抑えた[5]。その後の試合も無失点に抑えていたが、8月28日のワシントン・ナショナルズ戦でセーブ失敗を記録し、試合後にAAA級ニューオーリンズ・ゼファーズへ降格した[6]。ロースターが拡大された9月2日に再昇格。この年は13試合に登板して0勝0敗、防御率2.77、12奪三振を記録した。

2014年3月25日にAAA級ニューオーリンズへ配属され、そのまま開幕を迎えたが、4月9日にメジャーへ昇格[7]。5試合に登板したが、4月21日のアトランタ・ブレーブスでは同点の延長10回裏にエバン・ガティスからサヨナラ2点本塁打を打たれ、メジャー初黒星を喫する[8]など、5試合で防御率13.50と結果を残せず、4月23日にAAA級ニューオーリンズへ降格した[9]。5月27日にカーター・キャップス故障者リスト入りしたため、メジャーへ昇格[10]。5月31日のブレーブス戦に登板したが、2回を1失点するなど結果を残せず、6月1日にAAA級ニューオーリンズへ降格した。

2015年1月28日にイチローの加入に伴ってDFAとなった[11]

パイレーツ時代 編集

2015年2月4日に金銭トレードで、ピッツバーグ・パイレーツへ移籍した[12][13]。パイレーツではブルペンの一角に定着し、73試合にリリーフ登板。5勝1敗、防御率3.62、WHIP1.23、3年連続8.0以上となる奪三振率8.8という成績を残し、ブレークを果たした。

2016年もパイレーツのブルペンの一角として、39試合にリリーフ登板。1勝2敗1セーブ、防御率3.51を記録していたが、四球が多くWHIPは1.66と不安定だった。5月24日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦ではこの日2個目となる死球をニック・アーメドに与え、これが故意ととられ退場処分を受けた。

マリナーズ時代 編集

 
シアトル・マリナーズ時代
(2016年8月14日)

2016年8月6日に後日発表選手[注 1]とのトレードで、シアトル・マリナーズへ移籍した[11]。マリナーズ加入後は18試合に登板したが、四球増の傾向は改善されず防御率3.66・1勝1敗・WHIP1.63という内容だった。通年では、57試合の登板で防御率3.56・2勝3敗1セーブ・WHIP1.65というものだった。8月31日のテキサス・レンジャーズ戦でエルビス・アンドラスに与えた死球が故意ととられ、死球絡みではシーズン2度目の退場処分を受けた。オフの12月16日にFAとなった[11]

巨人時代 編集

2016年12月17日、読売ジャイアンツとの契約合意が発表された[14]。登録名はアルキメデス・カミネロである[14]

2017年は概ねシーズンを通してクローザーとして29セーブを挙げた。同年6月14日の福岡ソフトバンクホークス戦で、山口俊スコット・マシソンのあとを抑え、継投でのノーヒットノーランを達成した[15]。11月28日、1年契約・年俸200万ドル(約2億2000万円)で球団と契約を更新した。

2018年6月14日、ソフトバンク戦で福田秀平に対しての3球目と6球目に162km/hを計測[16]。しかし、防御率は5点台を越えるなど不調が続き、6月30日に一軍登録を抹消された[17]。その後右肘の不調を訴え、8月に渡米。右肘のクリーニング手術を受けていたことが9月12日に発表された[18]。11月16日に戦力外通告を受け退団した。12月2日、自由契約公示された[19]

巨人退団後 編集

2019年1月3日にニューヨーク・メッツとマイナー契約を結んだ[20]。7月15日に契約を解除され、同日にメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約したことを両球団が発表した。2021年限りで退団した。

現役引退後 編集

2022年より、ルーキーリーグフロリダ・コンプレックスリーグ(FCL)のヒューストン・アストロズ傘下FCLアストロズ・オレンジ英語版の投手コーチに就任した[21][22]

