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月が導く異世界道中(つきがみちびくいせかいどうちゅう)は、あずみ圭によるライトノベルである。

目次

概要編集

小説投稿サイト「小説家になろう」で発表され、アルファポリス「第5回ファンタジー小説大賞」読者賞を授賞[1]し、同社から発行された。発行部数は2017年4月時点で公称45万部[2]

あらすじ編集

主人公・深澄真は異世界に勇者として召喚されるはずが、その異世界の唯一神である女神の「顔が醜いから[注釈 1]」という余りにも個人的かつ身勝手の過ぎる我儘からヒューマンと交わる事(交流及び結婚)を禁じられ[注釈 2]、勇者としてではなく、汚くて忌わしいゴミとしてこの異世界の果てに捨てられた[注釈 3]

説明を受けるため、召喚前に会った三貴神の一柱、月読命に加護として女神に与えられるより上回る能力を与えられ、勇者でなくなった事で自由に生きる許可まで月読命に与えられた[注釈 4]。降りた異世界はまさしく『世界の果て』と呼ばれる荒野であり、人どころか動物、魔獣にさえ会えなかったが、やっとのことで魔獣に襲われたオークの娘に会う。

神々の加護すら届かぬ世界で育った真は、この世界の人や亜人、魔族、上位竜、魔物より圧倒的に強かった[注釈 5]。上位竜・巴(旧名:蜃)、災厄の黒蜘蛛・澪、リッチ・識と主従契約を結び、彼らは人の姿となる。巴との契約によって出来た亜空(霧の結界)の中に、真を尊敬し、崇める亜人(オーク、ドワーフ、リザードマン、半人半蜘蛛)を招いて村を作り、自らはヒューマンとの交流を求める。

ところが、ヒューマンと思えない程の醜い(この世界では)顔[注釈 6]と漏れ出す強大な魔力のためヒューマンの多くは真を恐れるが、一部のヒューマンとは友好を結ぶ。それでも女神の持つヒューマン第一主義が蔓延っているため、ヒューマン以外の亜人は家畜か道具という考えが根強く、ヒューマンと亜人、特に魔族との友好などは難しい。

登場人物編集

主人公編集

深澄 真(みすみ まこと) / クズノハ・ライドウ
異世界に来る前は、弓道部副部長の高校二年(17歳)。両親と姉・妹の五人家族で、両親は異世界のケリュネオンという国の貴族と神官であった。元々異世界出身者(ヒューマン)の血を引き、それなりの鍛練を積んでいた真は、異世界では一切の負荷から解放された超人クラスの力(巴曰く、魔力だけでも「魔王数人分」)を持ち、風属性を除いた五属性の魔法[注釈 7]を使えるが、自身が受けるのも含めて回復魔法に関する適性がまったくない。冒険者ギルドのレベルは1だが、これは前述の通り、基本的なステータスが大きすぎるため[注釈 8]で、得意の弓でも当初は射た際に的を破壊してしまっていた。その魔力は弓の鍛錬に際しての集中法による「意識の拡散と再構成」によって増大を繰り返している[注釈 9]。本来生まれもった上限に支配される魔力容量だが、真のように意識を拡散させ再構成するなどという鍛錬は常識の範疇外らしい。
異世界ではライドウという通り名でクズノハ(葛葉)商会の代表。蜃気楼都市・亜空の所有者で住人からは若様の呼称[注釈 10]で、クズノハ商会の従業員の何人かからは旦那の呼称で呼ばれる。学園都市の非常勤講師として戦闘技術実技を教え、教え子たち七人は学園のトップ7に入る実力に成長させている。
界(かい)
月読から与えられた加護によって発現した固有能力。自身の周囲に半球状の領域(範囲は変えられる)を作りだし、その領域内では大抵の物ごとを感知できるほか、任意に強化・不可視化といった各種属性付加などを行える。
ドラウプニル
エルダードワーフ謹製の指輪。魔力を吸収して蓄積する作用があり、最初は白色だが魔力を貯めることで赤色に変わる。真から駄々洩れ状態の魔力を隠蔽するため両手の5本指全てに装備しているが、桁外れな魔力をもつ真だから無事というだけで普通のヒューマンなら魔力を吸い尽くされて死ぬ「呪いレベル」のアイテム。
魔力を吸い切った赤い指輪はわずかな衝撃で爆発的な魔力を放出する危険物だが、亜空では魔力の有効利用を研究している。

