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カラフル (小説)

カラフル』は、森絵都小説。また、それをもとにした日本映画ラジオドラマ。小説は理論社から1998年7月に出版された(ISBN 4652071639)。第46回産経児童出版文化賞受賞。

目次

ストーリー編集

一度死んだ「ぼく」は、天使に「抽選にあたりました!」と言われ、「前世の過ちを償う」ために下界で誰かの体に乗り移って過ごす「ホームステイの修行」をおこなうこととなる。「ぼく」の魂は「小林真」という中学3年生の少年に乗り移り、「修行」が始まった。小林真は自殺を試みて死亡宣告を受けた直後で、蘇ったことに家族は驚喜する。しかし、お目付役の天使から、両親の行状(会社の上司が逮捕されて喜ぶ父親、不倫をしている母親)や真の学校での評判を知らされた「ぼく」は「修行」に消極的になる。天使からの叱咤と脅し(リタイアは不可)により真としての生活を続けるものの、「ぼく」は真の両親に反抗的な態度を取る。真の母親に不倫のことをほのめかして家を出た「ぼく」は、好意を持っていた後輩の女子生徒が援助交際していたことを知り、さらにはお気に入りの高価なスニーカーを不良に襲われて取られてしまう。不良のために重傷を負い自宅で療養していた真をクラスメイトの女子生徒が見舞いに来るが、「ぼく」はわざと露悪的な態度を見せて追い返した。回復後、「ぼく」は学校で心を開ける友人を見つけ、休日に真の父から釣りに誘われて会話を交わしたことで、家族の別の姿や真に対して抱いていた愛情を知る。高校への進学を巡り、母親は真に向いた学校を探して薦めるが、「ぼく」は親友と同じ学校に行きたいという理由で別の学校を志望することを宣言し、家族もそれを受け入れた。真の家族との関係は改善したものの、「ぼく」はその愛情が真に向けられたものであることに葛藤を覚える。天使に「真の魂を真の体に返してやりたい」と相談した「ぼく」に、天使は「24時間以内に前世の過ちを思い出すこと」を条件に可能だと答える。翌日、やってきた天使に「ぼく」は、自分の犯した過ちは人を殺したことでその殺した相手は自分であり、小林真なのだと告げる。天使は「ぼく」すなわち真が再挑戦に成功したと答える。小林真としての人生を再び始めることを不安に思う真に天使は「少し長めのホームステイがまた始まると思えばいい」とアドバイスし、最後に「しぶとく生きろ」と話すのだった。

登場人物編集

小林真
主人公である「ぼく」の魂が修行のために乗り移った少年。中学3年生。絵が得意で美術部に所属しているが、学業成績や交友関係はぱっとしない。中学1年生と自認してしまうほどに背が低いことにコンプレックスを持っている。口が達者で花札が唯一の娯楽。
佐野唱子
真のクラスメイト。真が自殺前と変わったことに気づく。自殺前の真は意識もしない少女だった。不良に襲われた真を自宅まで見舞いに来るが、「ぼく」から露悪的な対応を受ける。
桑原ひろか
真の後輩で、初恋の相手。真にただ一人気軽に話しかける相手でもあった。洋服やバッグ、アクセサリーを買うために中年男と売春(援助交際)をしている。
小林満
真の兄で高校3年生。真に対してはきつい言葉を投げかける。
真の父親
食品企業に勤めるサラリーマンで失業・転職歴あり。利己的な人間。会社の不祥事で上層部の人間がいなくなったため、部長に昇格する。
真の母親
専業主婦。自分が平凡であることに負い目があり、色々な習い事に手を出しては挫折している。以前、フラメンコ教室の教師と不倫していた。
プラプラ
天使で、下界での「ぼく」のサポート役。美形で瞳が瑠璃色の「優男」と表現されている。天界では白い布をまとい背中に羽根が生えた姿をしているが、下界ではスーツ姿。また言動も天界では丁寧な口調だが、下界ではぞんざいな口調で話す。
早乙女
真のクラスメイト。元卓球部で成績は真といい勝負。安くスニーカーを買える店を真に教え、それをきっかけに親しくなる。
沢田
真の担任。30歳そこそこの独身男。担当は体育で真から「ゴリラみたいな体格」と言われている。

作品の舞台編集

明示はされていないが、真が父親と遠出した際に自動車が「県からも遠ざかり」とある一方、進学先として家族が紹介した芸術系の高校について「外れとはいっても東京だし、うちから通学可能かどうか確認したかった」という母親の台詞があり、東京の近県と考えられる。

真が自殺するきっかけとなったできごとは9月10日に起こり、物語の最後は12月15日である。何カ所か日付と曜日が明示される(「十二月六日。日曜日」)が、このカレンダーは作品が発表された1998年と同じである。ただし作中では年代には言及されていない。

実写映画編集

2000年秋に公開された。以下のキャスト、スタッフなどはその時のものである。この他、2018年に同作を原作としたタイ映画が『ホームステイ』の題名で公開されている。

キャスト編集

スタッフ編集

劇場アニメ編集

ラジオドラマ編集

1999年NHK-FM内番組『青春アドベンチャー』において放送された。全10話。脚色は丸尾聡。主人公の小林真(ぼく)は多賀基史、プラプラは井上真樹夫が声を担当した。