社用車(しゃようしゃ)は、会社組織で利用する車である。通常は自動車を指し、自転車オートバイまで含める会社もあるが一般的ではない。

官公庁地方公共団体が用いる車は公用車(こうようしゃ)である。より一般的には、その種のものを全て含めて法人車、あるいはフリートカー(Fleet Car)と呼ぶことができる。

概要編集

車種は、営業社員用の軽自動車から、高級幹部が乗る専属運転手高級乗用車まで多岐にわたる。

所有形態は、会社で車両を購入することが多いが、車両管理経費削減などの目的でレンタカーや長期リース車両を利用する会社も増えている。外回り社員が多い大会社では、経費削減のため全国一括大量購入が行われることがある。

装備としては、軽自動車を例に取れば、車両本体価格が40万円台など激安価格で取引されることから、ラジオ[注釈 1]エアコンパワーステアリング以外の設備は省かれることが多い。一部ではパワーウィンドウ集中ドアロック等も装備されないことがあり、特に軽トラックの場合は最廉価グレードに限りエアコンとパワーステアリングが装備されていない。

営業車編集

 
ワンボックス車の例(トヨタ・ライトエース
 
小型セダンの例(日産・ラティオ

多くの自動車メーカーでは、営業車需要向けに外回り仕様車を用意している。主に軽自動車や小型ハッチバック、小型セダン、小型ステーションワゴンなどをベースに、装備を簡略化してコスト削減を狙ったものである。

日産・ADバントヨタ・プロボックスのように、営業職社員が使用することに特化した車種を発売しているメーカーもある。

軽自動車の場合、貨物自動車(商用車、4ナンバー)扱いとなり、自動車税自動車保険料などが安い軽ボンネットバンが導入される場合が多い。普通車でも、会社によっては営業用や社内業務用の小型荷物、客先に納品する商品などを搭載する場合も多いことから、貨物自動車となるライトバン(4ナンバー)が導入されることも多い。配送が主体となる場合には軽ワンボックスカーや荷台部分に幌が装備された軽トラックなどが導入される場合もある。

貨物自動車となるトラックやライトバン、旅客輸送車両であるバスやタクシーを中心に、車体には企業や商品の名前や連絡先が記載されていることが多く、メーカーロゴや車名の表記を置き換える形で表示されているケースも多い。

車体塗装は価格とメンテナンスを考慮して、経年劣化しにくく補修も容易な白や銀であることが多い。メーカー側も商用車や廉価グレードの乗用車については白や銀を基本塗色に多く設定している。他には黒や紺、組織内で共通して用いられる独自カラーリングなどが見られる。

一定規模以上の銀行商社不動産業医薬品関係など、営業面でも優位性の演出を意図する企業では、2020年現在、カローラセダン(E210型系)プリウスプレミオシルフィ(B17型)MAZDA3 SEDAN(旧・アクセラセダン)、インプレッサG4など、主に一部を除くCセグメントクラスに属するセダン系車種の廉価グレードなどを営業車(社用車)として導入することも少なくない。

政府地方公共団体などの行政機関、公営バス事業者などの公営企業が所有する公用車では、特定の民間企業や製品の宣伝を防ぐ観点から、メーカーロゴや車名を表記せずに納車される場合もある。

重役・社長車編集

高級乗用車が使われる場合が多い。塗色は黒(または紺色)が一般的である。採用される自動車メーカーは、所有する会社の親会社や主要取引先が色濃く反映される場合が多い。また車種は先方の重役・社長車と横並びもしくは下にするなど細心の注意が払われる。独立系企業や外資系企業、新興企業では、黒・紺色以外の塗色やメルセデス・ベンツBMWなどの高級外国車を採用することもある。

ドアミラーでは確認の際に左右を向かなければならないのに対し、フェンダーミラーでは視線をずらすだけでいいため。かつてはフェンダーミラー仕様にこだわる会社もあった。またバブル景気の頃は、居室部分の広さはもとより、トランクにゴルフバッグが4個入るなど、接待時の条件を考慮に加える事業者もあった。

近年は環境重視の経営方針をアピールするため、パワーアップにより排ガス規制で優秀な評価を得ている3Lクラスの乗用車や、ハイブリッド車電気自動車を導入するところもある。

また一部ではセダンの代替に「動くオフィス」としてトヨタ・アルファード等の高級ミニバンを使う事例も増えており、日産自動車の社長車には日産・エルグランドなどが採用されている。日産でのミニバン社長車利用は2000年当時、同社のトップとなったカルロス・ゴーンが実施した。ミニバンでは、幹部のほか随行員まで1台に収容可能、移動中に車内での着替えも可能、従来の最高級乗用車に比較すると車両自体が安価であるなどの利便性から、日本の企業幹部や自治体首長等にもこの種の用途に倣う例が増えている。

広島県では公用車に地元マツダ車のラインナップ[注釈 2]や、離島を多く抱える地理的事情からクロスオーバーSUVを導入している。2010年に導入(リース)された広島県知事専用車はマツダ・MPV、2018年に車両更新された際にはマツダ・CX-8が導入された[1]

カンパニーカー編集

ヨーロッパの一部の国やアメリカ合衆国の企業には、中級以上の幹部社員に対する福利厚生策も兼ね、会社経費で乗用車を購入またはリース調達して個人に貸与する「「カンパニーカー」と呼ばれる制度が見られる。

幹部社員や高度な技能を持つ社員に対し、単純に高額の給与を支払っても累進課税制度や社会保障費徴収によって、実質の手取り金額増は薄くなりがちである。そこで社有車を社員個人に現物貸与して自由に使用できるようにすることで実質的な給与外の報酬(フリンジ・ベネフィットの一環)とし、同時に会社にとっては車両代を経費計上して節税策ともしている。

カンパニーカーは広義の社用車ではあるが、貸与対象の社員が自家用車として自ら運転するのが基本であるため、DセグメントまたはEセグメント程度の上級セダン型乗用車が多く用いられる。カンパニーカー制度が定着したドイツイギリスなどでは、該当クラスの乗用車需要の多くがカンパニーカーとしての法人購入、という実情が多々見受けられる。

日本では中小企業や新興企業の経営者層を除くと、このような社用車の使い方は一般的でない。

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ AM/FM対応が通常だが、一部の車種ではAMのみの単機能となっている。
  2. ^ 大型クラスのセダンは2003年、ミニバンは2018年を最後にそれぞれ生産終了している。

出典編集

  1. ^ 議長公用車に1830万円センチュリー 広島県が購入”. 中国新聞 (2020年10月23日). 2020年10月24日閲覧。

関連項目編集