真の従者編集

深澄 巴(みすみ ともえ)
真の第一の従者で正体は『無敵』の二つ名を持つ上位竜・蜃。亜空は元々蜃の物であったが、真との契約で日本の要素を含む村的な物に変化。そこへ、真を慕う亜人を招き、村(蜃気楼都市)を作ることを主導する。眷属のミスティオリザードマン108名も蜃気楼都市の初期参加者。霧の結界の能力の一つとして、記憶を見て保存できる。真の記憶から時代劇、特に水戸黄門を好み、真を黄門様、自分を格さんに見立てて行動したがるが、真からは「核さん」と例えられたり、悪代官巴や悪商人巴屋主人であるとみられることもしばしばある。冒険者ギルドのレベルは1,320(2回目は1,340)。
コモエ
巴の分体。巴を10歳ほどの子供にしたような姿をしている。本体に代わって亜空内の探索などをしていたが、誘い込んだヒューマンの起こした事故によって一度消滅した。その後再び生み出された際に正式に「コモエ」と命名される。
深澄 澪(みすみ みお)
真の第二の従者で正体は『災厄の黒蜘蛛』と呼ばれる魔獣。空腹からあらゆる物を食い続け恐れられていた。真の痛撃に快感を覚え、真の血に甘露を感じる。そのことに嫌悪を感じた真により戦闘不能にされるが、真も気絶。蜃[注釈 11]の提案で、真の許諾もないのに、真と主従契約を結ぶ。この契約で亜空が広がり黒い森や川ができる。過去において、蜃、魔将コンビ、勇者パーティ等に撃退はされているが、食欲がある程度満たされたことで食事を止めて別方向に移動したに過ぎず、本当の意味で敗れたのは真が初めて。眷属の半人半蜘蛛のアルケー4名も蜃気楼都市の初期参加者。食べる事は今でも好きだが、かつての量第一から質が重要に変わる。自身の手料理を真に食べさせることが生きがいになっており、勇者・響から日本料理の手ほどきを受けた。ただし、勇者とは知らず、自分が撃退された時の記憶もなく、真により満足を覚える前の記憶は、空腹であった事のみでそれ以外は記憶していない。冒険者ギルドのレベルは1,500。
深澄 識(みすみ しき)
真の第三の従者で正体は自ら研究のためアンデッドになった元ヒューマンの『リッチ』。アンデッドになった頃或いはその前の記憶は失われている。森鬼に憑依して、樹刑の力を与えていたが、真に取り憑こうとして敗れる。本来の格としては、主従どころか餌-捕食者の契約でしかなれない存在であったが、真の一時的能力低下の詐術と真の魔力を蓄えた指輪13個を手にすることで、上げ底ながら主従契約を結ぶ。学園都市には、真の助手として授業に参加。真の意向で真が厳しくする役に対して、慰め役を担当。その影響か生徒の能力評価・対応が甘くなっている。

神々編集

この世界の唯一の神たる女神
黄金を背景にし、美に偏執した性格と月に関連した処女神の記載がある。後者よりアルテミス、ヘカテ―、ルナ辺りに該当する可能性はあるが、言及はされていない。10年眠って起きたら加護するヒューマンがピンチであったので勇者を召喚する。真を召喚した直後に容姿が気に食わないのを理由に「ヒューマンと交わったら殺す」という旨の脅しをかけて地の果てに捨て、真の召還と並行して日本から別の、女神が気に入った容姿の美形2名を勇者として勝手に召喚し、伝言メモのような言葉と追加の一言でそれぞれ筆頭の二大国に渡す。
ヒューマンのみに加護を与え、かつヒューマン同士なら美しい方に加護を与えるという差別を当たり前に思い、魔族や亜人には加護を与えず奴隷・家畜扱いするのは「醜いんだから当然のこと」としか思っていない。その身勝手な差別思考はヒューマン全体の思想にも影響を与えている。また、ヒューマンから勇者を出さず、外部からわざわざ勇者を召喚している点も含めて自世界の住人が力を付けることを嫌っている面もある。
この我儘かつ身勝手極まりない横暴の数々から真に忌み嫌われており、当初は『くそ女神』だったが、後に『虫』としか呼ばれなくなった。創造を行った神として他の神を見下しているが、巴によると上位竜や魔獣といった先住者と交渉して「既に存在していた世界」に人間(後のヒューマン種)の住む環境を整えたとのことで間借り人か「管理委託人」という方が適切。
また、異世界において女神の美的基準のみに従って調製されたヒューマンは善人だろうが悪人だろうが、バカでもダメ人間でも真視点から見ると呆れかえるくらいに美形揃いである[注釈 12]。また、前述の女神による加護を当てにしているため、最低限の戦術もなく過剰なまでにステータスを重視した正面攻撃しか行わない悪癖がある。
月読命
真の召喚に先立ち、真と話をする。そこは両親のいた世界で、その関係で真でなければ姉妹のどちらかに話は通しているだろうと言い、真は自分が行くことを納得する。女神が少しではなく色々問題のあることを事前に告げてはいたものの、真に対する女神のあまりの横暴と仕打ち(+断りも無くこちらの人間2人を連れ去った不作法)に怒り、真に女神を超えると自負する加護を与える。だが、加護を与えた事で無理をした為、数百年の眠りにつくだろう事と他の神々に真のことを頼んでおくと伝え、連絡は途切れてしまう。
スサノオ
真のことを月読命に頼まれた神の一柱で月読命の弟神。この世界の女神を『馬鹿娘』と呼ぶ。
大黒天(シヴァ)
真のことを月読命に頼まれた神の一柱。この世界の女神の馬鹿さ加減に呆れている。真を気に入り「手土産」として何らかの加護を与えたが、それによって別の可能性未来(パラレルワールド)を夢に観るという事態が起きた。
アテナ
真のことを月読命に頼まれた神の一柱。この世界の女神に『ちいときつい説教と首輪』(スサノオ談)を与える為にこの世界へ来た。真らが扱いに困ったチビドラゴンに退化した魔将レフトの体を戻して記憶を消した。真と手合わせをし、他の二人からは真の善戦と称されたが、真にとっては完敗だった。とはいえ、神を相手にして近付ければいい方であり、傍目から見れば善戦したとも言える内容ではある。
サマル
真が元の世界へ戻る手段を知る者として召喚した門。自ら『神』と名乗るが、実際は付喪神と呼ばれる妖怪の類であるため、厳密に言えば神ではない。1,000名の生贄を要求し、真が断るとその腹いせと報復で亜空の住人を殺そうとするが真に阻止・撃退される。劣勢となるや自らの能力で逃げようとするが、真によって引き戻され退治された。

