伊丹駅 (阪急)
伊丹駅(いたみえき)は、兵庫県伊丹市西台一丁目にある、阪急電鉄伊丹線の駅。伊丹線の終着駅である。駅番号はHK-20。
伊丹駅 | |
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![]() 阪急伊丹駅と、北側に設置されているローターリー。伊丹市営バスが発車する様子。(2025年3月) | |
いたみ Itami | |
◄HK-19 新伊丹 (0.9 km) | |
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所在地 | 兵庫県伊丹市西台1丁目1番1号[1] |
駅番号 | HK20 |
所属事業者 | 阪急電鉄 |
所属路線 | ■伊丹線 |
キロ程 | 3.1 km(塚口起点) |
駅構造 | 高架駅[2] |
ホーム | 1面2線[2] |
乗降人員 -統計年次- |
(通年平均)20,569人/日 -2023年- |
開業年月日 | 1920年(大正9年)7月16日 |
概要
編集伊丹市街地の中心に位置し、特に古くからの市街地区域の西側に位置する。JR西日本の伊丹駅が東側に約750mほどの場所に位置する。このため、旧市街を挟む形で両者の駅が存在している。
伊丹市内から大阪・京都・神戸方面へアクセスする鉄道として重要な存在である。
JR西日本の伊丹駅(JR宝塚線)とは競合関係にあるが、輸送障害時には振替代行輸送が行われるなど、協力関係もある。
阪急神戸本線の開業と同時に当駅も開業した。これは神戸本線が当初伊丹経由で大阪と神戸を結ぶ予定だったものが、現在の塚口駅 (阪急)を通過する南寄りのルートを取ることになったため、代替措置として伊丹線が建設されたためである。詳しくは、 伊丹線の項目を参照されたい。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災(以下「震災」)で甚大な被害を受け、かつての駅舎は倒壊した[3]。その後約4年をかけて復興され、駅ビルにホームがある現在の構造となった[2]。
歴史
編集駅構造
編集頭端式ホーム1面2線を有する高架駅[2]。地上5階建ての駅ビル「Reita(リータ)」の3階部分にプラットホームがある[2]。
震災で倒壊した当駅の再建にあたっては、バリアフリーを考慮した工夫が随所に取り入れられた[2]。改札口とホームが同一フロアにあり、スロープで連絡しているのもその一つである。この点が評価され、第1回近畿の駅百選に選定されている。
駅構造の変遷
編集初代
編集歴史の節で既述の通り、開業当初の駅舎は、現在よりも東方の中央4丁目付近にあった。
駅構造は1面2線の島式プラットホームであり、駅舎も地上にある地上駅であった。これとは別に、西側に側線を1本備えていた。
2代目
編集高度経済成長を迎え、輸送力増強及び将来の延伸に備えるため、1967年に現在の位置に移転した。島式ホーム2面4線の高架駅となり、1線は線路が引かれず将来拡張予定とされていた。北西方向に向けて線路を延長できる構造となっており、延伸時には当駅は中間駅となり、優等列車を待避できる構造となっていた。
千里線の北千里駅に次いで、日本で2番目に自動改札機が設置された[4]。
1995年1月17日の、阪神・淡路大震災によって、駅舎全体が崩落するという惨事に見舞われる。駅ビル内にあった交番に勤務していた兵庫県警の警察官1名が犠牲となった[6]。
このため、震災発生当日より、当駅の営業は休止となった。駅舎は再建されることが決定し、取り壊しと再建工事が行われた。
工事中は、1つ南の新伊丹駅での折り返し運転を経て、当駅南側400m付近に仮駅を設置して営業し[3]、再建まで使用された[2]。
3代目(現在の駅舎)
編集現在の駅舎は、2代目と同じ位置に建設されたが、構造は先代から大きく変更された。構造は1面2線に縮小され、容易に延伸できる構造とはされなかった。線路の終端の先にコンコースが存在するため、事実上延伸は不可能である。延伸計画は2005年に免許が失効した。
改札内コンコースには、カプセルトイを販売するガチャガチャが設置されており、「ガチャガチャの駅」と称されている[7]。改札内にあるため、利用には有効な乗車券または入場券が必要である。
その他の基本的な構造は、当節冒頭にて記述の通りである。
のりば
編集伊丹駅 配線図 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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行先案内では以下のように明記されているが、全列車が普通(各駅停車)塚口行のため、塚口以外の各駅へは同駅で乗り換えが必要となる。
号線 | 路線 | 行先 |
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1・2 | ■伊丹線 | 塚口・大阪梅田・神戸・京都・宝塚方面 |
通常は2号線が使用される。1号線から発車する列車は朝のラッシュ時と夕ラッシュ時から夜間にかけての一部のみで、その他の時間帯(主に午前中)は原則として車両の留置に使われる[注 1]。
利用状況
編集2023年の通年平均の乗降人員は20,569人である。阪急電鉄の駅としては第40位[8]。
