ホンダ・シビックタイプR
シビック タイプR(CIVIC TYPE-R)は、本田技研工業が生産・販売するハッチバック型、スポーツセダン型の普通乗用車である。
概要編集
NSXタイプR、インテグラタイプRに続く、タイプRシリーズ第3弾である。 6代目以降のホンダ・シビックをベースに、エンジンやサスペンションをチューニングした車種であり、3代目ではパッケージの異なる日本仕様車と欧州仕様車が用意された。
初代 EK9型(1997 - 2001年)編集
ホンダ・シビックタイプR(初代) EK9型 | |
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前期型 1998年9月改良型 フロント 1998年9月改良型 リア | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 1997年8月 - 2001年12月 |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 3ドアハッチバック |
エンジン |
B16B型: 1,595cc 直列4気筒DOHC VTEC |
駆動方式 | 前輪駆動 |
最高出力 | 185PS/8,200rpm |
最大トルク | 16.3kgf·m/7,500rpm |
変速機 | 5速MT |
サスペンション |
前:ダブルウィッシュボーン式サスペンション 後:ダブルウィッシュボーン式サスペンション |
全長 | 4,180mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,360mm |
ホイールベース | 2,620mm |
車両重量 | 1,040-1,090kg |
ブレーキ |
前:油圧式ベンチレーテッドディスク 後:油圧式ディスク |
ベース車 | ホンダ・シビック |
-自動車のスペック表- |
1997年8月22日、6代目シビックのマイナーモデルチェンジ実施時に、3ドアに「タイプR」が追加された[1]。
エンジンは185PS/8,200rpmを発揮するB16B型を搭載し、5速MTを組み合わせた。他の「タイプR」と同様に車体重量が軽量化され、エアロパーツ、レカロ製バケットシート、モモ製ステアリング(SRSエアバッグ付き)、チタン製のシフトノブ、専用車体色のチャンピオンシップホワイト等が装備された。生産工場は鈴鹿製作所。
1998年9月3日には他のシビックシリーズとともにマイナーチェンジを実施[2]し(9月4日発売)、エクステリア(ヘッドライト、フロントバンパー、フロントフェンダー、テールランプなど)やオーディオ周りのデザイン(1DINサイズから2DINサイズへの拡大)変更のほか、エアコンパネルも一新された。
1999年12月16日に「タイプR・X」を追加設定[3]。CDプレーヤー付AM/FM電子チューナー+4スピーカー(フロント:2、リア:2)、ボディ同色電動格納式ドアミラー、パワーウィンドウ、マニュアルエアコンディショナー、キーレスエントリーシステム、アルミパッドスポーツペダル、専用色カーボン調パネルを追加して装備の充実を図ったタイプである。
2000年に7代目スマートシビックが登場したがこちらは継続生産・販売となる。
2001年11月[4]に生産を終え、12月には2代目と入れ替わる形で販売終了。
2代目 EP3型(2001 - 2005年)編集
ホンダ・シビックタイプR(2代目) EP3型 | |
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日本仕様 前期型 後期型 フロント | |
製造国 | イギリス |
販売期間 | 2001年12月 - 2005年8月[5](輸入終了) |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 3ドア ハッチバック |
エンジン | K20A型:2.0L 直4 DOHC i-VTEC |
駆動方式 | FF |
最高出力 | 215PS/8,000rpm |
最大トルク | 20.6kgf·m/7,000rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:ストラット式サスペンション 後:ダブルウィッシュボーン式サスペンション |
全長 | 4,135mm |
全幅 | 1,695mm |
全高 | 1,430mm |
ホイールベース | 2,570mm |
車両重量 | 1,190kg |
-自動車のスペック表- |
7代目シビックのフルモデルチェンジから1年後の2001年12月6日に、日本での販売が開始された。コンセプトは"Dangan(弾丸) Hot Hatch"。「ニュー・ブリットフォルム」、「エキサイティング・パフォーマンス」、「セイフティー&エコロジー」をテーマに開発された[6]。イギリスの現地法人「ホンダ・オブ・ザ・UK・マニュファクチャリング(HUM)」のスウィンドン工場で生産された[7]3ドアハッチバックをベースモデルとしており、そこから日本に輸出されるため輸入車扱いとなった。