亜空の住人編集

エマ
ハイランドオークの娘(17歳)。初対面で真に助けられ、最初に真と話した亜人。また、初歩の魔法ブリットを真に教え、蜃への生贄に決定されているというヒロインフラグが立っている。真としては顔が豚ではそれを回避したい意向であり、真はその魔法を武器に蜃を倒して、そのまま立ち去る気であった。後に、亜空へ移住すると官僚的な亜空の指導者の一人となる。
ベレン
鍛冶に長け、伝説・神話級の作品を作ったという伝承を持つエルダードワーフ[注釈 13]の一族で、その中でも腕の良い部類に入る。ヒューマンによる略奪・搾取を避けるために、ヒューマンが容易に近づけない荒野に住むが、鍛冶の材料や食料の入手、更には外敵に襲われる等の苦労をしている。基本的にヒューマン、女神や魔族に対しては関わりを持ちたくないと考える。災厄の黒蜘蛛に襲われ、ある意味芸術品ともいえる武器類も喰われ、絶体絶命のところを、真、蜃[注釈 14]に助けられる。巴が日本刀を作らせたいという私情もあったが、亜空と云う安全な土地を提示され、エルドワの長老を説得し、一族をあげて亜空へ移住する。巴の二本差し、ライムの日本刀、識の杖など取り敢えず使えるレベルの物は作るが、将来真や巴の実力に見合う業物を冶つのが夢。
ハルナ、アキナ、ホクト、ミナト
澪の眷属であるアルケーたち。名前は漫画版で付いた。当初は無口だったが、それまで使う必要のなかった言語に不慣れだったためで、共通語や日本語を修得してからはハルナは戦闘、ミナトは各種研究活動、ホクトは大工仕事と忍者修行、アキナは澪と共に料理研究を行っており、人間態への化身時には澪を真似ていた和装から洋服に切り替えている。
アクア、エリス
「森鬼」と呼ばれる亜人の少女。ロッツガルドのクズノハ商会店員で集客の一助ともなっている名物店員。アクアはともかく、エリスはやたらとメタな発言をすることが多い。
モンド
森鬼の青年でアクア、エリスの師匠。リッチ(後の識)に取り憑かれていたが、その影響で森鬼の中でも失伝していた「樹刑(対象を樹木に変える呪い)」を発現していた。
リディ、マーサ
巴の眷属であるミスティオリザードの戦士。ロッツガルドにおける戦術講義の実践訓練で相手役「アオトカゲくん&アオトカゲくんツヴァイ」として参加する。

