近藤 浩治(こんどう こうじ、1961年〈昭和36年〉8月13日 - )は、主にゲームミュージックを手掛ける作曲家

こんどう こうじ
近藤 浩治
2015年
生誕 (1961-08-13) 1961年8月13日(62歳)
愛知県 名古屋市
出身校大阪芸術大学
職業作曲家
任天堂企画制作本部サウンド統括グループ マネージャー

来歴 編集

愛知県名古屋市出身。大阪芸術大学芸術学部芸術計画学科卒業後、1984年4月任天堂に入社した。手塚卓志とは同期。

任天堂にとっては音楽専門スタッフとして初めて採用された。それまで田中宏和のようにプログラムなどの仕事をしながら音楽を作っていた社員はいたが、分業化が進んでいく中で、サウンドの専門家の必要性が高まり採用に至った。入社2年目で『スーパーマリオブラザーズ』の音楽を担当することになったが、ともに仕事をしていた宮本茂は「音楽を専門に勉強してきた人とやってよかったなあ」と実感したという[1]。初期の頃はサウンド・プログラム、効果音、音楽をすべて一人で担当していた。

任天堂での役職は任天堂企画制作本部サウンド統括グループ マネージャー。『スーパーマリオブラザーズ』や『ゼルダの伝説』などの音楽を作曲した人物として、日本国内のみならず日本国外でも著名である[2]。近藤自身もライブやプライベートなどでピアノを弾くことがある[3]

ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』や『スーパーマリオサンシャイン』などを最後にメインコンポーザーとして作曲する作品は減り、現在は主にサウンドスタッフの統括など指導的な立場にある。しかし、本人は2007年のインタビューで「出来ればまたゲーム全体の音楽の作曲をしたい」という趣旨の発言をしている[4]

2015年9月13日、東京・渋谷で開催された『スーパーマリオブラザーズ』発売30周年を記念するイベント「スーパマリオ30祭(さい)」に宮本茂、手塚卓志と共にゲスト出演し、9月10日発売の『スーパーマリオメーカー』のタイトル曲を生演奏した[5]

2023年、『スーパーマリオブラザーズ』のテーマ曲(Super Mario Bros. theme)が日本人が作曲した曲として初めて、ビデオゲームのサウンドとしても初めてアメリカ議会図書館全米録音資料登録簿に登録され、「多くの名曲と一緒にマリオの曲が保存されるのは、とても光栄なことです。ちょっと信じられない気持ちでいます」とコメントした[6][7]

 
『スーパーマリオブラザーズ』のテーマの最初の3小節

人物 編集

大学時代は喫茶店で『スペースインベーダー』『ドンキーコング』などのアーケードゲームをよくプレーし、当時PCが普及し始めた頃で、BASICのプログラミングで音作りを行っていた[4]

『スーパーマリオブラザーズ』で最初に作曲したのは「イメージするのが最も簡単だった」という水中の曲で、逆に地上の曲は何度も書き直したという[4]。メインテーマとして「のほほんとした草原を思わせるイメージ」の曲も作っていたが、それを完成したゲームに載せてみるとまったく合わずボツになっている[5]

音楽的に大きな影響を受けたのは渡辺貞夫。『スーパーマリオブラザーズ』の地上BGMも渡辺の影響を受けて作ったという[8]。学生の頃はディープ・パープルイエスといったロック・ミュージックにも傾倒していた。また、幼少時にエレクトーン教室に通いポピュラー音楽を中心に音楽の素養を広げていたといい、クラシック音楽の専門的な勉強はまったくしてこなかったという[9]

作品 編集

 
右から近藤浩治、宮本茂手塚卓志(2015年9月13日「スーパマリオ30祭」)

太字表記の作品は、メインで担当したタイトル。

関連書籍 編集

アンドリュー・シャルトマン 著『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命 近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』樋口武志 訳、DU BOOKS、2023年、ISBN 978-4-86647-204-1

脚注 編集

  1. ^ 社長が訊く「スーパーマリオ25周年」より。
  2. ^ 任天堂の近藤浩治氏、「マリオ」、「ゼルダ」のサウンドを語る インタラクティブなゲーム音楽を作る多彩な手法より。
  3. ^ シカゴでマリオに出会う!? - アンジェラ・アキ公式ブログより。
  4. ^ a b c VGL: Koji Kondo Interviewより。
  5. ^ a b マリオの誕生日に開催された「スーパマリオ30祭」をレポート。生みの親である宮本 茂氏,手塚卓志氏,近藤浩治氏がゲストともに30周年を祝福
  6. ^ スーパーマリオの曲 米国議会図書館に保存 日本初&ゲーム音楽初!「イマジン」など名曲とともに - スポニチ Sponichi Annex 社会”. スポニチ Sponichi Annex. 2023年4月29日閲覧。
  7. ^ 日本を代表する「あの曲」が米国議会図書館の「永久保存に値する貴重な宝」に認定
  8. ^ クリエイターズファイル第104回より。
  9. ^ ニンテンドードリーム2005年11月号 すぎやまこういち×近藤浩治ビック対談より。
  10. ^ ディスクシステムで発売された『夢工場ドキドキパニック』のROM移植版。英題は『SUPER MARIO BROS.2』で当初は国外でのみの発売であり、逆輸入の際に改題された。
  11. ^ 社長が訊く『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』 サウンドトラックCD 篇 5.近藤浩治のCD収録曲解説(2)より。
  12. ^ 任天堂 社長が訊く『スーパーマリオギャラクシー』Vol.3 サウンドスタッフ 篇より。
  13. ^ 社長が訊く『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』 サウンドトラックCD 篇 6.近藤浩治のCD収録曲解説(3)より。
  14. ^ スマブラ拳!! スーパーマリオブラザーズ:地上BGMより。