搭載されるのはK20A型をタイプR向けに開発した「R-spec」エンジンで、スペックは215PS/8,000rpm、20.6kgf・m/7,000rpm。インテグラタイプR(DC5)と同じエンジンながら、排気系の差によって5馬力の違いが生まれている。6速MTはシフトレバーは異色とも言えるインパネに配置されているが、ATモデルと共通の配置にしたことでこのような形状が採用された。
販売ディーラーは通常のシビックと同様のプリモ店で、日本仕様では標準仕様とCパッケージの2グレードが用意された。Cパッケージは標準仕様に加えてオートエアコンやパワーウインドウなどの快適装備が装着され、先代型における「タイプR・X」と同様の位置付けとなる。
2004年1月22日にマイナーチェンジを施行し、平成17年排出ガス規制への適合や、一部装備とカラーリング設定の変更が行われる[8]。後期型の販売台数は約1,000台ほどであり、特にシルバーの販売台数はそのうちの約10%ほどと希少である。
この時期の日本では3ドアハッチバック車の人気は低く、2代目シビックから続いたワンメイクレースも車種がインテグラに変更されたこともあり、あまり注目されなかった。そのため販売台数も4,735台と低迷し、特にマイナーチェンジ後の後期型に至っては1,000台弱と、後に限定販売されたFN2型よりも希少な車となっている。このため他のシビックタイプRと比べて街中で見る機会は極端に少なく、自動車好きでもEP3型の存在を知らない人もいるほどで、「歴代タイプRで最も存在感が薄い」と言われることもある。一方海外では人気が高く、ラリーやツーリングカーレース、特に英国ではBTCCで活躍していた。
2005年9月22日に行われた8代目シビックへのフルモデルチェンジを前にして、2005年8月に輸入を終了した。
3代目 FD2型(2007 - 2010年)編集
日本仕様車・セダン FD2型(2007 - 2010年)編集
ホンダ・シビックタイプR (3代目 日本仕様) FD2型 | |
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フロント リア | |
製造国 | 日本 |
販売期間 | 2007年3月 - 2010年9月 |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 4ドア スポーツセダン |
エンジン | K20A型:2.0L 直4 DOHC i-VTEC |
駆動方式 | FF |
最高出力 | 225PS/8,000rpm |
最大トルク | 21.9kgf·m/6,100rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:マクファーソンストラット 後:ダブルウィッシュボーン |
全長 | 4,540mm |
全幅 | 1,770mm |
全高 | 1,430mm |
ホイールベース | 2,700mm |
車両重量 | 1,270kg |
-自動車のスペック表- |
初代と2代目まではベースモデルに合わせて全幅1,695mmの5ナンバーサイズだったが、この代からボディが全幅1700mmを超えるので3ナンバーサイズとなる。2006年10月から公式サイトを立ち上げ、F1日本GPが開催された鈴鹿サーキットにプロトタイプが展示されるなど、発売前からプロモーション活動が展開された。2007年3月29日に発売開始。インテグラ4ドアタイプRが生産終了以来6年ぶりの4ドアタイプRでもあり、シビックタイプRとしては2年ぶりの登場となった。型式はABA-FD2。
2代目と同じくK20A型を採用した一方で、エンジンブロックをアコードユーロRと共通化して吸排気系の見直し・圧縮比の向上を行い、最高出力はインテグラタイプR(DC5)やアコードユーロR(CL7)の220PSに対しの225PS/8,000rpmと5PS向上。回転域によっては10PS以上出力が向上している領域もある。ボディ剛性はインテグラタイプRに対し約50%向上。タイヤに専用コンパウンドで18インチのPOTENZA RE-070を採用し、サスペンションはタイヤが確実に地面を捉える非常に固い設定とされた。さらにトルク感応式LSDやBrembo製ブレーキキャリパー、ブレーキ冷却ダクト等スポーツ走行を意識した装備がなされている。内装ではこれまで採用されていたレカロシートではなく、新たに欧州向けのTypeRのシートを基にしたホンダオリジナルのRspecシートが採用された。エンジンスタートスイッチは、タイプRでは初のプッシュスタートシステムを採用している。
前述のように3ナンバーサイズと幅広になったが、ボディをセダン型としたことにより、今までの3ドアハッチバック型よりも使いやすさが向上している。これにより世帯持ちユーザーの獲得に成功している。発売後は1ヶ月での受注台数が約2,100台となるなど、順調な滑り出しを見せた[9]。
2007年9月13日に、シビック ワンメイクレースベース車(競技専用特別仕様)を発売した。ホンダエキサイティングカップワンメイクレース2008[10]のベース車となる。
2008年の東京オートサロンでは、ホンダがモデューロパーツを取り付けた「スポーツモデューロ タイプR」[11]や、M-TECが「MUGEN RR」をさらにチューニングした「MUGEN RR Experimental Spec」[12]などのコンセプトカーを展示した。