クズノハ従業員編集

ライム・ラテ
ヒューマン。元ツィーゲの筆頭冒険者でレベル201。冒険者たちの兄貴分として、駆け出し冒険者の仕事を囲い込んでしまうレンブラント商会への嫌がらせの為、その妻子に呪病を掛ける者と手を組む。薬の材料を調達した商会の二人を襲撃したが、短剣を折られ配下ともども巴に一蹴される。ライム本人は数年眠り込む程度のものと思っていたこともあり、許されて冒険者を引退することでレンブラントとも和解する。後にその時折った短剣の代わりに日本刀(エルドワ製試作品)を預けられ、巴に鍛えられることで隠密(弥七か飛び猿ポジション)になる事を承諾し、表向きにはクズノハ従業員になる事を受諾する。
グリトニアの勇者・岩橋智樹の「魅了」に惑わされて不覚を取り、肩を貫かれた際に巴の血肉を分け与えられ、彼女の眷属となる。調査の過程でリミアの勇者・音無響のパーティに協力し、一定の信頼を得ている。

真の友好者編集

パトリック=レンブラント
ツィーゲ随一の商会・レンブラント商会の代表にして、実質的ツィーゲの支配者。親馬鹿、夫馬鹿で妻子には甘い。金、恫喝、殺戮等あらゆる手段を厭わず、ツィーゲの支配者になった。娘シフ、そしてユーノが生まれてからはやや丸くなったものの、金、恫喝等は普通の手段としている。真に対しては、新しくできた(末の)息子のように見守りつつ、真に本当に敵対する者には容赦しないつもりでいる[注釈 15]。記憶を巴に覗かれ、過去の殺戮、呪術者の殺害やその関連を知られているが、巴が誰にも話さないため、知られたという事実もレンブラントは知らない。
モリス
レンブラント家の執事で真が羨むほど有能である。元冒険者で、レンブラント商会の裏仕事を実行していた。今は家中の事を主に行っているが、裏仕事の采配もしているレンブラントの腹心。
リサ=レンブラント、シフ=レンブラント、ユーノ=レンブラント
パトリック=レンブラントの妻と二人の娘。リサはパトリックのツィーゲでの立ち上げ時には、別の街にいたが本人たちは婚約していた模様。パトリックの裏の面はモリス同様知っている。
シフ、ユーノはロッツガルドの学園に所属している。ツィーゲに帰郷していた際に母共々、後述の呪術師によってレベル8の呪病に侵されていたが、真が提供した素材で作った秘薬で救われる。その際に異世界の美意識において最低と言えるほど外見が変わった経験もあって、見た目よりも内面を意識するようになる。学園復学後には真の講義を受ける。
リノン
姉トアに連れられベース・絶野に住んでいる少女(10歳)。姉が冒険者として稼げなくなり、借金から娼婦になっている為、借金を返そうと筆頭冒険者のスパイをし、盗みなどを働いていた。姉と違って家の復興等はあまり積極的でない。
漫画版では真から家計簿など効率的な計算を習い、金にルーズな姉に代わって家の財布を握り、ツィーゲにパーティのホームを購入する計画を立てている。
トア
絶野ベースに住む冒険者。職業は「闇盗賊」。容姿は真の高校弓道部の後輩「長谷川温深(はせがわ ぬくみ)に髪・瞳の色以外はそっくりの容姿。国ではそこそこの実力(レベル120)であったが、荒野では仲間や武器・防具を失いつつも何とか依頼をこなせることもある程度の冒険者だった。かつて先祖が「無敵」のふたつ名をもつ上位竜・蜃に挑んださいに携えていた神器と謳われた短剣を取り戻し、一族の名誉を挽回するために世界の果てと呼ばれる荒野に来た。借金で武器・防具を整えて荒野にはいったが、武器・防具を失い借金を返す当ての依頼も未達成で、薬漬けの娼婦に、更には実験体になっていた。巴、澪に助けられた時に彼女らにより絶野は壊滅し、ツィーゲに移ることになり、巴らと荒野で冒険者の依頼をこなし、パーティーはツィーゲ筆頭の存在となる。
漫画版では金にルーズで何かと無駄遣いが多いところが描かれている。
ハザル、ルイザ、ラニーナ
トアと同様に囚われていた冒険者。職業はそれぞれ「アルケミーマイスター」「ブレスガンナー」「神官騎士〈土〉」。ツィーゲに移ってからトアとパーティを組む。
ハザル(ヒューマン・男)は、真に頼まれてレンブラントの妻子に掛けられた呪病を治療する秘薬作りを行ったが、せっかく作った秘薬を不用意に扱い落っことすとかなりのドジ。
ルイザ(エルフ・女)とラニーナ(ドワーフ・女)は漫画版で名前が付いた。
ジン=ロアン、イズモ=イクサベ、アベリア=ホープレイズ、ミスラ=カズパー、ダエナ
ロッツガルドで学ぶ学生。臨時講師となったライドウ(真)の戦術講義と訓練を受け、学園でもトップクラスの実力の持ち主となる。
エヴァ、ルリア
ロッツガルドで司書とウェイトレスとして働く姉妹。10年前魔族によって滅ぼされたケリュネオンの貴族・アーンスランド家の出身で、真の両親の顔を知っていた。

