保安隊
保安隊(ほあんたい、英語表記:National Safety Forces)は、保安庁に警備隊と共に置かれた、日本における国内保安のための武装部隊である。1952年(昭和27年)10月15日に警察予備隊を改編して発足した。現在の陸上自衛隊の前身に当たる。
概要編集
1950年(昭和25年)8月10日に施行された警察予備隊令が講和条約発効から180日後に失効する[1]ことから、日本政府は1952年(昭和27年)7月に保安庁法[2]を成立させ、総理府の機関であった警察予備隊のうち「本部」および「総隊」を保安庁の「内部部局」および「第一幕僚監部」に移行させ、「管区隊その他の部隊等」は警察予備隊の名称のまま保安庁の機関に移管し、2か月半の準備期間を経て保安隊に改編した。保安庁法では、警察予備隊令に明記されていた「警察力の不足を補う」という文言がなくなり、独自の保安機関であることがより明確となった。
1954年(昭和29年)3月に日米相互防衛援助協定が結ばれ、日本は「自国の防衛力の増強」という義務を負うことになった。これを受けて同年6月に自衛隊法と防衛庁設置法を成立させ、翌7月に陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の管理・運営を行う防衛庁が発足し、保安庁は発展的に廃止されて業務は防衛庁に引き継がれた。警察の補完組織だった保安隊が、国防を任務とする自衛隊になったために新任務にふさわしい宣誓が求められ、全隊員の6%にあたる約7,300人が宣誓拒否して退官した。大部分が陸上自衛官の任期制隊員とされる(1954年8月9日参院内閣委、木村篤太郎防衛庁長官)[3]。
編成(1952年)編集
ギャラリー編集
保安隊創立記念観閲式
保安官の階級編集
警察予備隊から保安隊への移行にともない、警察予備隊の警察官は保安官となった。保安隊から陸上自衛隊へ移行した際、保安官は陸上自衛隊の自衛官(陸上自衛官)となった。
分類 | 階級名 | 相当階級 | ||
---|---|---|---|---|
警察予備隊の警察官 | 陸上自衛官 | |||
士官相当 | 将官相当 | 保安監 | 警察監 | 陸将 |
保安監補 | 警察監補 | 陸将補 | ||
佐官相当 | 1等保安正 | 1等警察正 | 1等陸佐 | |
2等保安正 | 2等警察正 | 2等陸佐 | ||
3等保安正 | 警察士長/3等警察正 | 3等陸佐 | ||
尉官相当 | 1等保安士 | 1等警察士 | 1等陸尉 | |
2等保安士 | 2等警察士 | 2等陸尉 | ||
3等保安士 | (3等警察士) | 3等陸尉 | ||
下士官相当 | 1等保安士補 | 1等警察士補 | 1等陸曹 | |
2等保安士補 | 2等警察士補 | 2等陸曹 | ||
3等保安士補 | 3等警察士補 | 3等陸曹 | ||
兵卒相当 | 保査長 | 警査長 | 陸士長 | |
1等保査 | 1等警査 | 1等陸士 | ||
2等保査 | 2等警査 | 2等陸士 |
- 保安監はさらに甲(第一幕僚長など長官の定める職に就く保安官(3つ星))と乙(それ以外の職に就く保安官(2つ星))の級の区分がある。
災害時の救助活動編集
脚注編集
関連項目編集
- (総理府)警察予備隊→(保安庁)警察予備隊→(保安庁)保安隊→(防衛庁)陸上自衛隊
- (海上保安庁)海上警備隊→(保安庁)警備隊→(防衛庁)海上自衛隊
- 制服 (自衛隊)#警察予備隊・保安隊時代
外部リンク編集
- ウィキメディア・コモンズには、保安隊に関するカテゴリがあります。
- きょうの蔵出しNHK - 保安隊の大演習