2008年9月5日にマイナーチェンジがおこなわれた。ボディカラーは「クリスタルブラックパール」、受注生産色「プレミアムホワイトパール」、「プレミアムディープバイオレットパール」の標準色と受注生産2色が追加され、「ビビッドブルーパール」が廃止された。
2010年4月19日、排ガス規制への対応が困難という理由で生産終了を公表し、同年8月をもって生産終了した[13]。
2010年9月、販売終了。
ワンメイクレース仕様車(プロトタイプ)
シビック MUGEN RR編集
ホンダ・シビック MUGEN RR FD2型 | |
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製造国 | 日本 |
販売期間 | 2007年9月 |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 4ドア スポーツセダン |
エンジン | K20A型 2.0L DOHC i-VTEC |
駆動方式 | FF |
最高出力 | 240PS/8,000rpm |
最大トルク | 22.2kgf·m/7,000rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:ストラット式サスペンション 後:ダブルウィッシュボーン式サスペンション |
全長 | 4,570mm |
全幅 | 1,780mm |
全高 | 1,420mm |
ホイールベース | 2,700mm |
車両重量 | 1,255kg |
-自動車のスペック表- |
2007年6月28日、M-TECが「Honda CIVIC MUGEN RR」を発表した[14]。300台限定で9月13日から販売され、申し込み開始からわずか10分で完売した。専用カムシャフトをはじめとするエンジンのリファイン、吸排気系の大幅な変更により、最高出力は15PSアップの240PSとなっている。またボンネットのアルミ化、前バンパーやリアウイング等をカーボン製にすることにより、ノーマルタイプRと比較し約15kgの軽量化が行われた。大型ディフューザーやフロントパネル、可変リアウイングの装備により市販車としては異例のマイナスリフトを実現、専用のブレーキやサスペンションにより非常に高い走行安定性を獲得している。ボディーカラーは「ミラノレッド」のみとなり、内装にも赤が多く取り入れられている。価格は477万7,500円。
欧州仕様車・ハッチバック FN2型(2007 - 2012年)編集
ホンダ・シビックタイプRユーロ (3代目 欧州仕様) FN2型 | |
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フロント リア | |
製造国 | イギリス |
販売期間 | 2007年 - 2012年6月 |
乗車定員 | 4人 |
ボディタイプ | 3ドア ハッチバック |
エンジン | K20Z型:2.0L 直4 |
駆動方式 | FF |
最高出力 | 201PS/7,800rpm |
最大トルク | 19.7kgf·m/5,600rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:ストラット式サスペンション 後:トーションビーム式サスペンション |
全長 | 4,275mm |
全幅 | 1,785mm |
全高 | 1,445mm |
車両重量 | 1,320kg |
生産台数 | 3510台[15] |
-自動車のスペック表- |
8代目欧州仕様シビック(3代目欧州専売車)をベースとした3ドアのハッチバックとなる。2006年のジュネーヴモーターショーでプロトタイプが展示され、2007年より発売開始した。2代目と同じくイギリスで生産される。
形式を「K20Z」に改めたエンジンは、最高出力201PS/7,800rpmとEP3・FD2より控えめになっているが、日常域で扱いやすいパワー特性になっている。これに6速MTが組み合わせられる。車両重量は1,267kgである。サスペンションは、フロントがストラット式サスペンション、リアはトーションビーム式サスペンション。内装は8代目欧州仕様シビックに準じており、シフトレバー付近にシリアルナンバー入りのプレートが配されている。「TYPE R」と「TYPE R GT」の2グレードがあり、「TYPE R GT」は運転席・助手席独立した温度調整可能なエアコン、クルーズコントロール、カーテンエアバッグなどを装備する。
2008年11月20日、2009年春に日本でも台数限定で発売すると発表したが、世界的な金融危機の影響によるイギリス工場の稼動休止のために発売が延期された。その後、2009年11月5日に「TYPE R EURO」の名称で2009年モデルを2,010台限定で日本国内での販売が開始された。色別の台数は白1,050台、赤810台、銀150台。
2010年8月10日、欧州の大部分の地域において2010年末でシビックタイプRの販売を終了すると発表した。EUの新排出ガス規制である「Euro 5」に適合できないことが理由であるため、生産は継続されEuro 5が適用されない市場で引き続き販売される[16]。