真たちの敵対者編集

ミルス=エース
荒野に最も近い絶野ベースの筆頭冒険者でレベル444。ただしこのレベルはあるものの体液を使った改竄で、巴、澪のレベルも改竄だと思い込む。弱い者から奪う、娼婦は薬漬けで、使えなくなったら人体実験と、普通にあくどいことをしていた。リノンを使って真たちをスパイにしたため、逆にリノンに姉を助けてくれと依頼され、巴、澪の襲撃(手加減の練習)でアジトどころかベースごと壊滅させられる。
復讐の呪術師
ライムを半ば騙した形で手を組み、レンブラントの妻子をレベル8の呪病に掛ける。パトリック=レンブラントに捕らわれ拷問死となる[注釈 16]が、得られた情報は入手困難な特効薬によってしか救えない事実を残す。更には、特効薬の匂いを嗅ぐと被術者は狂暴化しそれを破壊しかねないという念の入りようであった。その理由は、20年程前に恋人であった女性が、ツィーゲのハンザ商会代表を継ぐ為に彼と別れた。その女性は寂しさからもあり、格下であるレンブラント商会の代表パトリックと恋仲になり、男女の関係を持つ。だがパトリックにとっては、男女の関係は持っていても、彼女は自分がのし上がる為の踏み台でしかなく、折をみて彼女と共に旅程にあるハンザ商会一行を全員殺害し、涙を演じながらハンザ商会を吸収合併するという悪辣さを発揮した。それを知った彼は呪術師に転職して復讐を図ったというのが事の始まりにして真相だった。
ソフィア=ブルガ
レベル920のヒューマン筆頭の女性冒険者。『竜殺し』の異名は上位竜・『ランサー』別名『御剣』を殺した事による。魔族側に付き、ランサーと共に真と闘い敗れるものの、真に重傷を負わせる。この時の真は『魔人』と呼ばれ、真とは別人として各勢力とも『魔人』を味方に付けたいと考えている。
イルムガンド=ホープレイズ
リミア王国貴族の次男坊。ふとした行き違いからライドウ(真)に反感を持つようになり、学園祭のトーナメントにて裏工作を行うも、あえなく敗退。ロナがばら撒いた「薬」を服用していたことによって変異体となり、暴走。ジンたち7人に倒された際に不定形の肉塊になりながらも正気を取り戻すが、それを知られないうちに澪に処分された。

勇者編集

契約によって召喚された真に容姿を理由に徹底的なダメ出し(と言う名の侮蔑と扱き下ろし)をした女神が、好みの容姿だからと勝手に召喚した日本人。魔獣と戦える体、魔族を凌ぐ魔力を始めとした特典を与えたというが、真の例でも分かる通り地球世界で育った者は異世界では全ての負荷から解放され高いステータスを発揮するため、実際には大した加護は与えられていない。

音無 響(おとなし ひびき)
真の高校の3年生で剣道部に所属する少女。容姿端麗。成績、部活は全国レベル、満場一致で生徒会長など何でもできてつまらないと感じていた。勇者として女神によりリミア王国に召喚される。魔獣と戦える体、魔族を凌ぐ魔力、人を惹きつけるカリスマ、闇を退け魔力を高める作用も持つ銀帯を与えられた。
勇者として智樹よりは真っ当に活動しており、ヒューマンの差別意識の是正なども提言しているが、一朝一夕に解決する問題でもないため、実際には放置状態。直接かかわった相手はともかく、ヒューマンという種族自体には好意的ではない真を危険視している。女神に対して疑念を持ち、魔族における戦争も迫害に対しての抵抗であると理解しつつも、「地道な権利獲得ではなく、戦争にまで至ったのは魔族の短絡・自己責任」と冷淡に断じており、仲間を魔族に殺されたことから復讐の念に囚われていることを本人も自覚している。巴には「本人の才覚と若さもあって努力すればこの世界では何でもできる、できないのは当人の努力不足と考えるなど視野が狭い。努力ではどうしようもない環境や才能のない者に対して無理解」と評されている。
岩橋 智樹(いわはし ともき)
中学3年生で運動は中の中、成績は特に努力することもなく中の上。日本人ながら非常にすぐれた容姿で親の頼みでモデルのバイトをしており、そのため女子にはモテ、男子にはやっかまれていた。本人は自分の容姿や才能に無自覚で、気安く付き合える友人を大事にしていた[注釈 17]。しかし、数少ない友人との間に齟齬[注釈 18]が生じて落ち込んでいる時に勇者として女神によりグリトニア帝国に召喚される。魔獣と戦える体、魔族を凌ぐ魔力、人を虜にする魔眼(魅了)、空を駆け癒しを与える銀靴を与えられ、(帝国にある)あらゆるレベルの武器を使いこなす。更に召喚の際の折衝で、銀髪に金銀妖瞳の容姿や夜(月の出ている間)には死なない効果を追加で得る。魅了した女性やリリ皇女[注釈 19]と関係を持つが、元々のメンタルの弱さから落とした女性も大半は道具扱いしている。魅了の力も響やローレル連邦の巫女、巴に対しては効かず、むしろそれにより彼女らに悪印象を与えている[注釈 20]