選手としての特徴 編集

マイナーおよびメジャーでは救援として起用されており、先発起用は一度もない。投法はスリークォーターで、投げた後一塁側に大きく倒れこむのが特徴。持ち球は最速102mph(約164km/h、NPBでの最速は162km/h[23])・平均98mph(約158km/h)の速球フォーシームツーシーム)を中心に、平均92mph(約148km/h)のカッター気味のスライダー、平均90mph(約145km/h)のスプリッター、稀に81mph(約130km/h)前後の緩いスライダーを使用した(2016年)[24][25]。 スライダーとスプリッターが決め球で、特にスプリッターはMLB通算で空振り率23%を記録している。MLB通算の与四球率は4.01と高い。奪三振率はマイナーでは11前後だが、メジャーでは8前後となっている。マーリンズからパイレーツに移籍した2014年から2015年にかけてメジャーでの速球の平均球速が約4mph(約6km/h)上昇した[24]

人物・エピソード 編集

うなぎの蒲焼のタレを好み、天ぷらや寿司にもタレをつけて食べる[26]

アルキメデスエウクリーデズという名前は数学好きの父親が付けた。カミネロ自身も幼少期は数学が得意だったという[27]

家族はリセニア夫人と2女がいる。

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2013 MIA 13 0 0 0 0 0 0 0 1 ---- 52 13.0 10 2 3 0 1 12 1 0 4 4 2.77 1.00
2014 6 0 0 0 0 0 1 0 0 .000 31 6.2 8 2 4 0 0 8 0 0 8 8 10.80 1.80
2015 PIT 73 0 0 0 0 5 1 0 15 .833 318 74.2 63 7 29 2 6 73 6 1 31 30 3.62 1.23
2016 39 0 0 0 0 1 2 1 2 .333 187 41.0 46 4 22 0 4 32 1 0 17 16 3.51 1.66
SEA 18 0 0 0 0 1 1 0 6 .500 93 19.2 21 3 11 1 1 18 1 0 14 8 3.66 1.63
'16計 57 0 0 0 0 2 3 1 8 .400 280 60.2 67 7 33 1 5 50 2 0 31 24 3.56 1.65
2017 巨人 57 0 0 0 0 3 5 29 4 .375 268 63.1 56 4 23 0 4 65 1 0 21 17 2.42 1.25
2018 20 0 0 0 0 1 1 11 2 .500 90 18.2 27 1 6 1 1 19 2 0 13 12 5.79 1.77
MLB:4年 149 0 0 0 0 7 5 1 24 .583 681 155.0 148 18 69 3 12 143 9 1 74 66 3.83 1.40
NPB:2年 77 0 0 0 0 4 6 40 6 .400 358 82.0 83 5 29 1 5 84 3 0 34 29 3.18 1.37

年度別守備成績 編集



投手(P)












2013 MIA 13 0 0 0 0 ----
2014 6 2 0 0 0 1.000
2015 PIT 73 2 9 0 0 1.000
2016 39 1 5 0 0 1.000
SEA 18 0 1 0 0 1.000
'16計 57 1 6 0 0 1.000
2017 巨人 57 4 10 1 1 .933
2018 20 3 4 0 0 1.000
MLB 149 5 15 0 0 1.000
NPB 77 7 14 1 1 .955

記録 編集

NPB 編集

初記録
投手記録
  • 初登板:2017年3月31日、対中日ドラゴンズ1回戦(東京ドーム)、9回表に3番手で救援登板・完了、1回無失点
  • 初奪三振:同上、9回表にダヤン・ビシエドから空振り三振
  • 初セーブ:2017年4月2日、対中日ドラゴンズ3回戦(東京ドーム)、9回表に4番手で救援登板・完了、1回無失点
  • 初ホールド:2017年4月14日、対中日ドラゴンズ4回戦(ナゴヤドーム)、3番手で救援登板、2回無失点
  • 初勝利:2017年7月30日, 対横浜DeNAベイスターズ17回戦(東京ドーム)、9回表に5番手で救援登板・完了、1回無失点
打撃記録

背番号 編集

  • 49(2013年)
  • 26(2014年)
  • 37(2015年 - 2016年途中)
  • 48(2016年途中 - 同年終了)
  • 44(2017年 - 2018年)
  • 67(2019年途中 - 2021年)

登場曲 編集

  • 「Sky is the Limit feat.RHYMESTERlecca(2017年)
  • 「Fireball ft. John Ryan」Pitbull(2018年)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 9月1日にジェイク・ブレンツペドロ・バスケスの2選手と発表。