2010年10月28日、2010年モデルを1,500台の台数限定で販売開始した。新たに、ブラック塗装のフロントメッシュグリルとダーククロームメッキのフロントグリルフレーム・アウタードアハンドル・フューエルリッドを採用し、シリアルプレートを2010年モデル専用に変更した。ボディカラーを追加し、色別の台数は白850台、黒500台、赤150台であった。
2012年6月、日本国内での販売を終了した。
4代目 FK2型(2015年 - 2016年)編集
ホンダ・シビックタイプR(4代目) FK2型 | |
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フロント リア 内装 | |
製造国 | イギリス |
販売期間 | 2015年12月 - 2016年4月 |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
エンジン |
K20C型: 1,995cc 直列4気筒直噴DOHCターボ |
駆動方式 | 前輪駆動 |
最高出力 | 228kW (310PS)/6,500rpm |
最大トルク |
400N・m (40.8kgf・m)/ 2,500-4,500rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:ストラット式サスペンション 後:トーションビーム式サスペンション |
全長 | 4,390mm |
全幅 | 1,880mm |
全高 | 1,460mm |
ホイールベース | 2,600mm |
車両重量 | 1,380kg |
ブレーキ |
前:油圧式ベンチレーテッドディスク 後:油圧式ディスク |
-自動車のスペック表- |
ドイツ北西部にあるニュルブルクリンクにおけるFF車両世界最速を目標に、2015年の発売投入にむけ開発されることが発表された。2012年10月から参戦している世界ツーリングカー選手権(WTCC)の技術も転用される[17]。車両は9代目 (FB型) の欧州仕様 (5ドアハッチバック) をベースに新開発のK20C型エンジンを搭載。歴代で初めてのターボチャージャー付きエンジンとなり、最高出力310psを発揮するほか、最高速度は270km/hに達するとアナウンスされている[18]。アイドリングストップを搭載し、燃費にも配慮している。ただエンジンがターボ化されたことやタイヤサイズアップなどの影響から、従来型と異なり車重はベース車種よりも重くなっている。
2015年3月、ニュルブルクリンク北コースでタイム測定を行い7分50秒63を記録。2014年にルノー・メガーヌRS.275トロフィーRが記録したタイムを4秒程上回って、量産FF車におけるニュルブルクリンク北コースの最速タイムを更新した[19]。6月にはル・マン24時間レースの前夜祭(市内パレード)に登場し初の公道走行を披露した。
2015年7月2日にイギリスで出荷が開始された[20]。日本では同年9月30日にホームページ内に関連情報を先行公開し[21]、同年10月28日に公式発表した。750台の限定販売であるが、今回は購入の際、事前にホームページから商談申込をする必要があり、ディーラーでの店頭販売は一切ない(ディーラーでは商談の申し込みもできない)。受付期間は翌10月29日から11月23日までで、期間中に限定台数を上回る商談申込があった場合には抽選となる。なお、発売は同年12月7日となる[22]。また、カタログはデジタルカタログのみで、紙カタログが用意されない。なお750台という数は、ニュルブルクリンクでのラップタイム7分50秒台に由来している。
5代目 FK8型(2017年 - )編集
ホンダ・シビックタイプR(5代目) FK8型 | |
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フロント リア 車内 | |
製造国 | イギリス |
販売期間 | 2017年9月 - |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
エンジン |
K20C型: 1,995cc 直列4気筒直噴DOHCターボ |
駆動方式 | 前輪駆動 |
最高出力 | 235kW (320PS)/6,500rpm |
最大トルク |
400N・m (40.8kgf・m)/ 2,500-4,500rpm |
変速機 | 6速MT |
サスペンション |
前:ストラット式サスペンション 後:マルチリンク式サスペンション |
全長 | 4,560mm |
全幅 | 1,875mm |
全高 | 1,435mm |
ホイールベース | 2,700mm |
車両重量 | 1,390kg |
ブレーキ |
前:油圧式ベンチレーテッドディスク 後:油圧式ディスク |
-自動車のスペック表- |
2017年1月13日から3日間開催された「東京オートサロン2017」において、セダン・ハッチバックと共に、5代目となるタイプRのプロトタイプが日本で初披露された[23]。同年6月23日には、Hondaホームページ上にスペシャルサイト(ティザーサイト)を公開し、7月下旬に公式発表する予定であることも発表された[24]。