リミア王国編集

ベルダ=ノースト=リミア
第1王子。召喚された勇者・響に一目惚れし、王子としてではなく、騎士として同行している。だが、騎士としては凡才であり、次期国王として動くことを求められている。
ウーディ
宮廷魔術師。「移動砲台」の二つ名をもつ男性。
ナバール
傭兵。「銀髪鬼」の二つ名を持つ女性。
ヨシュア
対外的には第2王子とされているが、実は女性。学園祭の際にライドウ(真)に女性と知られるが、口約束の秘密を守ったライドウには一定の信用を持っている。

グリトニア帝国編集

リリ=フロント=グリトニア
第2皇女。10年前の魔族侵攻から女神の存在に疑問を感じており、女神に頼らない戦術・戦略と人体実験まで実行するなりふり構わない戦力強化を行っている。

ローレル連邦編集

チヤ
ローレルにて重要な立場である「巫女」。幼いながら高レベルの結界と治癒魔法の使い手。
カハラ=サイリツ
ローレルの要職に就く女性。強大な力をもつライドウ(真)を自国の繁栄を決定づけてきた異世界人「賢人」ではないかと考え、取り込むことを考えている。

上位竜編集

ルト
『万色』の二つ名を持つ、最上位の上位竜。今は男だが、300年ほど前までは女性だった。自分が男でも、女でも良いからと真にモーションを掛け、真からは変態扱いされ、女性従者二人からは警戒される。現ギルドマスター・ファルスであり、冒険者ギルド創設者にして初代マスター。
真の従者を参照。
グロント
「砂々波」の二つ名をもつ上位竜の一体。グリトニア帝国の「白の砂海」という砂漠を根城にしている。
リュカ
「瀑布」の二つ名をもつ上位竜の一体。ソフィアに殺されるが、卵として再生。ルトの依頼で本拠であるメルリス湖にて孵化した。真の存在を危険視している。

魔族編集

ゼフ
魔王。
モクレン=カズサ
魔将。
ロナ
魔将。諜報と工作を得意とし、「カレン=フォルス」と名乗ってロッツガルドに潜入していた。リッチ時代の識と面識があり、かなり悪印象を持たれている。
イオ
魔将。2対4本の腕をもつ男。
レフト
魔将。

国・地域編集

魔族支配領域、四大国、地の果ては日本の本州から九州に類似した形を持つ。 但し、瀬戸内海はほぼ山脈を形成し、地の果てである九州は南部はどこまで続くか確認が取れていない。

