ヤフア(yahuah)とは、ヘブライ語の𐤉𐤄𐤅𐤄・יהוהの音訳の一つ[1][2]イエスパウロアブラハムモーセツァドク暦の神(エロヒーム、אלהים)であり、キリストであるイエスソロモンダビデの天の父であり[3][4]、エレツ(地)やシャマイム(天)やアダム(人)などを創った[5]ルーアッハ(霊)である創造神であり[6][7]、新約旧約聖書における救世主[8][9]日本学術会議系論説ではヤハウェとして知られる。聖書の登場人物やユダヤ人の名前にその短縮形である𐤉𐤄()や𐤉𐤄𐤅(ヤフ)が組み込まれて意味を成している[10][11]。ヘブライ文字の祖先で象形文字である原シナイ文字翻字すると人と人を創った生命と解せる(画像)。ヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)とイエスが教えた「精神を尽くして神であるヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)に気をかけること」と「隣人に対して自分のように気をかけること」が聖書の預言者トーラーの根幹であること[12][13][14]は、神𐤉𐤄𐤅𐤄(ヤフア)の名(ピクトグラムヘブライ語)を証ししている。ヤフア(ヤハウェ )をどう読むかによって思想が分かれる。

古代イスラエル内でのヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の使用編集

紀元前8世紀頃のものであるラキシュ陶片、ヤフアの家陶片[15]、サマリア陶片において、ヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の名が刻印されている[16]。紀元前7世紀ごろのケテフ・ヒンノム銀板にヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の名が刻印されている[17][18]

古代イスラエル外でのヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の使用編集

紀元前15世紀頃のものであるアメンホテプ三世が建てたソレブの寺のレリーフ[19]、紀元前8世紀頃のものであるメシャ碑文(モアブ石碑)[20]やクンティレット・アジュルド遺跡[21]エレファンティネ・パピルス[22]においてヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の名が印されている。

LXXでのヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)編集

紀元前2世紀から紀元三世紀までに書かれたLXXには古ヘブライ文字、方形ヘブライ文字、ギリシア文字での音訳、四つのドット等を使ってヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)が保存されている[23][24]

初期のクリスチャンによるヤフアの使用編集

イエス使徒を始めとするユダヤ人系クリスチャンはヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の名を使っていた[25][26]。当時のLXXにはιαω(ヤファ)が使われていた。AD200年頃の神学者オリゲネスは自著ヘキサプラなどにヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)の名を使っている[27]

中世から近代にかけてのヤフアの使用編集

13世紀と17世紀に二人の神学者がテトラグラマトン(𐤉𐤄𐤅𐤄)をギリシア語に音訳しようとした記録[23]やヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)をアラビア語に音訳しようとした記録[23]等、多様な音訳が試みられてきた。

マソラ写本でのヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)編集

ヘブライ語聖書中でヤフア(𐤉𐤄𐤅𐤄)は6828回出てくる。マソラ本文ではもともとヤフアと書かれた複数の箇所がアドナイに文字ごと変えられている[28]。またマソラ本文では𐤉𐤄𐤅𐤄(ヤフア)の箇所にアドナイやエロヒムと読むように母音記号を付している。

 
死海文書中のיהוה

ヤハウェ(ヤフア)を復元させた聖書編集

英語圏では𐤉𐤄𐤅𐤄(ヤフア)を音訳したりヘブライ文字のまま書いたり、古ヘブライ文字で書かれた聖書が数十種類出版されている。

日本では岩波文庫などからヤハウェを音訳で復活させた旧約聖書が出ている。

新約聖書におけるヤハウェ編集

例えば口語訳新約聖書中のマタイによる福音書4章7節【イエスは彼に言われた、「『なるあなたの神を試みてはならない』とまた書いてある」。】でヤハウェを復元させると、【イエスは彼に言われた、「『あなたの神であるヤハウェ(ヤフア)を試みてはならない』とまた書いてある」。】となる。これは旧約聖書から引用された句である[29]

新約聖書の出来事を描写したマタイによる福音書2章13節【彼らが帰って行ったのち、見よ、の使が夢でヨセフに現れて言った、「立って、幼な子とその母を連れて、エジプトに逃げなさい。】に出てくるはヤハウェ (ヤフア)と復元される。

現在のユダヤ教団とキリスト教団での扱われ方編集

ユダヤ教団編集

イスラエルは古くから今に至るまで周辺の宗教と自国の神を混合させてきた。ユダヤ教徒がヤハウェ(ヤフア)をアドナイ(אדוני、我がアドンの意)と読むというのもその一環である[6]

アドナイの語幹はフェニキア人の神アドン。ギリシア神話では男性名を表す語尾σ(シグマ)をつけてアドニースとして登場する。ウガリット神話バアルメソポタミア神話アダドと習合して崇拝されてきた。

現在ユダヤ教はラビによる紀元前3世紀から紀元3世紀頃に編纂されたタルムードタナハの理解の基礎とし[30]、申命記5章11節を引用し、ヤハウェに母音記号を付けアドナイ(אדוני、我がアドンの意)と読ませるように指示している。しかし出エジプト記3章15節と照らし合わせると矛盾している。

キリスト教団編集

キリスト教団は教会が保持するLXXや新約聖書に従って、ヤハウェを主やLordと訳している。これらは土着の宗教や文化の借用語である[6]ため、思想が混合し次のような解釈が生まれる。