同年7月27日、ハッチバック・セダンと共に5代目「TYPE R」の日本での発売を正式発表。発売は9月29日からとなる[25]。日本市場での「シビック」のシリーズは8代目以来7年ぶりの投入となるが、過去に数量限定で発売されたことがある「TYPE R」に関しては、4代目の販売終了(完売)以来、約1年半ぶりの投入となった。歴代のモデルとは異なり、台数を限定しない通年販売となる。
これまでのタイプRモデルは、ノーマル車をベースにして「後付け」で性能強化をしてきたが、今回は最初の設計段階でノーマル車とタイプRモデルを同時開発し、ノーマル車の走行性能のレベルアップとタイプRの実用性の拡大を両立させている。シャシーはリアのサスペンションをマルチリンク式サスペンションに変更したほか、フロントサスペンションには「デュアルアクシス・ストラット・サスペンション」と呼称する新型のストラット式サスペンションを採用。エンジンには4代目同様K20C型を採用しているが、エンジン制御の改良により、最高出力を10PS(7kW)向上。6速MTをローレシオ化し、軽量シングルマス・フライホイールを新たに採用。また、ホンダ車で初採用となる減速操作に合わせてエンジン回転数を自動で調整するレブマッチシステムを搭載し、減速時のアクセル操作が不要となった。システムはオフにすることも可能である。ダンパー・ステアリング・スロットルなどの制御デバイスのセッティングをモードスイッチの操作で瞬時に変更できるドライブモードは、「SPORT」と「+R」に「COMFORT」を加えた3モードとなった。
2017年4月、4代目に引き続きドイツ・ニュルブルクリンク北コースにおいてタイムアタックを敢行。当時FF市販車最速であったフォルクスワーゲン・ゴルフGTIクラブスポーツSの7分47秒19を破り、7分43秒80を記録しFF市販車世界最速の座を奪還した。
ボディカラーは4代目からの継続設定となる「チャンピオンシップホワイト」と「クリスタルブラック・パール」の2色に、「ハッチバック」にも設定されている「フレームレッド」と「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」の2色を加えた4色展開となった。
2020年6月25日に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生産活動の影響を受け、夏に予定されていたマイナーチェンジモデルの発売を延期することを発表した[26]。その後、同年7月31日に生産拠点での活動再開を受け、発売時期が10月になることが発表された[27]。
同年10月8日に日本仕様のマイナーチェンジと「Limited Edition」が公式発表された(マイナーチェンジモデルは翌10月9日、「Limited Edition」は11月30日発売)[28]。冷却性能向上の為フロントグリルの開口面積を大きくし、ダウンフォース減少を図るためフロントバンパースポイラーの形状を変更。ブレーキに2ピースフローティングディスクブレーキが採用され、バネ下の重量が低減された。また、アダプティブ・ダンパー・システム制御やサスペンションブッシュ・ポールジョイントなどサスペンションをアップデート。ステアリングの表皮にアルカンターラが採用され、シフトノブをティアドロップ形状に変更した。さらに、安全運転支援システム「Honda SENSING」も装備された。ボディカラーは青系を「ブリリアントスポーティブルー・メタリック」から新色の「レーシングブルー・パール」に入れ替え、同じく新色の「ポリッシュドメタル・メタリック」を追加して5色展開となった。「Limited Edition」は、アルミホイールに専用BBS製20インチ鍛造アルミホイールを採用してさらなるバネ下重量の軽量化が図られ、タイヤを20インチのハイグリップ専用タイヤ(ミシュラン製「パイロットスポーツ Cup2」)に変更。アダプティブ・ダンパー・システムとEPSに専用セッティングが施された。ボディカラーは「サンライトイエローII」のみの設定となる。なお、今回のマイナーチェンジでWLTCモードによる燃料消費率並びに排出ガスに対応し、「平成30年排出ガス基準75%低減レベル(☆☆☆☆☆)」認定を取得した。
TCR編集
本車をベースに、いわゆるTCR規格に適合するレース用モデルとして「CIVIC TYPE R TCR」も存在する。開発はイタリアのJASモータースポーツが担当し、2015年にFK2型ベースのTCR車両が作られたほか、2018年にはFK8型ベースの車両も開発され、同年1月のドバイ24時間レースでデビューした[29]。
日本では2017年よりスーパー耐久・ST-TCRクラスに導入されているほか、2019年よりシリーズがスタートした「TCRジャパンシリーズ」にも参戦している[29]。スーパー耐久では、童夢が走らせるシビックタイプR TCRが2017年・2018年のクラスチャンピオンを獲得、2019年もシリーズ2位に入っている。
搭載エンジン編集
初代
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCベルト駆動 吸気2 排気2 VTEC
- 排気量:1,595cc
- 内径×行程:81.0mm×77.4mm
- 圧縮比:10.8
- 最高出力:185PS/8,200rpm