出典 編集

  1. ^ Alden Gonzalez (2010年11月19日). “Marlins add right-handers to 40-man roster” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  2. ^ Manny Navarro (2013年8月16日). “Hard-throwing Caminero happy to be in big leagues after eight years in minors; Redmond talks replay” (英語). Miami Herald. 2017年1月7日閲覧。
  3. ^ Joe Frisaro (2013年2月20日). “Marisnick enjoying new team, first spring camp” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  4. ^ Joe Frisaro (2013年8月16日). “Marlins promote hard-throwing Caminero” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  5. ^ Scores for Aug 16, 2013” (英語). ESPN MLB (2013年8月16日). 2014年7月29日閲覧。
  6. ^ Tom Schad (2013年8月29日). “After tough outing, Caminero sent to Triple-A” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  7. ^ Joe Frisaro (2014年4月9日). “Caminero adds power arm to Marlins' bullpen” (英語). MLB.com. 2014年7月29日閲覧。
  8. ^ Scores for Apr 21, 2014” (英語). ESPN MLB (2014年4月21日). 2014年7月29日閲覧。
  9. ^ Joe Morgan (2014年4月22日). “Caminero optioned a night after allowing walk-off” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  10. ^ Joe Frisaro (2014年5月27日). “Capps goes on disabled list with elbow sprain” (英語). MLB.com. 2016年10月18日閲覧。
  11. ^ a b c MLB公式プロフィール参照。2016年12月19日閲覧。
  12. ^ Adam McCalvy (2015年2月4日). “Pirates intensify 'pen competition, acquire Caminero” (英語). MLB.com. http://m.pirates.mlb.com/news/article/108346688/pirates-acquire-pitcher-arquimedes-caminero-from-marlins 2015年2月9日閲覧。 
  13. ^ “Pirates acquire reliever Caminero from Marlins for cash” (英語). Associated Press. ESPN.com. (2015年2月4日). http://sports.espn.go.com/espn/wire?section=mlb&id=12280943 2015年2月9日閲覧。 
  14. ^ a b 新外国人選手との契約合意について 読売ジャイアンツ公式サイト(2016年12月17日)
  15. ^ 巨人継投でノーヒットノーラン!NPB史上4度目”. 日刊スポーツ新聞社 (2017年6月14日). 2017年12月17日閲覧。
  16. ^ 巨人カミネロが160キロ超え連発 大台超え3球、最速は162キロ”. Full-Count (2018年6月14日). 2018年6月15日閲覧。
  17. ^ 巨人カミネロら抹消、阪神マテオら登録/30日公示日刊スポーツ.2018年6月30日
  18. ^ 【巨人】カミネロが米国で右肘クリーニング手術「勝利とチームメートの活躍を祈っています」 スポーツ報知 2018年9月12日
  19. ^ 2018年度 自由契約選手 公示”. NPB.jp 日本野球機構 (2018年12月2日). 2022年12月22日閲覧。
  20. ^ 前巨人のカミネロがメッツとマイナー契約日刊スポーツ 2019年1月4日掲載
  21. ^ “元巨人カミネロ現役引退 今後はアストロズ傘下のマイナー球団で投手コーチ”. 日刊スポーツ. (2022年2月12日). https://www.nikkansports.com/m/baseball/mlb/news/202202120000415_m.html 2022年2月12日閲覧。 
  22. ^ Nationals announce 2022 Minor League staff”. astros.com (2022年3月1日). 2023年5月13日閲覧。
  23. ^ https://web.archive.org/web/20170715053818/http://www.hochi.co.jp/giants/20170715-OHT1T50102.html
  24. ^ a b FanGraphs2017年4月2日閲覧。
  25. ^ BrooksBaseball.net2017年4月2日閲覧。
  26. ^ “【巨人】カミネロ、パワーの源はうなぎのタレ…虎打線7球で料理”. スポーツ報知. (2017年4月8日). https://web.archive.org/web/20170408171627/http://www.hochi.co.jp/giants/20170408-OHT1T50020.html 2017年4月8日閲覧。 
  27. ^ “【巨人】カミネロは漢字も研究「中日の中と中川の中は同じ形でなぜ読み方が違うんだ」”. スポーツ報知. (2017年9月19日). https://web.archive.org/web/20170919101603/http://www.hochi.co.jp/giants/20170919-OHT1T50106.html 2017年9月19日閲覧。 

関連項目 編集

外部リンク 編集