亜空
真と巴の契約で生じた領域で世界とは別の空間。最初に、ハイランドオーク、エルダードワーフ、ミスティオリザード、アルケーが住人となる。真の魔力の増大で領域が拡がり、真やエマの許可で入居する種族は増加中。真か巴の意思で出入りは可能で、この世界の女神(程度)では存在さえわからない。クズノハ商会で扱う品物の認知度を上げる目的で定期的に部外者を呼び込んで土産を持たせる「蜃気楼都市」としての活動を行っている。
スサノオ、大黒天、アテナの3柱は自力でこの亜空に入り、真と友好的に話し歓待を受ける。
魔族支配領域
東北地方北部辺りに該当し、極寒で作物が育たない地域[注釈 21]。この地域から脱する為に、女神が眠っていたことでヒューマンへの加護が無くなった事を活かし侵攻を開始する。当時五大国の1つで、最も女神への信仰の篤かった国とその衛星国家を滅ぼし、その半分の地域を支配下に入れる。魔王は統治を優先する為にそれ以降は侵攻をせず、外交(対亜人)・諜報を主体とした活動を行っている。10年ぶりに女神が目覚め、慌てて勇者を召喚した事の対策として、女神の加護をなくす使い捨ての技術を開発し再侵攻を開始する。
リミア王国
東北地方日本海側南部から北陸に位置する。四大国のひとつで、勇者響を擁する四大国の上位国。王はもちろん宰相等も世襲制で、国家の運営は無能な者が行なっているのが現状。勇者響の近くで接する者はその影響で、王、王子、ホープレイズ家次男イルムガンドなどは、その現状を打破した国作りの必要性を認識し行動しつつある。
グリトニア帝国
東北地方太平洋側南部から関東・東海に位置する。四大国のひとつで、勇者智樹を擁する四大国の上位国。後述の宗教国家・エリュシオンの滅亡から女神の存在に疑念を抱いており[注釈 22]、リリ皇女が主体となって人体実験を行い、それは勇者智樹にさえ及んでいる。
アイオン王国
北陸・近畿北部・中国地方に位置する。四大国のひとつで、国外へ赴く商人を諜報に積極的に利用する国。真が最初に訪れた大きな街ツィーゲもアイオン王国に所属していた。諜報に使われる事を嫌った真は、ツィーゲに店を構えるのではなくレンブラント商会に間借りした。
ローレル連邦
東海・近畿南部・四国に位置する。四大国のひとつで、四大国では唯一連邦国家であり巫女が統一の要。過去において日本人が『賢人』として国の重要な部分を担っている。氏名の多くが日本人的な名前であるが、『賢人文字』と呼ばれる漢字は国の極限られた上位の者しか知られていない。
ロッツガルト
四大国に対し均等になる外交を持つ独立した学園都市。学園の卒業生が各国で重要な戦力として招かれる(就職)為、学生はエリートとして扱われるが、真が感じる学生達の実力は荒野の冒険者や亜人たち比べに大きく劣るものでしかない。
エリュシオン
東北地方北部にかつて存在した五大国の一つ。女神への敬虔の篤い宗教国家。女神の睡眠により加護が失われた10年前に、魔族の侵攻により滅亡。主要地域は魔族に占領される。
ケリュネオン
エリュシオンを宗主国とした属国のひとつ。魔族軍の前進基地として「ステラ砦」が設置されていたが亜空勢によって陥落し、国家として再建が始まる。
地の果て(荒野)
九州に位置する。その北部は荒野と呼ばれ、冒険者が集い一攫千金の魔物討伐、資材収集の機会が多い為、冒険者のレベルが高い事は各国に伝わっている。冒険者ギルドに寄せられる仕事は過剰で、成功率は低く失敗により失われる命も多い。ツィーゲより3つ目の街・絶野は巴、澪の二人により壊滅したが、荒野の危険さを知る者にとってそれは不自然な事とは思われていない。ヒューマンによる迫害、搾取を避ける為、不毛な地にも拘らず荒野に敢えて住居・村落を構える亜人も少なくなかったが、生活する場としては苦しい場所であり、亜空への移住は喜んで従う者が多い。南部はヒューマンはおろか亜人もほとんどおらずどれだけ広大か不明の地域。

言語編集

共通語
ヒューマンたちが使用する言語。学習することで巴や澪を始め亜人にも使える者が存在する。ただし、ヒューマンの場合は生誕後に神殿に詣でるうちに話せるようになる。このことを聞いた真からは「語学じゃない」と言われた。当然ながら話せるようになる際の個人差も「女神の贔屓」によるもの。
理解
女神が真にダメ出しをして世界の果てに放逐する際に「お情け」で与えた能力。「ヒューマンの使う共通語以外の言語」を文字通り理解し、ヒューマン以外の種族となら問題なく意志疎通を行える。各種魔術言語も日常会話レベルで使えるほか、亜人のみならず魔獣の類とも会話できる。
真は共通語の読み書きまでは習得したが発音だけはできなかったため、言霊の極みを得るまで共通語は「筆談(魔術で空中に文字を書く)」でコミュニケーションを取っていた。
言霊の極み
王国、帝国の両首都を襲撃した魔族軍から「勇者を助けろ」と女神から命じられた際に「共通語が通じるようにしろ」と取引して与えられた。
大黒天曰く、本来は限られた聖人にのみ与えられる「悟り」に相当する物で、本来は俗人に与えられる物ではないが、女神は一部を削除することで真に押し込んだ。与えられた時点でも真の受け入れることのできる限界ギリギリの容量だったが魔力容量を増やすことで解決可能とのこと。
コモンチャント
一般に知られる魔術詠唱言語。下位の古代言語で習得することは比較的容易だが、魔力を1で済むのに10消費しているなど効率はかなり悪い。漫画版では呪文内容にも具体性の欠如や無駄な重複があるほか、精霊に働きかけるこの世界の魔術には無関係な女神に対する余計な修飾・賛美の言葉が多い。
ノーブルチャント
攻撃魔術特化言語。扱える者は学園都市でも稀で、使える冒険者は一流の魔術者とされる。
グラフチャント
コモンチャントの上位汎用言語。扱える者は学園都市でも稀で、使える冒険者は一流の魔術者とされる。
ウェアードチャント
ノーブルチャント、グラフチャントよりも上位の古の詠唱言語であるが失われた部分が多く、ロッツガルトで分かる者はいない。ごく限られた研究者以外では、ミスティオリザードが使っているくらい。
フォルカチャント
コモンチャントが使える者ならば詠唱可能で、ウェアードチャントより少し上位と言える。ただし、一度使うと以後女神の祝福を一切失う禁忌の言語である。
ロストチャント
威力は高く詠唱時間も短いが、魔力消耗が激しく継承が難しかった。これの劣化版[注釈 23]をエマは使用し、真はこれのオリジナルに近いものを改造して使っている。エマも逆に真からオリジナルに近いもの教わり使い始めた。