- 最大トルク:16.3kgf·m/7,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:45L
2代目
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 排気量:1,998cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 圧縮比:11.5
- 最高出力:158kW(215PS)/8,000rpm
- 最大トルク:202N·m(20.6kgf·m)/7,000rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:50L
3代目国内仕様車
- K20A型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 排気量:1,998cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 圧縮比:11.7
- 最高出力:165kW(225PS)/8,000rpm
- 最大トルク:215N·m(21.9kgf·m)/6,100rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:60L
3代目欧州仕様車
- K20Z型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC
- 排気量:1,998cc
- 内径×行程:86.0mm×86.0mm
- 圧縮比:11.0
- 最高出力:148kW(201PS)/7,800rpm
- 最大トルク:193N·m(19.7kgf·m)/5,600rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:50L
4代目
- K20C型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC・インタークーラー付ターボ
- 排気量:1,995cc
- 内径×行程:86.0mm×85.9mm
- 圧縮比:9.8
- 最高出力:228kW(310PS)/6,500rpm
- 最大トルク:400N·m(40.8kgf·m)/2,500-4,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:50L
5代目
- K20C型
- エンジン種類:水冷直列4気筒横置き
- 弁機構:DOHCチェーン駆動 吸気2 排気2 i-VTEC・インタークーラー付ターボ
- 排気量:1,995cc
- 内径×行程:86.0mm×85.9mm
- 圧縮比:9.8
- 最高出力:235kW(320PS)/6,500rpm
- 最大トルク:400N·m(40.8kgf·m)/2,500-4,500rpm
- 燃料供給装置形式:電子制御燃料噴射式(ホンダPGM-FI)
- 使用燃料種類:無鉛プレミアムガソリン
- 燃料タンク容量:46L
脚注編集
注釈編集
出典編集
- ^ “シビック/シビック フェリオに安全装備を充実しマイナーチェンジ、3ドアは「タイプR」を新設定、4ドアには「LEV・II」を設定追加し発売” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (1997年8月22日)
- ^ “「シビック/シビックフェリオ」をマイナーモデルチェンジ” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (1998年9月3日)
- ^ “「シビック タイプR」と「インテグラ3ドアクーペ タイプR」に装備充実の「タイプR・X」を追加” (プレスリリース), 本田技研工業株式会社, (1999年12月16日)
- ^ “シビックタイプR(ホンダ)1997年8月~2001年11月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
- ^ “シビックタイプR(ホンダ)2001年12月~2005年8月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月23日). 2020年1月23日閲覧。
- ^ “CIVIC TYPE R”. www.honda.co.jp. 2018年5月15日閲覧。
- ^ 「航海の無事を祈る」---新型ホンダ『シビック・タイプR』 - レスポンス(2001年10月23日)
- ^ “ホンダ シビック TYPE Rをマイナーモデルチェンジし発売”. www.honda.co.jp. 2018年6月4日閲覧。
- ^ ホンダ広報発表(2007年5月10日)
- ^ ホンダエキサイティングカップワンメイクレース〜シビックシリーズ〜
- ^ ホンダ広報発表(2008年1月9日)
- ^ MUGEN 東京オートサロン出展概要
- ^ ホンダ「シビック タイプR」8月で生産終了と発表
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- ^ a b TCRJマシン紹介(2):「とても良くできたレーシングカー」。ホンダ・シビック・タイプR・TCR - オートスポーツ・2019年7月19日