  • 旧約聖書のヤハウェはイエスキリストである[31]
これはヨハネ5章43節でイエスは父の名によって来たという発言と矛盾する。ヤフシャ(イエス、יהושע)は「ヤフア(ヤハウェ)は救い」という意味である。
この教義は日本の造化三神の三位格やインドの三神一体の三位格などあらゆる国にみられ、本来のヘブライズムな聖書が語る一神教から乖離している[32]。キリスト教団は三位一体と、他の宗教の三神とは違うと主張している。
テクストゥス・レセプトゥスには三位一体を言明するコンマ・ヨハンネウムという句を挿入したものが存在していたが、ビザンチン型ギリシア語写本(マジョリティテキスト)とネストレアーラントには見つからない。 ネストレアーラントのヨハネ1章18節には「子である神」という記述があるが、ビザンチン型ギリシア語写本には見つからない。この二つの後代の加筆を除けば三位一体を支持する句は聖書中には一切ない[33]

脚注編集

  1. ^ What is the name of The Creator and His Son?”. boatrvgroup.com. 2020年12月2日閲覧。
  2. ^ ヤフア”. www.kolifechurch.com. www.kolifechurch.com. 2020年9月30日閲覧。
  3. ^ Shabbat Kingdom”. shabbatkingdom.org. 2020年12月2日閲覧。
  4. ^ Proverbs 30:4 - What is His son's Name? Do you know? - YouTube”. www.youtube.com. 2020年12月4日閲覧。
  5. ^ Genesis 1”. www.sefaria.org. 2020年12月4日閲覧。
  6. ^ a b c The Name of The Father” (英語). The Way Of Our Fathers. 2020年12月4日閲覧。
  7. ^ 基礎的教理 - Neo Quartodecimanism”. quartodecimani.org. 2020年12月4日閲覧。
  8. ^ Isaiah 45:21 Interlinear: Declare ye, and bring near, Yea, they take counsel together, Who hath proclaimed this from of old? From that time hath declared it? Is it not I -- Jehovah? And there is no other god besides Me, A God righteous and saving, there is none save Me.”. biblehub.com. 2020年12月4日閲覧。
  9. ^ Jude 1:25 Interlinear: to the only wise God our Saviour, is glory and greatness, power and authority, both now and to all the ages! Amen.”. biblehub.com. 2020年12月4日閲覧。
  10. ^ 「ヤフア」へリンクしているページ」『Wikipedia』。
  11. ^ ヤフワの御名を呼び求めよ!” (日本語). NEW!!. 2020年12月2日閲覧。
  12. ^ Love Your Neighbor” (英語). Family of Messiah. 2020年12月4日閲覧。
  13. ^ Love - Heart of the Bible”. www.heartofthebible.com. 2020年12月4日閲覧。
  14. ^ マタイによる福音書22章37節-40節”. 2020年12月4日閲覧。
  15. ^ “House of Yahweh ostracon” (英語). Wikipedia. (2020-12-02). https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=House_of_Yahweh_ostracon&oldid=991939560. 
  16. ^ 聖書の記録の裏づけとなる古代の陶片 — ものみの塔 オンライン・ライブラリー”. wol.jw.org. 2020年12月4日閲覧。
  17. ^ 「聖書本文の最も古い引用例」 — ものみの塔 オンライン・ライブラリー”. wol.jw.org. 2020年12月4日閲覧。
  18. ^ “Ketef Hinnom” (英語). Wikipedia. (2020-11-08). https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Ketef_Hinnom&oldid=987641091. 
  19. ^ madeleinintabo (2019年11月18日). “THE SHASU OF YHWH.” (英語). Outside Books.. 2020年12月4日閲覧。
  20. ^ Moabite Stele of Mesha, king of Moab: 841 BC”. www.bible.ca. 2020年12月4日閲覧。
  21. ^ Kuntillet Ajrud Fortress and Ostraca: One of Solomon's network of military border fortresses”. www.bible.ca. 2020年12月4日閲覧。
  22. ^ 495-399 BC: The Judean Elephantine Egyptian Papyrus letters to Bagohi Governor of Judea”. www.bible.ca. 2020年12月4日閲覧。
  23. ^ a b c 初期クリスチャン等のテトラグラマトンの翻訳”. 2020年12月4日閲覧。
  24. ^ 第13章”. www.jca.apc.org. 2020年11月17日閲覧。
  25. ^ テトラグラマトンとクリスチャン・ギリシア語聖書その1”. www.jca.apc.org. 2020年11月17日閲覧。
  26. ^ 新約時代のテトラグラマトンの発声”. 2020年12月3日閲覧。
  27. ^ 付録J オリゲネースの『ヘキサプラ』の1”. www.jca.apc.org. 2020年11月28日閲覧。
  28. ^ The 134 Passages Where the Sopherim Altered Jehovah to Adonai. - Appendix to the Companion Bible”. www.levendwater.org. 2020年12月3日閲覧。
  29. ^ Quartodecimani (1397642099). “新世界訳での神名の扱い” (日本語). Quartodecimaniのノート. 2020年12月4日閲覧。
  30. ^ 『神のみ名 エホバ (Jehovah)[ヘブライ語動詞ハーワー(なる)の使役形未完了態。NO.1』” (日本語). NOBUちゃんの考察. 2020年12月4日閲覧。
  31. ^ イエスは三位一体の神かどうか”. 2020年12月4日閲覧。
  32. ^ エイレナイオスのブログ | 三位一体というパン種”. webcache.googleusercontent.com. 2020年12月4日閲覧。
  33. ^ 三位一体を含む記事” (日本語). quartodecimani blog. 2020年12月4日閲覧。