徒歩10分ほどの距離にあるJR福知山線(JR宝塚線)の伊丹駅と競合する関係にある。昭和期までは大規模な商業施設が集積していた当駅の方が優位な状態が続いていたが、震災発生後はそれらの相次ぐ閉店による都市機能の低下や、南側に離れた仮設駅での営業が続いたこと、JR宝塚線の輸送改善[注 2]やイオンモール伊丹の開業などでJR伊丹駅の利便性が向上したことで、当駅の利用者数は劣勢になっている。
ただし、駅前には震災後に拡張された市内最大のバスターミナルが整備されており、市内各地や大阪国際空港(伊丹空港)などの周辺地域に向かう多数のバス路線が乗り入れている[注 3]ため、バスとの乗り換えの利便性は高い。
近年の1日平均乗降・乗車人員の推移は下表の通り。
年次 | 特定日[10] | 平日限定 | 通年平均 | ||||
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調査日 | 乗降人員 | 乗車人員 | 1日平均 乗降人員 |
1日平均 乗車人員 |
通年平均 乗降人員 |
通年平均 乗車人員 | |
2005年(平成17年) | 11月 | 8日23,773 | 11,772 | - | - | ||
2006年(平成18年) | 11月14日 | 23,326 | 11,612 | ||||
2007年(平成19年) | 11月13日 | 23,772 | 11,767 | 23,443 | 11,675 | ||
2008年(平成20年) | 11月13日 | 23,828 | 11,846 | 23,951 | 11,942 | ||
2009年(平成21年) | 11月10日 | 24,153 | 11,481 | 23,523 | 11,724 | ||
2010年(平成22年) | 11月 | 9日23,090 | 11,496 | 23,504 | 11,723 | ||
2011年(平成23年) | 11月 | 8日23,933 | 11,949 | 23,984 | 11,955 | ||
2012年(平成24年) | 11月13日 | 24,257 | 12,062 | 24,275 | 12,109 | ||
2013年(平成25年) | 11月13日 | 24,075 | 11,934 | 24,512 | 12,233 | ||
2014年(平成26年) | 11月 | 4日24,066 | 11,960 | 24,635 | 12,314 | ||
2015年(平成27年) | 11月10日 | 25,077 | 12,513 | 24,880 | 12,418 | ||
2016年(平成28年) | 11月15日 | 24,601 | 12,224 | - | 22,593 | 11,289 | |
2017年(平成29年) | 11月7日 | 24,789 | 12,380 | 22,946 | - | ||
2018年(平成30年) | 11月13日 | 25,245 | 12,640 | - | |||
2019年(令和元年) | 11月12日 | 25,178 | 12,560 | 23,072 | |||
2020年(令和2年) | 17,179 | ||||||
2021年(令和3年) | 17,396 | ||||||
2022年(令和4年) | 19,149[11] | ||||||
2023年(令和5年) | 20,569[8] |
駅周辺
編集商業施設
編集- 関西フードマーケット 本店
阪急伊丹駅ビル『Reita(リータ)』
編集主要テナントは以下の通り。全てのテナントは公式サイト「フロアガイド」を参照のこと。
伊丹ショッピングデパート
編集近隣に本社を構える関西スーパーマーケットの親会社・関西フードマーケットが所有・運営するショッピングセンター[12]。かつてはニチイ→サティが入居していた。2008年7月にリニューアルオープン。
主要テナントは以下の通り。全てのテナントは公式サイト「ショップガイド」を参照のこと。
サンロード商店街
編集駅から東に延びる県道189号阪急伊丹停車場線沿いと、南方へ分岐する歩道沿いのアーケード。愛称は『Viva伊丹商店街』。
県道沿いには医院やパチンコ店等があり、関西スーパー(中央店、本社を併設)や個人が営む食料品店・雑貨店が軒を連ねている。閉店した商店の跡地にマンションが建っている区画もある。
商業施設に関する補足
編集当駅周辺は古くから伊丹市の一大商業地として発展し、近隣にニチイ→サティ[注 5]やジャスコ[注 6]、長崎屋[注 7]、イズミヤ[注 8]といった大型の商業施設が立ち並んでいたが、いずれも既に閉店・撤退している。その後、ジャスコはJR伊丹駅前にイオンモール伊丹[注 9]として改めて出店。サティは昆陽地区に開業したイオンモール伊丹昆陽が事実上の後継施設となった[注 10]。
震災後の当駅周辺はスーパーやホテル、商店街、多目的ホールなどが集積する繁華街になっている。
金融機関・郵便局
編集金融機関についてはいずれも特記しない限り「伊丹支店」である。
文教施設
編集- みやのまえ文化の郷
- 伊丹市立図書館(ことば蔵)
- ブルワリーミュージアム
- 伊丹市立文化会館(東リ いたみホール)
- 伊丹アイフォニックホール