既刊一覧編集

著:あずみ圭、イラスト:マツモトミツアキ

メディアミックス編集

漫画編集

2015年6月9日より、木野コトラの作画によりコミカライズが『アルファポリス - 電網浮遊都市 -』(アルファポリスの公式サイト)で連載。コミックスは同レーベルより刊行。

  1. 2016年2月29日発行、ISBN 978-4434216046
  2. 2016年10月31日発行、ISBN 978-4434224706
  3. 2017年6月23日発行、ISBN 978-4434232879
  4. 2018年2月1日発行、ISBN 978-4434241840
  5. 2018年10月1日発行、ISBN 978-4434251054

ゲーム編集

アルファポリスがPC向けブラウザゲームが配信していた[3]シミュレーションRPG。2017年4月28日に配信を開始したが、2018年3月19日にサービス終了。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 日本基準では十人並。
  2. ^ しかもこの時既に、自分の好みの顔を持った者数名を独断で勇者として召還した後であり、真に対しては「保険を掛けといてよかったわ」と嘲笑した上、禁じた時に「汚い種をまき散らすんじゃねぇぞ」と破った際には本気で殺すという脅しまでかけた。
  3. ^ 遥か天空から落ちていくよう叩き出し、配下のニンフたちに「徹底的に洗浄しときなさい! また湧いてきたらたまんないわ!」と忌々しく吐き捨てている。
  4. ^ 月読命も女神の我儘と増長まで読み切れなかった事を後悔し、真へのあまりの仕打ちに苦々しく感じていた。
  5. ^ 月読曰く、元の世界では「深海の底」か「灼熱の溶岩の中」で暮らしていたような物。
  6. ^ 所謂普通の容姿以下では醜いというのが、作品世界での美的判断基準。
  7. ^ 適性は水・闇・火・土・雷の順で高い。
  8. ^ RPGでいえば、ほぼカンスト寸前のレベルで最弱モンスターと戦っても経験値が溜まらないということ。
  9. ^ 巴曰く、稀に「死の淵を臨んで生き返る」といった臨死体験をした者が魔力を増大させた例がある。
  10. ^ 多数決で決定。
  11. ^ この時はまだ巴の名はない。
  12. ^ 本来、容姿と人間性は無関係ではあるが、なまじ整った容姿だけに下種な悪人は尚更憎たらしく見える。なお、この世界の人間は自分たちが美形だという認識はない。
  13. ^ エルドワと巴に略して呼称される。
  14. ^ 当時巴の名は付けられていない。
  15. ^ 真たちクズノハ商会メンバーの実力(戦闘力)から、これまでの既得権益全てを叩き壊す代わりに心置きなく商取引が可能になることを夢見ている。
  16. ^ 真に会う事はなかった。
  17. ^ これは父親からモデルを含めた業界は甘くないと釘を刺されていたのを真に受けて、周囲が「自分の才能に負けておもねってきた」のを仕事を都合した親に対するものと勘違いしていたため。
  18. ^ 友人の意中の相手に告白されるが断っており、元々勉強に対して熱意がなく、友人との交遊を優先して成績が低下しているのを「自分に合わせて手を抜いている」と思われていた。
  19. ^ 勇者として利用するために魅了されたふりをしている。元の世界における智樹の人間関係についても「甘ったれた考え」と内心では軽蔑している。
  20. ^ 薬物や宗教による奴隷化している人物に近い。
  21. ^ 北海道があるかどうかは不明。
  22. ^ 前述の通り、例え道理の通った側でも女神の加護を得られるわけではないことから、女神には何らかの「偏った基準」が存在し、それはヒューマンにとって利益になるとは限らないと気づいている。
  23. ^ 威力は減少するが消耗も軽減。

出典編集

外部リンク編集