- 有岡城(岸の砦)跡
- 伊丹市立伊丹小学校
- 伊丹市立伊丹高等学校
バス路線
編集- 1番乗り場
- 2番乗り場
- 3番乗り場
- 7系統:鴻池東行(小井内・池尻経由)
- 4番乗り場
- 3系統:荒牧バラ公園行(伊丹市役所西・伊丹病院・住友前・サンシティ経由)
- 5系統:JR中山寺行(伊丹市役所西・伊丹病院・住友前経由)
- 11系統:三師団・交通局前行(伊丹市役所西・伊丹市役所前経由)
- 17系統:西野武庫川センター前行(伊丹市役所西・昆陽池公園前経由)
- 18系統:西野武庫川センター前行(札場辻・伊丹病院・住友前経由)
- 5番乗り場
- 6番乗り場
- 9番乗り場
- JR伊丹行
- 7番乗り場
- 8番乗り場
なお、阪急バスは当駅の東にある県道13号尼崎池田線(産業道路)を走行する56系統(尼崎線、阪神尼崎・阪急川西能勢口駅方面)も利用可能で、当駅から約500m東にある「伊丹中央」バス停が最寄りとなる。
隣の駅
編集- 阪急電鉄
- ■伊丹線
- 新伊丹駅 (HK-19) - 伊丹駅 (HK-20)
脚注
編集注釈
編集- ^ 平日は朝のラッシュ後の9時前から13時過ぎまで、土曜日と休日は深夜からの夜間滞泊を経て13時過ぎまで。
- ^ JR伊丹駅には大阪駅まで直通する丹波路快速が停車するほか、JR東西線の開業後は同線へ直通する快速列車も併せて大阪市の広範囲へ乗り換えなしでアクセスできるようになった一方、当駅から乗車すると塚口駅で必ず乗り換えが発生し、JR大阪駅とほぼ同一地点にある大阪梅田駅が終点となる。ただし、神戸三宮駅(JR三ノ宮駅)で比較した場合、福知山線(JR宝塚線)が電車特定区間の対象外のため運賃計算が割高となり、JRは尼崎駅経由でやや大回りかつ同駅で必ず乗り換えが必要となるため、阪急を利用した方が運賃は安くなり、早く移動できる場合もある(なお、JR伊丹駅を含む宝塚駅 - 大阪駅および北新地駅との間には特定区間運賃[9]が設定されているため、大阪側はJR・阪急共にほぼ同じ運賃となる)。
- ^ JR伊丹駅前にも各社局のバス停があり、特に市バスは多くの系統がJR伊丹駅前を起終点とし、当駅前を経由地としている。
- ^ 旧・アズナス、同社によるフランチャイズ店
- ^ ニチイ時代から駅前にある「伊丹ショッピングデパート」に入居していた。「過去に存在したマイカルの店舗#閉鎖された店舗」も参照のこと。
- ^ 駅西側の「伊丹セントラルプラザ」に入居していた。震災後は営業再開に至らず閉店し、ビルも解体された。跡地にはマンションが建っている。「過去に存在したジャスコの店舗#兵庫県」も参照のこと。
- ^ 尼崎店で発生した火災の影響で閉店。
- ^ 駅から北西に離れた昆陽地区に移転。
- ^ 開業から2007年9月21日までは「ダイヤモンドシティテラス」として営業。また、ジャスコは2011年3月1日に「イオン」に改称した。
- ^ 同記事で詳述している通り、当初は「伊丹西サティ」の名称でサティとして開業予定だった。2011年3月14日に「イオン伊丹昆陽ショッピングセンター」として開業し、同年11月21日より現在の名称となった。イズミヤの近隣に開業したため、イズミヤとは再び競合することになった。
出典
編集- ^ 『阪急ステーション』阪急電鉄株式会社コミュニケーション事業部〈阪急ワールド全集 4〉、2001年、72-73頁。ISBN 4-89485-051-6。
- ^ a b c d e f g h i 『鉄道ジャーナル』第33巻第2号、鉄道ジャーナル社、1999年2月、97頁。
- ^ a b c d 「阪神大震災から1年」『鉄道ジャーナル』第30巻第4号、鉄道ジャーナル社、1996年4月、86-88頁。
- ^ a b c 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 大手私鉄』 12号 阪神電気鉄道 阪急電鉄 2、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2010年10月、27-29頁。ISBN 978-4-02-340142-6。
- ^ 75年のあゆみ「記述編」 p96
- ^ “駅倒壊で犠牲…警察官の父、背中追い続け 広島県警の辻昌直警部補 - 産経ニュース”. 産経新聞. 2025年3月23日閲覧。
- ^ PHP研究所(編)『阪急電鉄のひみつ』PHP研究所、2013年7月、35頁。ISBN 978-4-56-981285-4。
- ^ a b Corporation, Hankyu. “駅別乗降人員 | 路線・駅 - 阪急電鉄”. 阪急電鉄. 2024年11月25日閲覧。
- ^ 『京阪神エリアの特定区間 普通・通勤定期運賃表(2023年4月1日購入分から改正)』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道株式会社、2022年8月19日 。2024年1月21日閲覧。
- ^ “伊丹市統計書|伊丹市”. www.city.itami.lg.jp. 2021年10月18日閲覧。
- ^ “駅別乗降人員 2022|路線・駅|阪急電鉄”. 阪急電鉄. 2024年11月25日閲覧。
- ^ “関西フードマーケット【9919】 歴史”. Strainer. 2024年1月20日閲覧。